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鹿島立ち 鹿島神宮と湫尾神社、三瓶神社《遊民通信》34

【コラム・田口哲郎】前略

令和4年(2022)2月1日は旧暦の元日だったそうです。1月31日、たまたま見かけた鹿島神宮公式ツイッターにそう書かれていていました。「鹿島立ち」という言葉があり、それは新たな出発という意味だとも書かれていました。小学館の「デジタル大辞泉」には「鹿島立ち」とは防人・武士が旅立つ際に道中の無事を鹿島神宮に祈願したところから、旅立ち、門出という意味になったとあります。

そういえば数日前、うちのベランダのガラス戸に掛けてあるレースのカーテンに、鹿の影が映っていたことを思い出しました。日光が差す角度と洗濯物の配置とが絶妙に重なって、鹿がいるような影がカーテンに浮かび上がったのです。最初びっくりしましたが、よく考えればうちのベランダに鹿がいるわけもなく、影なのだと思い直しました。珍しく面白いので、スマホで写真を撮りました。

鹿島神宮には鹿がいたなあと思い、奈良市の春日大社を思い至りました。春日大社は、茨城出身の中臣氏(なかとみうじ)が鹿島から奈良に移ったときに、武甕槌(たけみかづち)大神を御蓋(みかさ)山に祭ったことが最初だそうです。

春日大社の鹿は有名ですが、その鹿は鹿島から神様が乗って奈良に行った鹿の子孫ということになっているようです。これは神のお告げかもしれないと思い(込み)、鹿島神宮にお参りをしてきました。まん延防止等重点措置発令中ですので、自家用車で感染対策をしての「鹿島立ち」でした。神宮の境内は清らかで静かで、厳かななかにどこか穏やかな空気に包まれていました。

湫尾神社と三瓶神社 ご先祖さまに思いを馳せる

本殿で拝んだあとに、山門の横にある遥拝所で沼尾(ぬまお)神社に拝みました。沼尾神社は鹿島神宮の基になったとされる神社のひとつです。ひたちなか市の武田地区に同じ読み方で湫尾神社があり、現在は武田神社となっています。

この湫尾神社は中臣氏が武田地区にお祭りしたもので、のちに甲斐武田氏に通じる武田氏族の氏神になりました。母方の父系は武田氏ですので、縁を感じました。母方の母系は田口姓なのですが、家紋は井桁(いげた)に三つ巴(ともえ)で、鹿島神宮の神紋の巴と似ています。笠間に住む伯母から、うちは神社系で巴紋は水に関係していたらしいと聞きました。

うちの本家は笠間の飯田にあり、そこの神社は三瓶(みかめ)神社です。三瓶神社は鹿島神宮系で、武甕槌大神が水をもらいに飯田に来たときに、8つの甕(かめ)を差し出されたが、5つは持てても、3つはどうしても動かせなかった。そこで3つ残した甕が祭られて神社になったという神話があります。江戸時代には飯田の庄屋で帯刀も許されていたと言いますから、神主だったかは不明ですが、水に関する神社にゆかりがあるのは確かでしょう。

笠間市飯田の三瓶神社

鹿島から笠間に「鹿島立ち」して、三瓶神社にもお参りをしてきました。思いがけず、2月1日はご先祖さまに思いを馳(は)せる日となりました。今年がいろいろな意味でよい門出の年になればと思います。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

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