金曜日, 3月 20, 2026
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《食う寝る宇宙》79 宇宙飛行士と人工衛星の「試験」

【コラム・玉置晋】日本人宇宙飛行士の募集が今秋に予定されています。僕の周りにも宇宙飛行士を目指している人が何人かいるので、彼らを応援しています。JAXA(宇宙航空研究開発機構)のホームページを見ると、宇宙飛行士の募集・選抜・基礎訓練に関する意見募集や情報提供依頼が出ています。どのような選抜試験になるのか興味津々です。僕は受験するのかって? いやいや、まずは腹のぜい肉をどうにかしろと奥さんに言われておりますよ。

人工衛星も試験を受けなければ宇宙には行けません。宇宙に行くということは過酷です。ロケット打ち上げ時の音響レベルは飛行機エンジンの近くぐらいで、ロケットの噴射による振動は地球重力に匹敵する加速度となります。丈夫じゃないと壊れてしまいます。

そして、無事に宇宙空間に到達したらさらなる困難が。高真空、±100℃の温度差、高い放射線量―。特に放射線は、僕が研究している「宇宙天気」に大きく依存します。地上で素晴らしい働きをしている電子機器でも、耐性がなければ地球一周も持たず機能を失ってしまうでしょう。

小型衛星環境試験設備シェアリングサービス

人工衛星が、ロケットで宇宙に運ばれるのに耐えられて、宇宙空間でも健全に動作することを確認するために、地上で試験を行います。電気性能試験、電磁適合性試験、機械環境試験、熱真空試験、放射線耐性試験など、様々な試験が必要ですが、申請や機材の準備、試験場や試験人員の確保などのノウハウがないと難しくて、これまで宇宙参入の障壁となっていました。

ここに目をつけた人が、僕が所属する宇宙コミュニティ「ABLab」の仲間にいます。「小型衛星環境試験設備のシェアリングサービス」と題して、宇宙ビジネスアイデアコンテストS-booster2019に応募し、見事JAXA賞を受賞しました。そして準備期間を経て、2021年度からサービス提供を開始します。詳細は本サイトの記事「JAXA認定ベンチャー 宇宙・衛星ワンストップサービス提供へ」(1月21日付)をご覧ください。(宇宙天気防災研究者)

<2月前半の宇宙天気>太陽のコロナホールから流れ出した高速太陽風の影響で、2月7日に弱い磁気嵐が発生しました。2月11日現在の宇宙天気は静穏です。新たなコロナホールが見えていますので、本コラムが掲載されるころには高速太陽風が吹いているかもしれません。それではよい宇宙旅行を!

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