火曜日, 6月 2, 2026
ホームつくば「子ども同士をつなぐ役割」 市民団体が教育支援員向け勉強会

「子ども同士をつなぐ役割」 市民団体が教育支援員向け勉強会

【川端舞】小中学校などで障害のある児童生徒の日常生活を支援する特別支援教育支援員を対象としたオンライン勉強会が30日開催された。参加した支援員は経験や悩みを共有し、自分たちの役割の重要性を再認識した。同時に、支援員の研修機会が少ないなど、課題も見えた。

主催したのは、市民団体「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(事務局・水戸市)。メンバーの斉藤新吾さん(45)は、当事者による障害者支援団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)の事務局長でもあり、普段、主に障害のある大人を支援している。障害者を支援していく中で、子どもの頃に周囲の大人がどのように関わったかが、成長後も大きく影響してくると感じていた。一方、学校で障害のある子どもたちに関わる教育支援員を対象にした研修はあまり行われていないことを知り、今回の勉強会開催に至った。

周囲を巻き込む「つぶやき」

参加したのは、県内の小学校などで発達障害や身体障害のある児童を支援している教育支援員6人。勉強会では、十数年前、大阪市で定時制高校に通っていた重度心身障害のある北村佳那子さんの支援員をしていた山崎秀子さんから、当時、生徒や教員とかかわる中で感じたことが話された。

北村さんは生まれつき重度の障害があり、日常生活全般に介助が必要だ。言葉を発することもできない。しかし、小中学校を普通学校で過ごし、定時制高校に進学した。山崎さんが支援員として北村さんに出会ったのはこの時だ。山崎さん自身、小学生の頃、同じクラスに障害のある同級生がいる環境で育ったため、重度障害のある北村さんが普通高校に進学することに何の違和感もなかった。しかし入学当時、教員たちの多くは「北村さんは本来、普通高校に来る生徒ではない」という雰囲気で、北村さんのことを特に気にかけなかった。

山崎さんは北村さんへの支援の中で問題に直面するたびに、「どうすればいいかな」「誰か手伝ってくれないかな」と、わざと周りに聞こえるようにつぶやき、他の生徒が北村さんに関わるきっかけを作ろうと試みた。次第に、山崎さんのつぶやきに答えるように、周囲の生徒が北村さんに関わり始めたという。北村さん自身も、周囲の生徒との関わりに答えるように表情が豊かになり、「教員たちも北村さんを生徒の一員として見ざるを得なくなった」と話す。

「支援員は黒衣のような存在」と言われることもあるが、本来、教室にいないはずの大人がもう一人いることは、周囲の子どもたちにも影響を与えていると山崎さんは語る。周囲の子どもたちは、支援員が障害のある同級生にどのように関わっているのかをよく見ていて、自分がその同級生に関わるときの参考にしている。障害のある子どもと周りの子どもたちをつなぎ、障害のある子どもが困ったときは周りの子どもたちにも一緒に考えてもらうことも、支援員の大切な役割だという。

研修機会少ない

意見交換の時間では、参加者から「支援に悩んだ時につぶやくことで、周囲の子どもや教員が関わってくれるようになり、障害児と周囲の子どもたちが関係を作るきっかけにもなった」という経験などが共有された。「私たち支援員も、教室にいる子どもたちに大きな影響を与えうる存在」「担任教員と話し合いの時間が取れず、不安になることもあるが、支援員からも教員たちを引っ張っていけたら」など、参加者同士で励まし合う様子もあった。

「発達障害など表面的には分かりづらい障害について、周囲の子どもたちにどう説明していくか悩んでいる」という参加者に、他の参加者がアドバイスをする場面もあった。

また、参加者からは「支援員向けの研修の機会が少ない」「支援員同士でコミュニケーションをとる時間がない」という意見も複数聞かれた。山崎さんによると、障害のある子どもとない子どもがともに学ぶ環境が比較的整っているとされる大阪市でも、支援員対象の研修などは整っておらず、それぞれの支援員の努力に任されているのが現状だそうだ。この状況を受け「今後も支援員対象の勉強会を継続して開催したい」と、主催者の斉藤さんは話す。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

