木曜日, 7月 23, 2026
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オオシマザクラのはなし 《令和楽学ラボ》12

【コラム・川上美智子】今年は桜の花の開花が早く、各地から垂れ桜やソメイヨシノの花便りが届いています。ここ茨城県でも既に桜が満開になっているところもあります。

今から10年ほど前、桜の名所である日立市の依頼で、大学の研究室では「オオシマザクラ」の研究に取り組みました。オオシマザクラは、日本に自生するサクラ野生種の1つで、日本の固有種とされ、交雑しやすいため多くのサクラ栽培種の原種となっています。

例えば、明治初期に誕生したソメイヨシノも、DNA解析からオオシマザクラを父に持つことがわかっています。また、オオシマザクラを母種とするサクラも多数あり、これらはサトザクラ群と言われています。原木は木炭や浮世絵の版木、茶筒などに使われてきました。葉は滑らか、無毛で食べやすいところから、桜餅の葉として利用されてきました。花びらは白色でソメイヨシノよりやや大きく、4月ごろ、新葉が出る時期に咲くのが特徴です。

日立市のオオシマザクラは、日立銅山の歴史と深い関係にあり、新田次郎原作・松村克弥監督の映画「ある町の高い煙突」にそれが描かれています。明治後期、銅の製錬による煙害(2酸化硫黄の発生)が大きな問題となり、煙害に強い樹木としてオオシマザクラが採用され、植樹が始められました。

大正4年(1915)に大煙突が建てられるまで、数万本のオオシマザクラの苗木が伊豆大島から移植され、さらに耐煙樹種研究のために作られた農場では、苦心の末、120万本の苗木栽培が行われたと言います。その後、オオシマザクラの苗木にソメイヨシノの苗木の接ぎ木も行われ、日立市全体がサクラの町になって行きました。

「桜香るうどん」の開発は断念

研究室では、特有のかぐわしい香りをもつサクラの花と葉を利用した商品づくりを試みました。手始めに、サクラの葉と花の揮発性成分について分析したところ、強い樹木であるだけに、葉からはクマリンやベンズアルデヒドなどの芳香をもつ抗菌成分と猛毒の青酸(シアン化水素)などが見つかりました。

クマリンは抗菌作用のほか、抗血液凝集(ぎょうしゅう)作用などがありますが、大量摂取すると肝毒性、腎毒性をもたらします。シアン化水素はミトコンドリア中で酵素チトクロームオキシダーゼと結合し、細胞呼吸を阻害して呼吸困難や窒息を引き起こします。生葉よりも乾燥した葉で、これらの成分の含有量が高まるため、サクラの葉粉末を練り込んだ「桜香るうどん」などの開発を試みましたが、商品化は断念しました。

ちなみに、クマリン自体も食品添加物としては認められていません。と言うことで、サクラは花を愛でることに留めた方がよさそうです。(茨城キリスト教大学名誉教授)

