【コラム・及川ひろみ】宍塚の里山では、今年はヘビが多く、日に数回見ることもあります。かつてはどこにでもいたヘビですが、最近は少なくなっている―そんな中での出来事です。
ヘビといえば、その言葉を聞いただけで、顔をそむける方もいると思います。しかし、ヘビ好きの方も結構多く、観察会で一番人が集まったのはヘビ観察会。200人の親子がやって来たこともありました。これは、当会が主催する各種観察会の参加者レコードです。
なぜヘビが里山に増えたのか? もちろん、餌になる生き物が増えたからです。以前、カエルが好みそうな湿地や田んぼを増やしたら、赤ガエルが6倍に増えたことがありました。赤ガエルは春先、水があるところに産卵しますが、その卵塊を数えれば大体の生息数がわかります。
カエルは生きているものしか食べないことから、環境の変化を捉えるバロメーターです。卵塊を数えることができる唯一のカエルがアカガエル。6倍に増えたときには、環境保全の意味が実感できました。
里山には3~4年前から、どこからやって来たのか不明なカエル、ヌマガエルが定着しました。その繁殖力は半端でなく、今ではあちこちでピョンピョン、踏みつぶしそうなほどです。その結果、それまであまり見なかったヘビが増え、人前でも見られるようになりました。普通、ヘビは人が近づく前に素早く身を隠しますが、それでも見られるようになったのです。
「マムシって、どんな虫ですか?」
ヘビは、アオダイショウ、ヒバカリ、シマヘビ、ヤマカガシ、マムシなどが見られます。足元によく注意して、藪(やぶ)に足を踏み入れるときには、特にマムシに注意してくださいと話します。先日若いお母さんから、「マムシって、どんな虫ですか」と質問されました。そんな時代になってしまったのです。
そこで子どもがやって来る観察会の開始時には、「マムシ・スズメバチ注意」と熱っぽく語ります。そんな怖いヘビならいない方がいい? いえいえ、生き物は生態系で考えることが重要で、マムシもその大切な一員です。
一番普通のヘビはアオダイショウです。農家や広い庭のあるお宅なら、いまでも結構見られます。アオダイショウの幼蛇はマムシにそっくり。よく似た模様で、近付くと頭も三角にして威嚇、かみつくこともあります。どうしてこのような姿や動作を手に入れたのか、自然界には不思議があふれています。シマヘビも幼蛇と親とは大違いです。
蛇の観察会。子どもは興味津々で、講師が持つ蛇に触りたくてうずうず。そして親は遠巻きに。しかし観察会が終わるころになると、ほとんどの親と子どもは恐る恐る手を出します。すべすべした触り心地、不思議な感触に引き込まれます。(宍塚の自然と歴史の会 前代表)