水曜日, 10月 27, 2021
ホーム つくば アライグマ対策追い付かず 捕獲数13年で166倍超、防除は住民任せ

アライグマ対策追い付かず 捕獲数13年で166倍超、防除は住民任せ

茨城県の「第2次アライグマ防除実施計画」が31日に期限を迎える。特定外来生物に指定されるアライグマは、「生態系への被害防止のため最終的には野外からの完全排除を目標として防除を行う」とする県の説明の一方で、防除対策は住民に任され増加に歯止めはかかっていない。次年度以降の対策はどうなるのか。県は「4月中旬頃を目安に正式な公表を予定」していると説明する。

9頭が1499頭超に

2月末の段階で、今年度に県全体で捕獲されたアライグマは1499頭。増加傾向が顕著になった2007年度は、わずかに9頭だった。茨城で初めて野生のアライグマが観測されたのが1994年。個体数の増加とともに生息域も広がった。

国により2009年「特定外来生物」に指定されたアライグマは、生態系への影響が強く危惧され、対策の緊急性が高いことから、2016年には「緊急対策外来種」のリストにも載った。県内ではつくば市、土浦市を含む12自治体が、最もアライグマが定着しているとの想定から「重点防除対応地域」になっている。「防除」とは、「予防と駆除」を同時に行うことを意味する。

県によると農業関連の被害額は、2019年度が約855万円。被害が顕著なイノシシによる被害額が9000万円であることに比べるとまだ少ない。全国的には2000年に3600万円だったものが、2018年は3億7500万円に増えている。

県は2010年、アライグマ防除実施計画を策定し対策を進めてきた。2016年には改めて5カ年間の「第2次アライグマ防除実施計画」を再策定した。その間も、捕獲された個体数は増加の一途をたどっている。

「科学的データが不足」

「防除計画」の課題として、県自然環境課自然・鳥獣保護管理グループは取材に対し、個体数を減少させるための科学的データが不足しており、引き続き防除と情報収集に努めると回答した。また今後の改善点として、行政の取り組みを充実させるとした上で、「住民自らによる捕獲と予防管理の実施」について、地域住民へ一層の周知拡大を図るとする。さらに「従来からの捕獲従事者の養成等を継続し、防除の体制の整備拡充を進めたい」と展望を述べた。

アライグマ駆除には狩猟免許が必要ないが、捕獲するには「防除作業従事者」になる必要がある。県が例年7月ごろに開催する講習会へ参加し、安全確保の講義やわなの組み立て実習などを経て、市町村の「従事者」として防除作業に臨むことになっている。

行政は捕獲用の檻を貸し出し、捕獲した個体を引き取る程度の役割で、捕獲自体は市民の自主性に任されている現状がある。

市街地からも駆除依頼顕著に

日本で野生化したアライグマが最初に確認されたのは1962年。全国的な広がりのきっかけは、1970年代に放映されたアニメによるペットブームだという説がある。以降、2006年までに全都道府県で確認されている。

アライグマやハクビシンの被害を受けたことがある岩瀬明さんの農地=つくば市内

つくば市の猟友会桜支部長、岩瀬明さん(72)は、アライグマを含めた野生動物増加の要因を、農村部の高齢化と人口減少、社会構造の変化が関連し合うと話す。手入れの行き届かない山林や耕作放棄地が増え、野生動物が住み着いた。それにより獣害が増えることで、さらに離農する人が増えるという悪循環を指摘する。

水戸市を拠点に活動する「衛生害虫獣駆除サービスたいじ屋」の渡辺一之さん(57)は、駆除依頼ケースの変化を話す。高齢化により家主を亡くした空き家に住み着く野生動物への依頼が増えているのだ。依頼は農村部だけでなく、市街地からも顕著になっている。また、駆除現場からの実感として、増加する「餌」の存在も指摘する。空き家敷地内に放置される樹木に実る柿や栗などの果実、農地に積み上げ遺棄される農作物などがある。

