企業や大学が実施する、新型コロナウイルスワクチンの「職域接種」の本格始動を前に、医療相談アプリ事業を運営するリーバー社(本社・つくば市、伊藤俊一郎社長)が、母体の医療法人グループと連携し、9日から実施企業の受付を開始した。まず1都5県を対象に10会場程度を募集する。
リーバー社は、1都5県に13カ所の訪問診療を展開するアグリグループ(本部・つくばみらい市、日馬祐貴代表)に属している。グループの医療法人部門と連携して、医療機関外での診療・看護経験のある医師、看護師の確保が行える強みから、今回の取り組みを決めた。
職域接種では、それぞれの企業や大学が行うこととなっている会場や接種に当たる医師や看護師の確保など、接種体制の整備に苦慮しており、企業内では混乱が生じている状況という。
今回は東京都、神奈川、愛知、茨城、千葉、新潟県で各1000人程度の接種希望者を集めることのできる企業を対象としている。各企業に出張し、企業内の会議室などで政府から配布されるモデルナ社製ワクチンを接種する。
1次募集は10会場程度(1日上限約5000人程度)を想定しており、単純計算で毎日500人ずつ10会場で接種できる体制を整えた。1000人の企業であれば1日500人を2日間に分けて、2クール(4週間間隔を空けて投与)で実施する予定という。申し込みは6月いっぱいを見込んでいる。
アグリグループには現在常勤医25人、常勤看護師80人程度が所属するが、必要に応じて臨時雇用も行う。リーバー事業で医療相談に当たる登録医師の応援も検討しているという。
リーバー社で提供している「LEBER for Business(リーバー・フォー・ビジネス)」を通じて、新たに「ワクチン副反応チャットボット」「医師による医療相談」「ワクチン管理サービス」などを提供することにより、副反応に対する不安を減らすことができる。またワクチン接種を希望しない場合も「体温・体調管理サービス」を利用することでクラスターのリスクを減らすことが可能になるとしている。
アグリグループは医療法人AGRIE(アグリ)と株式会社のAGRI CARE(アグリ・ケア)からなる。AGRIEは2015年5月につくばみらい市にメドアグリクリニックを創業し訪問診療を開始した。現在全国13カ所で在宅医療を提供している。患者や老人ホームで働く医療・介護職員など合わせて約6000回の新型コロナウイルスワクチンの接種を予定している。(相澤冬樹)
問い合わせはリーバー(Eメール:info@leber.jp 電話029-896-6263)
【職域接種】企業や大学が自ら医療従事者や会場などを確保し、同一会場で最低1000人程度が2回接種を完了することとされる。ワクチンはモデルナ社製。接種費用は国が負担する。具体的方法として、①既存の企業内診療所を活用して接種する②外部の医療機関が出張して会社の会議室などで接種する③従業員が、企業が指定した医療機関に出向いて接種するーの3通りが想定されている。