土曜日, 5月 16, 2026
ホームつくば「春を取り戻したい」 入学式に代わるイベントを模索 筑波大1年生

「春を取り戻したい」 入学式に代わるイベントを模索 筑波大1年生

【山口和紀】新型コロナ拡大の影響で入学式が中止となってしまった筑波大学(つくば市天久保)で、「春を取り戻す」ためのイベントを企画している学生がいる。水谷奈都乃さん(教育学類1年)、昨年4月から中止になった入学式に代わるイベントを学生有志で開催できないか模索してきた。

入学直後から企画のプロジェクト

昨年、筑波大学は新型コロナウイルスの拡大の影響を受けて、入学式や新入生歓迎祭、宿舎祭などのイベントをすべてに中止した。水谷さんが「春を取り戻す」ためのプロジェクトを企画したのは「ここで何もしなかったら、将来いまの状況を思い出したときにきっと後悔する」という思いがあったからだ。

プロジェクトを企画したのは入学してすぐの4月だったが、水谷さん自身も、大変な状況にあった。入学をきっかけに埼玉県からつくばに引っ越すつもりだったものの、当時大学からは「新入生は実家に留まるように」との指示が出ていたため断念せざるを得なかった。授業や新歓もすべてオンラインで行われ、所属する教育学類を除いて、交流関係はほとんど広がらなかったという。

企画がスタートした当初、水谷さんは「学生有志で入学式の代わりになる大きなイベントを行いたい」と考えていた。しかし、感染拡大はその後も続き、状況も悪化していった。「去年の7月くらいまでは夏を超えたらできるかも、とは思っていた。でも、夏休みに入ってから、自分の思った通りのことはできないと分かった」と振り返る。

水谷さんは、入学式の代わりになることはできなかったとしても「将来振り返ったときに後悔しないようなことがやりたい」考えた。

そこで、プロジェクトのメンバーと「そもそも自分たちが入学式などのイベントに求めていたものは何だったのか」を話し合うことにした。「大学生になったという区切りや記録が欲しい」「同じ大学に入った仲間との一体感のようなものがないのが寂しい」「同じ場所、同じ時間に人が集まらずとも何か出来ることがあるのではないか」という気持ちがあると分かった。

外出自粛要請に一度はとん挫

今年度の筑波大学では、春学期だけでなく秋学期もほとんどの授業がオンラインで行われた。毎年新入生が屋台を出店し盛り上がる春の宿舎祭も、さらには来場者が3万人を超える秋の学園祭も中止になった。サークル活動も、一部の体育会系の部活動を除いて、対面の活動は自粛が要請されている。「大学生になった実感」が欲しかった。

しかし、大人数で集まることは依然としてできそうに無い。そこで仲間たちと知恵を絞った。出てきたアイデアは「バラバラの時間に時間差でいろんな人が来て一つの作品を作る」というものだった。同時に、入学式のような背景を「立て看板」を使って再現することで、「春を取り戻す」ための写真撮影スポットを作るという企画も行うことになった。アイデアは固まり、準備も着々と進んだ。

水谷さんたちはイベントの実施を12月1日から2週間に決め、場所はカスミ筑波大学店で行うことにした。着々と用意を進め、感染対策を含め、ほとんどの準備を終わらせた。

イベント前日に、最終仕上げをしようと大学へ行った。しかし、プロジェクトを支援している大学の組織T-ACTの担当教員から「外出自粛要請が出てしまったから、イベントは延期の必要性がある」という話があった。そのままイベントは延期になってしまい、年も明けた。

水谷さんは「(イベントと外出自粛要請が)ドンピシャで重なるのはすごいと思った。今も外出自粛要請が出ているから、イベントが開催できるのは2月になるか3月になるか。どうなるか分からない」と語る。

感染対策に翻弄されるプロジェクトだが、得たものも多い。水谷さんは「これまでの取り組みを通じて、たくさんの学びや経験を得られた。時間をかけて準備してきたことがどのような形になるのか楽しみ」と語った。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

