NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場する「八田知家と名門常陸小田氏」の特別展が19日から、土浦市立博物館(同市中央)で開幕する。中世の大規模な平城として国の史跡指定を受けているつくば市の小田城を根拠とする小田氏は近年、15代氏治がクローズアップされるが、特別展はその始祖にさかのぼり、子孫が全国に散らばる現代までの系譜を追っている。5月8日まで。
同館で43回目となる企画展で、小田氏を取り上げるのは2回目。5月1日には「常陸小田氏の新視点」のテーマでシンポジウムが予定されている。
展示は5章で構成される。下野国の宇都宮氏の系譜をひく八田知家が常陸国の守護職となったのを機に小田に居城を構え、時の勢力に翻弄(ほんろう)されながらも、15代約300余年に及んで常陸国南部一帯を支配した栄枯盛衰を描写する。今回は特に、歴史の舞台から消えた氏治以降の家臣たちの末裔(まつえい)の足跡を追い求め、その後の活躍ぶりも紹介している。
展示資料は、甲斐の国(現在の山梨県)への通行許可証となる武田信玄朱印状や小田家と同盟を結ぶ地方有力者の所在録「小田みかたのちり」(国宝)などの古文書、小田家が使用したとされる軍配団扇(うちわ)、小田家家臣の末裔が所持していた江戸時代の陣羽織、小田氏治肖像画など計157点。
同館をはじめ、小田家や鎌倉幕府とゆかりある全国各地の博物館や個人から集めたもので、吾妻鏡(あずまかがみ)に登場する八田知家の記述と照らし合わせながら紹介している。中には主に将軍が用いていた、文頭に署名代わりの記号「花押(かおう)」を記した小田家の古文書なども紹介され、小田家と鎌倉との親密な関係もうかがい知ることができる。
企画展をとりまとめた同館の西口正隆学芸員は「八田知家は大河ドラマ鎌倉殿に登場する13人衆の1人。この13人は2代将軍源頼家が取り入れた合議体制にかかわり、天下国家に大きな影響を与えた。テレビドラマの放映を機に小田城との関わりや一族が長きにわたりこの地方を支配した史実に興味を持ってもらえれば」と話している。(大山茂)
◆第43回特別展「八田知家と名門常陸小田氏―鎌倉殿御家人に始まる武家の歴史」 3月19日(土)から5月8日(日)午前9時から午後4時30分まで。毎週月曜日(3月21日を除く)休館。入館料は一般105円、小中高生50円(税込み、毎週土曜日は小中高生の入館料無料)。電話029-824-2928(同博物館)。▽シンポジウム「常陸小田氏の新視点」は5月1日(日)午前10時30分~午後4時、クラフトシビックホール土浦大ホール(定員300人)で開催。
3館連携で小田氏推し
特別展に合わせる形で、19日から5月8日まで上高津貝塚ふるさと歴史の広場(考古資料館、同市上高津)でテーマ展「中世から近世へ―小田氏が活躍した時代の考古学」を開催。「土浦の遺跡27」として、中世の特徴ある遺物や発掘調査で発見される中世特有の遺構を紹介する。
さらに26日からは、土浦市民ギャラリー(同市大和町)で「サムライたちのデザイン-諏訪原寛幸イラスト展」を開催。戦国時代の人物で名高い諏訪原寛幸さんのイラストを、中世の武将が用いた家紋や花押とともに展示する。5月8日まで連携展開催記念のスタンプラリーも行われる。