水曜日, 1月 14, 2026
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知事との対話の芽―高校が足りない 《竹林亭日乗》1

【コラム・片岡英明】毎日、竹林と筑波山を見ながら散歩している。天声人語を読むと、コラムとは少し離れた視点で書くようだ。世相と少し離れたところから日記を書いた永井荷風を参考に、コラムの名前をつけた。

片岡英明さん

私は「出会ったところで考える」「対話で耕し合意形成」を心掛けている。その構えの方が疲れず、楽しいからである。では、どんなことに出会っているか。

1月27日のNHK首都圏ニュースのTX沿線特集で、つくば市は高校が足りないことを扱った6分ほどの放送があった。私たちは、2021年5月に「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」を立ち上げ、学習・懇談・署名などの活動を行ってきたが、当事者の受験生がマスコミに登場したのは初めてである。

取材された学生の「つくば市は結構人口も増えたので、もう少し高校を建ててもいいと思います」との発言に、「大人がこれに応えなければ」と感じた。

人口・子ども増「第3の波」

つくば市には「第3の波」が到来している。4町村が合併した1987年ごろ、第2次ベビーブーム世代の中学生増が「第1の波」。1989年をピークにして減少に転じた引き波が「第2の波」。多くの都市では、出生率低下により減少が続くが、つくば市は違った。TXが開通した2005年を底にして、中学生は増加に転じた。

TX沿線開発に伴い、2015年以降、つくば市では人口・子どもが増加し、「第3の波」が到来した。この事態への理解が問題解決の最初の鍵だ。

総務省人口移動報告(1月30日発表)によると、茨城県の人口は2年連続して転入超過になった。東京圏からTX沿線に移る人が増えたからだ。県としては、「第3の波」が続いていることへの対応が求められている。

私たちは、子ども増への対応について、県知事や教育長と対話を始めた。森作教育長は県民の声を受けとめ、つくばエリアの県立高校定員について、昨年11月の県議会で「進路選択に影響が出ないように検討し、その計画を示す」と答弁した。

大井川知事も、12月8日の茨城県総合教育会議で「通学圏のなかで学級数が足りないというのであれば、クラスを増やすなど、対応できるように県として努力します」と答えた。これは県との対話の芽である。

既存高の学級増か高校新設か

既存高の学級増か高校新設か? 新設高校は県立か市立か? 二者択一を迫る声もあるが、昨年の教育長と知事の答弁を基点に、まず、学級増の検討を始めてほしい。

教育長が言う「中学生の進路選択に影響がない学級増」とは、つくばエリアの全日制県立高の入学枠を広げ、県の平均収容率に合わせる努力をする「宣言」と考える。県平均に合わせるには、まず現時点で何学級不足か、さらに今後何学級不足するか―明らかにする必要がある。

県と市が生徒数や目標のすり合わせ作業をし、まず必要学級数を検討する。次に、その学級をどう増やすかがテーマになる。そのとき、学級増か高校新設か、県立か市立か―の問いは解消するように思う。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会・代表)

【かたおか・ひであき】福島高校卒。茨城大学農学部卒業後、太陽コンサルタンツ勤務。茨城大大学院修了。39年間、霞ケ浦高校勤務。主な著書は、英語Ⅰ教科書「WORLDⅠ」(三友社、1990年)、「たのしくわかる英語Ⅰ 100時間」(あゆみ出版、同)、「若い教師のための授業・HRづくり」(三友社、2016年)。現在、「つくば市の小中学生の高校進学を考える会」世話人。1950年福島市生まれ、つくば市在住。

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江戸時代後期につくばで活躍した発明家、飯塚伊賀七(いいづか・いがしち)が建てた「五角堂」のかやぶき屋根を修理する材料にしようと、ススキが自生する近隣の原っぱで12日、カヤ刈りイベントが開催され、地元の親子連れなど小学生から70代まで約70人が、刈り取ったススキを集めて束にするなどの作業を体験した。 伊賀七は当時の谷田部新町村の名主で、からくりの和時計、測量器具、地図、農業機械の自動脱穀機などを発明した。五角堂は伊賀七の生家に建てられた。何のために建てたのか分かってないが、床面が正五角形と当時は建築が難しく、独自の構造で建てられている。1958年に県指定史跡になり、89年に解体修理されたが、かやぶき屋根の傷みがひどくなり、五角堂を管理する同市が昨年、屋根の一部を修理した。残りの部分を、今回刈り取ったススキで修理する予定だ。 カヤ刈りイベントは、石岡市を拠点にかやぶき屋根の保存活動に取り組む市民団体「やさと茅葺き屋根保存会」(萩原寿盈会長)とつくば市教育委員会が共催した。場所はつくばエクスプレス(TX)みどりの駅近くの市立みどりの義務教育学校に隣接する未利用の原っぱの一部約200平方メートルで、市民ボランティアを募って実施した。 学校脇の原っぱにススキが茂っていることを知った市内に住む同保存会事務局の仲村健さん(44)が同校と市教委などに働き掛け、昨年、同保存会が同所でカヤ刈りを実施し、石岡市内のかやぶき屋根を修理する材料にした。その後、地元に住む谷田部地区活性化協議会の牧野秀宣会長(70)から「地元のカヤで五角堂を屋根を修理してはどうか」と提案があり、イベント開催に至ったという。 12日は午前中に同保存会が仮払い機でススキを刈り、午後に親子連れ約70人が刈り取られたススキを拾い集めて、ひもで縛り、束にした。2時間ほどの作業で121束が出来上がった。 刈り取ったカヤは、同保存会の会員が自宅の風通しのよい場所で保存する。さらにワークショップを開催し、屋根で作業しやすいようカヤの長さをそろえて束にする「かやごしらえ」を実施する予定だ。 母親と参加した近くに住む小学3年の戸田結斗さんは「学校でちらしをもらって参加した。カヤの束を積み上げた上に座って楽しかった」と話し、家族で参加した近くの会社員、藤尾友彦さん(42)は「毎日犬の散歩で通るところなので、普段できない経験をしたいと参加した」と語り、長女で小学3年の晴香さんは「ススキを束ねてぎゅっと結ぶのが難しかった」と話していた。 同保存会の仲村さんは「カヤ刈りを通して身近な歴史や文化を知り、それが現在や未来につながるものだということを感じてもらえたらうれしい」と話し、同活性化協議会の牧野会長は「地元のものを地元の材料で修理すると、親しみができる。小学生も参加し、自分たちが取り組んだもので修理できれば地元の歴史にもっと親しみがわくと思う。すごくありがたいし、子供たちがいっぱい参加してくれてよかった」と語っていた。 市文化財課によると、刈り取ったカヤは同保存会に約1年間保存してもらい、2027年度に五角堂の残りのかやぶき屋根の修理を実施する予定という。(鈴木宏子)