月曜日, 11月 28, 2022
ホーム 産業 つくば市の農協との合併は? JA水郷つくばの池田さん【キーパーソン】

つくば市の農協との合併は? JA水郷つくばの池田さん【キーパーソン】

7年前、JA水郷つくばの核となったJA土浦(当時)の組合長へのインタビューを旧常陽新聞の「キーパーソン」に掲載した。その主見出しは「県南3農協(つくばの2JAとJA土浦)、広域合併へ」。ところが、つくば側1JAが協議の途中で抜け、この話はご破算に。その後、JA土浦は、JA茨城かすみ(阿見町、美浦村)、JA龍ケ崎(牛久市、龍ケ崎市、利根町)との合併に舵(かじ)を切り、2019年JA水郷つくばが誕生。それから3年半。合併JAの現状とつくばのJAとの合併再協議の可能性について、池田正組合長に聞いた。

経営の「質」は県内JAで1

JA(農業協同組合)の経営は、信用(金融)、共済(保険)、購買(農家への肥料や農機などの販売)、販売(地域の消費者への農産品直接販売)の4本柱で成り立っている。JA水郷つくばの昨年度の事業収益は91億円、事業総利益は32億円だった。利益ベースではJA土浦の2倍になったという。

茨城県内には17の農協があるが、JA水郷つくばの経営規模(組合員数や保有資産)は、県北をほぼカバーするJA常陸に次いで2番目。「常陸さんは、うちに比べて担当エリアが広く、職員数も多い。ただ、経営の質で見れば、うちが県内1ではないか」と話す。

当面は事業連携、合併はその先

7年前、JA県中央から「(当時20あった)県内JAを6つに集約せよ」という大号令が出ていたが、現在はどうなっているのか? 経営の質だけでなく規模でも県内1になるために、そろそろ、つくば市のJAとの合併を再考する時期ではないか?

「確かに当時は(合併の)数字目標を設け、強制的に集約しようとする考えがあった。しかし今は、上から押さえつけて合併させることはない」「(当時は)規模を大きくして経営を安定させることが、組合員と地域に貢献すると考えていた。しかし、経営安定は合併だけでない」「今は、近隣農協との事業連携などで経営強化を図っている」

そして、連携の例を3つ挙げてくれた。①JAつくば市が旧桜村に持っている「ライス・センター(もみ殻を取り除き玄米にする施設)」の共同利用(JA水郷つくばからすれば借用)、②JA水郷つくばが運営する「イーアスつくば」内の農産品直売所(JAつくば市とJA谷田部の農家も出品)、③JA新ひたち野(石岡市の一部、小美玉市)とのレンコン改良事業。

でも、「合併から3年半がたち、うちも余裕が出てきた。いろいろな事業連携の先に、将来を展望して、(他のJAから話があれば)合併のタイミングを考えたい」とも言っており、一度ボツになった合併話が再浮上することもありそうだ。

合併JAのネーミングで苦労

合併によって6市町村をカバーすることになった「JA水郷つくば」のネーミングが以前から気になっていた。「つくば」が入っているのは、つくばのJAと合併することを織り込んでいるからでは?

「合併組合名は、霞ケ浦と筑波山から成る『水郷筑波国定公園』を参考にした。ただ水郷というと利根川と霞ケ浦の間の水域を指し、潮来市なども入ってしまう。そこで、位置情報が必要だと、県南ならどこからでも見える筑波(山)を平仮名で使った。『水郷筑波』では重過ぎるからだ」「(つくば市のJAとの)将来の合併を意識した名前ではない」(笑)

【いけだ・ただし】1956年、土浦市大町生まれ。1979年、東京農大卒、JA土浦に入る。JA茨城かすみ、JA龍ケ崎との合併(2019年2月)前の2017年6月、JA土浦組合長に就任。合併協議を主導し、JA水郷つくばの初代組合長に。土浦市下高津在住。

【インタビュー後記】農協合併は安倍政権が進めた農業大改革の一環。農業保護策を改め、農協の経営力を強化して、国際競争力を付けさせる政策だ。最近ではあまり話題にならないが、貿易の枠組みが複雑化している現在、経営強化の必要性は変わらない。「6つに集約」でもいいのではないか。(経済ジャーナリスト・坂本栄)

【参考】旧常陽新聞の佐野治組合長インタビュー(PDF)

2 コメント

誹謗中傷するコメントはNEWSつくば編集局が削除します。

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

W杯応援に1000人 筑波大でパブリックビューイング

つくば市天久保の筑波大学サッカー場で27日、カタール・ワールドカップ(W杯)のパブリックビューイング(PV)が催され、コスタリカ代表と対戦した日本代表に声援を送った。日本は終盤の失点から0-1敗れ、1次リーグ突破は次のスペイン戦に持ち越された。 PVは筑波大学蹴球部と大学公認学生団体の「ワールドフットつくば」が主催した。事前申し込みで無料招待された地域住民と大学生の合わせて約1000人が試合を見守った。 三苫選手ら先輩に声援送る 筑波大は、代表メンバーの三苫薫(2019年度卒)と谷口彰悟(2013年度卒)両選手の母校。PV会場の第1サッカー場は、2人が学生時代に練習で汗を流した場所となる。 企画した山内健太朗さんは「サッカーによって生まれるつながりを大事にしたい。最近はコロナ禍で活動が限定されていたが、この機会を生かし、市民も巻き込んで、たくさんの人たちにサッカーの魅力を伝えたい」と意図を話す。大学との折衝では開催の意義は理解してもらえたが、感染対策などクリアすべきハードルは高かったという。放映権の購入費用にも大学OBなど大勢の人に協力を仰いだ。

