木曜日, 2月 12, 2026
ホームスポーツ【高校野球代替大会を終えて】㊤ 常総、夏1勝は創部以来初

【高校野球代替大会を終えて】㊤ 常総、夏1勝は創部以来初

【伊達康】茨城の夏の高校野球代替大会は5日の準々決勝をもって終了した。勝利したのは霞ケ浦、土浦湖北、水戸啓明、明秀学園日立の4校だ。

「3年生全員」戦法通用せず

今大会で最も衝撃だったのは秋優勝の常総学院が、3回戦で多賀に2対3で敗退したことだろう。

大会前から菊地竜雅と一條力真のWエースは全国的にも有名なプロ注目の逸材だった。

初戦の2回戦では菊地が152キロ、一條は148キロとそれぞれ自己最速をマークし、前評判通り圧倒的な投手力を披露した。さらにベンチに入った31人の3年生全員が出場する離れ業をやってのけた。

力投した常総学院の菊地竜雅=ノーブルホームスタジアム水戸

ところが次の3回戦では「できるだけ多くの3年生を起用しながら勝つ」という戦法が通用しなかった。

3回表に連打やバッテリーミスで多賀に一挙3点を先制された。相手のエース神永耀生は2年生ながらこの日の最速139キロをマークするなど、常総学院打線とはいえ簡単には攻略できない、抜群にキレのあるボールで粘りの投球を見せた。

常総学院はチャンスをつくるものの、あと1本が出ず14残塁。7回と8回に1点ずつ返したが、3点が最後まで重くのしかかり敗れた。

佐々木監督は大会前に「コロナ禍で打者がバッティングの感覚を失っており打線が仕上がっていない」と漏らしていたが、不安が的中する結果となってしまった。

夏の大会で常総学院が1勝しかできなかったのは創部以来、初めてのことだ。敗戦の翌日、島田直也投手コーチが監督に昇格し、佐々木監督は新たに統括責任者の任に就くこととなった。常総学院の復権は島田新監督の手腕にかかっている。

タイブレーク救った大魔神・山本雄大

秋準優勝の霞ケ浦も総和工との3回戦で苦しんだ。霞ケ浦は2回裏に二死から4連打で4点を先制したが、総和工は3回表にタイムリーと2番・杉山紘也が肩口から入るカーブを叩きレフトスタンドに運ぶ2ランホームランで1点差とした。さらに6回表、内野安打と盗塁で無死二塁から、4番・横山耕希の三遊間を破るタイムリーで同点に追いついた。

流れは総和工に傾き始めたが、ここで2番手としてマウンドに上がった霞ケ浦のエース山本雄大が盗塁殺と二者連続三振に打ち取って流れを断ち切った。

その後は両者ともチャンスすら作れない。山本は雄叫びを上げながら力投を続けた。総和工の背番号10の先発・永井政人も最速123キロながら両サイドに丁寧に散らす投球で凡打の山を築いた。

3年生で戦うとしていた霞ケ浦であったが、9回裏には何とか攻撃の糸口をつかもうと非凡な打撃センスを持つ2年生の飯塚を代打で起用した。それでも結果はセカンドゴロに終わる。

試合は9回を終えても同点のままで、無死一、二塁から始まるタイブレークに突入した。ここでも山本は殺気だったような投球を演じ、最後のバッターを見逃し三振に仕留めた。6回途中からマウンドに上がり、打者14人に対して被安打1、奪三振9、無四球。相手打線をほぼ完璧にねじ伏せ、最速は自己記録を更新する143キロに達していた。

どちらに転んでもおかしくない息を飲む試合展開に張り詰めた空気が漂う。10回裏、山本の力投に報いるべく、霞ケ浦は先頭の小田倉啓介が送りバントで一死二、三塁とすると、2番・斎藤拓生がセンターオーバーを放ってサヨナラ勝ちを収めた。

10回裏、斉藤拓生の安打で生還した小勝亮央=笠間市民球場

山本の力投がなければこの試合は落としていたに違いない。そんな苦しいギリギリの戦いを乗り越えた霞ケ浦は次から王者の貫禄を取り戻し4回戦では打線が奮起して鹿島学園に11対1と大勝。続く準々決勝はエース山本雄大が圧巻のピッチングを披露し3対0で水城に勝利した。4校優勝とはいえ、霞ケ浦は2年連続で茨城の頂点に輝いた。

