シェアサイクル事業「つくチャリ」がつくば市のつくば駅と研究学園駅周辺で10月1日から始まる。50台の自転車を20カ所に配置し、利用者は20カ所の間を24時間、自由に行き来できる。公共交通を補完する新しい移動手段として、つくば市が3年間、実証実験する。
利用方法はスマートフォンに専用アプリをインストールし、メールアドレスやクレジットカード情報を入力して会員登録する。乗る際は、自転車に付いているQRコードをスマートフォンで読み込み、カギを開ける。
利用料金は15分77円(税込み)、8時間上限1500円(同)、支払いはクレジット決済のみ。
自転車は、昨年秋発売された「ルートワン」という新機種を1台約7万5000円で購入した。ペダルを踏み込む力でギアに内蔵されたシリコンを圧縮し、反発する力で楽にこぐことができる。電動自転車と比べ、充電する必要がない。
シェアサイクル事業を各地で実施しているエコバイク(東京都千代田区、結城耕造社長)が、市から委託を受けてシステムを運営する。事業費は自転車購入費を含め3年間で約2200万円。
市外からつくば市を訪れ、駅を降りて利用したり、市民が日常の足として使うことを想定している。初年度の21年度の利用想定人数は1日平均20人、22年度は27人、23年度は37人、24年度は50人。
同市では2000年から全国に先駆けてシェアサイクル「のりのり自転車」を実施したが、自転車が盗まれたり、放置されるなどしたため事業を取り止めた経験がある。今回は自転車をGPSで追跡できるなど、当時と比べ進化したIT技術を活用する。
30日、市役所で出発式と試乗会が催され、五十嵐立青市長、小久保貴史市議会議長のほか、自転車のまちつくば推進委員会委員長の渡和由筑波大准教授、エコバイクの結城社長、サイクルポート4カ所を提供するカスミの山本慎一郎社長、つくば駅周辺でシェアサイクルと連携したまちづくりを行うつくばまちなかデザインの内山博文社長らが参加した。
五十嵐市長は「つくば駅周辺では中心市街地の活性化や人流をつくり、研究学園駅周辺では公共交通を補完する。やりながら課題を検証したい」などと話した。
県内では、土浦、筑西、笠間市などですでにシェアサイクル事業が展開されているという。(鈴木宏子)