土曜日, 2月 21, 2026
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【つくば/都市と文化】3 3年目のSDGsと2年目のR8

【鴨志田隆之】SDGs(持続可能な開発目標)未来都市。2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」をもとに、日本では全国60都市のモデル事業が選定されており、つくば市も未来都市のひとつ。社会・経済・環境を主体にSDGsが掲げる17の課題を解決しようとしている。2020年度は3年目にあたり、旧総合計画基本構想や基本計画を改定する「つくば市未来構想」「つくば市戦略プラン」をベースとした施策体系の構築を検討し始めた。

持続性のある市政は当然のことなので、目標とされる2030年度内に、それらすべての事業が達成できるとは思えない。努力を持続させ市民の意識を醸成していくことが、大事なことだ。少子高齢化、地域間格差、生活保護につながる貧困問題は、つくば市も抱える問題であり、一見、環境問題にスポットが当たりがちなSDGsの中でも、格差と貧困の是正は喫緊の課題といえる。

しかし「向こう10年で問題解決できるというなら、つくば市が合併してから今までの年月はなんだったのか」という懐疑的な声を聞く。それらはいわゆる研究学園都市の外側、特に北部の周辺地区でくすぶり続けている。都市と農村の境界線は、風景ではなく地域住民の感じ方なのかもしれない。

つくば市はこうした周辺地域8エリアを対象に「つくばRegion8(リージョンエイト)地域活性化プラン」を公募し、民間活力を投入する助成事業も進めている。2年目にあたる今年は、地域ぐるみ活動創生コース(賞金各100万円)で▽コロナ災禍克服熱狂「町民芝居と和提灯祭」-手作り不滅の町おこしムーブメント(わわわやたべや町民会議)▽Bond Job(ボンジョブ)で産業・マルシェ・フォトアートを展開する(明治大学木寺ゼミナール)▽ふるさと菜園事業-つくばにあなたのふるさとを(国際耕種株式会社)の3プラン、稼げる地域づくり創生コース(各200万円)で▽地域に開かれたゴルフ場活用プロジェクト(筑波国際カントリークラブ)▽古民家再生プログラム「工芸×IoT」で最先端の地域活性化(iriai tempo=イリアイテンポ)の2プランが採択された。

いずれも地産の資源を活かし、人々の定住を促そうという計画だ。補助金対象は単年度で、来年2月に成果報告を求めているところは性急だが、そもそも単年度で撤収するようなプランはひとつもない。いかに持続させていくかがこれからの注目だろう。

「Region8」は周辺地域における事業。研究学園地区内とは別個の「ものさし」で進められる息の長い地域振興となる。格差と貧困の是正という急務も横たわるが、そこにはつくばの豊かな都市と文化の再発掘と活性化がある。これこそが四半世紀前に唱えられた「文化は都市を刺激する」という言葉の継承に他ならない。(続く、全5回シリーズ、不定期掲載)

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雪と氷とコハクチョウ《鳥撮り三昧》10

【コラム・海老原信一】今回の題は「雪と氷とコハクチョウ」ですが、北国に行けば普通に見られる光景です。県南地域ではどうでしょう。寒さが募る1~2月、時々雪が降り、公園の池や沼も結氷します。洞峰公園の沼でも、日陰になる場所の雪や氷が溶けることなく、厚さを増すことがあります。そんなときはカモたちの様子を楽しめます。 しかし、ゼロではありませんが、つくば市の洞峰公園の沼にハクチョウが飛来することはあまりありません。20数年前に数羽の飛来を確認できたのに、連続しての飛来がなかったのは残念です。 水戸市の大塚池や旧瓜連町の古徳沼は、ハクチョウの飛来地として知られています。土浦市の乙戸沼もハクチョウの飛来を楽しめる場所です。私の記憶では、主にコハクチョウでしたが、数羽で飛来したハクチョウが20~30羽に増え、多いときには90数羽にもなりました。 私が観察を始めてから数年、20羽前後で飛来していました。しかし、ここ数年は減っており、「気候温暖化」の影響かなと思っています。少なくなったものの、今でも12月末には飛来し、乙戸沼を散策する人たちは、2月中旬ぐらいまでハクチョウを楽しめます。 ところが、2025年12月末~26年1月初旬、その姿が見られませんでした。この原稿を書いている1月18日には飛来しているのか、分かりません。近日中に行ってみるつもりです。 降雪後の晴れて冷えた朝 乙戸沼でのことですが、「雪と氷とコハクチョウ」を経験できたことがあります。22年1月の雪が降った後の晴れて冷えた朝、水面は全面結氷。コハクチョウが数羽、岸近くの日が当たりそうな氷の上に身を伏せ、じっとしていました。 長い首を水中に差し込み、水底の水草の根などを食べる彼らにとって、氷が解けないことには食事ができません。人が与える食べ物を得るにしても、足元が氷では思うように動けません。身を守る上でも不利と思っているのでしょう。ひたすら氷解を待っていると、私は見ていました。 こういったコハクチョウの様子をうれしそうに見ている私を、彼らは「ひどい奴だ」と思っていたかもしれません。それでも「これからも来てほしい、楽しませてほしい」と、彼らの飛来を願っている私。そのために何ができるのかを考えながら、野鳥の観察を続けたいと思っています。(写真家) 追記:1月20日、11羽の乙戸沼飛来を確認し一安心。

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