免許失効したまま公用車など運転 市職員を減給処分 土浦市

土浦市は15日、同市都市整備課の男性職員(33)が昨年7月4日から8月13日までの間=当時は別部署に在籍=、運転免許が失効した状態で自家用車で通勤していたほか、同期間中の8日間、計9回にわたって公用車を運転するなど交通法規違反を行ったとして、同日付で男性職員を1カ月間減給10分の1の処分にしたと発表した。 市人事課によると、男性職員は有効期限が7月3日までの運転免許証の更新手続きを失念した。8月13日に本人が免許証を更新していないことに気付き、翌14日に更新手続きを実施した。 今年4月、本人から申し出があり発覚した。同市では毎年4月、職員に対し、運転免許証の有効期限などを含めた自動車運転報告書を提出させている。同報告書提出の際、本人が申し出たという。 処分内容については、市職員分限懲戒審査委員会を開き、同市の前例や他市の状況などから減給処分とすることを決めたとしている。併せて、管理監督責任があったとして、異動前の当時の課長を口頭注意とした。 安藤真理子市長は同日「運転免許の確認についてはこれまでも再三にわたり指導してきたが、このような交通法規違反により市民の信頼を損なってしまったことを心よりお詫びします。二度とこのようなことがないよう、法令遵守、服務規律の確保を徹底し市民の信頼回復に努めます」などとするコメントを発表した。今回の事態を受け、職員全員を対象に、各所属長が運転免許証の原本をチェックし有効期限を確認するとしている。

