土曜日, 4月 4, 2026
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《土着通信部》40 根本健一さんのつくばスタイル

【コラム・相澤冬樹】音楽はクラシック党、名画を求めてエルミタージュやフィレンツェの美術館を訪ねたりしていたから、こと芸術に関しては本格志向だった。それでいて新奇さや前衛に傾倒する新しもの好きで、学生や若いアーティストにパトロンじみた支援も行うなど、鄙(ひな)には稀(まれ)な人物だった。鄙―つくば市吉瀬の田園を「ルーラル」と呼んで、筑波研究学園都市の「アーバン」と対置する取り組みを行ってきた根本健一さんが4日、亡くなった。66歳だった。

今の筑波都市整備の前身、第3セクターの筑波新都市開発で竹園や天久保のショッピングセンター開発に取り組んでいた根本さんが退職し、吉瀬の自宅の長屋門で画廊を始めたのは30歳前後、80年代の初めだったと思う。鄙に戻って家業の農家を本格的に継ぐのかと思えば、口にしたのは「農村業」への転身だった。

3セクはデベロッパーだったから、身に着けた不動産業の知識を農村に合った形で事業化する展開を考えた。科学万博のあった85年を契機に退職、長屋門を構えるほどの旧家の母屋はやがてレストランとなり、自宅周辺の小家屋は陶芸工房や貸しオフィス、美術学生のアパート兼作業場として提供された。

平成になると、事業は吉瀬集落からつくば市周辺に及ぶ。吉瀬には林間のオートキャンプ場「フォンテーヌの森」を開設、「アウトドアライフ」やら「RV車」などがトレンドワードとして急浮上していた時期で、時代の先取り感はあった。「グリーンツーリズム」や「クラインガルテン」など農村業にまつわる横文字には即座に反応し、企業化を図ったが、イチゴの水耕ハウス栽培など空回りすることも少なくなかった。

農村のストックを付加価値の先頭に

高度経済成長が続いた80年代まで、農村の都市化は不可逆的で、学園都市周辺の農村部はいわゆる「混住社会」というとらえ方をされていた。しかし「混住」は過渡期の姿ではなく、地域社会の1つのありようであることが、まさにつくばで明確になってきた。根本さんは筑波大学をはじめとした都市計画、地域計画の専門家、芸術家たちと交流するなかで、手法や考え方を学び、地域のなかに具体的に落とし込む作業に没頭した。

2005年のTX(つくばエクスプレス)開業に前後して唱えられた「つくばスタイル」こそ、混住モデルの提示と言えた。このブランドづくりに一役買った根本さんは「CROSSつくば」06年1月号に「つくばスタイル 新・田園ライフの提案」を書いている。「農村のストックを付加価値の先頭に登用する」と市民農園への「モービルホーム」係留などの展開法を提示した。

新しもの好き、根本さんの先取りはいかんせん早すぎたのかもしれない。根本さんの好んだカタカナ言葉、「グリーンツーリズム」も「モービルホーム」も「古民家リノベーション」も、今は地域づくりのツールとして普通に使われるようになった。しかし、時代が追いついてきたとき、根本さんは生き急ぐかのように逝ってしまった。

心臓に持病を抱え、昨年11月脳梗塞に倒れた。以来丸9カ月に及んだ闘病生活。コロナ禍で周囲の面会もままならないなか、家族だけが看取る静かな死だった。

葬儀で井坂敦実さん(最後の筑波町長、元つくば市教育長)は、長い付き合いを振り返り「みんな中途半端になった」、叱るように早すぎる死を惜しんだ。(ブロガー)

