土曜日, 2月 7, 2026
ホーム土浦「知床事故の影響ない、より一層安全安心に」霞ケ浦観光船

「知床事故の影響ない、より一層安全安心に」霞ケ浦観光船

ゴールデンウイーク(GW)が29日始まった。コロナ禍、行動制限のないGWは3年ぶりだが、北海道、知床半島沖で起こった観光船遭難事故の影響は出ていないのだろうか。

土浦港から霞ケ浦を周遊する観光船を運行するラクスマリーナ(土浦市川口、社長・片山壮二副市長)の高野利夫専務は「今のところキャンセルなど知床の事故の影響はない」とし「今までも安全運航を第一にやってきたが、知床の事故を踏まえ、より一層安全安心に運航していきたい」と話し、身を引き締める。

同社が運行する観光船は、遊覧船「ホワイトアイリス号」(定員86人)とクルーザー遊覧艇「KLM」(定員9人)だ。午前9時30分から午後4時30分まで1日最大10便、霞ケ浦の沖合いを約30分間周遊する船の旅を提供している。船上から望む筑波山や阿武隈山脈などの景色が見どころだ。5月20日から6月19日までは「潮来あやめまつり」に合わせて、土浦港から潮来まで運航する。携帯電話は湖心も含め霞ケ浦全域で通じるという。

出航前に毎朝点検

安全に運航するため、同社では出航前に毎朝、エンジンや船体に異常はないか、救命胴衣などは整っているか、警笛は鳴るかなどを点検しているほか、乗員全員のアルコール検査を実施している。年1回、警察や消防の協力を得て、船上で落水者救助訓練と消火訓練にも取り組んでいる。

運航を中止する基準は、風速毎秒15メートル以上、波の高さ1メートル以上、肉眼で確認できる視程100メートル以下と運航管理規程で定めている。

27日には、国交省関東運輸局の立ち入り検査があり、問題なしとの判定を受けた。知床の海難事故を受け、国交省が全国の観光船運航事業者を対象に一斉に実施している緊急安全点検だ。

点検では、同社が国交省に届け出ている安全管理規程や運航基準、作業基準、事故処理基準などの書類が整っているかや、規程にもとづいて日々の点検や運航が実施されているかなどを、関東運輸局職員が出航前点検簿などを見て確認した。さらに船内に立ち入り、救命胴衣や浮器(救命いかだ)などが備えられているかなどを点検したという。

湖上スクール、今年度は予算が削減

ホワイトアイリス号は、流域の小中学生などが湖上に出て霞ケ浦の水質などを調査する県の事業「霞ケ浦湖上体験スクール」などに年300回程度利用されてきた。しかしコロナ禍の2年間は利用が半減していた。今年度は県の予算削減により開催回数が3分の1に減る予定だという。(鈴木宏子)

◆霞ケ浦観光船の乗船料金は大人(中学生以上)1570円、子供(小学生)780円など(いずれも消費税込み)。ホワイトアイリス号で運航するが、乗客数が5人以下の場合はクルーザー遊覧艇KMLになる場合がある。春から秋の出航時間は午前9時30分、10時、10時30分、11時30分、12時30分、午後1時30分、2時30分、3時30分、4時、4時30分の1日最大10回。運航時間はいずれも30分間。

◆潮来あやめまつりの運航は、嫁入り船が出る5月20日(金)~6月19日(日)の水、土、日曜で、土浦港の出航時間は午前11時、午後2時、7時30分など。潮来までの乗船料金は往復が大人3760円、子供1880円。片道は大人2200円、子供1100円(税込み)。運航時間は片道1時間20分。1台300円で自転車の持ち込みもできる。

◆ホワイトアイリス号の定員は86人だが、現在コロナ対策のため40人までとしている。予約申し込みは電話029-822-2437(ラクスマリーナ)。

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ふるさとのない時代《くずかごの唄》154

【コラム・奥井登美子】お正月には誰も故郷に帰りたくなる。私が育ったのは荻窪のみどり幼稚園。緑の名の通り、生垣に囲まれた家と野原の、のんびりした緑色の住宅街だった。 しかし今の東京の町はどこも高いビルばかりで、緑がない。故郷という言葉とはかけ離れた風景になってしまっている。私の故郷と呼べるような所は、もうどこにもなくなってしまったのだ。 幼い時、父の故郷、新富町へもよく連れて行ってもらった。父は歌舞伎座が新富座であった頃の、鉄砲洲小学校出身。「菅原伝授手習鑑」などに寺子屋の子役として駆り出されて、よく出演させられたそうだ。台詞(せりふ)も筋もよく覚えていて、よく私に語って聞かせてくれた。 隅田川のほとりに町があって、父は「〇〇ちゃんの店でノリを買おう」などと、昔の友達の家に寄っておしゃべりするのを楽しみにしていた。父の故郷はいま、日本ではない、高いビルばかりのどこか架空の空間になってしまっている。 タケちゃんの文が朝日に載った 1月27日の朝日新聞「折々のことば 鷲田清一」に、加藤尚武の文が載っていた。「個人の間の平等は、ある程度まで…自然の平等に支えられているが…国力の差は、ネズミとゾウの違いよりも大きい」 加藤尚武は私の弟のタケちゃん。京都大学の哲学教授を務めた後、鳥取に環境大学を創り、環境問題を、哲学のまな板の上に載せた人。「環境問題のすすめ」という著書もある。生活者として、医療と環境を意識して生活している。 加藤家の男たちはみな食べるのが好きで、父も、兄も、タケちゃんも、好きなものを自分で作って食べるのが趣味だ。 私はせめてせめて、お正月くらいは、おしゃべりの好きな弟のタケちゃん、母の昔の味の料理を作ってくれる妹、姪たちに会って、亡くなった父、母、兄の個性を偲(しの)びながら、今の子供たちと比べて、大笑いするしかないのだろうか。(随筆家、薬剤師)