土浦ダービーとなった準々決勝

8月5日にノーブル水戸で行われた準々決勝第1試合は土浦日大と土浦湖北の土浦ダービーとなった。試合はボールのキレで勝負する土浦日大エースの中川竜哉と、剛速球でねじ伏せる土浦湖北エースの大坪誠之助の投げ合いとなった。

先手を取ったのは土浦日大だ。2回裏、先頭・中川がセンターへのツーベースヒットで出塁すると、送りバントがフィルダースチョイスとなり無死二、三塁とした。しかし、9番・中村はスクイズを2度失敗し空振り三振。後続も連続三振に倒れ絶好のチャンスを生かせない。

先制したのは土浦湖北だ。5回表、先頭の大坪がセンターオーバーのスリーベースを放つと、ボークで1点を先制。自らが先制のホームを踏んだ大坪はその後二塁を踏ませない圧巻の投球で土浦日大の反撃をしのいだ。さらに9回表、二死から3番・田中のセンター前ヒットと四球、ボークで二塁、三塁とすると,パスボールで2点目を奪った。

後がない土浦日大は一死から代打に関野を投入したが、大坪渾身の144キロストレートに空振り三振。二死から6番・菅野がライト前ヒットで出塁したが、中川はセンターフライで試合終了となった。

試合後、土浦日大の小菅勲監督は「大坪君が良かった。ヒットが出るには出たがつながりを欠いた。反面、相手は長打が出た後にワンチャンスをものにできた。ボークは仕方ない」とうつむきがちに淡々と語った。

ベストピッチで有終の美を飾った土浦湖北の大坪誠之助投手=ノーブルホームスタジアム水戸

土浦湖北の小川監督は「土浦市内同士の対決なので絶対に勝ちたかった」と満面の笑みがこぼれた。完封した大坪については「高校生活で最高の出来、ベストピッチ。6月からひじの調子が悪く長いイニングを投げさせなかった。序盤に点を取られたら替えようと思っていたが、あれだけ気持ちの入ったピッチングをしていたものだから替えられなかった」と絶賛した。

さらに「(梅雨で日程が延び8強決定の)8月2日で大会が終わると聞いたときはひじの状態もあるので、あと1試合なんだと安心した。でも後から、勝ったら(4強決定まで)もう1試合やると決まって不安で仕方なかった」と、日程変更にかかる素直な心境を吐露した。控えに回った選手については「荒木という最速143キロを投げる力のある投手が後ろに控えている。その子も出たかっただろうし、出してやりたかった」と気遣った。

土浦湖北はこの翌日から新チームで岩手に遠征した。外野にいる筆者は、勝った4チームで任意の準決勝と決勝をやればいいのではないかと考えていたが、当人たちは気持ちを切り替えて次に進んでいる。