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10年の区切りに…《令和樂学ラボ》40

【コラム・川上美智子】45年にわたる大学勤務を70歳で終えて、ちょうど10年が過ぎた。老後の時間をどのように過ごすかは、誰にとっても大きな課題であろう。それまでの経験を生かして生きがいを持ちながら、自分を活かす方法を探ってきた10年間の足跡を総括してみた。 大学では73歳まで非常勤講師として勤務できることから、3年間は週2コマ程度の授業を担当しながら、新たに水戸に開設された民間の認可保育園の園長を3年間務めた。大学勤務の時に茨城県初の認定こども園設置のモデル事業を担当した関係で、幼児教育には少しはなじみがあったが、保育現場で発生する課題の多くを知る3年であった。 ここで学んだ経営管理手法を生かし、つくばの認可保育園「みらいのもり保育園」開設に関わることになり、準備期間1年、園長4年を務め、その後は会社のアドバイザーの立場で関わりをもっている。今年の3月にはゼロ歳児であった園児が卒園を迎え、旅立ちの姿を見届けることができた。 毎年、園児には卒園制作として陶芸体験をさせ、ペンダントを作らせている。どの子も思い思いにユニークな形に練り上げ、出来上がりをとても楽しみにしてくれる。卒園後、宝物やお守りのように大事にしてくれる子もいる。こちらも、大学生や院生に卒論や修士論文を仕上げさせた時のように、一緒に小さな達成感を味わっている。 これと並行して某社を訪問し、週1~2時間、野菜関係の商品開発や研究などについて社長より相談を受けている。こちらは、筆者の専門領域を生かせる分野であり、研究や学びの継続につながっている。 またNPO活動の「子ども大学常陸」では、長らく学長と理事を務めており、年1回、小学生を対象に大学レベルの授業をわかりやすく行っている。このNPOでは、若い理事長が積極的に動いており、日立駅前の子どもの屋内型遊び場「Hiタッチランド・ハレニコ」運営の指定管理を日立市より受けていて、ほぼ年中無休で開館している。 さらに先日は、高萩ユーフィールド運営会社と連携協定を結んだ。屋内だけでなく、緑豊かな自然環境の中での子どもたちの体験活動プログラムを展開して、広く子どもの育ちを支援できればと考えている。 ボランティア活動にもいろいろ関わってきた。ロータリー活動の一環で、水戸市内の子どもの遊び場の玩具の清掃、年1回の障害のある子どものアート展開催、子どもフードパントリーの手伝いなど、また学区内の学校運営協議会への参加、町内会長としての防犯パトロールなど、高齢なりに地域活動ができたと思う。 次の10年こそは… 趣味が高じた陶芸活動にも少し欲が出てきている。暇を見つけての作陶で一つの作品を作るのに時間はかかるが、展覧会に出す大型作品の制作だけはずっと続けて行きたいと考えている。 地域に役立つことと自己表現に力を入れた10年であったように思うが、本当に短かった。次の10年こそは、断捨離と研究の整理など先延ばしにしてきた自分のことをやり、子どもや孫と過ごす時間も大切にしたいと思っている(関彰商事アドバイザー、茨城キリスト教大学名誉教授)。

さくら小学校が開校 TX沿線の学校新設に区切り つくば市

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「小さな目標から一つずつ実現を」 日本国際学園大で入学式 つくば

