つくば市議会予算決算委員会(山本美和委員長)が17日開かれ、市が4月から2カ所で委託事業を実施する不登校の学習支援事業をめぐって改めて議論が行われ、「利用希望者への公平な選定基準を設けてほしい」「不登校児童生徒にだけ予算を使うのは平等か」などの意見が出された。
つくば市がNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)と協働で運営している不登校の学習支援拠点「むすびつくば」の契約が3月末で終わることから、市が新年度からの運営事業者を昨年11月に公募した結果、学習塾のトライが1位となり、リヴォルヴが2位となった。市は3月議会が開会した2月14日、トライへの委託事業費として約2100万円を当初予算として議会に提案した。
一方、公募結果を知ったむすびつくばの保護者会が、リヴォルヴによる事業継続を市長らに陳情し(1月20日付)、五十嵐立青市長は3月3日の本会議で、リヴォルヴによる事業を現在と同じ場所で新年度も継続するための事業費など約2300万円を追加提案した(3月3日付)。
紆余曲折する中、市議会文教福祉委員会(木村清隆委員長)の審議を経て(3月9日付)、17日、市議全員がメンバーの予算決算委員会で改めて不登校支援事業に対する審議が行われた。
川久保皆実市議(つくばチェンジチャレンジ)は、不登校児の保護者から出された「不登校児童生徒への公平な公的支援を求める」要望書を引き合いに、「リヴォルヴとトライが受け入れる人数は合計80人で、市全体の不登校小中学生400人の2割しか公的な支援を受けられない。また家庭状況をポイント化した点数で認可保育園の入所が決まるように、利用希望者への公平な選定基準を設けてほしい」とした。川村直子市議(つくば市民ネット)も「公的な不登校支援施設『つくしの広場』の20人を入れても足りない。多くの支援の場を広げてほしい」と発言した。
文教福祉委員会で審議を重ねてきた市議からは、支援を受けられない児童生徒への支援策の検討を求める声のほか、課題は多いが致し方ないという声も上がった。
五頭泰誠市議(つくば自民党・新しい風)は「不登校児童生徒にだけ予算を使っていいのか、通学している子どもと平等か」と発言し、「多様化が言われる今、不登校の子どもは弱者という捉え方はおかしい。学校へのサポートは万全とは言えず、公平に教育費の配分を考えていく必要がある」と述べた。
審議の末、4月から委託事業として2カ所で実施される不登校学習支援事業はいずれも賛成多数で可決された。3月議会最終日の23日も可決される見通し。
文教福祉委員会の委員でもある金子和雄市議(新社会党つくば)は閉会後、NEWSつくばの取材に対し「当初予算が出されていたのに間際になって補正予算を組んだのは例を見ない。しかし議会は子どもたちの立場に立って補正予算を受け入れた。さまざまな意見があるが支援の芽を育てていくことが大事だと思う」と話した。(橋立多美)