金曜日, 3月 13, 2026
ホームつくばつくばの市街地に咲く「絶滅危惧種」 私はどうすればいい?

つくばの市街地に咲く「絶滅危惧種」 私はどうすればいい?

4月、NEWSつくばに読者から「絶滅危惧種の『キンラン』がつくば市街地に自生している」というメールが届いた。

その場所は、つくば駅に近いセンター地区の市街地。後日、メールの差出人に案内されると、ある企業の私有地に、黄色く小さな花をつける1本のキンランがあった。一見、どこにでもあるような普通の植物。周囲の雑草と見分けがつかず、探すのに時間がかかった。

「絶滅危惧種」がなぜ市街地に生えているのだろう? 希少な植物に出合ったとき、私たちは一体どうすればいいのだろう? 湧き上がるいくつかの疑問を胸に、専門家に話を聞いた。

キンランとは?

そもそもキンランとはどのような植物なのか。

キンランは、日本に約300種あるとされるラン科の植物の一つ。多年草で、ブナ科やマツ科の樹木の根もと近くに生育し、30センチから70センチほどの高さになる。これらの樹木の根に寄生する菌類が作る養分を、キンランは取り込み生きている。こうした菌類との共生関係を必要とし、単体では生きられないのも大きな特徴だ。

かつて雑木林に群生するキンランを見ることは珍しくなかった。しかし近年、個体数が減少し将来的な絶滅が危惧されることから、環境省は「絶滅危惧II類」に、茨城県も独自に「準絶滅危惧」に指定している。

なぜ「絶滅危惧種」に?

では、なぜキンランは個体数が減ってしまったのか。

県自然博物館(坂東市)で学芸員を務める伊藤彩乃さんは、減少の理由の一つとして、かつて人の暮らしに欠かせなかった雑木林の手入れが行き届かなくなったことを指摘する。 

「かつてキンランは、私たちにとって身近な植物でした。雑木林にはコナラやクヌギといった、キンランの生育に必要なブナ科の樹木が多くありました。それらの樹木を、まきや炭として利用するために定期的な伐採や下草の刈り取りを行っていました。しかし、生活の変化によって放置される林が増え、下草が密集し伸びると、背丈の低いキンランに光が届かなくなり、光合成ができず生育できなくなったと考えられます」

手入れが行き届かなくなった雑木林

つくば市で環境保全活動をする「つくば環境フォーラム」の田中ひとみさんも同様の指摘をした上で、「キンラン以外にも絶滅の危機に瀕する動植物が、人との関わりが停止した雑木林を含めた『里山』に多く存在している」と話す。

「里山」とは、農林業など人の生活を通じてつくられた、農地や集落を含めた広い生活圏のことを指す。かつて日本各地で見られた環境だ。「里山」の減少がキンランだけでなく、キキョウやオミナエシなどいくつもの植物を絶滅の危機に追いやっている。環境省は植物以外にもメダカ、タガメ、クロシジミなどの動物も、里山減少による絶滅危惧種として挙げている。

環境保全の意味

「絶滅しそうな里山の動植物を保全するには、人による再生が必要」だと、田中さんは話す。

ではなぜ私たちは里山を保全し、動植物の減少を防ぐ必要があるのだろうか。田中さんはこう説明する。

「実感しづらいかもしれませんが、人が自然の恵み(生態サービス)によって、その命を繋いでいるからです。自然界は、多様な生物のバランスによって今まで持続してきました。絶滅危惧種が急増しているのは、そのバランスが崩れてきている証拠ではないでしょうか。自然界のバランスが崩れると、生物種のひとつである人類にもいずれ生存の危機がくるかもしれません」

生活する人間と、その環境に適応する多様な動植物の関係が長い年月をかけ育まれた。人の暮らしも、そのバランスの上に成り立ってきたのだ。

再び増えつつある個体数。都市部に適応する生命力

今回キンランが見つかったのは、つくば市の中心市街地という「自然」と離れた場所だった。そこにキンランが咲く意味を、どう捉えればいいのか。質問に対し、県自然博物館の伊藤さんはこう話す。

茨城県自然博物館学芸員、伊藤彩乃さん

「私たちにとっての『(自然の)豊かさ』とは、原生林など人の手が加わっていない場所を想像するかもしれません。しかし、生き物の視点から見た時に、意外と都市の中にも、彼らにとって『豊か』な場所はあるのです」