3期生160人が入学 日本国際学園大学(橋本綱夫学長)の入学式が4日、同大つくばキャンパス(つくば市吾妻)で催され、3期生160人が入学した。同大は筑波学院大学から大学名を変更し一昨年4月に開学した。3回目の入学式となった2026度の新入生は昨年の約2倍になった。 式典で橋本学長は「大学に入った目的を思い出して欲しい。そして目的のために目標を立てることが必要。目標は小さな目標から一つずつ実現していくことで、最初の目的を実現させることができる」と話した。総代としてミャンマー出身のアゥンカゥンミャットさんが橋本学長から入学許可書を受け取った。 新入生を代表して安達歩夢さんは「自ら課題を見出し行動する主体的な姿勢が求められる。新たな環境の中で不安や戸惑いを感じることもあるかも知れないが、一つ一つの経験が将来につながると思う。これから知り合う仲間たちと切磋琢磨を重ね視野を広げるような交流をしていきたい」と語った。 在校生を代表して経営情報学部ビジネスデザイン学科4年生の八木翔平さんは、新入生に向けて「大学生活は高校までと異なり、自ら考え、選択し、行動することが求められる。授業も自分で選び、それが将来につながっていく。またこの大学は留学生が多いので、異なる文化や価値観を学び合うことができる。一人一人が可能性を広げ、挑戦を恐れずに様々なことに取り組んでほしい」とエールを送った。 同大は1990年、東京家政学院大の筑波短期大学として開学。96年に4年制の筑波女子大学に、2005年に男女共学の筑波学院大学になった。大学の運営は19年度に東京家政学院から学校法人の筑波学院大学に移り、23年からは学校法人名を日本国際学園に変更した。一昨年からは姉妹法人の東北外語学園(仙台市、橋本理事長)が運営する東北外語観光専門学校に日本国際学園大の仙台キャンパスを設置し、つくばと仙台にキャンパスがある。(榎田智司)

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【コラム・沼田誠】茨城県の外国人政策が変化している。その象徴が2026(令和8)年度予算案に盛り込まれた「通報報奨金制度」だ。外国人を不法に受け入れている事業者について、市民から具体的で根拠のある情報を募り、有益な情報には報奨金を支払うという。茨城は不法就労の摘発数が全国で最も多く、何らかの対策が必要だとしても、このような制度設計は都道府県レベルでは異例だ。その背景には外国人住民の急増がある。全国の在留外国人数は、2025年6月末で395万人に達し、この10年で約1.7倍に膨らんだ。茨城県の在留外国人数も5.8万人から10.6万人とほぼ倍増している。農業・建設・サービス業を中心に、外国人なしでは成り立たない産業構造が広がる一方、外国人居住者と日常的に隣り合わせになるという現実は、多くの県民にとって初めての経験だ。 県が「適正化」を強めるのであれば、市町村には「地域で暮らす外国人住民をどう支え、社会参加につなげるのか」という別の役割が問われる。水戸市やつくば市は、増加する外国人住民にどう向き合っているのだろうか?水戸50人に1人:つくば20人に1人 水戸市の在留外国人数は4772人。人口比では1.8%だが、県都としては無視できない規模だ。その対応策の相当部分は、外郭団体の水戸市国際交流協会が担っている。2022年に公表された市政モニターからの政策提言への回答では、同協会が運営する国際交流センターは、外国人市民の実態やエスニックコミュニティの状況をこれまで調査しておらず、具体的な課題をあまり把握できていないと認めている。 つくば市の在留外国人数は1万4650人と県内最多で、住民の20人に1人が外国人になっている。この10年で約5000人も増加しており、研究者や留学生に加え、就労目的の外国人が増えているとみられる。こうした変化を受け、市は2023年3月「第2次つくば市グローバル化基本指針」を策定、「すべての人にとって住みやすいグローバル都市」をゴールに掲げ、日本語学習支援を「都市インフラ」と定義した。 ただ、この指針の根拠となる「つくば市外国人市民意識調査」は、ウェブ方式で実施されており、情報アクセスが限られている層の声や実態が十分拾えていない可能性がある。これに対し大阪府豊中市の「外国人市民アンケート」(2023年3月)では、住民基本台帳から無作為抽出した対象者に、多言語の調査票を直接郵送する方式で行われ、孤立感・定住意向・子どもの教育環境まで可視化できている。解像度が異なれば、そこから導かれる施策も変わってくるはずだ。「見えない声」を拾う調査が必要 外国人居住者が安心して社会参画できる環境を設計することは、人手不足に苦しむ産業の持続可能性への回答であると同時に、人権上の要請でもある。その出発点は、泥臭く「見えない声」を拾い上げる実態調査にあるのではないだろうか。私たちは、隣人についてもっとよく知り、理解する必要がある。(元水戸市みとの魅力発信課長)