東京2020まで五輪の系譜たどる
筑波大学(つくば市天王台)体育ギャラリーが31日、リニューアルオープンした。明治時代、日本のオリンピックの礎を築いた同大ゆかりの柔道家、嘉納治五郎直筆の書から、昨年の東京五輪で活躍した筑波大出身アスリート49人の写真パネルまで、五輪にまつわる約90点の資料や記念品を展示し、同大にかかわる五輪の系譜をだとっている。
同ギャラリーは新型コロナ感染拡大防止のため約1年半休館していた。今回、内容を一新して再オープンした。
展示されているのは、初公開となる嘉納直筆の書、昨年7月つくばで開催された東京五輪聖火リレーのトーチ、昨年の東京オリンピック・パラリンピックで活躍した筑波大出身アスリート49人の写真など。
嘉納は筑波大の前身の東京高等師範学校校長で、東洋初の国際オリンピック委員会委員を務め、日本のオリンピック初参加に尽力した。展示を企画した同大体育系の大林太朗助教によると、直筆の書は嘉納が70代の時にしたためた。「天下で大きな成功をなす者は皆、努力をしている。名をなす者は小さな積み重ねを大事にしている」という意味の書で、大林助教は「筑波大アスリートにもつながる人生訓」だと説明する。
聖火リレーのトーチは、昨年つくばの最終ランナーを務めた元体操選手の加藤澤男名誉教授(75)が実際に持って走ったトーチだ。加藤名誉教授は東京教育大出身(現筑波大)で、五輪3大会に出場し8個の金メダルを含む計12個のメダルをとった。31日のリニューアル記念式典に参加した加藤さんは「嘉納先生の活躍から今日までの流れを大事に、これから変容していく中でも、精神を生かしていけるよう願っている」と後輩の筑波大アスリートに言葉を贈る。
写真パネルは縦1.8メートル、横3.7メートルで、昨年の東京オリンピック・パラリンピックで競技した選手たちの躍動する写真が1枚のパネルに貼られている。ギャラリー手前の廊下に展示されており、一般の見学者が筑波大アスリートに向けて、ボードの余白に直接メッセージを書くことができる。
記念式典であいさつに立った永田恭介学長は「力を尽くした人たちがいたことをレガシーとして次の世代に伝え、スポーツがもつ力やスポーツが何をなし得るかを皆で考えていければ」と話した。(鈴木宏子)
◆筑波大学体育ギャラリーは体芸棟(5C棟)2階にあり、平日のみ開館。だれでも無料で見学できる。