水曜日, 5月 21, 2025
ホームスポーツ小粒ならではの勝ち方探ってる 常総学院・島田監督【高校野球’22展望】

小粒ならではの勝ち方探ってる 常総学院・島田監督【高校野球’22展望】

開幕した第104回全国高校野球選手権茨城大会は13日から二回戦に入り、シード校も登場する。有力校インタビュー第3回は、常総学院の島田直也監督に話を聞いた。

全員で助け合ってミス減らす野球を

常総学院・島田直也監督

―今年チームづくりをする上で苦労した点はどんなところですか。
島田 僕はまだ監督経験が浅いので、チームづくりは試行錯誤しています。新チームが始まる際に、選手には先輩の良いところを真似しながらも、自分たちの色を出していこうと話し、去年から主力で出場していた太田和煌翔(3年)や鹿田優(3年)を中心にチーム作りをしてきました。先輩達の真似は随所で出来てきているとは思います。後は、意見をぶつけ合ったり、時に衝突したりしながら、自分たちの色を出してもらいたいのですが、その点は苦労しています。
今年のチームは去年と比較すると軸になるピッチャーがいないし打線も弱い。ですから全員で助け合ってミスを減らし、少ないチャンスをものにする野球をしたいのですが、この点は上手くいっていないですね。

―昨秋は県大会初戦で敗れて長い冬になりました。敗戦を受けて冬をどのように過ごしましたか。
島田 新チームになった時点で1試合を任せられるような飛び抜けた能力のある投手が不在だったため、全員にチャンスを与えて底上げを図りました。秋は何人かの投手で繋いで乗り切るべく臨んだのですが、結果に結びつきませんでした。冬の間、チームとしては春に向けての体力強化を中心に取り組みました。年明けから3月上旬までは、コロナの影響で全体練習が出来ない期間がありましたので、個人練習の取り組みでかなり差が生じたように思います。

150キロ超えの投手、ブライアン

―秋はバルザー・ブライアン選手が投手の練習を始めて間もない中で、151キロを計測して評判になりました。さらに先日の明豊戦では154キロと再び話題になっています。
島田 彼の特徴は肩の強さですので、少しでもレギュラー争いに食い込む可能性を広げるためにピッチャーを薦めました。ピッチャーとしての実績はまだ乏しいですが、高校生で150キロを投げるというのはなかなかいないですよね。

―春は常磐大高に惜しくも敗れました。敗戦をどのように捉えていますか。
島田 先に相手に主導権を握られると取り戻せないところがこのチームのもろさですね。序盤からずっと押される形で突き放せなかった。負けはしましたが、最後までよく粘ったとは思います。

春の常磐大高戦で戦況を見守る島田監督=4月28日、J:COMスタジアム土浦

―その後、夏に向けてチームの取り組みに変化はありましたか。
島田 3年生にとってはラストチャンスなので、夏にかける意気込みは感じられます。しかしこういうご時世なので、なかなか全員がそろわない時があったりと、調整の難しさを感じています。

今後は上がっていくしかない

―島田監督としては心境の変化はありましたか。
島田 1年目は監督に就任してすぐにセンバツ甲子園に出場して良い経験をさせてもらいましたが、2年目になって大会での成績が出なくなりました。浮き沈みを経験して良い勉強ができているなと思います。今後は上がっていくしかないですが、そこでどうやっていけば良いかというのはまだ勉強不足と言いますか、なかなか高校野球の指導って難しいなと感じているところです。

―指導方法やチームづくりに関して、相談や意見交換できる方はいるのでしょうか。
島田 経験豊富な練習試合の相手の監督さんに教わることがあります。話を聞きながら勉強している部分はあります。お話しする中で、今年の常総は小粒だというご意見もいただきながら、小粒ならではの勝ち方を探っているところです。

―今年の戦力について伺います。先ほど小粒というお話がありましたが、今年のチームカラーを一言で表すと何になりますでしょうか。
島田 今年は何も特徴がありません。バッティングでも、守備に関してもまだまだ成熟していない。状況に応じたバッティングや守備ができない難しさを感じています。もっと必死にがむしゃらに競争心をかき立てる選手が出てきて欲しいと思います。

―春の大会では各ポジションでメンバーがめまぐるしく入れ替わっている印象でした。
島田 相手が嫌がるようなプレーができる選手が出てきて欲しいと思い、チャンスを与えて競争させる意図であえていろいろな選手を起用してきました。