(続く)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

末期がんと診断されてしまいました…《ハチドリ暮らし》58

【コラム・山口京子】末期がんと診断され、生活が変わりました。昨年12月、痔の治療のつもりで病院を訪れたところ、「痔ではなく、大腸がんです」と、医師にあっさり説明されました。そのあとの血液検査と内視鏡検査で分かったのは、進行性の直腸がん。 「ここでは治療はできないので、紹介状を書きます。どこの病院を希望しますか?」と言われても…。がんだから、専門の病院がいいのか、家から通いやすい病院がいいのか…。 家に近い総合病院の名前を伝えると、受付の方がそこに連絡し、予約日を決めてくれました。紹介状を受け取り、帰宅したものの、実感はありません。確率的にはおかしくはないけれど、自分にもホントに来たのだな…。 体の感覚は昨日と変わらないのに、がんと診断されたことで、何か変わってしまいました。この原稿を書いているときも、がんが増殖中と思うとおかしな気分。昨年は体調不良を感じていたけれど、左足の骨折や夏の暑さのせいと思い込んでいました。 4日後、総合病院で検査。10日後、直腸がんであること、肝臓・肺・リンパに転移し、ステージ4との検査結果。治療しないと余命8カ月、治療してうまくいけば2年半。治療方針は、化学療法で転移を抑え、経過を見るとのこと。年明けに入院し、抗がん剤治療を始める日程。説明を涙ながらメモしている娘。 2週間を1クールとして治療 期間限定の人生になったらしい…まだ信じられない。でも人生は期間限定。死亡率100%なのだし…。副作用の説明もあったけれど、具体的にはどんな症状が出るのか。痛みに弱い、ヘタレな自分がどこまで治療についていけるのか。 がんと分かってから、がん関連の本を何冊も読んでみました。標準治療に対する評価、抗がん剤に対する考え方、先進医療や代替治療、食事やサプリメント、漢方薬など。さまざまな見解がありましたが、とにかく抗がん剤治療を受けることにし、仕事は12月で辞めました。 入院は1月6日。CVポート(皮下埋め込み型カテーテル)を装着し、2日後に抗がん剤の点滴を開始。4日間入院して点滴を受け、退院後の10日間は静養。この2週間を1クールとして治療を続けていく段取り。これから、どのような経過をたどるのでしょう。(消費生活アドバイザー)

デジタル技術を駆使 アニメ、ゲーム、広告デザインなど展示 日本国際学園大

日本国際学園大学(つくば市吾妻)でデザインを学ぶ3、4年生が、日ごろの学習の成果を発表する作品展「2026コンテンツ デザイン エキシビジョン」(同大経営情報学部ビジネスデザイン学科主催)がこのほど、同市吾妻、中央公園内のつくば市民ギャラリーで開かれ、アニメ、ゲーム、メタバースなど最新のデジタル技術を駆使した作品や、想定した架空の店舗や商品のブランド価値を高める広告デザインなどが展示された。 1月31日から2月6日まで開催され、学生17人が作品約40点を展示した。同展は毎年開催され今年で15回目。4年生にとっては卒業制作展になる。 展示されたのは、楽曲に合わせて容姿が変化していくキャラクターを描いたアニメ作品、音楽に合わせてキャラクターや背景を動かすなどデジタルアートの制作過程そのものを映像にした作品、AIを使って小説のシナリオとキャラクターを制作したノベルゲームなど。 広告デザインは、つくば駅近くに架空のカフェがオープンしたと想定し、店舗のロゴやチラシ、缶バッチやシールなどを実際にデザインしたものや、土浦や水戸、常陸太田、龍ケ崎など、県内各地の昭和レトロな商店街を実際に訪ね歩き、それぞれの魅力を紹介したガイドブック、架空の水戸納豆のオリジナルキャラクターや商品パッケージなどをデザインした作品などが展示された。 インターネット上の3次元の仮想空間、メタバースの中で参加者を募り、参加者の分身であるアバターの撮影会や交流会を主催するなど2年間にわたる活動記録をポスター展示した4年の姜翔(きょう・しょう)さん(21)は「メタバースでは、いろいろな人が参加できるように企画を考えてイベント開きコミュニティを引っ張ったが、毎日のように反省点が出てきた」と活動を振り返った。 情報デザインやメディアアートを指導する同大の高嶋啓教授は「4年生にとっては、新型コロナの行動制限が始まった最初の年を1年生として過ごした。表現したいという強い気持ちが現れた作品や、センスが面白い作品があるので、これを引き継いでさらに深めていってくれれば」と話していた。

