【車谷郁実】県内外で活躍する筑波大学のYOSAKOIソーランサークル「斬桐舞(きりきりまい)」がオンラインでの活動を続けている。週に2回2時間ほどアパートの自室などから双方向型オンライン会議アプリ「Zoom」を使って練習している。8月末からは新曲の振りのレクチャーが始まった。振り入れという。オリジナル曲の完成に向けて、試行錯誤を続ける斬桐舞の半年間を追った。
新曲の振りを共有できない
斬桐舞では2年に1度、振りや楽曲、衣装デザインなどをメンバーたちが一から考え、オリジナル曲を作っている。今年はオリジナル曲を更新する年で、2月末から現3年生を中心に制作を開始した。予定通りいけば年末には全部員に振りを共有し、4月には新入生に披露するはずだった。しかし、新型コロナが流行。活動の自粛を余儀なくされ、新曲の振りを共有できないまま時間だけが過ぎた。毎月1回のペースであった各地のイベントも次々と中止になっていった。
3カ月が経ったころ、サークル内でこのままでいいのかという声が上がり始めた。夏には対面練習を再開できるかもしれない。せめて体作りだけでもと6月からオンラインで筋トレやストレッチを始めた。普段の活動と同じ週に2回、時間は普段よりも1時間半短い30分。自粛生活の中で部員たちがつながりを感じられるようにコミュニケーションをとる時間も設けた。
そうして、本格的な練習が始まらないまま、7月に入った。コロナは一向に収束する兆しを見せず、3年生にとって最後の舞台である11月の大学の学園祭も中止が決定した。新曲の振りを中心に作ってきた副部長の大坂実旺(20)さんは「何を目標にすればいいかわからず、サークルとして活動している意味さえわからなくなった」とその時を振り返る。
3年生の転機になったのが、オンライン開催された祭りへの参加だった。昨年までのオリジナル曲を各々が踊って撮影し、それを動画編集して1つの曲につなげる。新入部員にもオンラインで曲の一部を教え、参加してもらった。一人で踊った動画をつなげて、見応えはあるのかはわからない。それでもゴールを見失った3年生にとって、一つの達成したい目標が出来たことは確かだった。
完成した動画を見て、部長の田中大輔さん(21)は「予想外の出来だった。オンラインでもYOSAKOIは踊れる」とその可能性を実感。「自分たちの曲も完成させたい」とオンラインで新曲の振り入れを始めることを決めた。(筑波大学社会国際学群社会学類1年、ドットジェイピーインターン生)=つづく