土曜日, 2月 28, 2026
ホーム暮らし成果高い施策に重点化 最終年度の森林湖沼環境税

成果高い施策に重点化 最終年度の森林湖沼環境税

茨城県独自の県民税として2008年度から徴収し、県内の森林保全・整備や霞ケ浦など湖沼・河川の水質保全事業に活用しててきた森林湖沼環境税が今年度で最終年度を迎え、開会中の県議会で与野党の論戦を呼んでいる。

すでに県内の林業や浄化槽など水質保全関係業界などから「継続」を求める陳情書が提出され、県議で構成する県森林・林業・林産業活性化促進議員連盟も歩調を合わせている。

同税は県民均等割超過課税方式により、県民1人当たり年間1000円を徴収(県民税均等割が非課税者は除く)している。08年度から今年度当初予算までの税収は約235億円となり、基金により他の税収と区分して管理している。

県議会の質疑応答の中で大井川和彦知事は、同税は当初、間伐など森林整備・管理の推進などに重点を置いていたが、知事就任後の18年度から方針を転換し、経営規模の拡大に意欲的な林業経営体への支援等を通じ、森林経営の集約化を推進してきた、結果、集約森林は17年度末の約2300ヘクタールから20年度末には約1万ヘクタールまで拡大した、自立に向けた規模拡大が進む成果がいわれてきていると、成果を強調している。

一方、湖沼、河川の水質保全では、特に霞ケ浦の水質浄化に関連し、高度処理型浄化槽の設置、下水道・農業集落排水施設への接続などに、重点的に活用したと強調。さらに小規模事業所の排水対策として、基準超過に対し罰則や改善命令ができる水質保全条例を改正、今年4月1日の条例施行前に、霞ケ浦沿岸の小規模事業所を立ち入り検査による指導で強化し、霞ケ浦のCOD(化学的酸素要求量)値は税導入前の1リットル当たり約9ミリグラムから約7ミリグラムに低下したとしている。

しかし近年は横ばい状態にあり、知事自ら「従来の枠組みにとらわれず、成果の高い施策にさらに重点化が必要なのではないか」と問題提起している。

このため、農林水産部、県民生活環境部など関係部局間で現在、事業や施策の具体的内容を検討中で、同税の継続か否かを含め、改正案の骨子がまとまり次第、県民の意見を聞きながら「第4回定例会(12月県議会)に改正条例案を提案したい」としている。(山崎実)

市町村から延長求め要望

一方、市町村からは同税の延長を求める要望書が提出されている。霞ケ浦流域の21市町村でつくる「霞ケ浦問題協議会」(会長・安藤真理子土浦市長)は15日、本年度で期限が切れる茨城県森林湖沼環境税の期間延長を求める要望書を、大井川和彦知事に提出した。安藤会長らが県庁を訪れ、大井川知事に要望書を手渡した。

同税は森林や湖沼・河川などの自然環境の保全を目的に導入され、現在は第3期課税期間。要望書では、霞ケ浦の水質浄化の目標達成には今後とも継続的な水質浄化対策が必要と指摘した上で、▽課税期間の5年間延長▽霞ケ浦に係る湖沼水質保全計画に位置付けられた、各種事業の着実かつ速やかな推進-などを求めた。

安藤会長は「霞ケ浦の水質浄化には時間がかかるため、長期的な視点での対策が必要。安定的な財源が確保されるよう、課税期間の5年延長を要望する」と述べた。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