―投手陣についてはどうでしょうか。
島田 坂本駿(3年)、石川大翔(3年)、伊藤地宏(3年)の3人を中心に期待しています。まだまだ成長できるはずなので、責任感を持って最後まで切磋琢磨して伸びてもらいたいですね。秋も春も早期敗退して公式戦の実戦経験も積めていないので、謙虚な姿勢で愚直にやって欲しい。技術も大事ですが、とにかく最後の夏は気持ちが一番大切な部分なので、3年生には意地を見せて欲しいと思います。

―先日の土浦市内大会では飯塚遥己投手(2年)や小林芯汰投手(1年)などの下級生がいいピッチングをしました。この夏、下級生では誰が食い込んできそうでしょうか。
島田 投手の数は多いので、全員で競い合ってもらいたいです。当然、飯塚や小林には期待しています。

強い常総でないといけない

―常総学院で野球をやりたいという小中学生に向けて一言お願いします。
島田 常総で野球をやりたい強い気持ちのある子には是非来て欲しいです。そういう選手が競い合って常総の野球を承継していかなければならない。小中学生に憧れを抱いてもらうような、強い常総でないといけないですね。

―現在の部員数のうち、寮生と自宅生の割合はどうなっていますか。
島田 部員数が91人で、そのうち自宅生が5人です。遠方の選手は寮に入ってもらいますが、自宅が近い選手は通っています。

―最後に、夏の大会に向けた意気込みをお願いします。
島田 今年の常総は怖くないという声が結構耳に入ってきますが、僕としてはその方が気兼ねなくできる。実際に、今年は結果が出ていないので、結果を求めて必死にやるしかありません。その中で、当然甲子園を狙っていますし、やっぱり常総は強いんだと結果で示したいですね。大会まで残りわずかですが、しっかりと仕上げていきたいと思います。(聞き手・伊達康)

終わり

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

コメントをメールに通知
次のコメントを通知:
guest
最近NEWSつくばのコメント欄が荒れていると指摘を受けます。NEWSつくばはプライバシーポリシーで基準を明示した上で、誹謗中傷によって個人の名誉を侵害したり、営業を妨害したり、差別を助長する投稿を削除して参りました。
今回、削除機能をより強化するため、誹謗中傷等を繰り返した投稿者に対しては、NEWSつくばにコメントを投稿できないようにします。さらにコメント欄が荒れるのを防ぐため、1つの記事に投稿できる回数を1人3回までに制限します。ご協力をお願いします。

NEWSつくばは誹謗中傷等を防ぐためコメント投稿を1記事当たり3回までに制限して参りましたが、2月1日から新たに「認定コメンテーター」制度を創設し、登録者を募集します。認定コメンテーターには氏名と顔写真を表示してコメントしていただき、投稿の回数制限は設けません。希望者は氏名、住所を記載し、顔写真を添付の上、info@newstsukuba.jp宛て登録をお願いします。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

2つのユニバーサルデザイン《デザインを考える》20

【コラム・三橋俊雄】ユニバーサルデザインとは、年齢や性別、障がいの有無などに関わらず、できるだけ多くの人が利用しやすいように道具や環境をデザインすることですが、一方で、障がい者の多様な声に耳を傾け、彼らの個別ニーズに対応したデザインを行うことも必要です。今回は、京都で出会った「歩くことができないKさん」と「手首が回らないAさん」のためのデザインについてご紹介します。 Kさんのための「空飛ぶ座布団」 Kさんは脳性麻痺で、四肢のうち自由に動かせるのは左手のみ。バーセルインデックス(食事、移乗、トイレ動作、入浴、歩行など10項目の日常生活動作の能力を点数化する評価方法)では40点以下という、生活の大部分が要介護の状態で、毎日朝晩と隔日の昼間にヘルパーのサービスを受けています。屋外での移動は電動車椅子ですが、その車椅子に乗るまでの準備工程も、ほとんどをヘルパーに頼らなければなりません。また、室内での姿勢は「アヒル座り(内股座り)」しかできません。 このようなKさんに対し、自力で室内の移動ができるための福祉用具デザインを試みました。彼の移動能力を調べると、乗り移ることができる高さは19センチ、降りる時に11センチを超えると怖い、乗った時の姿勢のズレを防止する凸部が必要、乗り降りのためのブレーキが必要など、試作モデルでの使用実験を繰り返し、写真(上)のような「空飛ぶ座布団」のデザインになりました。 Kさんからは「おかげで、ヘルパーなしでも1人で乗り降りができ、うろうろすることができるようになった」とのことで、Kさんの望みをひとつ叶(かな)えられたと思いました。 Aさんのための食事補助具 脳性麻痺のAさんは、車イスで移動したり、杖を用いれば歩行も可能な学生でしたが、左手は筋肉が硬直し、手首が外側を向いたまま、手のひらを返すことができませんでした。 そのAさんの「両手を使ってみそ汁を飲みたい」という要望に応えるため、左手でお椀(わん)を口に運ぶことができる食事補助具のデザインに挑戦しました。 上肢の可動状態を把握し、左掌が下向きのままミソ汁椀を口に運ぶことができるモデルを、①お椀の持ち上げやすさ、②お椀の口元への近づけやすさ、③握りやすさ、④お椀を置いたときの安定性、⑤総合的な使いやすさなどの視点から検討し、写真(下)の補助具にたどり着きました。 健常者にとっては使いやすくても、障がい者にとっては使えなかったり、使いにくかったりする道具や環境がたくさんあります。障がい者のためのデザインがもっと増えてこそ、真のユニバーサルデザインの社会が実現するのではないでしょうか。(ソーシャルデザイナー)

