【コラム・北村まさみ】風もなく、紅葉が美しい12月10日土曜日。目の不自由な方を含む『馬場村塾』の方たち7人が、宍塚に来てくれました。会員でもあり、2017年6月に実施した月例観察会「手と耳と鼻で楽しむ観察会」の講師、全盲の大川和彦さんが塾長を務める『馬場村塾』は、視覚障害関連の団体や施設が集まる高田馬場で、松下村塾のような、様々な人や情報との出会いの場、学び合う場として開かれています。
今回は里山歩き企画として訪れました。私たちの会からは6人が参加し、里山の案内と同行ガイドをしました。
大通りから宍塚の里山に入ると、コジュケイなど鳥の声がよく聞こえます。ふれあい農園のガッチャンポンプの井戸体験、脱穀作業で表に出ていた足踏み脱穀機と唐箕(とうみ)を、安全を確保しながら触っていただきました。クルミの木のごつごつした幹と枝先のかわいい冬芽、ふわふわのガガイモの種の綿毛、朽木に生える固いキノコ、むっちりしたカブトムシの幼虫など、冬の里山ならではのものを手で触れて観察。
また、草むらに埋もれて、目では見つけにくいクルミの実を足裏の感覚で探したり、モグラがごそっと持ち上げたモグラ塚、落ち葉のじゅうたんが敷かれた観察路など、足の感覚もフル稼働します。モグラの簡易はく製も用意し、ビロードのような毛並みとスコップのような手足も観察しました。
カモたちの鳴き声でにぎやかな大池を通り、こんもりしたゲンベー山を登り、中学生が竹の皆伐作業を進めた子パンダの森では、人が手入れをすることで保たれてきた里山を、一つのまとまり、生態系として保全することを目指していることなど、お伝えしました。
感覚をフルに使って感じる
大川さんからは「久しぶりに宍塚の自然に戻り、心身、元気になりました。私は宍塚から届いたお米をおいしく頂いています。昔ながらの機器にも触れさせていただき、一粒一粒のありがたさを感じます」と、感想をいただきました。
目の不自由な方に伝えたいと、目の前の物をいつもよりよく観察する、言語化することでよく認識する、感覚をフルに使って感じる…。ご一緒に歩くと、私たちが頂くものがたくさんあり、共有できた喜びも合わせて、とても楽しいです。
馬場村塾では、活動をyou tubeで発信しているそうで、私たちの会の活動について取材も受けました。You tubeの「馬場村塾」で検索してみてください。(宍塚の自然と歴史の会 会員)