ウメの花の季節 チームで梅林を整備《宍塚の里山》133

【コラム・西川菜緒】宍塚の里山では、梅の花が見ごろを迎えています。梅の香りを想像することができますか? お日様が当たると、フワッと一気に香ります。鼻をスーと抜ける爽やかな香りに、里山の春を感じることができます。梅の花は、輪郭がはっきりしているので、一つひとつの花をじっくり観察し、香りを楽しむことをオススメします。 梅林を整備する活動を3年前から始めました。剪定(せんてい)チームの主なメンバーは、会が月に1回開催している「月例観察会」で偶然出会った、里山保全に関心のある、子育て世代の母3人組です。薪(まき)ストーブ、電気自動車といったエネルギーの話、肥料作り、米作り、家庭菜園、料理など食の話、DIYの話、染色の話と、話題は尽きません。会のイベントを通して、気の合う仲間に出会えたことに感謝です。 放置されていた梅の木は、好き勝手に枝が伸び放題。樹高も高くなり、さて、どこから剪定したらよいものか?と悩みました。しかも、私たちは剪定初心者。本を読んだり、You Tubeを見たりして、手探りで始めました。 「桜切るばか、梅切らぬばか」という、ことわざがありますが、枯れてしまうのでは?という不安から、なかなかバッサリは切れません。枝先をメインに少しだけ剪定したところ、6月ごろになると葉が茂りすぎて風通しが悪くなり、カイガラムシとアブラムシが大量発生しました。 それではと、思い切った剪定をおこなうと、徒長枝(とちょうし)と呼ばれる、異常に勢いよく伸びる枝が大量に出てきたり、突然の剪定に木が弱ってしまい、木肌にコケが生えたり、落葉が早まる、なんてこともありました。花が咲く時期に受粉作業をすると、実の付きがよくなるのですが、せっかく付いた実も、なぜか熟す前にポトポト落ちてしまうこともあります。 広がる里山保全交流の輪 剪定を始めて気が付いたことは、木をよく観察すること。枝の向きや重なり具合、木肌の様子、陽当たり、風通しなどですが、短期間で結果が出るものではありません。長い目でじっくり取り組むことが大切だと感じています。 花芽(はなめ)がついている剪定枝は家に持ち帰り、温かい室内で花瓶に生けておくと花が咲きます。桃の節句が近づくこの時期、おひな様の横に飾って楽しみます。剪定枝はほかにも、染料にしたり、太い枝は薪として利用できます。 うれしいことに、剪定チームに参加するメンバーが増えてきました。剪定チームの活動を通して、里山保全の交流の輪を広げていきたいと思います。(宍塚の自然と歴史の会 会員)

早期離床・急性期リハビリテーション《メディカル知恵袋》14

【コラム・齊藤久子】近年、集中治療室(ICU)において、重症患者さんに早い時期から積極的に離床を進め、体を動かしていくことが、集中治療後症候群(PICS)の予防、日常生活動作(ADL)の改善、長期的な生活の質(QOL)の向上に役立つとして、多職種で取り込む標準治療として普及してきました。今回は、早い時期から体を起こしていく早期離床、急性期のリハビリテーションについて紹介します。 安静臥床の問題 皆さんは、重症な病気やけが、大きな手術をした後は体を横たえてゆっくり休み、あまり動かないでいることが大事だというイメージをお持ちではないでしょうか? もちろん、病気やけがの状態によっては安静に臥床(がしょう)していることが必要ですが、安静臥床のデメリットもあります。 安静とは、無動・不動あるいは低活動の状態、臥床は身体の長軸方向に重力負荷がかからない状態を意味します。使わない、動かさないことで筋量減少、骨密度低下、関節拘縮(こうしゅく)が起こり、転倒のリスクが増えます。循環血液量の減少、血圧調整の低下が起こり、起立性低血圧や深部静脈血栓症を生じやすくなります。肺活量が低下し、下側肺に痰(たん)がたまり肺炎を起こしやすくなります(表1)。 ICUの重症患者に起こりやすい問題 ICUの重症患者さんは安静臥床以外に、重症な病態や、治療のための呼吸器装着、薬剤投与などが複雑に関与して筋力低下が起こることがあり、ICU獲得性筋力低下(ICU-AW)といいます。原疾患に関係しない左右対称性びまん性筋力低下でICU重症患者さんの30~80%に認められ、原因は多要因ですが、不動も一因なので予防に早期離床も有用です。 またICUの患者さんは身体の問題だけでなく、認知やメンタルヘルスの問題も生じやすいです。PICSは、ICU在室中あるいは退室後に生じる身体機能、認知機能、メンタルヘルス問題の総称で、患者さんの長期予後のみならず家族のメンタルヘルスにも影響を及ぼします(図1)。人工呼吸管理、鎮静、せん妄、筋力低下等が各々悪影響を及ぼし合い人工呼吸管理が遷延するとPICSを生じやすいので、予防には可能な範囲で自分の呼吸を促し、深く眠りすぎないよう、コミュニケーションをとるように努め、早期運動療法を行うなど多方面の介入が必要です。 早期離床・急性期リハビリ 運動療法は横になっていても行えるので、離床が困難な患者さんに対しても関節を動かして拘縮を予防したり、筋力を維持する訓練を行います。離床を進める時はベッドのヘッドアップから始めて端坐位、立位、歩行と進めていきます。 重症患者さんで、多くの医療機器を使っている場合や血圧や呼吸が安定しない場合はリハビリを行うことで危険が生じないよう、患者さん一人ひとりの病態の把握、安全に実施できるかの判断、心配なことが生じた時の中止基準などを慎重に確認しつつ十分な人数のスタッフが協力して行います。早期離床を進めていくためには、可能な範囲で鎮静を浅くして、患者さんとコミュニケーションをとり、適切な栄養管理を丁寧に行うことも重要です。 ADL、QOL向上へ 体を起こすことが最終目的ではないので、日常生活動作ができるよう、病態を評価し、動作練習を行います。嚥下の評価や認知機能評価も行い、経口摂取を進める判断や訓練、コミュニケーションをとる工夫も大切です。 家族が原疾患の病状理解とともに、リハビリテーションの現状や目標を理解し、可能な場合はリハビリに参加することも重要で、患者さんが安心してモチベーションを保つことにつながります。患者さんも家族も大きなストレスを抱えていることは当然ですし、家族は時に経済面や他の家族の問題を抱えていることもあるので家族のサポートも必要です。 このように重症患者さんの離床は、医師、看護師、リハビリテーション療法士にとどまらず、管理栄養士、臨床工学技士、薬剤師、医療事務、公認心理師、ソーシャルワーカーなど多職種が協力し、患者さん、家族と十分コミュニケーションをとってすすめていくことなのです。 重症患者さんが病気やけがを克服し、安静臥床やICU入院によるデメリットを最小限にし、長期的にADL、QOLを向上できるよう、多職種で連携しながら、サポートしてまいります(図2)。(筑波メディカルセンター病院リハビリテーション科専門部長)