2 コメント

2 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

天理ギャラリーを訪ねて《ふるほんや見聞記》17

【コラム・岡田富朗】世界最大の古書店街がある神田神保町から程近い神田錦町に位置する東京天理ビル9階に、天理ギャラリーは1962(昭和37)年、東京天理教館が竣工すると時を同じくして開設されました。 開設にあたった経緯の中では、1960(昭和35)年から1990(平成2)年まで、天理大学で古代オリエント宗教史の集中講義を非常勤講師として受け持たれた三笠宮崇仁親王殿下(三笠宮さま)から、「東京でも天理大学の収蔵品を皆様にご覧いただきたい」というお声をいただいたこともあったそうです。 近年は年に2回、5月ごろに天理図書館収蔵品、10月ごろに天理参考館収蔵品からテーマを定め展示を開催しているそうです。 天理図書館 1924(大正13)年10月、当時旧制大阪高等学校に在学中の中山正善天理教二代真柱が天理教青年会長に就任し、図書館の設置と、図書の収集・整理の方針を打ち出しました。中山正善は稀代の蒐集家としても知られており、善本稀本が多く収蔵されています。 1926(大正15)年、約2万6000冊(うち洋書5000冊)の蔵書をもって閲覧を開始しました。戦後は、天理外国語学校の大学昇格に伴い、大学附属図書館として一層大きな役割も与えられ、蔵書も増加し、その名は海外にも広く知られるようになりました。現在では蔵書数は約150万冊に及び、その中には国宝6点、重要文化財88点が含まれています。 「古今和歌集と伊勢物語」展 6月14日(日)まで天理ギャラリーで開催されている第185回「古今和歌集と伊勢物語」展では、「古今和歌集」や「伊勢物語」を中心に、重要文化財4点、重要美術品8点を含む主要な写本や自筆注釈書など計41点が展示されています。展示資料の中には、近年の専門家による調査で、藤原俊成(1114~1204)筆「古今和歌集」昭和切の一部と確認された、天理図書館所蔵の「古今和歌集両序」が含まれています。 昭和切は、1928(昭和3)年に巻1~10の上帖が分割されたことで生じた名物切であり、現在に至るまで700年以上にわたり流布本の地位を占めてきたいわゆる定家本の底本と目される重要な資料です。平安末期から鎌倉初期を代表する大歌人・俊成の、極めて貴重な直筆を今に伝える至宝です。 本展を担当された天理図書館 稀書目録室の司書研究員・博士である髙橋諒さんは「天理図書館は、一人でも多くの方に利用していただきたいと考えております。そのため、大学附属図書館ではありますが、開館当初より広く一般にも開放しており、15歳以上(中学生を除く)の方であればどなたでも利用できます」。 また「天理ギャラリーなどでの展示においても、普段は遠方の方々にも貴重な文化財である原本をご覧いただき、多くの方に原本のもつ魅力を直接感じていただきたいと考えています」と話してくださいました。(ブックセンター・キャンパス店主)