「キンランが生きるために必要な条件は、ブナ科やマツ科の樹木、そこに寄生する菌類、適度に人手が加わり、光が届く場所。意外かもしれませんが、都市部にも、こうした植物にとって『良い』条件が整う場所が少なくないのかもしれません」

「街路樹や公園など、植栽された林が市街地には多いと思います。昔ながらの雑木林ではなく、街をつくった時に新たに木を植えたところです。そこにブナ科やマツ科の樹木を選んで植えることがあります。そうした場所に生えるキンランを、最近見るようになりました」

つくばの中心市街地で今回見つかったキンランを振り返ると、近くに松の木があったし、周囲の雑草は適度に刈られていた。伊藤さんがこう続ける。

「はっきりとした理由はわかりませんが、元々あった雑木林から飛んできた種子が発芽した可能性もありますし、植えられた樹木の根についてきた可能性もあります。キンランは、菌類との共生関係が必要です。持ち込まれた樹木と共生する菌類が活発であれば、キンランが発芽する条件は整います」

「人が作った環境に適応するキンランの姿を見ると、生き物としてのしたたかさを感じます」

見つけた人はどうすればいいのか?

希少動植物の中でも特に保護が必要とされる「国内希少野生動植物種」は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づき、個体の捕獲や譲渡が原則禁止され、違反すると罰則が適用される。しかし、キンランは法的な保護の対象には含まれていないものの、県は「茨城県希少野生動植物保護指針」で県民に対し、「自主的かつ積極的に取組みを進めること」を求めている。

では具体的にキンランに遭遇したとき、私たちはどうすればいいのか?

今回つくば市でキンランが確認されたのは、吾妻1丁目、NTT東日本茨城支店つくばビルの敷地内だった。NEWSつくばの問い合わせに同社は、こう回答している。

「キンランが生育している場所の状況から、囲い込み等の保護は行わず(囲い込みを行うことにより、かえってイタズラ等にあう可能性もあるため)、自然体で見守っていきたい。除草作業等時はキンランの花弁が落ちていたことを確認したうえで、球根を傷つけないよう配慮しつつ、来年以降も対応をとっていきたい」

茨城には、キンランの他に、キンランの一品種である「ツクバキンラン」もある。珍しさも手伝い、思わず自宅に持ち帰りたくなるかもしれない。それに対して伊藤さんはこう話す。

県自然博物館の敷地内に自生する「ツクバキンラン」

「(キンランの)数が減ってしまった要因に、花がきれいなために採集されてしまったということもあります。キンランは、樹木と菌類との共生関係が必要なので、持ち帰って鉢に植えても育つことはできません。それだけでは生きることができないのです。樹木や菌を含めた周囲の環境が整ってこその生き物です。なので、むやみに採ることはせずに、林のなかで咲いている姿を楽しみましょう。周りの環境と共に見守ってほしいと思います」。(柴田大輔)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

14 コメント

14 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

「桜のまち」研究学園の未来へ《けんがくひろば》18

【コラム・二木重光】つくば市研究学園駅前公園は、かつて日本自動車研究所の高速テストコースの一部に位置していた場所です。その歴史を今に伝えているのが、当時の所長さんらによって植えられた桜の木々です。春になると、やわらかな花びらが公園を包み込み、このまちの原風景ともいえる美しい景観を生み出します。新しい街でありながら、ここには確かに受け継がれてきた時間が息づいています。 しかし、その桜も長い年月を経て老木化が進んでいます。ここ数年だけでも病気や虫害の影響により、少なくとも6~7本が伐採されました。満開の華やぎの裏側で、静かに進む衰え…。 大切な風景が少しずつ失われつつある現実は、私たちに「守り、育て、つないでいく責任」を問いかけています。未来へ桜を手渡すためには、これまで以上に計画的な保全と、次の世代へと命をつなぐ取り組みが欠かせません。 そうした思いから、2026年2月17日、研究学園駅前公園の桜について、市公園施設課と意見交換の機会を持ちました。自動車研から引き継いだ桜の保存に努め、駅前公園を「桜の名所」として守り続けていくこと、さらに日本花の会・結城農場桜見本園の協力を得ながら、専門的な知見を取り入れて育成を進めていくことなど、方向性を共有することができました。 4月4日に「けんがくさくらまつり」 公園に残る「関山」「普賢象」「松月」「御衣黄」といった貴重な品種の系統を受け継ぐことは、単に樹木を残すことではなく、この地の歴史と記憶を未来へつなぐ営みでもあります。 研究学園エリアには、駅前公園だけでなく、学園の杜公園や調節池周辺に広がる千本桜など、春を楽しめる場所が広がっています。それらを点ではなく線として結び、面として広げていくことで、「桜のまち」という新たな魅力がより確かなものになるでしょう。 今年も、桜の季節を彩る「けんがくさくらまつり」が4月4日に開催されます(雨天時は4月5日)。会場は研究学園駅前公園古民家周辺。主役は地域の皆さんです。ステージでは音楽が響き、会場には絵画や書道の展示が並びます。子どもたちに人気の消防車の展示や、けん玉や竹馬などの昔あそびも予定されています。世代を超えて笑顔が交わり、桜の下で思い出が重なっていく1日になることでしょう。 桜は、まちの記憶であり、人々の心に季節を届ける存在です。守る人がいて、楽しむ人がいて、未来へと願う人がいる。その積み重ねが、風景を育てます。今年の春もまた、研究学園の桜が、多くの人の心にやさしい彩りを添えてくれることを願っています。(けんがく活動団体連絡会 委員)

