県議会の最大会派、いばらき自民党の政調会(飯塚秋男会長)は24日開会の県議会12月定例会に「茨城県ケアラー・ヤングケアラーを支援し、共に生きやすい社会を実現するための条例」を議員提案するため骨子案作りを急いでいる。9日には茨城大学生らと意見交換を行い問題点を洗い直す一方、パブリックコメントを18日まで実施するなど条例案作りは最終段階に入っている。
国の調査によると、家族や身近な人の介護、看護、日常生活の世話を行っている18歳未満のヤングケアラーは17人に1人いるといわれる。ケアラーは、ケアを受ける人を支えるだけでなく、社会でも重要な役割を担っている。
特にヤングケアラーの場合、教育の機会確保が脅かされるだけでなく、家族の生活そのものが双肩にかかってくる場合があり、早期発見、早期支援のための行政分野における横断的な連携体制の構築、強化は喫緊の課題となっている。
条例案は、目的、基本理念、県民・事業者・県・市町村との連携など全17条から成る。ケアラー、ヤングケアラーとその家族を社会全体で支援し、県は支援施策を総合的、計画的に推進する「県推進計画」を策定する。知事は毎年度、施策の実施状況、成果を取りまとめ、議会に報告、公表しなければならないとしている。
またケアラーの支援については、相談体制の整備、相談窓口の周知、レスバイトケア(一時休息)など負担軽減のための支援、生活が困難なケアラーに対する修学・就業支援等を施策として講じることを明記している。
カウンセラー、ソーシャルワーカーなどの専門的知識を有する人材の育成、確保、適正な配置を行うことで、家庭、学校、地域、職域などの様々な場と機会を通し「全ての県民が生きやすい社会の実現をめざそう」と条例制定の趣旨を強調している。
県議会事務局によると、ケアラー支援の条例は昨年3月、埼玉県が「ケアラー支援条例」を制定しているだけで、条例案が成立すれば全国で2番目になるという。(山崎実)
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