月曜日, 3月 9, 2026
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「風立ちぬ」考 その3 《遊民通信》23

【コラム・田口哲郎】
前略

なぜ小説『風立ちぬ』は、社会的小説ではないにもかかわらず、文学作品に社会性を求める人々の心を掴(つか)むのでしょうか。それはこの小説が人間の生だけではなく、死について深く考察しているからではないでしょうか。そして、「生きめやも」派と「生きねば」派の間には、生きる意志のみならず死へのスタンスについても、深い溝が存在します。

「生きねば」派が求めるものを先に探りましょう。高橋源一郎氏は小説の主人公の企てを次のように読みます。「サナトリウムで、患者たちは死んでゆくだけだ。だから、『私』は、記憶の中にある『節子』との幸福な瞬間を、『物語』の中に閉じこめようとし、そして失敗するのである」。そして節子の死後、主人公はふたたび閉じられた愛の舞台を訪れ、リルケの「レクイエム」に出会います。「私」は節子に対して、「レクイエム」の最後の数行を聞かせます。

「帰っていらっしゃるな。そうしてもしお前に我慢できたら、死者たちの間に死んでお出。死者にもたんと仕事はある。けれども私に助力はしておくれ、お前の気を散らさない程度で、屡々(しばしば)遠くのものが私に助力してくれるやうに――私の裡(うち)で」

「生きねば」派は、死者の仕事に強く反応するようです。アニメ「風立ちぬ」のラスト近く、結核の果てに亡くなる菜穂子は、生き残った二郎に、「あなた、生きて」とつぶやきます。そして、二郎はつぶやきを残して天に昇る菜穂子に「ありがとう」と言い、物語は終わります。

死者の仕事とは、生者を自分の死から解放すること。菜穂子はいわば、死者の象徴であり、彼女は二郎の妻でありながら、誰かの妻であり女であり、男であり、夫であり、兄であり、弟であり…あらゆる存在の本質を保持する誰かなのです。

死者の思い

遺(のこ)された者を死者の呪縛から解放してやることが死者の責務であるとし、高橋氏は戦死者に言及します。

「戦後文学」の主人公たちは「戦死者の代弁者であるべく義務づけられていた」のだが、「彼らの中に住み着いて、この国を告発する声の主は、ほんとうに存在したのだろうか。それは要するに、ただの『ことば』にすぎなかったのではないだろうか。『戦後文学』の担い手は、ほとんどが姿を消し、それと共に、彼らの中に住み着いていた者たちも、運命を同じくしたのである」と高橋氏は言い、戦死者の言葉は時とともに消えてしまったと嘆きます。

しかし、小説『風立ちぬ』のもたらした鎮魂歌は「ぼくたちの知っている『戦後文学』の語法とは異なったものだ。そして、それは、なぜかひどく新しく感じられる」と言います。つまり死者の真の思いを生き残った者たちに悟らせるのです。続きは次回。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

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3月8日は国際女性デー。関彰商事(本社・筑西市・つくば市、関正樹社長)は6日から、同社オフィスのほか、グループ企業のガソリンスタンド、自動車販売店など県内外44カ所のオフィスや店舗に、黄色いミモザを使ったフラワーアレンジメントを飾っている。 国際女性デーは「ミモザの日」とも呼ばれることから、さらなるジェンダー平等の社会実現を願い、国際女性デーに合わせて実施する。2021年から毎年飾っており、今年で6年目になる。 同つくば本社総務部総務課の斉藤弘美主任は「ミモザはイタリアでは女性への感謝を表現する花とされている。国際女性デーに合わせてミモザを社員の目につくところに置くことで、感謝だけでなく、男性社員と女性社員双方が日頃支え合って業務が成り立っていると思うので、そういうものをミモザを通して感じていただけたら。関係性が良くなることで男性社員も女性社員も働きやすい関係が整えられて、事業がうまく回って進めていけるきっかけになれば」と語る。 同広報部広報課の石井雅也さんは「各拠点44カ所にミモザを飾ってあることが、社員同士だけでなく、社員とお客様の会話のきっかけとなり、『どうしてミモザなんですか』などの会話から、女性活躍に関する理解が深まるきっかけになったらすばらしいことだと思う」と話している。 国際女性デーの8日にはミモザを飾ってある店舗で女性の来店客を対象に、ガソリンスタンドでは花の種、自動車販売店ではミニハンドクリームを先着順でプレゼントするという。 同社は、採用、労働時間、多様なキャリアコース、管理職比率など女性活躍の取り組みが優良だとして、2016年に厚労省から「えるぼし」の三ツ星認定を受けている。同社の女性役員は現在3人(昨年は2人)、管理職は23人(同21人)。 国際女性デーは、国連が定めた女性の社会参加を願う日で、イタリアではミモザの日と呼ばれ、女性に感謝を込め、幸福の象徴であるミモザが贈られている。