震災15年、原発事故を忘れない つくばで集会

東日本大震災と福島第1原発事故から15年を迎えた3月11日、つくば駅前のつくばセンター広場(同市吾妻)で市民集会「さよなら原発 守ろう憲法 昼休み集会&パレード」(安倍9条改悪NO!市民アクションつくば連絡会、東海第二原発いらない首都圏ネットワークつくばなど主催)が開かれた。被災地からの避難者や市民団体の関係者らが登壇し、事故の記憶を語り継ぐことや原発政策、平和について考える必要性を訴えた。 集会の後、「原発再稼働反対」「東海第2原発の廃炉」「再生可能エネルギーへの転換」「いのちと暮らしを守る政治」などを求めるアピール文が参加団体により採択され、参加者ら70人余りがつくば駅周辺をパレードした。 「今も帰れない人たちがいる」 震災後、福島県双葉町から埼玉県加須市へ避難した鵜沼久江さんは、震災直後の混乱を語った。地震発生から2時間後に自主的に避難を始めると、その日のうちに福島第1原発事故による緊急事態宣言が発令され、原発から約3キロ圏内に避難指示が出た。12日早朝には半径10キロに拡大された。その日から15日にかけて、車中泊や避難所を転々とする生活が続き、その間に原発では3度の爆発が起きた。「何が起きているのか分からないまま避難していた」と振り返った。 避難後は埼玉県の高校などに身を寄せ、生活環境の違いから戸惑いも多かったという。双葉町に戻ったときにできることを考え、野菜づくりを学んだが、「15年経っても町に戻って昔のように生活することはできない」と語った。避難生活の中で夫を食道がんで亡くし、自身も昨年心筋梗塞を経験。「原発事故を二度と起こさないために何をすべきかを考えながら生きている」と話した。 また、東海第2原発が立地する東海村から参加した大名章文さんは、村での複雑な状況を語った。東海村は1997年の動燃火災爆発事故や1999年のJCO臨界事故を経験しており、「福島の事故を見て多くの住民が不安を抱えていた」と説明した。 一方で、昨年2月閣議決定された第7次エネルギー基本計画で政府が原発の最大限活用を掲げたことで村の雰囲気が変わったとし、「村民の多くが関連企業で働く中、反対の声を上げることが生活を脅かすかもしれないという恐れがある」と指摘。「言いたいことがあるのに言えない、不安はあるのに表に出せない沈黙の重さがある。だが沈黙は決して同意ではない」と述べ、避難計画など住民の安全確保への問題が解消されない再稼働を認めるわけにはいかないと、反対の立場を示した。 つくば市の市民団体「憲法9条の会つくば」共同代表の石上俊雄さんは、現在も4万2000人以上が自宅に戻れない状況にあることに触れ、「命を守る社会を考える上で、憲法の問題とも向き合う必要がある」とし、防衛費の増加や、ベネズエラやイランでの軍事衝突に言及し、「武力による平和はありえない。対立をもたらし、突発的な戦争の危険を高めるもの。外交や国際協力こそが本当の抑止力だ」と述べ、憲法9条の意義を強調した。 同じく憲法9条の会つくばの阿部眞庭さんは、「福島第1原発事故により今も帰還できない人が多くいる」とし、「被災地で困難な状況にある人がまだたくさんいるのに、政府は原発の再稼働や新増設を進めようとしている。原発は弱い人たちを犠牲にした国策。震災と原発事故を忘れないこと、そして一人一人が考え、行動することが大切だ」などと呼び掛けた。(柴田大輔)