学校給食に異物混入 つくば市の中学校

つくば市は19日、市内の中学校で16日に出された学校給食に異物が混入していたと発表した。教員が食べた鶏肉のトマト煮にホチキスの針が混入していた。 市教育局健康教育課によると、16日午後0時50分ごろ、市立中学校の職員室で、教員が鶏肉のトマト煮を食べた際、口の中に違和感を感じ、異物を吐き出したところ、長さ1センチくらいのホチキスの針一つが混入していた。教員にけがなどはないという。発見時、生徒のほとんどが給食を食べ終わっていた。 鶏肉のトマト煮は同日、つくばほがらか給食センター谷田部で調理され、幼稚園4園、小学校6校、中学校3校の3317人に提供された。異物が混入していた給食は職員室で配膳されたものだという。同校や他校などから、ほかに異物混入の報告はない。 発見後、同校のほか、給食センター、食材納入業者それぞれ、異物混入の経緯などを調査したが、現時点で混入経路は不明。 同給食センターは16日、保護者にお詫びの通知を出した。

群馬に5連敗 茨城アストロプラネッツ

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは18日、土浦市川口のJ:COMスタジアム土浦で群馬ダイヤモンドペガサスと戦い、1-4で敗れた。今季初の土浦開催となった。茨城の通算成績は5勝10敗で東地区3位。今季の群馬戦の戦績は0勝5敗となった。 【ルートインBCリーグ2025公式戦】(5月18日、J:COMスタジアム土浦)茨城アストロプラネッツ-群馬ダイヤモンドペガサス群馬 000001210 4茨城 001000000 1 試合は3回に茨城が先制。先頭の9番・原田京雅と続く1番・山本仁が右前へ連続安打、2番・高田龍の送りバントで1死一・二塁とすると、3番・原海聖が右翼へ犠牲フライを放ち1点を奪った。「ノースリーだったが四球を狙わず振っていけと指示し、しっかりと外野まで運んでくれた」と巽真吾監督。「打ったのはちょっと浮いたチェンジアップ。相手投手は入れてくると思い、甘い球を見逃さずとフルスイングすることを意識した」と原。 投手は金韓根が先発し、5回83球を投げて無失点。立ち上がりは低めの球を見極められ走者を出したが、途中から組み立てを変え、高めのボールからストライクになる変化球でカウントをかせぎ、後半はテンポの良い投球でフライアウトに打ち取った。5回表には内野安打と四球で1死一・二塁のピンチを作るが、相手の送りバントを自ら処理し三塁封殺に成功。「捕手は一塁を指示したが自分の判断で三塁に投げた。ここで走者を残すと単打でも1点を許すことになる。絶対に三塁を踏ませたくなかった」との振り返り。 6回以降は4人の投手が1イニングずつ投げたが、2番手の三浦遼大は替わりばなの初球で本塁打を浴び、3人目の川端啓新は四球と送りバントの一塁悪送球で無死一・二塁とされ、単打と内野ゴロで2点を失った。4人目の斉藤淳斗は3安打に野手のファンブルが重なり1失点。5人目の太田大和は1安打2四球で1死満塁のピンチを迎えたものの、6-4-3の併殺で切り抜けた。 攻撃でも茨城は小さなミスが目立った。1回は山本が四球から足を生かして一死三塁の好機をつくり、原の右飛にタッチアップを狙ったが、ポテンヒットになったことで本塁突入に失敗。5回には四球で出塁した山本が牽制球から挟殺に遭い、次打者の高田龍が右前打を放ったため、ここで山本が生きていればと惜しまれる結果になった。 9回には6番・草場悠が四球を選び、8番・三池裕翔が中前打と盗塁で2死二・三塁、一発が出れば同点という見せ場を作った。打席に立った原田はバットを折るアクシデントもありながらフルカウントまで粘ったが、最後は遊飛に倒れ、「ボールを見極めることはできたが、投手の気迫に負けて外野へ運ぶことができなかった」との無念の敗戦となった。 「群馬戦はここ数試合接戦が続いているが、四球と失策が重なるとか、チャンスであと1本が出ないなど、いずれも勝てそうなゲームを少しの差で負けている。投手と野手がかみ合う試合をつくり、チームが一体感を持って勝利を目指したい」と巽監督はリベンジを誓う。(池田充雄)