木造校舎で学ぶ、育つ 《邑から日本を見る》124

【コラム・先﨑千尋】今月初め、日立市立中里小中学校を訪ねた。この春に中里地区の小学校と中学校が一緒になり、新しい木造校舎で学ぶということを知り、是非この目で確かめてみたいと考えていたからだ。太平洋に面する日立市の中で同地区は、山を越えた飛び地のような位置にある。日立鉱山の公害を描いた新田次郎の小説『ある町の高い煙突』の舞台となった場所だ。 この小中学校は2011年に小中一貫教育に移行し、翌年に小規模特認校に指定された。この指定により、市内のどこに住んでいても入学、転入できるようになった。9年制になった今年からは義務教育学校になり、9年間を通した独自のカリキュラムを組むことが可能となった。コミュニケーション科(英語、ことば)を設け、9年かけて子どもたちのスピーチやディスカッションの能力を高める授業に取り組んでいる。 さらに、外部講師を呼んで、落語や能楽なども体験している。田植えや稲刈り、リンゴ栽培の手伝いなど、地域の人たちとともに実りを実感できる活動や、地域主催の行事にも参加している。 新しい校舎は山と清流に囲まれ、子どもたちは、森の木々の彩り、草木のざわめき、川のせせらぎ―など、四季の変化と豊かな自然を感じ取ることができる。敷地の南側を流れる里川に沿った円形の校舎は、風景と調和するようにすべて木造。1階には職員室のほか、多様な授業やランチルーム利用などの多目的に使える、マルチスペース「きららホール」や、校舎の中央にある昇降口付近に図書室を配置しているのが特徴だ。2階にある普通教室は、廊下との間仕切りがないためオープンな教室となり、多様な学習形態に対応できる。 同校では校長が対応してくれ、学校の特色やどのような授業を行っているのかなどをお聞きし、教室を案内してもらった。現在の生徒数は53人で、そのうち地元は13人。他は市内の他地区からスクールバスなどで通学している。わずか3人の学年もあり、1人1人がきめ細かな教育を受けることができる。廊下で会った子どもたちの目はキラキラ輝いていた。

ふるさと納税の顛末記 ① 《文京町便り》10

【コラム・原田博夫】年末になると、ふるさと納税でソワソワするお宅もあるかも知れない。魅力的な返礼品をめぐる話題である。しかし、これは、制度導入の経緯からすると、妙な話である。今回は、その顛末(てんまつ)を取り上げたい。 そもそも、高校まで地方圏で教育を受けた若者の相当数が、大学入学や会社就職で都会に出て、その後の社会人生活や結婚後もそこで過ごすのは、20世紀後半の日本社会では(都市部と農村地域の間で教育や就業のチャンスに濃淡がある以上)当然だった。 この若者には財政の観点からは、高校卒業までは地元自治体の教育支出が投入されていた。勤務先の企業は、法人税(国税)および法人住民税を(企業の所在地へ)納めている。会社員としては、給与・報酬から所得税(国税)と個人住民税を(居住地の県・市町村へ)納めている。この会社員も企業も、当該年度に関しては立派な納税者である。 しかし、この会社員を高校時代まで成育させた出身地では、この財政収支の流れはやや釈然としない。少なくとも、地方出身者の高校卒業までに投じた財政資金のある部分は、出身の市町村・県に戻してもらいたい。とりわけ、都市部に出た地方出身者が地元に残った同世代よりも高所得者になっている場合には、そうした矛盾を感じる。 故郷へ還元できる制度はないか? 地方交付税制度は、こうした気分を一部解消する制度でもある。主要な国税5税(所得税・法人税・酒税・消費税・地方法人税)の一部(3割強)を地方の固有財源とみなして、全国の地方自治体を対象に、一定の意基準に従って(地方自治体ごとに基準財政需要額と基準財政収入額を算定し、前者が後者を上回っている場合はその差額を財源不足とみて)財源保障のために一般財源として配分する、という制度である(うち、94%は普通交付税、6%は特別交付税)。

ウクライナ避難民支援募金を大使館に寄付 日本つくば国際語学院

学校法人つくば文化学院(東郷治久理事長)が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(同市松代)が、4月からつくば市内で呼び掛けていたウクライナ避難民支援募金(4月13日付)が9月末までに計24万5000円集まり、10月26日、東京都港区の駐日ウクライナ大使館に寄付した。 募金箱はグループ企業のサンスイグループ(東郷理事長)が運営する市内計8カ所に設置した。当初6月末までの予定だったが延長し、9月末まで寄付を募った。 8カ所は同校のほか、つくばグランドホテル(同市筑波)▽つくばわんわんランド(同市沼田)▽つくば国際ペット専門学校(同市沼田)▽つくば山水亭(同市松代)▽つくば山水亭別亭(同市吾妻、ホテル日航つくば2階)▽KEY’S CAFE(キーズカフェ)ララガーデンつくば店(同市小野崎、10月16日閉店)▽ミスタードーナッツ イーアスつくばショップ(同市研究学園)。特にKEY’S CAFEとつくば国際ペット専門学校に設置した募金箱には多くの寄付が集まったという。 今回の募金活動は「ウクライナ避難民の支援はまず日本語学校から手を挙げてやるべきではないか」という東郷理事長の言葉がきっかけとなった。寄付金を受け取ったウクライナ大使館の担当者からは感謝の言葉が述べられたという。 同校の森山英熙本部長は「みなさんに関心を持って寄付をしていただき、本当に感謝しています。寄付金が避難民の方々のお役に少しでも立てれば」と話し、「これからもウクライナ避難民で日本語を学びたいという人がいたら積極的に受け入れていきたい」と語る。