つくばこどもの森保育園(古谷野好栄園長、つくば市沼崎)を30日、大岡敏孝環境副大臣が視察し、記念植樹をした。同園の園庭は1月23日に開かれた全国学校・園庭ビオトープコンクール2021(日本生態系協会主催)で、上位5賞の一つである環境大臣賞を受賞した。幼児期から自然や生き物と日常的に触れ合える環境づくりが評価された。
大岡副大臣は、さまざまな木や草花が育つ園庭を視察。園児たちが育てている麦畑や野菜畑、カブトムシ牧場にもなっている堆肥ヤードなどを巡った後、子どもたちと一緒にヤマグワの苗木を記念植樹した。
その上で「ビオトープを中心に自然と共生した保育園で、子どもたちが伸び伸びと健やかに育っていることがよく分かる。好奇心を刺激するものがたくさんある環境で、自然科学への興味の持ち方など、子どもたちの将来を広げる大きなモデルの一つになると思う。今後少子化などが進む中、幼児をどのような環境で育てたらいいか、全ての大人に一緒に考えてもらいたい」と話した。
同園は平地林の自然公園、豊里ゆかりの森に接した場所にあり、2012年の開園当初から、自然環境の中でいろいろなものに触れて遊び、学べる「ビオトープがある保育園」を特色としてきた。園庭には樹林、田んぼ、畑などがある。
同園を監修したビオトープの専門家、三森典彰さんは「平地林の環境を残すと共に、その縁に水辺環境として田んぼを作ることで、地域の生き物を呼び込み、人間の暮らしと生物の暮らしが共存できる場になった。いろんな色の木々や草花、日差しの暖かさや木陰の涼しさ、水の音や落ち葉の音など、五感を生かした多様な体験をもたらしてくれる」と、そのコンセプトを話す。
農家や造園家、樹木医などさまざまな人々が支援に携わり、また職員もビオトープ管理士の資格を取得するなど、内外のサポートにより高いレベルを維持し、活動の幅や奥行きをますます広げていることも評価されたという。
古谷野園長は「忙しい中で管理は大変だが、子どもたちの目の輝きや、自然を使った遊びにのめり込む姿を見て変わってきた。オオバコ相撲や、麦わらストローでのシャボン玉づくりなど、職員自身も生き物に興味を持ち、一緒に取り組んだことでステップが上がり、環境を通していろんなものを教えていけた」と振り返る一方、今回の受賞と視察について「子どもたちの自然な姿を見てもらえ、職員も気持ちが高まった。これをきっかけにさらに豊かな環境を育み、地域を巻き込んだ活動を発展させていきたい」と展望した。(池田充雄)