難民支える自治体ネットワークに加入 つくば市 全国19番目

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が進める国際キャンペーン「難民を支える自治体ネットワーク」に18日、つくば市が加入した。自治体が難民への連帯と貢献を表明することを通して難民支援の輪を広げていく取り組みで、国内では東京都、広島市、札幌市などに続いて19番目、北関東の自治体では初の加入となる。世界では59カ国309自治体目。 同日、つくば駅前のつくばセンター広場などで開かれた科学と国際交流のイベント「つくばフェスティバル2025」会場で同ネットワークの加入署名式が催され、五十嵐立青つくば市長と桒原(くわはら)妙子UNHCR駐日首席副代表代行が同ネットワークの賛同表明文に署名した。 五十嵐市長は「世界に難民は1億2000万人いる。日本の人口と同じ。(難民の)状況は厳しくなっている。ウクライナ、ガザ、世界各地で大変なことが起きていて、奪われてはいけない命が奪われている。つくばにも避難してこられたり移ってこられた方がいる。だからこそ我々自治体は、連帯し国際社会の一員として支えていく責務がある。我々に何ができるか、まずは知ること。その先に何ができるか、皆さんと共に歩みを進めたい」と話した。「分断が進んでいる社会で、自治体としてメッセージを出していこうという意思表示」だという。 桒原代表代行は「つくば市が北関東で初めて参加してくださることは本当に心強い。つくば市はSDGs(国連の持続可能な開発目標)など地球規模の課題に積極的に取り組んでいる全国でも先進的な自治体。つくば市ならではの柔軟で創造的な取り組みを通じて、難民支援の輪が地域から自分ごととして広がっていくことに期待したい」と述べた。 2023年10月、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官が、ウクライナから避難してきた学生や留学生などと意見交換するため筑波大学やつくば市役所を訪れたことがきっかけになった(23年10月20日付)。つくば市がSDGsに積極的に取り組んでいたり、不平等や格差是正に取り組むOECDの先進的市長(チャンピオンメイヤー)に選ばれていることなどから、UNHCR駐日事務所が同市に自治体ネットワークへの加入を呼び掛けた。 加入にあたって同市は「いろいろな機会をとらえてまず知っていただくことが一歩」(五十嵐市長)だとして、17、18日の2日間つくば駅周辺で開かれたつくばフェスティバルで、UNHCRの難民支援の仕事などを紹介するブーズを出展した。市中央図書館では1日から30日まで、UNHCR駐日事務所の協力で平和、共生、多様性などに関する同館所蔵図書を紹介する「難民のものがたり展」を開催している。 つくば市では現在、147の国と地域出身の外国人1万4251人が暮らしている。そのうち難民や戦争などからの避難者が何人いるかは不明。 他の加入自治体の取り組みとしては、UNHCR駐日事務所と連携して、難民問題を知るための独自イベントの開催や学校などでの出張授業、難民支援のための寄付の呼び掛け、大学の奨学金制度の導入や企業の雇用支援、母国を離れ難民キャンプなどで生活している難民を第三国が受け入れる「第三国定住」などを通じた難民の受け入れなどが行われているという。(鈴木宏子)