日曜日, 2月 22, 2026
ホームスポーツ【高校野球代替大会を終えて】㊤ 常総、夏1勝は創部以来初

【高校野球代替大会を終えて】㊤ 常総、夏1勝は創部以来初

【伊達康】茨城の夏の高校野球代替大会は5日の準々決勝をもって終了した。勝利したのは霞ケ浦、土浦湖北、水戸啓明、明秀学園日立の4校だ。

「3年生全員」戦法通用せず

今大会で最も衝撃だったのは秋優勝の常総学院が、3回戦で多賀に2対3で敗退したことだろう。

大会前から菊地竜雅と一條力真のWエースは全国的にも有名なプロ注目の逸材だった。

初戦の2回戦では菊地が152キロ、一條は148キロとそれぞれ自己最速をマークし、前評判通り圧倒的な投手力を披露した。さらにベンチに入った31人の3年生全員が出場する離れ業をやってのけた。

力投した常総学院の菊地竜雅=ノーブルホームスタジアム水戸

ところが次の3回戦では「できるだけ多くの3年生を起用しながら勝つ」という戦法が通用しなかった。

3回表に連打やバッテリーミスで多賀に一挙3点を先制された。相手のエース神永耀生は2年生ながらこの日の最速139キロをマークするなど、常総学院打線とはいえ簡単には攻略できない、抜群にキレのあるボールで粘りの投球を見せた。

常総学院はチャンスをつくるものの、あと1本が出ず14残塁。7回と8回に1点ずつ返したが、3点が最後まで重くのしかかり敗れた。

佐々木監督は大会前に「コロナ禍で打者がバッティングの感覚を失っており打線が仕上がっていない」と漏らしていたが、不安が的中する結果となってしまった。

夏の大会で常総学院が1勝しかできなかったのは創部以来、初めてのことだ。敗戦の翌日、島田直也投手コーチが監督に昇格し、佐々木監督は新たに統括責任者の任に就くこととなった。常総学院の復権は島田新監督の手腕にかかっている。

タイブレーク救った大魔神・山本雄大

秋準優勝の霞ケ浦も総和工との3回戦で苦しんだ。霞ケ浦は2回裏に二死から4連打で4点を先制したが、総和工は3回表にタイムリーと2番・杉山紘也が肩口から入るカーブを叩きレフトスタンドに運ぶ2ランホームランで1点差とした。さらに6回表、内野安打と盗塁で無死二塁から、4番・横山耕希の三遊間を破るタイムリーで同点に追いついた。

流れは総和工に傾き始めたが、ここで2番手としてマウンドに上がった霞ケ浦のエース山本雄大が盗塁殺と二者連続三振に打ち取って流れを断ち切った。

その後は両者ともチャンスすら作れない。山本は雄叫びを上げながら力投を続けた。総和工の背番号10の先発・永井政人も最速123キロながら両サイドに丁寧に散らす投球で凡打の山を築いた。

3年生で戦うとしていた霞ケ浦であったが、9回裏には何とか攻撃の糸口をつかもうと非凡な打撃センスを持つ2年生の飯塚を代打で起用した。それでも結果はセカンドゴロに終わる。

試合は9回を終えても同点のままで、無死一、二塁から始まるタイブレークに突入した。ここでも山本は殺気だったような投球を演じ、最後のバッターを見逃し三振に仕留めた。6回途中からマウンドに上がり、打者14人に対して被安打1、奪三振9、無四球。相手打線をほぼ完璧にねじ伏せ、最速は自己記録を更新する143キロに達していた。

どちらに転んでもおかしくない息を飲む試合展開に張り詰めた空気が漂う。10回裏、山本の力投に報いるべく、霞ケ浦は先頭の小田倉啓介が送りバントで一死二、三塁とすると、2番・斎藤拓生がセンターオーバーを放ってサヨナラ勝ちを収めた。