アライグマ対策は、県の防除計画をもとに市町村が現場に応対する。自治体によって対応に「熱量の差」があると渡辺さんは指摘する。アライグマは生後1年で、4月ごろから複数の子どもを出産する。このため、春から夏の捕獲圧を上げることが生息数を減らすのに効果的とされるが、講習会の開催時期が7月ごろで適切なのか。捕獲許可申請の迅速さ、担当職員の情報収集力など、行政の当事者意識が、多角的な対応を必要とするこの問題解決の鍵になる。(柴田大輔)

➡イノシシ被害の記事はこちら

衆院選にあたり、当選させない目的で候補者に関する虚偽の事実の投稿、あるいは名誉毀損や侮辱等に当たる投稿を行った場合には、法令違反となり刑事罰に問われる場合があります。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

「こも豆腐」を作ってみた 《県南の食生活》30

【コラム・古家晴美】10月に入っても関東では所々で30度以上になったというのに、近畿地方では23日に木枯らし1号が吹いたそうだ。秋が短くなってしまったのか…。街路樹の木々が慌てて紅葉しているように感じられる。 今回は、かすみがうら市歴史博物館のご好意でいただいた貴重なわらを使い、何か作りたいと思った(当初、納豆のつもりだったが、それは次回のお楽しみ)。 ということで、「こも豆腐(つと豆腐)」を取り上げる。 作り方は、藁苞(わらづと)を作り、そこに崩した豆腐を詰め、豆腐の周囲にわらを均等にめぐらせ、両端を縛る。これを大鍋でゆでた後、水に放して冷やし、わらを剥がす。この後、砂糖、醤油、みりん、酒で煮る。 一見、シンプルに見えるが、実際に作ってみると、苞(つと)に豆腐を入れてうまく形をつけるのが結構難しく、往生した。しかし、思わぬご褒美も手に入れた。ゆでているときに、何気に鍋の上に顔を寄せると、かすかに懐かしい香りがした。何の香りかとしばし頭を抱えたが、それはご飯の炊きあがりのときの湯気を連想させたのだ。 わらとご飯。稲を介しての結びつきは当然といえば当然だが、なぜか、少し胸が熱くなった。写真のこも豆腐は味付けをする前のもので、薄茶色は、わらの色だ。 ほのかなわらの香りと特徴的な形

バドミントン女子団体で日大中等が優勝 土浦市中学校新人大会  

2021年度土浦市中学校新人体育大会が26日から4日間の日程で開催されている。バドミントン競技は26日、土浦六中体育館で女子の団体戦と個人戦が行われ、団体戦では土浦日大中等教育学校が初優勝を果たした。個人戦シングルスは矢吹優来さん(日大中等2年)、ダブルスは久家悠里さん・秋元優菜さん(新治学園2年)が優勝した。 団体戦は土浦四中、土浦六中、日大中等の3校がリーグ戦を行い、日大中等が2勝を挙げて優勝を決めた。「毎年最下位だったので一つでも上の順位が取りたかった。コロナ禍で全く練習できず、一発本番でむちゃくちゃ緊張した」と主将の矢吹さん。「2試合とも相手チームの方が人数が多く、応援のパワーに押されそうになった。また団体戦は初めての子もいて、最初はみんなに迷惑をかけたくないと緊張していたようだが、だんだん自分の力を出せてきた」と話す。 チームの自慢は、中高一貫校なので高校年代の先輩と一緒にハードな練習に取り組んでいること。「シャトルランやフットワークなど、みんなが嫌いなトレーニングをみっちりやる。技術面はノックを中心に基本を徹底的に反復。初心者が多いが練習についてきてくれれば上の大会を目指せる」と顧問教諭の佐藤創一さん。 団体戦優勝の土浦日大中等チーム 個人戦は3校および新治学園からシングルス22人、ダブルス20チームが出場。予選リーグおよび決勝トーナメントで勝敗を競った。シングルス優勝の矢吹さんは「今年がチャンスと思い練習を続けてきたので、優勝できてめちゃくちゃうれしい。緊張で震えが止まらず精神統一できなかったが、よく動けたし凡ミスも少なかった」と振り返った。 市中体連バドミントン専門委員長の張替浩明さんによると、ここ数年バドミントンの人気は高まり、入部者の数も年々増えているという。(池田充雄)

