金曜日, 1月 16, 2026
ホームつくばマンガで小児糖尿病の理解を広めたい 筑波大医療系と芸術系が連携

マンガで小児糖尿病の理解を広めたい 筑波大医療系と芸術系が連携

筑波大学の医療系と芸術系の教授らが連携するプロジェクトチーム「筑波大学グルッシーコラボレイションズ」(鈴木康裕代表)が、糖尿病を子どもにもわかりやすく説明したマンガ冊子を作成した。今年中に県内の小中学校等に配布する予定。小児糖尿病の患者が受ける誤解をなくすために、糖尿病を知らない子どもたちが読んでも理解できる内容になっている。

オリジナルキャラクターと一緒に学ぶ

マンガに登場するグルッシーは、体にとって重要なエネルギー源であるグルコースをモチーフにしたオリジナルキャラクター。2016年に筑波大付属病院の理学療法士である鈴木康裕さんが芸術系の村上史明助教に、糖尿病予防キャンペーンのキャラクター製作を依頼したことで誕生した。

その後、グルッシーを使ったすごろくやカードゲームを展開し、小学校の保健の授業教材としても使用された。昨年には、グルッシーを主人公に、生活習慣と2型糖尿病をテーマにしたマンガを、鈴木さんの医学的な監修のもと作成し、つくば市内の小中学校や小児科に配布した。イラストは筑波大卒の芸術家である堀内菜穂さんが担当した。今回作成したマンガは、前回のマンガを発展させる形で、1型糖尿病にも焦点を当て、糖尿病の子どもの学校生活についても描かれる。付属病院の医師も監修に加わった。

制作中のの原画の一部

子どもたちの誤解解消に

プロジェクトチームのメンバーで、今回のマンガを監修した筑波大小児内科の岩淵敦医師によると、現在、小児糖尿病の患者は、およそ小学校10校に1人いる。今まで糖尿病の症状や原因等を説明した大人向け教材を子ども向けに改編したものはあったが、文章の脇にイラストを加えただけのものが多かったという。

糖尿病の子どもは学校でも血糖値を測ったり、インシュリンを打ったりする必要があるが、周りにクラスメートがいる中で医療行為をおこなうことに悩む子どもも多い。岩淵医師によれば、周りの友達との関係性について学会の話題にはのぼっていたが、今までの教材は学校生活についてはほとんど言及されていなかったという。

岩淵医師は、「糖尿病の子どもたちは誤解を受けてしまうことがある」と話す。糖尿病は、お菓子の食べ過ぎなど子ども自身の不摂生や、親の育て方が原因だというイメージが強い。しかし、1型糖尿病は生活習慣とは無関係で、インシュリンというホルモンがなくなってしまうことが原因であり、2型糖尿病はカロリーの過剰摂取が原因だが、生まれつきインシュリンが出にくい体質が大きく影響しているそうだ。

「このような誤解を解消するため、医療者が正確でわかりやすい教材を作成し、糖尿病を患う子どもだけでなく、彼らの周りにいる多くの子どもたちに読んでもらう必要性を感じた」と岩淵医師。

全国の小中学校へ配布を目指す

作成したマンガ冊子は、県内の小中学校のほか、茨城県糖尿病協会が毎年開催し、糖尿病の子どもたちが自分の病気について学ぶサマーキャンプで無料配布する予定。「マンガを読むことで、子どもたちにどのような変化があるかまで検証したい」と鈴木さんは話す。

マンガを配布する資金集めのためにクラウドファンディングを5月中旬から行っていたが、当初の予定より早く目標金額50万円を達成した。現在は目標金額を80万円に上げ、全国の小中学校等にマンガを配布することを目指している。7月15日まで資金を募る。(川端舞)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

道路工事中に給水管を破損 1軒が断水 つくば市

つくば市は16日、市が発注した同市小野崎の道路改良舗装工事で、同日午前10時50分ごろ、市内の工事受注業者が既存の側溝(U字溝)を撤去する作業をしていたところ、埋設されていた上水道の給水管を誤って破損させ、1軒に断水被害が発生したと発表した。断水は同日夕方5時ごろに復旧した。 市道路管理課によると、工事業者が老朽化した古いタイプのU字溝を新しいタイプのU字溝に入れ替える作業をするため道路を掘削していたところ、道路下に埋設されていた近くの店舗1軒の給水管の一部を破損させた。工事業者はあらかじめ図面で、道路下に給水管が埋まっていることを把握していたという。 工事業者は断水被害を受けた店舗に謝罪し状況を説明。被害店舗はこの日、店を休みにした。 再発防止策として市は、受注業者に是正措置を求めたほか、現在、市の工事を受注している全工事業者に注意喚起を徹底し、再発防止に努めるとしている。

ロウバイが満開 筑波山梅林 早春の訪れ告げる

つくば市沼田、筑波山中腹の梅林でロウバイが満開となり見頃を迎えている。1月中旬は暦の上では小寒から大寒に向かう冬のさなかだが、標高約250メートルにある筑波山梅林では、ろう細工のような、ロウバイの光沢のある黄色い花が甘い香りとともに早春の訪れを告げている。 ロウバイは梅林の筑波山おもてなし館付近の斜面に数十本が植えられている。つくば市観光コンベンション協会によると、正月過ぎから見頃となっている。開花状況は平年並み、見頃は2月初旬ごろまでという。 3連休初日の10日は筑波山神社の参拝客や登山客などで梅林の駐車場は満杯。ロウバイが咲く梅林では、家族連れや写真愛好家などが、青空と黄色のコントラストをカメラやスマートフォンなどで写真に納める姿が見られた。 石岡市から来た藤井浩一さん(63)は「毎年ロウバイを見るために梅林に来ている。これだけたくさんのロウバイが咲くところは貴重だ。今日は珍しいヤマホウジロの写真も撮れたのでうれしい。ロウバイの写真ももっと撮っていきたい」と話していた。 ロウバイは中国原産で、梅に似ているが、梅がバラ科なのに対し、ロウバイはロウバイ科に属する。 筑波山梅林は約4.5ヘクタールの広さがあり、中腹の斜面に約1000本の白梅や紅梅が植えられている。10日時点で、早咲きの紅梅はまだ開花していない。第53回目になる今年の筑波山梅まつりは2月7日から3月15日まで開催される。(榎田智司)