学生宿舎値上げめぐり紛糾 筑波大 大学側の強行姿勢に学生ら批判や撤回要求

平均1.4~1.5倍に 筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)が今年4月1日から実施するとしている学生宿舎の寄宿料値上げをめぐって、大学側の強行姿勢に学生や卒業生らから批判が高まり、学生たちから値上げ撤回を求める動きが相次いでいる。 値上げ幅は平均で1.4倍から1.5倍近くで、最大2.1倍。金額ベースでは7210円から最大で4万8750円の値上げになる。学生宿舎の居室は全部で3517室あり、例年新入生の約4割が入居している。賃料と分離して新たに共益費8600円を徴収する。 昨年12月10日、大学側が学生たちに向け、学内情報システムの掲示板で値上げを発表した。宿舎賃料値上げは2008年にも実施されたが、値上げ公表後に学生への意見聴取会を3回行うなど約2年かけて丁寧に実施した。しかし今回は発表が値上げの約4か月前と突然だ。 12月10日の発表について、複数の筑波大生は「事前予告も何も無かった。大学から『決定事項』と伝えられた」といい、大学公認の学生代表組織「全学学類・専門学群・総合学域群代表者会議」(全代会、大学の学生会や学生自治会に相当)にも大学側から事前通告は無かったと話す。 大学側が昨年12月発表した「学生宿舎寄宿料改定のお知らせ」によると、値上げの理由は▽維持管理費および光熱水費の高騰▽宿舎施設の老朽化に伴う修繕費の増加▽生活環境の維持、向上のための設備更新(居室へのエアコン設置)など。 大学の発表を受けて全代会は12月中、急きょ全学生を対象にアンケートを実施。回答した831人のうち現在宿舎に住んでいる学生が512人と約60%を占めた。 アンケート結果は、82%が通知時期について「遅かった」と答え、宿舎に住む学生に限っては83%が「通知が遅かった」と回答した。 宿舎に住む学生への質問では、大学への要望(複数回答)として、値段の維持(65%)▽値上げ幅の縮小(50%)▽学生との合意形成(36%)▽値上げの延期(34%)▽宿舎設備の改善(29%)と、値上げの凍結や値上げ幅縮小、値上げ延期を望む意見が多く寄せられた。 アンケート結果を受けて全代会は、今年1月7日付で学生担当の千葉親文副学長に対し▽値上げについて学生と議論を通じての合意の形成▽寄宿料、共益費の値上げを2027年4月1日まで延期▽経済的に困窮している学生に対して、援助の方法を用意し周知を行うことによって保護を与えること―の計3項目からなる要請書を提出した。 全代会とは別に、学生有志の団体「筑波大問題を考える会」も永田学長宛てに、値上げに関する事項などの質問状を提出している。 録音録画やSNSでの公表禁止 こうした状況を受けて1月20日、大学構内で初の学生向け説明会が行われた。学生によると、約4時間にわたり紛糾したが、説明会に関する録画録音やSNS上での公表禁止など、内容を非公開とすることを求められた。 その後2月15日、同大学OBで人権派弁護士として知られる指宿昭一弁護士が、筑波大生有志から相談を受け、説明会のやりとりの内容を自身の弁護士事務所の公式サイトで公表した。 公表文書などによると、千葉副学長は説明会では終始高圧的な態度で「学生さんが入る会議とか、ミーティングっていうのは存在しません」などと、学生軽視ともとれる発言をしたという。また賃貸住宅・アパートなどに住む借主の権利を定めた借地借家法の適用に関し「借地借家法の適用はノーです」などと話したという。 さらに、全代会が1月7日付で出した値上げ延期などを求める要望については、対応は行わない旨の発言があったという。 内容公表に踏み切った指宿弁護士はサイト上で「学生の言論の自由に対する不当な制限であり、憲法21条1項に違反する人権侵害行為」だと、外部への公表禁止を強いた大学当局を強く批判した。その上で今回の賃料値上げを「学生の生活の基礎となる寄宿料を一方的にしかも大幅に値上げすることは許しがたいことであり、しかも、その説明会の内容について批判する言論すら封殺するという行為は真理探究の場である大学がやってはならないこと」と、反対の姿勢を示した。 その後、2月16日に2回目の学生向け説明会が実施された。出席した学生によると、2回目は前回と違って副学長の態度は丁寧だったが、説明内容は前回と同じで、値上げ時期の延期や値上げ額の見直しは無かったという。NEWSつくばは取材を申し込んだが、大学側は「学内の事なので」などの理由で説明会の取材を拒否した。 学生有志が「撤回求める会」結成 大学側の強硬姿勢に対し、学生有志らは「筑波大学学生宿舎寄宿料増額の撤回を求める会」を結成。3月2日に大学側に賃料値上げ撤回や値上げ延期を求める要求書と交渉申入書を提出した。 申入書は、賃料値上げ撤回や値上げ実施延期の他に、学生宿舎入居者代表や全代会との協議や同意なしで値上げを行わないことや、学生が申し入れをしたことを理由に学業や生活上の不利益を一切与えないことの確約などを求めている。 同会代表の男子大学院生(22)は取材に対し「決して世間知らずの学生が騒いでいるわけではなくて、今回の(賃料値上げ)問題は大学の自治のあり方、運営費交付金を巡る国の教育施策のあり方にもつながってくる問題」だと話す。 同会ではネット上で署名活動も展開しており、同会の大学院生は「関心のある方は署名してくださるとうれしい」と呼び掛けている。 同会の申し入れに対し、同大広報局は取材に「学生からの要望について、大学の対応状況は公表しておりません」と回答している。(崎山勝功) 【メモ】学生宿舎は民間アパートと違い、敷金礼金などの費用や保証人、家賃保証会社の保証が不要で、初期費用が保証金3万円と入居月分の賃料で済むことから、地方出身の学生や外国からの留学生などの需要が大きい。ただしどの宿舎に入居するかは学生本人が選べないため、設備が古い宿舎に入居する事もあるという。▽4月1日からの値上げでエアコン未設置の居室については、エアコン設置までの間は月々の賃料から2500円を減額する。▽値上げ幅が最大の「ショートステイハウス一の矢32・33号棟」には、身体障がいを持つ学生向けのバリアフリー対応居室があるといい、筑波大生によると「つくば市内でも(民間アパートの)エレベーター付き物件は極めて少なく、電動車いすでの入居は困難」という。

