休止していたつくば市吉瀬の陶芸工房に、再び火がともることになった。4日から体験教室をスタートさせたKISE(キセ)ポッタリィ(根本陽子代表)。新任の先生はアートセラピー講師でもある陶芸作家、大久保シェリルさんらで、ウィズコロナの時代に、粘土と向き合う豊かな時間を提供する。
体験陶芸は手びねりがメーン。初心者向きにコイル(ひもと作り輪に積んで器状にする)、ピンチ(粘土の塊をくりぬく)、スラブ(板状の粘土を成形する)についてそれぞれ手ほどきする約2時間の工程。経験者向けにロクロのコースも用意した。
体験の後、陶器は乾燥期間をおいて素焼きし、釉薬(ゆうやく)を塗って仕上げるまで3~4週間程度かけて制作者の元に届く。毎週土・日曜に午前・午後の2回(要予約)開催するほか、会員になると毎週水曜日の午後2時間程度、工房を利用できる。
代表の根本さんによれば、「コロナ禍の1年、心静かに土と向き合う趣味として陶芸熱が次第に高まるのを感じた。約4年休眠させてしまった施設(陶芸舎)があったので、まずは初心者向け、少人数制の体験陶芸から再開させることにした」という。
ドリームズ カム トゥルーの場所
体験陶芸の指導には3人の女性講師があたるが、中心になるのは大久保シェリルさん。かつて陶芸舎の施設を利用し制作に励んでいたこともあったが、土浦市宍塚のアトリエに拠点「HEARTH(ハース)」を構えて活動するようになった。
米国ネブラスカ州出身、ニューメキシコ大学の修士課程で美術教育とアートセラピーを専攻していたとき、筑波大学出身のご主人と出会い、結婚して来日した。主に英語講師として働き日本在住は28年になるが、近年では筑波大学で「アートセラピー入門」を担当する。患者が描画などの芸術表現を通じ、心身の健康を取り戻す療法の日本では数少ない専門家だ。
その陶芸との付き合いは、高校生のときにロクロに触って以来で40年になる。最近は「練り込み」という技法に興味を持って作品を作っているが、身近に使える窯を探して陶芸工房再開の話を聞き再訪した。「ここにはスラブローラーっていう成形機もあれば、木から切りだした長いテーブルもある。何でもそろっていて、まさにドリームズカムトゥルー(夢は叶う)の場所」と講師を買ってでた。
大久保さんは「粘土に触っていると地球の柔らかさを感じる」といい、体験陶芸を通じその気持ちよさを多くに伝えたいと語る。
体験陶芸の開催日程や料金など詳細はKISEポッタリィのホームページまで。講師や生徒の作品を展示、販売するオンラインストアも設けている。(相澤冬樹)