焼き芋ブームを「食文化」に《邑から日本を見る》191

【コラム・先﨑千尋】「焼き芋がブームになって20年。それを食文化に定着させよう」。今やスーパーの店頭だけでなく、コンビニやドラッグストアでも焼き芋が売られている。その火付け役となったのが「なめがた農協(現なめがたしおさい農協)」だ。 行方市で焼き芋サミット その本拠地の行方市にあるレイクエコーで、1月16日に「全国焼き芋サミット」が開かれ、全国から、焼き芋愛好家や生産者、行政、農協関係者、焼き芋業者、研究者など350人が集まり、焼き芋について熱く語り合った。開催は昨年に続いて2回目。主催は同実行委員会と行方市。 サミットの冒頭、同農協の金田富夫組合長が「農協では約30年前、それまでは主食用だったサツマイモを焼き芋として販売しようと考え、スーパーの店頭で売ることを考えた。しかし、焼き方や品種などで、1年を通しておいしい焼き芋を提供するのは難しかった。工夫を重ね、マニュアルを作り、今では全国約4000店舗で通年販売している。焼き芋をブームで終わらせるのではなく、食文化にしていきたい」と話した。 サミットでは最初、茨城県職員時代にサツマイモの病害虫研究に携わってきた東大大学院特任教授の渡邉健さんが、サツマイモ栽培で問題となっている「基腐(もとぐされ)病」などについて「必要以上に怖がらないように。病原菌を持ち込まない、増やさない、残さないが基本だ」と注意を呼び掛けた。 あるとうれしい⇒あって当たり前 基調講演は、サツマイモに特化したイベント「さつまいも博」を2020年に始めた石原健司さんが「焼き芋を『あるとうれしいもの』から『あって当たり前』に。生活を豊かにするものと消費者が考えられるようになれば、ブームから文化に定着したと言える。そのためには、客層を固定客だけでなく、子供世代やインバウンド(訪日客)などまで視野を広げていく必要がある」と訴えた。 「焼き芋業界のいま、そしてこれから」というテーマのトークセッションでは、龍ケ崎市や行方市の生産者や焼き芋業者らが登壇。それぞれが「原料のイモを安定して供給することが大事。そのためには土づくりが欠かせない。後継者が残れるために外部から呼び寄せることも必要。『焼き芋で笑顔に』を合言葉に、全国各地の百貨店やイベントに出店し、イモの皮まで旨(うま)味や香りを感じる焼き方を、生産者の思いも伝えながら全国の焼き芋ファンに届けている」などと話し合った。 サミットの最後は分科会。参加者が、生産、焼き芋市場・消費トレンド、地域・観光・体験農業、暮らしと女性の視点の4つに分かれて討議した。私が参加した生産の分科会では、基腐病や立枯病などの対策に関する質問や意見が多く出された。 サミット終了後、会場を隣の「なめがたファーマーズヴィレッジ」に移して交流会が開かれ、参加者は、サツマイモ料理や焼酎、いろいろな品種の焼き芋などを味わいながら、焼き芋談義で楽しんだ。(元瓜連町長)

紅梅満開 白梅咲き初む 筑波山梅まつり開幕

第53回筑波山梅まつりが7日、筑波山中腹にある筑波山梅林(つくば市沼田)で始まった。今年の開花状況は例年より1週間か10日ほど早く、紅梅はほぼ満開、白梅は咲き始めているという。1月初旬に満開となったロウバイは見頃が続いている。 7日は雪がちらつく中、開園式が催され、同梅まつり実行委員会の神谷大蔵委員長は「雪の開園式というのは私の知る限りはじめて。今年はずっと暖かったので花が咲き始めている。開催中大きな事故がないように務めていきたい」とあいさつした。式典には関係者約50人が参加した。 梅まつり期間中、がまの油売り口上、つくばのおさけで乾杯!(2月28日と3月1日に開催)、百人きものPresents/青春フォト(3月1日)などのイベントが開かれる。園内をつくば観光ボランティア298が案内する。ご当地土産品販売、筑波山おもてなし館での「梅Café」、梅を使用した期間限定メニュー「梅食」なども用意される。3月7日にはジオパーク企画として認定商品の販売、ジオパークの特設ブースも開設する。さらに隣接のアウトドアパーク「フォレストアドベンチャー」がリニューアルされ、往復180メートルの新ジップスライドが加わった。周辺店舗ではつくばうどん特別企画や、筑波山梅まつり宿泊プランなどが用意されている。 筑波山宮前振興会の渡辺伸一会長は「来た人に満足して帰っていただけるように努力したい。今年は梅食や梅ドリンクなどを用意した。福来みかんの素材を使ったものも、バージョンアップしているので期待してほしい」と話している。 梅まつりは3月15日まで。筑波山梅林は標高約250メートル付近にあり、中腹の斜面に広がる4.5ヘクタールの園内には約1000本の白梅や紅梅がある。