大和ハウスが開発 つくば駅近くの公務員宿舎跡地

TXつくば駅から西へ徒歩3分の「つくば市吾妻地区」開発を大和ハウス工業(本社大阪市)が担当することになった。「70街区」とも呼ばれる同地区は約5.7ヘクタールの広さがあり、国家公務員宿舎が建っていた。つくば駅近くにある一等地の開発主体が決まったことで、数年先、同地域の風景は大きく変わることになる。 70街区の面積は国有地5.4ヘクタールと市有地0.3ヘクタール。財務省関東財務局とつくば市は数年前から民間への売却手続きを進めていたが、5月末、関東財務局が大和ハウスに売却することになったと発表した。開発提案を審査して購入先を絞り、最高値を提示した企業に売却する「二段階一般競争入札」方式を採用したものの、跡地取得に応募したのは大和ハウスだけだったという。 施設完成は2033年半ば 大和ハウスの提案概要によると、公務員宿舎跡地には①スーパーシティ実装センター(1.1ヘクタール)②分譲マンション(2.1ヘクタール)③戸建住宅(0.6ヘクタール)④賃貸マンション(1.5ヘクタール)―などが建ち並ぶ。実装センターはつくば市の都市構想を取り入れた2階建ての施設で、「(物販店など)生活利便施設、研究機関、スタートアップ企業、ベンチャー企業、その他業務施設などを誘導する」という。 居住区は、15階建て分譲マンション(570戸)、3階建て賃貸マンション12棟(200戸)、戸建て住宅(27戸)から成り、約800戸の住宅が供給される。提案概要には「マンション敷地内に新しく広場と交流拠点を設け、住民や市民の憩いの場だけでなく、街区単位で表現できる社会実装の場とする」と記載されている。 関東財務局は落札価格について「6月19日までに正式な売買契約を結ぶ。それまでは公表できない」とし、現時点では明らかにしていない。大和ハウスによると、公務員宿舎取り壊しや開発用地整備などに時間がかかり、全施設が完成するのは7年先の2033年半ばになる。総事業費については、今後建築資材や人件費の上昇が予想されることから、概数を開示することも避けている。 存在感増す大和ハウス 大和ハウスは2025年4月、「研究学園駅南の大規模開発」(4月2日付)を開始、TX駅から徒歩9分の大区画(15.5ヘクタール)に、高層マンション、商業施設、研究機関、教育施設などを整備する事業に着手した。また、2025年3月には「つくば駅前の複合施設が完成」(3月27日付)、オフィスと各種店舗が入る商業棟をオープンさせた。これらに加え、つくば駅近くの「70街区」開発も担当することになり、つくば市内における同社の存在感が増している。(坂本栄) ➡吾妻70街区の過去記事はこちら▽吾妻70街区にイノベーション拠点など誘導(21年10月26日付)▽7事業者が提案、イノベーション拠点誘導に厳しい意見も(22年3月22日付)▽吾妻70街区に近未来都市?スーパーシティって何(22年8月4日付)▽都市計画変更手続き始まる(22年10月11日付)▽スーパーシティ実証街区へ 開発事業者を公募(25年7月22日)