最新の脅威動向と防御策学ぶ つくばでサイバーセキュリティ対策セミナー

関彰商事 近年、企業や自治体を狙ったサイバー攻撃は高度化、巧妙化しており、身代金を要求するランサムウェア被害や情報漏えい事故が相次いでいる。こうした状況を受け、最新の脅威動向と具体的な防御策を学ぶ「サイバーセキュリティ対策セミナー」を関彰商事(本社・筑西市・つくば市、関正樹社長)が県内4カ所で開いている。そのうちの一つ、つくば会場のセミナーが24日、ホテルグランド東雲で開かれ、企業経営者や情報システム責任者など約70人が熱心に受講した。 第1部は身近なサイバーセキュリティ被害対策と題し、同社ビジネストランスフォーメーション部の江幡博康部長が実際の被害事例を紹介した。 同社の子会社であるセキショウキャリアプラスは昨年、不正アクセスの被害を受け、約1万5000人分のデータが漏えいした(25年10月10日付)。江幡部長は「ダーク・サイトに名簿が流出している」という第3者からの報告で分かったと話し、「突き詰めてみると脆弱なプログラムを使っているとか、不要なデータを管理できていなかったというような反省点があった」「当たり前のことを実行しているかどうかということが大事」だなどと述べ、「うちは絶対大丈夫だと思わず、対策にもコストをかける必要がある」と話した。 第2部は「サイバー攻撃の手口の紹介・デモンストレーション、サイバー犯罪の現状と被害防止対策」と題し、県警本部生活安全部サイバー企画課の白土哲也警部が講演した。 白土警部は、セキュリティ対策の基本や、情報セキュリティの個人情報の窃取などの具体的な脅威を紹介し、ランサムウェアなどを詳しく解説した。デモンストレーションでは2台のディスプレイを用い、攻撃側と被害側に分けて、具体的にどうやって侵入するのかを見せた。 その上で「アサヒグループホールディングスやアスクルのように充分な対策をとっている大企業でも被害を受けることがある。100%守り切れるわけでないが、充分な対策をとっていく必要がある」と説明した。さらに「サイバーセキュリティ対策は経営者の関与が大事」だとし、「対策の不備により、法的・道義的責任が問われるなど経営に大きな影響を与える。経営資源の投入と具体的な指示が必要」だと訴えた。 もしウイルス感染や不正アクセス、情報漏えいなどのセキリティインデントが発生したらどうするのかー。白土警部は「ネットワークを切断する、情報システム部と責任者に報告する、最後は警察に通報することになる」などと話した。 受講した物流業「明送」(守谷市)の一ノ瀬慶一社長は「具体的にサイバー攻撃のデモを見せてもらって、分かりやすくて良かった。ある程度の対策をしてきたが、評価を見直し、社員教育にも力を入れていきたい」と話した。福祉機器メーカー「幸和義肢研究所」(つくば市)の山野井勉製造部長は「今回のセミナーはセキュリティの重要さなど分かった多く、ためになった。今日の話を持ち帰り、これからの対策や社員教育にも反映させていきたい」と感想を述べた。(榎田智司)