つくばで7年ぶり復活、土浦は初開催へ 筑波山で二つの自転車レース

筑波山の峠を駆け上がる自転車レース、ヒルクライムが、筑波山南側のつくば市と土浦市でそれぞれ開催される。つくばはコロナ禍で休止して以来7年ぶりに復活し5月31日に開催される。土浦は6月14日に初めて開催される。 標高にちなみ877人募集 つくば つくばのレースは「ツール・ド・つくば2026」。同市平沢、平沢官衙遺跡から、筑波山の不動峠と風返し峠を抜け、中腹のつつじケ丘駐車場を目指す全長12キロ、高低差500メートルの本格的な登坂ルートを走る。参加予定人数は、筑波山の標高877メートルにちなんで877人に設定されている。 2009年、つくば青年会議所が主催し始まったが、コロナ禍で2019年大会を最後に休止となった。コロナが明けてからすぐに再開する意向だったが、青年会議所のメンバーが毎年変わるなどからノウハウの引き継ぎができなかった。 そんな中、同市北条の廃校にBMXレーシングコースがある自転車の拠点「サイクルパークつくば」が2023年にオープンしたことが追い風となり(23年10月31日付)、同拠点を管理運営する指定管理者で、弱虫ペダルサイクルチーム運営会社の「スペースプロジェクト」社員や、つくば青年会議所の現役メンバーとOB、市役所職員などで実行委員会を組織し再開する。 競技はロードバイク、マウンテンバイクの2部門あり、エントリーは年齢別、男女別などに分かれる。大会の拠点となる受付や開閉会式は「サイクルパークつくば」の体育館で行われ、当日は朝7時に競技がスタートする。5月31日はスタート地点から風返し峠・不動峠周辺までが全面通行止め、風返し峠からつつじヶ丘駐車場までが片側交互通行となり、交通規制が敷かれる。 スペースプロジェクトの笹谷悦明さんは「つくばと土浦はほぼ同時期に開催され、関連はないが、エントリーする人は重なっているようだ。つくばは7年ぶりの大会なので、多くの参加者に楽しんでもらいたい」と話す。 初挑戦を後押しする部門も 土浦 土浦市で初開催される「筑波山・朝日峠ヒルクライム2026」は、同市小野の交流施設、小町の館をスタート地点として、筑波山の朝日峠、筑波パープルラインを越え、つくば市と同じ中腹のつつじケ丘まで走り抜ける全長15.7キロ、高低差500メートルのコース。 本格的なヒルクライマーだけではなく、初挑戦の人を後押しする「のんびりエンジョイ」や「コスプレの部」など、誰もが楽しめるよう多様な参加カテゴリーを設ける。参加者それぞれのタイムに応じて「金のガマ、銀のガマ、銅のガマ」を全員に進呈するほか、コース序盤の「朝日峠」区間でトップタイムとなった選手に特別賞を贈るなど、特徴的な取り組みも企画する。一般男女の参加費6877円は、筑波山の標高877メートルにちなんで設定した。 ナショナルサイクルルート「つくば霞ケ浦りんりんロード」の拠点でもある土浦市では、オフロードレースのシクロクロスを始め、さまざまな自転車イベントが年間を通して開催されており、新たに本格的なヒルクライムレースが加わる。朝日峠など土浦市のヒルクライムコースの認知度を高め、「自転車のまち土浦」の新たな魅力発信を図る狙いがある。 大会当日の交通規制は、小町の館から風返し峠、不動峠周辺までが全面通行止め、風返し峠からつつじケ丘駐車場までが片側交互通行となる。 ◆「ツール・ド・つくば 2026」は5月31日(日)開催。コースは平沢官衙遺跡をスタート〜県道138号線〜不動峠〜県道236号線(表筑波スカイライン)〜風返し峠〜ゴールはつつじヶ丘駐車場。エントリー期間は5月17日(日)まで。参加費は一般男女(高校生以上)8000円、ジュニア(小学5年~中学生)7000円、下山サポートライダー無料。主催はツール・ド・つくば 2026実行委員会、問い合わせは電話029-883-0035(つくばサイクルパーク内、スペースプロジェクトの笹谷悦明さんへ。メールはBMX298@icloud.com、エントリーはこちら。 ◆「筑波山・朝日峠ヒルクライム2026」は6月14日(日)開催。コースは小町の館をスタート~朝日峠~筑波パープルライン~ゴールはつつじケ丘駐車場。参加予定人数は800人。エントリー期間は6月7日(日)まで。参加費は一般男女(高校生以上)6877円、小中学生2980円、小学3年生以下は「のんびりエンジョイ」部門の出場となり親の同伴が必要。主催は筑波山・朝日峠ヒルクライム実行委員会。問い合わせは電話090-1486-5770(南野道宏さん)、エントリー方法はこちら。