マンション価格の20年 つくばと水戸を比較《水戸っぽの眼》13

【コラム・沼田誠】「首都圏新築マンション、2025年度の平均価格は9383万円。前年比+15.3%で、5年連続の最高値を更新」。日本経済新聞(2026年4月20日付)で、こんなニュースを目にした。東京23区にいたっては平均1億3,784万円(平米単価214万円)。「マンション高騰」は確かに首都圏の現実になっている。この調査の対象は東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県であり、茨城県は含まれていない。では、つくば市と水戸市の実態はどうか? 国土交通省「不動産情報ライブラリ」の中古マンション取引データから、両市の過去約20年の推移をたどってみた。単年中央値はばらつきが大きいため、傾向が見えやすい5年移動平均で描いた。 水戸は+7%、つくばは+46% 水戸市の単価は2010年24.3万円/平米→2025年26.0万円/平米で、長期で見ればほぼ横線(+7%)。2011年に17.3万円/平米まで急落したのは、東日本大震災の影響だろう。それ以外は、一貫して20万円台半ばを推移している。 一方つくば市は、2010年30.5万円/平米→2014年30.3万円/平米へ微減したあと、ゆっくり上昇に転じ、2025年は44.4万円/平米と+46%。2007〜2009年につくばの単年データが40万円台を示すのは、TX開業(2005年)直後で取引のほとんどが築浅物件だったためであり、純粋な「相場」ではない。 この期間の変化率は、水戸が+7%、つくばが+46%。小さくない差といえる。何が違うのだろうか?「国道16号線」(新潮文庫)の著者、柳瀬博一氏は、首都圏の人口移動データについて「東京一極集中と言われるが、年代別に見ると実態は違う」と指摘する。0〜14歳の人口は、この10年、ずっと都心から国道16号エリアと湘南に移動しており、その背景は都心の家賃の高さや子育てに適さない交通環境―などにあるという。 つくば:都心子育てを諦めた世帯 つくば市は16号エリアより外側だが、TXで都心と直結する。もし、つくばのマンション単価U字上昇が、柳瀬氏の言う「都心からの子育て世帯の流出」の延長線上にあるとすれば、首都圏の住宅事情は、価格そのものとしてではなく、「都心で子育てを諦めた世帯の受け皿」として、茨城県南にまで届いているのかもしれない。実際、公的データもこれを裏付けている。総務省「住民基本台帳人口移動報告」(2025年)によれば、つくば市の転入者1万4542人のうち、東京都から2103人、千葉県から1454人、埼玉県から944人、神奈川県から880人。 1都3県からの転入は合計5381人で、全転入者の37.0%を占める。同じ茨城県内からの流入(4854人、33.4%)を上回り、1都3県がつくば市最大の流入源になっている。 水戸:県内からの移住が過半数 一方、水戸市の1都3県からのシェアは26.8%にとどまり、県内が49.3%と約半数を占める。この傾向は2024年も同じで、同じ県内の都市でも、首都圏との結びつき方は明確に違う。 2015年、つくば市は「北関東からの転入超過が大きい一方、東京圏に対しては転出超過」と自市の人口動向を分析していた。だが、2025年の数字を見る限り、首都圏の住宅事情の延長線にこの市があるという見立ては、もはや仮説ではなく、データが示す事実に近づいている。(元水戸市みとの魅力発信課長) <参考データ・出典>▼日経新聞「首都圏新築マンション、25年度平均9383万円 最高更新」(2026/4/20)▼不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向2025年度」(2026/4/20)▼国土交通省「不動産情報ライブラリ」▼柳瀬氏のSNS投稿(2025年、首都圏人口移動データの分析および国道16号エリアへの子育て世帯移動について)▼総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2024年・2025年 第10表▼つくば市「人口分析状況」(2015)

つくば市にも動物愛護協議会を設立《晴狗雨dog》10

【コラム・鶴田真子美】4月1日、つくば市にも、ようやく動物愛護協議会が産声を上げました。昨年夏、つくば市民ネットの小森谷市議、川村市議同席のもと、ペット防災や避難所運営について市の危機管理課と面談したのを機に、つくばにも動物愛護協議会が必要と痛感しました。両市議の尽力を得て、市内の動物保護団体や愛護推進員とミーティングを重ね、協議会の規約やあり方を審議してきました。 茨城県も「すべての市町村で協議会設置を目指す」と推進計画で明記しています。現在、県、水戸市、牛久市、阿見町、守谷市、取手市、常総市、神栖市、つくばみらい市、石岡市、小美玉市には動物愛護推進協議会が設置され、メンバーの方々が各地域の多様な課題に取り組んでいます。 つくば市動物愛護協議会の初イベントは、4月26日開催された「ピンクリボンフェスティバル2026」の里親会でした。私が代表を務める「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク(CAPIN)」からも、犬たちが参加。みな、県動物指導センターから引き出した保護犬たちです。啓発パネルがつくば駅広場に並びました。6月4日を皮切りに、市役所で保護猫里親会も予定されています。 動物たちのSOSに奔走 協議会が発足してすぐ、市内で放浪していたシニア犬を市役所から預かり、シェルターに保護し、見つかった飼い主さんにお届けしたこともありました。市内で乳飲み子猫のSOSがあり、協議会のメンバーにレスキューに向かっていただきました。団体の垣根を超えて助けられました。愛護協議会ができてから早速、私たちは動物たちのSOSに奔走しています。 連携をとって意見交換し、現場で汗を流しながら協議会がスタートしました。人と動物の共生をめざし、地域住民を巻き込みながら活動してまいります。犬猫の預かりボランティアさん、里親希望者さん、イベント参加者さんを大募集しています。よちよち歩きの協議会ですので、みんなで育てていきましょう。(犬猫保護活動家)