10回裏、斉藤拓生の安打で生還した小勝亮央=笠間市民球場

山本の力投がなければこの試合は落としていたに違いない。そんな苦しいギリギリの戦いを乗り越えた霞ケ浦は次から王者の貫禄を取り戻し4回戦では打線が奮起して鹿島学園に11対1と大勝。続く準々決勝はエース山本雄大が圧巻のピッチングを披露し3対0で水城に勝利した。4校優勝とはいえ、霞ケ浦は2年連続で茨城の頂点に輝いた。

土浦ダービーとなった準々決勝

8月5日にノーブル水戸で行われた準々決勝第1試合は土浦日大と土浦湖北の土浦ダービーとなった。試合はボールのキレで勝負する土浦日大エースの中川竜哉と、剛速球でねじ伏せる土浦湖北エースの大坪誠之助の投げ合いとなった。

先手を取ったのは土浦日大だ。2回裏、先頭・中川がセンターへのツーベースヒットで出塁すると、送りバントがフィルダースチョイスとなり無死二、三塁とした。しかし、9番・中村はスクイズを2度失敗し空振り三振。後続も連続三振に倒れ絶好のチャンスを生かせない。

先制したのは土浦湖北だ。5回表、先頭の大坪がセンターオーバーのスリーベースを放つと、ボークで1点を先制。自らが先制のホームを踏んだ大坪はその後二塁を踏ませない圧巻の投球で土浦日大の反撃をしのいだ。さらに9回表、二死から3番・田中のセンター前ヒットと四球、ボークで二塁、三塁とすると,パスボールで2点目を奪った。

後がない土浦日大は一死から代打に関野を投入したが、大坪渾身の144キロストレートに空振り三振。二死から6番・菅野がライト前ヒットで出塁したが、中川はセンターフライで試合終了となった。

試合後、土浦日大の小菅勲監督は「大坪君が良かった。ヒットが出るには出たがつながりを欠いた。反面、相手は長打が出た後にワンチャンスをものにできた。ボークは仕方ない」とうつむきがちに淡々と語った。

ベストピッチで有終の美を飾った土浦湖北の大坪誠之助投手=ノーブルホームスタジアム水戸

土浦湖北の小川監督は「土浦市内同士の対決なので絶対に勝ちたかった」と満面の笑みがこぼれた。完封した大坪については「高校生活で最高の出来、ベストピッチ。6月からひじの調子が悪く長いイニングを投げさせなかった。序盤に点を取られたら替えようと思っていたが、あれだけ気持ちの入ったピッチングをしていたものだから替えられなかった」と絶賛した。

さらに「(梅雨で日程が延び8強決定の)8月2日で大会が終わると聞いたときはひじの状態もあるので、あと1試合なんだと安心した。でも後から、勝ったら(4強決定まで)もう1試合やると決まって不安で仕方なかった」と、日程変更にかかる素直な心境を吐露した。控えに回った選手については「荒木という最速143キロを投げる力のある投手が後ろに控えている。その子も出たかっただろうし、出してやりたかった」と気遣った。

土浦湖北はこの翌日から新チームで岩手に遠征した。外野にいる筆者は、勝った4チームで任意の準決勝と決勝をやればいいのではないかと考えていたが、当人たちは気持ちを切り替えて次に進んでいる。

