土曜日, 10月 24, 2026
ホームつくばアライグマ対策追い付かず 捕獲数13年で166倍超、防除は住民任せ

アライグマ対策追い付かず 捕獲数13年で166倍超、防除は住民任せ

茨城県の「第2次アライグマ防除実施計画」が31日に期限を迎える。特定外来生物に指定されるアライグマは、「生態系への被害防止のため最終的には野外からの完全排除を目標として防除を行う」とする県の説明の一方で、防除対策は住民に任され増加に歯止めはかかっていない。次年度以降の対策はどうなるのか。県は「4月中旬頃を目安に正式な公表を予定」していると説明する。

9頭が1499頭超に

2月末の段階で、今年度に県全体で捕獲されたアライグマは1499頭。増加傾向が顕著になった2007年度は、わずかに9頭だった。茨城で初めて野生のアライグマが観測されたのが1994年。個体数の増加とともに生息域も広がった。

国により2009年「特定外来生物」に指定されたアライグマは、生態系への影響が強く危惧され、対策の緊急性が高いことから、2016年には「緊急対策外来種」のリストにも載った。県内ではつくば市、土浦市を含む12自治体が、最もアライグマが定着しているとの想定から「重点防除対応地域」になっている。「防除」とは、「予防と駆除」を同時に行うことを意味する。

県によると農業関連の被害額は、2019年度が約855万円。被害が顕著なイノシシによる被害額が9000万円であることに比べるとまだ少ない。全国的には2000年に3600万円だったものが、2018年は3億7500万円に増えている。

県は2010年、アライグマ防除実施計画を策定し対策を進めてきた。2016年には改めて5カ年間の「第2次アライグマ防除実施計画」を再策定した。その間も、捕獲された個体数は増加の一途をたどっている。

「科学的データが不足」

「防除計画」の課題として、県自然環境課自然・鳥獣保護管理グループは取材に対し、個体数を減少させるための科学的データが不足しており、引き続き防除と情報収集に努めると回答した。また今後の改善点として、行政の取り組みを充実させるとした上で、「住民自らによる捕獲と予防管理の実施」について、地域住民へ一層の周知拡大を図るとする。さらに「従来からの捕獲従事者の養成等を継続し、防除の体制の整備拡充を進めたい」と展望を述べた。

アライグマ駆除には狩猟免許が必要ないが、捕獲するには「防除作業従事者」になる必要がある。県が例年7月ごろに開催する講習会へ参加し、安全確保の講義やわなの組み立て実習などを経て、市町村の「従事者」として防除作業に臨むことになっている。

行政は捕獲用の檻を貸し出し、捕獲した個体を引き取る程度の役割で、捕獲自体は市民の自主性に任されている現状がある。

市街地からも駆除依頼顕著に

日本で野生化したアライグマが最初に確認されたのは1962年。全国的な広がりのきっかけは、1970年代に放映されたアニメによるペットブームだという説がある。以降、2006年までに全都道府県で確認されている。

アライグマやハクビシンの被害を受けたことがある岩瀬明さんの農地=つくば市内

つくば市の猟友会桜支部長、岩瀬明さん(72)は、アライグマを含めた野生動物増加の要因を、農村部の高齢化と人口減少、社会構造の変化が関連し合うと話す。手入れの行き届かない山林や耕作放棄地が増え、野生動物が住み着いた。それにより獣害が増えることで、さらに離農する人が増えるという悪循環を指摘する。

水戸市を拠点に活動する「衛生害虫獣駆除サービスたいじ屋」の渡辺一之さん(57)は、駆除依頼ケースの変化を話す。高齢化により家主を亡くした空き家に住み着く野生動物への依頼が増えているのだ。依頼は農村部だけでなく、市街地からも顕著になっている。また、駆除現場からの実感として、増加する「餌」の存在も指摘する。空き家敷地内に放置される樹木に実る柿や栗などの果実、農地に積み上げ遺棄される農作物などがある。

アライグマ対策は、県の防除計画をもとに市町村が現場に応対する。自治体によって対応に「熱量の差」があると渡辺さんは指摘する。アライグマは生後1年で、4月ごろから複数の子どもを出産する。このため、春から夏の捕獲圧を上げることが生息数を減らすのに効果的とされるが、講習会の開催時期が7月ごろで適切なのか。捕獲許可申請の迅速さ、担当職員の情報収集力など、行政の当事者意識が、多角的な対応を必要とするこの問題解決の鍵になる。(柴田大輔)

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次期学長予定者に永田氏を再任 筑波大 在任17年と長期に

