つくば市が進める、つくばセンタービル(同市吾妻)のリニューアル計画に対し、文化財としての価値を知った上で改修の是非を改めて考えてほしいと、市民団体「つくばセンター研究会」(共同代表・冠木新市さんなど)が27日、同センタービル内で「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」と題した講演とシンポジウムを開く。
筑波大学の鵜沢隆名誉教授が、プリツカー賞を受賞した磯崎新さん設計のつくばセンタービルの価値について、なぜポストモダンの代表作だと世界的に評価されているのかなどを建築の観点から講演する。さらに活性化についても提案する。
続いて筑波大芸術系の加藤研助教、神奈川大学建築学科の六角美瑠教授らが加わってシンポジウムを開き、参加者と意見交換しながら、エスカレーター設置など市のリニューアル計画について討論する。
研究会は今月1日「市が進めようとしているつくばセンタービルのリニューアル計画は、文化財としての価値を失わせることになる」などとして、五十嵐立青市長と小久保貴史市議会議長宛てにそれぞれ、センター広場へのエスカレーター2基の設置計画を見直すよう求める要望書を出した(6月1日付)。
27日の緊急討論会は要望書提出に続く取り組みとなる。
共同代表の冠木さん(69)は「つくば市は中心市街地を活性化するためにつくばセンタービルをリニューアルすると言っているが、活性化してないのは、センタービルの建物や設備のせいではなく、ソフトの問題だ。市のリニューアル計画に反対の人も、賛成の人も、センタービルの文化財としての価値を知ってほしい。それでもエスカレーターを付けるのか、市やまちづくり会社の関係者にも討論に参加していただきたい」と話す。
同じく共同代表の三浦一憲さん(68)は「つくばセンタービルで音楽活動をやってきた。最初は屋根を掛けることや改造に賛成だったが、文化財としての価値を知って、これだけの建築物をそんなに簡単にいじってはいけない、文化財として大切にしていかなくてはいけないと立ち位置が変わった。立ち止まることも大切。いろいろな人に講演を聞いてほしい」と参加を呼び掛ける。
つくばセンター広場にエスカレーターを設置したり、1階を改修して市民活動拠点をつくるなどのリニューアル計画について、市は7月にも実施設計を発注する予定だ。一方、1階アイアイモールを貸しオフィスに改修する計画は、市が出資する第3セクターのまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」などが、9月にも改修工事に着手する計画だ。
◆講演&シンポジウム「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」は27日午後1時30分から、つくばセンタービル内のつくばイノベーションプラザ大会議室で開催される。入場無料。コロナ禍のため定員50人。参加希望者は事前申し込みが必要。メール(tsukuba.center.studygroup@gmail.com)または電話(090-5579-5726=冠木さん)で申し込む。詳しくは同会ホームページ