つくば文化会館アルス《ご近所スケッチ》21

【コラム・川浪せつ子】つくば駅近くの図書館と美術館から成る「つくば文化会館アルス」(つくば市吾妻)は、ステキな建物です。この分野では老舗の石本設計事務所(1927年創立)が設計しました。つくば市周辺には、同社のような日本を代表する事務所がいろいろな建物を設計しています。 近くにあるつくばセンタービルは、建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を受賞した磯崎新さんが設計した作品。つくば市には後世に残したい素晴らしい建造物が多いですが、そのような歴史に残るような建物を「描く」のって、至難の業なのです。 私は若いころから、建築の完成予想図を作成する仕事をしてきましたが、今回はそれがアダになりました。上の絵は何度も描き直して、なんと4枚目です。悩みに悩んで、お正月明けにスケッチしました。どうも、面白くない絵になってしまうのですよね…。 ステキな建物とそこに憩う市民 創作活動は何でもそうだと思いますが、自分の表現したいもの、表現したいこと、表現したいテーマは何か―それが重要だと思うのです。創作活動とは、誰かに認めてもらいたいということでなく、自分の「思い」が込められたものを創ることではないでしょうか。そして、たどり着いたテーマは「ステキな建物とそこに憩う市民」です。 緑の季節には葉っぱが多くて建物が見えません。冬は落葉して見えますが、もうひとつインパクトが出ません。そんなジレンマの中、そこに憩う方々をたくさん配置したところ、どうにか納得するものに。「まだまだ」の自分ですが、悩みながら、さまよいながら、つくば市周辺の良さを表現できたらと思っています。(イラストレーター)

まさかの「第5回富士山景クラシック展」《続・平熱日記》188

【コラム・斉藤裕之】昨年秋、「第5回富士山景クラシック」展をやるぞ!と、突然メールが入った。この画展、上野谷中の居酒屋でフランスから帰国したばかりの私が、同級生を前に「みんなで富士山を描こう!」なんてノリで言っちゃったのがきっかけ。まさかギャラリーで展示までして、それも足掛け30年で5回目にもなろうとは…。 なんで富士山なんて言っちゃったのか。例えば、最近では愛犬パクと山口から帰って来る時の新東名。突然、目の前にでっかい富士山が現れる。あまりの雄大さに呆気にとられてしまう。憧れの女性が突然目の前に現れたのと同じで、ただアタフタとその場を繕うしかない。 葛飾北斎の富嶽三十六景。誰もが知る富士山を描いた名作だが、あれは富士山を憧れの女性に例えるなら、遠巻きにしていろんな所からのぞき見している。つまりおっかけ。大体、富士山はどこから見てもあの形。まさに二つとない不二の登録商標で、誰が見ても富士山だとわかる。 北斎は、その富士山を大きな波の向こうに、桶(おけ)の輪の向こうに、いろんなところから遠巻きに描いた。その証拠に、正面から堂々と描いた富士は赤面している。 ここ茨城からも富士山は見える。朝、車に乗って仕事に行く途中、スカイツリーの向こうにきれいな富士山。しかし、それははるか遠く、手の届かない映像のような富士山。でも案外、私にとって富士山は昔から、そしてこれからも、そんな憧れの人でよいのかもしれない。 オジイサンの鼻息は荒い しかし、前回展で一応の区切りを付けたはずの富士山景クラシック展。今回のDMはがきに「第二章」とあったのが気になる。もしかして6度目も…。そういえば、何回目かの時に「次はフィレンツェでドゥモを描こう!」とか「台湾でグループ展だ!」と盛り上がっていたっけ。 フジサンは今も姿を変えずそこにあるが、若者たちはオジサンになり、今やオジイサンと言われても仕方ない年齢になってしまった。しかし、本人たちの鼻息は荒い。以前、ある彫刻家の先輩方がグループ展に「R70」という粋なタイトルを付けていらしたことを思い出した。 北斎は三十六景を描くために、車もない時代に一体どれほどの距離を歩きまわったのか(72~74歳、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡、愛知)。一昨年、長野県小布施に、北斎の絵を訪ねた。80歳を過ぎて、山々を超えて信州まで絵を描きに行く、その情熱と馬力に私自身にもムチを入れざるを得ない気分だった。オチをつける気はなかったが、午の年が始まる。 30年前の夏、富士山を描こうと沼津に連れて行った長女。高温多湿の海辺の街からは富士山を見ることはかなわず、漁港で食べた超ビッグなエビフライと同級生の実家である幼稚園のプールで沐浴(もくよく)をしたことはよく覚えている。多分、展示が始まるころには、その長女が3人目を産んでいるはずである。もしかして、丙午の女の子? 今の時代、そのぐらいでちょうどいい。(画家) 第5回富士山景クラシック展:1月19日(月)~31日(土)、GALERIE SOL(東京都中央区新富1-3-11)