日曜日, 5月 24, 2026
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【つくば/都市と文化】1 建築博物都市・つくば

【鴨志田隆之】つくば市、少し限定して筑波研究学園都市内には、すでに改築、解体され現存していない建物も含めて、実に多種多様で大量の公共建築が林立する。磯崎新設計によるつくばセンタービルをはじめ、つくばカピオ(谷口吉生設計)、つくば国際会議場(坂倉建築研究所)、つくば文化アルス(石本建築事務所)、松見公園展望塔・レストハウス(菊竹清訓設計)、筑波新都市記念館・洞峰公園体育館(大高正人設計)など。

研究学園都市の開発を主に手掛けたのは、現在のUR都市機構(都市再生機構、日本住宅公団~住宅・都市整備公団が前身)と国土交通省(建設省)の出先機関、筑波大学(施設部)などだった。個々の建築物は都市の森の中に埋もれて久しいが、公団では自ら担当した建物だけでなく、建設省や各研究機関の建築についてもデータベースを残している。この資料は90年代後半の建築記録で内部資料としてまとめられたが、後にNPOが立ち上げられ、つくば建築研究会として「つくば建築フォトファイル」が2005年に出版された。つくばエクスプレス(TX)開業に合わせて、つくばの建築と街のガイドブックとしてまとめられており、現在でも入手可能だ。

106の建築物を掲載、800点のカラー写真や図版、300ページを超えるボリュームは、手軽に持ち歩くにはいささか重さを感じるが、公共、研究、住宅などのジャンルごとに紹介される建物それぞれが、これほど個性を放っていたのかと再認識させられる。

同書を編集したつくば建築研究会の若柳綾子理事に聞くと、「私の夫(若柳幹郎さん)が生前、前身のデータベースづくりを公団から依頼された。当初は内部資料でしたが、後の時代に向けて一般市民にも販売できるものとして考えられていたようです。若柳建築事務所とともにこの仕事を私とNPOが引き継ぎ、作り上げたものです。建築探訪ツアーなども展開してきました」と経緯を話してくれた。

いま、この書籍を紹介する理由は、膨大な建築作品集とともに収録されている土肥博至さん(住宅公団出身、筑波大学教授を経て神戸芸術工科大学で学長を務めた)と故・大高正人さん(大高建築設計事務所を率い各地の建築設計のほか、全国のニュータウン開発に参画)の対談にある。2人とも、建築家、都市計画家として研究学園都市のデザインに関わり、建築も残した人物だ。

対談の時点で都市は概成(1979年度、43 の教育・試験研究機関等の移転完了をもって学園都市建設は概ね完了した)しており、つくば市合併を経て、まちづくりはTX開業と沿線開発による市街地形成という新しい局面に移っていた。「もはやどこがどうだかわからなくなった」「まちは変わるもの。変われなければ沈滞する」と対話している。

彼らの展望通り、研究学園都市は変貌を続けている。しかし変化の仕方に魅力があるかどうかは、住まい、訪れる人々それぞれの受け止める印象で異なるだろう。コロナ禍によって外出も思うようにならない日々、この建築フォトファイルを再読すると、つくばの街と樹々に埋もれた106件もの建築(掲載点数)をあらためて俯瞰(ふかん)することができる。(続く、全5回シリーズ、不定期掲載)

「つくば建築フォトファイル」(変形B5判、370ページ、本体価格2381円+税)つくば建築研究会で取り扱い中(通信販売のみ、電話029-886-8039)http://tsukuba-arch.org/?page_id=12

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リアリズムをとことん追求 60人の水彩画と色鉛筆画200点一堂に 県つくば美術館 

「水彩画と色鉛筆画のアトリエ・ハートタイム展」が19日から、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれている。土浦一高OBで東京芸大出身の水彩画家、田中己永(みのり)さんが主宰する絵画教室のグループ展で、同教室で教える講師の作品と、教室の生徒60人の水彩画と色鉛筆画203点を展示している。TBSテレビの人気番組「プレバト」に出演している色鉛筆画講師の三上詩絵さんの作品も展示されている。24日(日)まで。 絵画教室「アトリエ・ハートタイム」は土浦や石岡に教室があり、水彩画を田中さん、色鉛筆画を三上詩絵さんが教える。コロナ禍で生徒が30人ぐらいまで減った時期もあったが、現在は60人を超えている。 出展作品は、風景画や人物画、リアリズムをとことん追求した作品など多彩だ。テーマは設けず自由だという。「ヤカン」を描いた、同教室生徒の南雅人さんは、ヤカンの金属光沢や立体感を見事に表現する。山本千さんの「静寂/しじま」は音を吸い込み張り詰めた静けさの雪景色と雲の合い間から現れる光を表現する。小野洋子さんの「クワガタの戦い」は主役のクワガタを引き立てるために背景をぼかした技術を使っている。 絵画教室主宰者で水彩画講師の田中さんは「作品を作るのに1カ月から3カ月という時間をかける人が多い。根気よく続ければ必ず納得できる作品になっていく」と話す。 講師の作品も展示している。田中さんが今回展示している水彩画「花・装束」は、みずみずしく繊細だ。「教室を開いているが、自分の絵は自己流」だとし「誰でも根気さえあれば描くことができる。誰よりもうまいとかいうことでなく、自分の表現を磨いてほしい」と語る。 色鉛筆画講師の三上さんは土浦市出身、つくば市在住。今回は色鉛筆画「スターダスト」1点を展示する。「長崎市で講演会があった縁で壱岐で展示会が決まり、作品200点が壱岐島に行っている」と語り「最初に描いたのは2011年で色鉛筆画はなかなか大変だったと気付いた。大変なものを克服して、大変だからこそはまっていったと思う」と話し、「作品はネットでも見ることは出来るが、原画を見てこそ本当の良さがわかるので、是非とも展示会に足を運んでもらいたい」と付け加えた。 ◆「水彩画と色鉛筆画のアトリエ・ハートタイム展」は19日(火)~24日(日)、つくば市吾妻2-8 県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは電話029-823-3132(アトリエ・ハートタイム)へ。