吾妻70街区にイノベーション拠点など誘導 財務省とつくば市が土地活用意向調査

つくば駅近くの、つくば市吾妻2丁目70街区の国家公務員宿舎跡地約5.7ヘクタールの土地利用について、土地所有者の財務省関東財務局は26日、つくば市と共同で、70街区全体を対象とした民間事業者の意向調査(サウンディング型市場調査)を実施すると発表した。市学園地区市街地振興課によると、市内の公務員宿舎跡地の売却でサウンディング調査を実施するのは初めて。 市内で公務員宿舎跡地の処分が進む中、70街区はつくば駅に近接する大街区であることから、つくば市は中心市街地まちづくり戦略で、住宅だけでない複合的な都市機能の誘導を目指し「研究学園都市の研究成果や人材の集積を生かした交流の場や、新モビリティサービス、住民サービスのデジタル化など最先端の技術を街区単位で実現できる社会実装の場となるようなイノベーション拠点の形成など、様々な誘導施策を検討する」と位置付けている。 イノベーション拠点などを70街区に誘導することを検討するにあたって、民間事業者から意見を聞き、意向を把握した上で、民間のアイデアやノウハウを生かして事業化を目指す。 今回の調査は、土地活用の実施主体となる意向がある事業者または事業者グループを対象に実施する。つくば市の計画ではイノベーション拠点の整備を検討すると位置付けているが、市の計画にとらわれず広くアイデアを募集する。 70街区の土地処分の方法は、売却、定期借地いずれの場合も、今回の意向調査結果をもとに開発の条件をあらかじめ設定する。さらに入札参加者から土地利用の企画提案書を提出してもらい、国が設置する審査委員会で開発条件との適合性を審査した上で、審査通過者による価格競争で落札者を決定する「二段階一般競争入札」とするという。ただし意向調査結果によっては入札方法を変更する場合もある。 意向調査の参加申し込み受け付けは26日から12月10日まで。土地活用の方針、活用方策、事業者が参加しやすい仕組みなどについてアイデアを受け付ける。その後、12月13日から22日まで参加事業者から直接聞き取りなどを実施し、来年2月から3月に調査結果を公表する。土地売却をいつ実施するかなど、その後のスケジュールは現時点で未定という。

岸田首相がつくば駅前で応援演説 衆院選

自民党総裁の岸田文雄首相が26日、接戦が伝えられている衆院選茨城6区の自民党候補者の応援のためつくば市を訪れた。つくば駅隣接の商業施設クレオ前で演説し、集まった支持者らにコロナ対策や経済政策などを訴えた。 岸田首相は「日本の未来を選ぶ選挙。皆さんの信任をいただき日本の明日を切り開いていきたい」と述べ、コロナ対策について「皆さんの協力のお陰で今(感染者数が)低く抑えられているが、引き続き最悪の事態を想定しながら準備しておかなくてはいけない。病床数を用意し、ワクチン接種の拡大、検査体制の充実、治療薬の開発を進めていく」と述べた。 ワクチン接種については「2回目接種率が70%に乗った。アメリカ、フランス、ドイツに比べても上回っている。12月から3回目の接種をスタートさせる」とした。検査体制は、無料のPCR検査体制をつくり、薬局で検査キットを購入できるようにするなどと述べた。治療薬については「自宅で飲める治療薬をつくる体制を、年内の実用化を目指して努力していきたい。自宅で飲める治療薬が実用化されたら、検査で陽性が分かったらすぐ薬が飲める、不安に思ったらどんどん検査しようと思う、重症化を防ぐことにつながる、平時の社会を取り戻す一歩になる」と強調し、「治療薬が実用化されるまでは皆さんに協力をお願いするが、皆さんの仕事を守るための大型の経済対策を用意させていただく」と話した。 経済対策については「平時の生活を取り戻した先に再び経済を動かしていかなくてはならない」とした上で、「新しい時代の経済は、競争や市場原理に任せると強い者がどんどん強くなって、大きな企業、大きな都市がどんどん強くなる、成長の果実を強い者が独占するのではなく、一人一人の給料を引き上げる経済政策を進めていきたい」などと訴え、支持を求めた。