がん治療で読んでおきたい本《ハチドリ暮らし》59

【コラム・山口京子】がん治療をする上で知っておきたい情報が整理されている3冊の本を見つけました。 最初のお勧めは「国立がん研究センターの がんになったら手にとるガイド」(国立がん研究センター・がん対策研究所著、小学館クリエイティブ)です。がんと診断されてからの検査、治療、生活、仕事、お金、体験談などがまとめられており、これからどうなるのだろうという不安に対して、見通しを立たせてくれる本です。 次のお勧めは「専門医が教えるガン克服の21カ条 ガンとわかったら読む本」(佐藤典宏著、マキノ出版)です。医師からがんと告知されたあと、患者本人がどのような選択をするのかによって治療の進展が違ってくるので、標準治療、非標準治療、西洋医学、東洋医学などにこだわらず、自分がよいと信じる治療法を組み合わせることがよいと書かれています。 また、告知されたときに知っておくべきこと、手術前にしておくべきこと、手術後に心がけるべきことなど、貴重なアドバイスが載っています。 恐ろしい「多重複合汚染」 3冊目は「がん患者3万人と向きあった医師が語る正直ながんのはなし」(西尾正道著、旬報社)です。この本では、がんと医療の問題を考える一つのきっかけとして、近藤誠医師(がん放置療法の提唱者)の主張の誤りを指摘しつつ、日本の医療の問題点を述べています。 また、放射線によるがん治療の意義と今後のがん医療の在り方、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が日本の医療や食物の安全に与える影響、福島原発事故による放射性物質が健康に与える影響、低線量被ばくがもたらす健康被害などが語られます。 さらに、化学物質と放射性物質の「多重複合汚染」が子どもの発達障害の原因ではないかとの脳神経科学者・黒田洋一郎氏の指摘を読むと、がんの増加やさまざまな病気の原因に「多重複合汚染」があるのではないかと考えてしまいます。そして、放射線の核種と線量の公開を求めるなど、福島原発事故対策のあり方を明記しています。 1945年の原爆投下以来2000回以上と言われる核実験、チェルノブイリ原発事故、福島原発事故などで、健康被害が静かに進行しているのでは!(消費生活アドバイザー)