学生たちの「空への挑戦」 半世紀越し技術遺産に認定 人力飛行機「ストークB」

国立科学博物館が所蔵し、筑西市の科博廣澤航空博物館に展示されている人力飛行機「日大式ストークB」が4月16日、一般社団法人日本航空宇宙学会から「航空宇宙技術遺産」に認定された。ストークBは1975年から77年にかけて、日本大学理工学部の学生たちが卒業研究として開発した人力飛行機で、77年1月に2093.9メートルを飛行し、未公認ながら、当時の人力飛行世界記録を樹立した。今回の認定では、人力飛行を世界に広く認知させ、その成果が航空技術者の育成にも寄与したと当時の学生たちの挑戦が再評価された形だ。 世界記録打ち立てた35.9キロ ストークBの機体重量は35.9キロ。0.3から0.4馬力ほどの人力で飛行するため、和紙など日本独自の素材や技術を取り入れることで極限まで軽量化が図られている。現在は、筑西市のテーマパーク「ザ・ヒロサワ・シティ」内にある科博廣澤航空博物館で一般公開されている。展示では、飛行中を思わせるように天井から吊り下げられており、大きく広がる翼を見上げた来館者からは「これが本当に人力で飛ぶのか」と驚きの声も上がるという。 同博物館では、戦後初の国産旅客機「YS-11」量産初号機や、映画「南極物語」の題材にもなった、カラフト犬のタロとジロの生存発見・救出に活躍した実在の大型ヘリコプター「シコルスキーS-58」、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)など、日本の航空史に名を残す実機が約10点展示されている。そのうち7点が国立科学博物館によるものだ。展示品で同遺産に認定されたのは、YS-11、JAXA から提供された国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟に続き、3例目となる(24年2月1日付、同4月26日付)。 施設を運営する広沢商事の野口稔夫専務は「日本大学の学生の皆さんが、自分たちの手で作って空を飛んだ機体。当時の若い人たちが、本気で『空を飛びたい』と思い挑戦した。その思いが詰まっている」と語る。 認定後の大型連休には、「ストークを見に来ました」という来館者の姿も見られたとし、「写真や映像で見たことがあっても、本物を目の前で見ると迫力が違う。天井から吊り下げているので、本当に飛んでいるように見える。下から見上げると、翼の大きさや機体の軽さに驚かれる方が多い」。和紙で作られていることに驚く人も多く、「こんな素材で飛んだのか」と足を止める来館者もいるという。 実物が残るから、挑戦は伝わる ストークBを所有する国立科学博物館・産業技術史資料情報センターでセンター長を務める前島正裕さんは、今回の認定について「私たちが大切に残してきた資料の価値を、学会にも認めていただけたようでありがたい」と受け止める。国立科学博物館では航空機や実験装置、部品など、日本の科学技術の歩みを伝える資料を収集・保存している。ストークBは以前、東京・上野の国立科学博物館で展示されていたが、大型機体のため長く収蔵庫で保管されていた。前島さんは「ヒロサワ・シティの協力で、また多くの人に見てもらえるようになったことがうれしい」と笑顔を見せる。 さらに「機械や部品は、美術品のように見てすぐ価値が分かるものではないからこそ、この資料がどういう研究や挑戦に使われたのか、誰がどんな思いで作ったのかを伝えていく必要がある」とし、「実物が残っていなければ、その挑戦があった証拠も残らない」と、資料保存の意義を強調する。ストークについても「今は、テレビの『鳥人間コンテスト』などで人力飛行機を目にする機会があるけれど、最初に挑戦した人たちは、本当に飛べるのかも分からない中で挑戦していた。『こんなに大きな翼が必要なんだ』『こんなに軽いんだ』ということは、実物を見ると一瞬で伝わる。言葉よりも本物には力がある。是非、間近で見ていただきたい」とし、「ストークを作ったのは特別な誰かではなく、当時の大学生たち。今の子どもたちから見れば、少し年上の『先輩』ですよね。『こんな挑戦をした人たちがいたんだ』と感じてもらえたら」と語った。(柴田大輔)

児童扶養手当を過少に支給 つくば市 1165人に計153万円

ひとり親家庭などに支給される児童扶養手当について、つくば市は13日、4月分から全国消費者物価指数の上昇に応じて手当額が3.2%引き上げとなったにもかかわらず、引き上げ分を加算せず、本来の金額よりも過少に支給してしまったと発表した。 市こども政策課によると、支給対象保護者約1200人のうち1165人に対し、4月引き上げ分の合計153万8650円を加算せず過少に支給した。過少だった分は保護者1人当たり330円~2640円になるという。 3月と4月の2カ月分を5月11日に対象者に振り込んだところ、複数から市に問い合わせがあり分かった。市は4月分から支給額が変更になることについて4月下旬にあらかじめ対象者に通知を出していた、 同課によると、支給額を変更した上で対象者の口座に振り込む手続きをシステム上で行う際、担当者がシステム処理の手順を誤ったのが原因という。一方、新たに支給対象となった36人については、支給額を変更する操作を実施した後に振り込み手続きをしたため、誤りはなかった。 不足額について同課は、対象者1165人に謝罪の通知を出した上で、5月末までに不足額を振り込むとしている。 再発防止策として、制度の変更については部署内で細心の注意を払うと共に、管理職が必ず確認を行うことを徹底するとしている。