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カリキュラムと教育活動の連携《よぎさんの眼》3

【コラム・よぎ(P.ヨゲンドラ)】日本の学校教育には、長年続いてきた大きな課題がある。それは、授業、考査、学校行事、探究活動、部活動、校外学習などが、それぞれ独立して存在していることである。本来、教育とはすべての活動がつながり合い、生徒の人格形成や実践力育成へ向かうべきものである。しかし現実には、「授業は授業」「行事は行事」と分断され、生徒自身も「何のためにやっているのか」を理解できないまま、学校生活を送っている場合が少なくない。 生徒と宿泊行事に参加した際、企画運営を担当した生徒に「この活動から何を学んだか」と尋ねたことがある。最初、生徒は答えられなかった。そこで「社会人になって似たような企画を任されたら再現できるか」と問い直すと、「人を集め、計画し、役割分担をして、必要な情報を調べる」と、具体的に説明し始めた。つまり生徒は実践的な力を身につけていたにもかかわらず、それを“学び”として認識できていなかったのである。 「授業だけの学校」から脱却せよ ここに、日本の教育の大きなヒントがある。学校行事や探究活動は単なる思い出づくりではない。本来は、理解力、応用力、分析力、創造力、実行力、協調性を育成する重要な教育活動なのである。 だからこそ学校全体で「学びのストーリー」を設計する必要がある。例えば、情報の授業で学んだプログラミングを文化祭の受付システム開発に活用する。経営理論を学んだ生徒が、学校行事の予算管理や企画運営を担う。探究学習で調べた地域課題を、地域イベントや行政提言へとつなげる。このように、授業と実社会を接続してこそ、生徒は「学ぶ意味」を理解し始める。 私が校長を務めた土浦一高では、中高一貫6カ年構想のもと、学習・考査、特別活動、探究学習、課外学習、校外学習、学校行事の6領域を相互に連携させる改革を進めてきた。探究活動では、DX、ビジネス、マネジメント、中国語などを導入し、外部専門家や大学との連携を進めた。また模擬国連、模擬議会、海外研修、起業家講演などを通じ、生徒が教室外で社会と接続できる環境づくりを推進した。 学びの可視化、目的や目標の確認 さらに重要なのは、「学びの可視化」である。高校3年間で何をどの順番で学び、それがどの活動や実験とつながるのかを示さなければ、生徒は学習の目的を見失う。カーナビのない運転が不安であるように、学びにも道筋が必要なのである。そのためにも年度当初、学年ごとに、科目ごとに具体的なオリエンテーションを行うべきである。これから1年をかけて学ぶ内容、どこで山場がくるのか、参加する行事とその意義を確かめるとよい。保護者にも参加してもらうことで、二人三脚が実現できる。 教育とは、知識を点で覚えさせることではない。教科、活動、体験、人間関係を線と面でつなぎ、「生きる力」に変えていく営みである。日本の教育改革に必要なのは新しい科目を増やすことだけではない。学校全体を「ひとつの大きな学びのシステム」として再設計することなのである。(土浦一高・付属中学校 元校長)

154人のマイナカード署名用電子証明書が無効に つくば市が作業誤り

つくば市は22日、現在政府が進めている、自治体の基幹的な業務の情報処理システムを全国の自治体が統一した仕様に合わせる作業の一環で、人名などの複雑な漢字(外字)を、デジタル庁などが定めた標準文字に合わせる更新作業を実施したところ、作業工程に誤りがあり、154人のマイナンバーカード搭載の署名用電子証明書が失効してしまったと発表した。 自治体の基幹事務システムの統一・標準化は、全国の自治体がそれぞれ個別に構築してきた住民基本台帳、住民税、介護保険、児童手当て、選挙など20の基幹的な事務処理システムの仕様を、2025年度末をめどに、国が決めた標準仕様に合わせるもの。つくば市は、統一の仕様に合わせる作業を昨年12月末までに終え、今年1月から標準仕様に切り替えていた。 その後7月8日、来庁した市民から、5年に一度更新が必要なマイナンバーカードの署名用電子証明書の更新手続きを、自身のスマートフォンからも出来るようにしようとしたが出来なかったなどと申し出があった。 市情報システム課によると、原因を調査した結果、市が業務を委託して、人名などの複雑な漢字を標準文字に合わせる作業を実施した事業者が、複雑な文字を、デジタル庁が決めた約7万字に合わせる作業の中で、そのうち71字について、文字のデザインを若干太くするなど、標準文字のデザインを若干変更したことが原因と分かったという。戸籍の氏名にふりがなを記載する制度が始まったのと合わせて、システム上で、住民基本台帳ネットワークに登録されている氏名が変更されたと認識され、氏名の一部に71文字を使用している154人のマイナンバーカードの署名用電子証明書が無効になったという。 署名用電子証明書は、本人であることを確認する電子的な印鑑証明書として、税金の申告(e-Tax)やパスポート申請、住宅ローンの控除、オンラインバンキングの口座開設などに利用されている。市市民窓口課によると、標準文字の更新作業の誤りが原因で、マイナンバーカードの署名用電子証明書が利用できなくなった市民がこれまで何人いたかは不明という。一方、マイナ保険証として利用や、住民票など証明書のコンビニ交付、行政手続きのオンライン申請、年金や医療費など自分の情報を確認するマイナポータルへのログインなどは引き続きできる。 署名用電子証明書が無効になった場合、再発行手続きが必要になる。市は今後154人に対しお詫びの通知を出し、市役所本庁舎や各窓口センターに来庁の上、手続きをしてもらうよう通知するとしている。 委託事業者に対しては、市から、各作業の適切な履行の徹底と再発防止を図るよう要請したとしている。市によると、この事業者は他自治体からも標準文字の更新作業を請け負っていて、この事業者による作業の誤りが原因でマイナンバーカードの署名用電子証明書が無効になったのが分かったは初めてという。