筑波大学(つくば市天王台)は23日、任期満了に伴う次期学長予定者に永田恭介氏(72)を再任したと発表した。次の任期は来年4月から2030年3月末までの3年間。永田氏は2013年4月から同大の学長を務めており、次の任期を含めると在任期間は17年と長期に及ぶ。 同大では2020年の学長選考で、これまで最長2期6年とされていた学長任期の上限を撤廃した(20年10月21日付、23年3月27日付)。前回23年は、学長選考は行わず、学長選考・監察会議の再任審査で永田氏が再任された(23年10月25日付)。 再び再任が決まったことを受けて23日、永田学長が記者会見し、カリキュラム改革や入試改革などの所信を改めて説明した。大学院までを見据えた3+3/3+4制(学群を3年で早期卒業し大学院を3年または4年で修了する)などのカリキュラム改革や、大学院課程を学位プログラムに移行したのに続く、学類の学位プログラム化など学群学類/大学院の組織の見直し、さらにAIの発展や留学生の増加を見据えた入試改革などについて必要性を話した。 在任期間が17年と長期に及ぶことについては「いけないことと、いいことの両方がある」とし、いいことして「ステークホルダー(利害関係者)とのやりとりが充実し、社会のいろいろな層と密接に意見交換できる」と強調した。 次期学長選考をめぐっては、9月に学長候補者の推薦を受け付けたところ、推薦があった候補は永田氏一人だった。10月22日、同大学長選考・監察会議(河田悌一議長)を開いて本人面談などを行い、次期学長予定者に決定した。永田氏は、筑波大学が未来構想大学(研究型総合大学)となる目標を掲げ、数々の学内改革を実行してきたこと、さらに永田氏が主導した、筑波研究学園都市の大学と研究機関が連携する筑波研究教育共創体(3月23日付)は、大学の研究と教育の在り方を大きく変えうる、類いまれで先進的な取り組みとして期待できることなどが理由という。 一方、9月の推薦受付に先立って、同大では、教職員の意見聴取(意向投票)が行われた。筑波学生新聞によると、意見聴取の候補者は永田氏一人で、結果は、永田氏が1460票だったのに対し、白票が922票だった。 同大学長選考・監察会議会議は、意見聴取の結果について、公表しないとしている。 永田学長は、意見聴取で白票が多かったことについて「白票の意味には、反対と分からないの二つの意味があるが、(理事や各組織長などで構成する教育研究評議会からの)推薦者名簿は、1組織を除いてすべての組織長が賛同してくれたが、現場の教職員にまで思いが届いてないということだと思う」と述べ、「去年から、上の人を除いて、各部局の希望者全員が集まって意見交換する場を設けており、白票の意味を変えていけると思う」などと話した。(鈴木宏子)

データセンター建設ガイドラインを策定 つくば市

住民説明会を100メートル以内に限定など課題も つくば市大穂の元公有地に、外資系不動産開発会社グッドマンジャパンが国内最大級のデータセンター建設を計画している問題で、つくば市は22日、「データセンターの建設及び運営に関する地域共生ガイドライン」を策定したと発表した。 排熱や騒音、水利用などについて、周辺住民から環境や生活への影響を懸念する声が出ている中、周辺環境に配慮し地域住民の理解を得ながら事業を進められるよう、市が事業者に求める事項を示した。策定は21日付。東京都、江東区、日本データセンター協会のガイドラインを参考にした。市は今後、同ガイドライン基づき、市と事業者による協定締結を目指すとしている。 一方、指針であるため、法的強制力はない。さらに桁違いの電力使用や排熱など「新しい公害」と言われる大規模データセンターの建設に対し、住民説明会の対象を敷地境界から概ね100メートル以内の居住者と土地所有者に限定している。周辺環境への影響については数値目標などは示さず「影響を最小限にとどめる」「法令を遵守する」という表現にとどめるなど、周辺住民の不安に応えられるのか、課題もある。策定にあたって市は、周辺住民へのヒヤリングなどは実施していない。 オープンハウス型説明会を1週間以上 住民への情報提供について同ガイドラインは、敷地境界から100メートルより外側に住む住民への説明については、「オープンハウス型説明会を1週間以上開催」するとしている。開催期間中はだれでも自由な時間に来場し、展示してあるパネルや会場に置いてある資料を見て回りながら、スタッフに1対1で質問する説明方法だ。住民説明会の開催を100メートル以内と限定した理由について市は、同市の開発行為の手引きや江東区のガイドラインを参考にしたとしている。 地域住民が最も懸念する周辺環境への影響に対しては▽排熱に伴う周辺環境や住民生活に及ぼす影響を最小限にとどめるため、排気設備の設置位置や排熱の排出方法に工夫を施すなどの対策を講じる▽騒音・振動対策は、法令基準を遵守し、周辺環境への騒音や振動を最小限に抑える▽排煙については、非常用発電機は大気汚染防止法の排出基準の適用外だが、基準を遵守する▽排水は、基準を遵守し、薬品等が河川や地下水に漏えいしないよう適切な対策を講じるーなどとしている。 ほかに▽電力・エネルギー対策として、原則として100%再生可能エネルギーを利用し、市内で発電されたエネルギーを優先的に調達するための対策を講じる▽研究機関と連携し、例として、環境影響評価やモニタリングなどについて研究機関の協力を得て課題解決を図る、などとしている。(鈴木宏子)