駅の1時間《短いおはなし》48

【ノベル・伊東葎花】 みのりが、春のあぜ道を走っている。赤いカーデガンがかわいい。畑仕事のおじいさんが、目を細めて話しかけた。 「みのりちゃん、どこに行の?」 「駅。ママを迎えに行くの」 みのりのママは都会の病院に入院していたが、今日退院して帰ってくる。 「そうか。ママが帰ってくるのか」 おじいさんは幼い背中を見送って、おばあさんに尋ねた。 「みのりちゃんは、いくつになったかな?」 「5歳ですよ」 「5歳か。かわいい盛りだ」 駅には、誰もいない。小さな無人駅だ。ベンチに座ると、どこからか髪の長いおねえさんが来た。 「お嬢ちゃん、誰か待ってるの?」 「パパとママを待ってるの。入院したママが電車で帰ってくるから」 「そう」 「おねえさんは誰を待ってるの?」 「私は、時間が過ぎるのを待ってるの」 「ふうん。こんな暗い駅より、もっといいところで待てばいいのに」 「ここじゃなきゃだめなの」 「どうして?」 「だって、ここにいれば年をとらずに済むわ」 「えっ?」 「ここでの1時間は、外での1年。ほら、浦島太郎の竜宮城みたいにね」 竜宮城は知っているけど、みのりにはピンとこなかった。 「外に出てごらんなさい。ちょうど10分過ぎたわ」 みのりが外に出ると、蒸し暑かった。今にも雨が降りそうだ。紫陽花が咲いていた。 「ね、2カ月進んで、6月になっていたでしょう」 おねえさんは、何でもないような顔で言った。 「うそだよ。電車は? パパとママは?」 「春まで待てば電車が来るわ」 「そんなのうそだ」 みのりは、外に飛び出した。 セミが鳴いていた。太陽が容赦なく照りつけて、じりじりと肌を焼く。8月だった。そして季節はすぐに秋に変わった。みのりは怖くなった。おねえさんの言うことは、本当だ。 「いいじゃない。あなたにとっての1年なんて、大したことないわ」 「いやだ。電車いつ来るの? パパとママに会いたいよ」 泣き叫ぶみのりを横目に、おねえさんは時計を見た。ちょうど1時間が過ぎた。「ああ、また春が来たわ。お嬢ちゃん、ありがとう。もういいわ」 「みのり、起きなさい」 みのりは、肩をゆすられて目を覚ました。目の前に、パパとママがいた。 「パパ、ママ」 「みのり、ひとりで迎えに来たんだね」 「待ちくたびれて眠っちゃったのね」 パパの大きな手が、みのりを抱き上げた。「ただいま、みのり」とママが笑った。よかった。パパとママ、ちゃんと帰ってきた。あれは怖い夢だった。おねえさんは、どこにもいない。 みのりは、パパとママと一緒に、あぜ道を歩いた。あれ?靴が少しきつい。赤いカーデガンの袖も、短くなっている。畑仕事のおじいさんが「退院おめでとう」と手を振った。おじいさんは、幸せそうな親子を見送って、おばあさんに尋ねた。 「みのりちゃんは、いくつになったかな?」 「6歳ですよ。もうすぐ小学生です」 何も変わらないのに、春の駅で、みのりの1年だけが奪われた。 (作家)