(続く)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

雪と氷とコハクチョウ《鳥撮り三昧》10

【コラム・海老原信一】今回の題は「雪と氷とコハクチョウ」ですが、北国に行けば普通に見られる光景です。県南地域ではどうでしょう。寒さが募る1~2月、時々雪が降り、公園の池や沼も結氷します。洞峰公園の沼でも、日陰になる場所の雪や氷が溶けることなく、厚さを増すことがあります。そんなときはカモたちの様子を楽しめます。 しかし、ゼロではありませんが、つくば市の洞峰公園の沼にハクチョウが飛来することはあまりありません。20数年前に数羽の飛来を確認できたのに、連続しての飛来がなかったのは残念です。 水戸市の大塚池や旧瓜連町の古徳沼は、ハクチョウの飛来地として知られています。土浦市の乙戸沼もハクチョウの飛来を楽しめる場所です。私の記憶では、主にコハクチョウでしたが、数羽で飛来したハクチョウが20~30羽に増え、多いときには90数羽にもなりました。 私が観察を始めてから数年、20羽前後で飛来していました。しかし、ここ数年は減っており、「気候温暖化」の影響かなと思っています。少なくなったものの、今でも12月末には飛来し、乙戸沼を散策する人たちは、2月中旬ぐらいまでハクチョウを楽しめます。 ところが、2025年12月末~26年1月初旬、その姿が見られませんでした。この原稿を書いている1月18日には飛来しているのか、分かりません。近日中に行ってみるつもりです。 降雪後の晴れて冷えた朝 乙戸沼でのことですが、「雪と氷とコハクチョウ」を経験できたことがあります。22年1月の雪が降った後の晴れて冷えた朝、水面は全面結氷。コハクチョウが数羽、岸近くの日が当たりそうな氷の上に身を伏せ、じっとしていました。 長い首を水中に差し込み、水底の水草の根などを食べる彼らにとって、氷が解けないことには食事ができません。人が与える食べ物を得るにしても、足元が氷では思うように動けません。身を守る上でも不利と思っているのでしょう。ひたすら氷解を待っていると、私は見ていました。 こういったコハクチョウの様子をうれしそうに見ている私を、彼らは「ひどい奴だ」と思っていたかもしれません。それでも「これからも来てほしい、楽しませてほしい」と、彼らの飛来を願っている私。そのために何ができるのかを考えながら、野鳥の観察を続けたいと思っています。(写真家) 追記:1月20日、11羽の乙戸沼飛来を確認し一安心。

つくば市平沢で林野火災 女性がやけど

【差し替え:21日午後2時35分】20日午後2時14分ごろ、つくば市平沢の山林で火災が発生、約3800平方メートルが焼けた。この火事で女性(73)がやけどを負い病院に救急車で搬送された。 火は同夜11時42分、延焼の危険がない鎮圧状態となり、21日午後0時半時点でほぼ鎮火した。市消防は完全に鎮火が確認されるまで引き続き巡回を続ける。 市消防によると、現場は社会福祉法人筑峯学園北側の山林で、市消防本部と消防団から消防車両14台と消防隊員ら75人が出動し、ジェットシューター(背負式消火水のう)などで消火活動を実施したほか、県防災ヘリコプターが上空から放水した。 鎮圧後も、残り火やくすぶりを完全に消し止める残火処理を含め、翌21日午後0時半まで、消火活動が実施された。 近くの人が庭先でごみを燃やし、燃え移ったのが原因とみられている。20日は筑峯学園の利用者らが一時避難した。

高市首相に土浦のレンコンをお届け 安藤市長ら

土浦市は、安藤真理子市長らが17日、高市早苗首相を表敬訪問し、生産量日本一のレンコンとレンコンの加工品を届けたと発表した。レンコンと花火を全国にPRしようと、安藤市長のほか、JA水郷つくばの池田正組合長、土浦商工会議所の中川喜久治会頭、市議会の勝田達也議長らが首相官邸を訪れた。 市によると、安藤市長らが、レンコンは穴が空いていることから先の見通せる縁起物の食材であることを説明したところ、高市首相は「今後、地方自治体の事業者の予見可能性を高めるべく、予算の組み方をがらっと変える」などと話したという。 表敬訪問にあたり高市首相には、贈答用の箱入りレンコン4キロ、レンコンが入ったレトルトカレー、レンコンの粉末が入ったバームクーヘンとサブレ―、レンコンと牛すね肉の煮物のレトルトパック、薄くスライスしたレンコンを油で揚げたレンコンチップスを贈呈したほか、今年度のれんこんグランプリ(1月30日付)で市長賞を受賞した羽成純さんのハス田で採れたレンコンを使ったきんぴらと酢の物を試食してもらったという。 土浦市長が首相を表敬訪問したのは初めて。地元選出衆院議員の国光あやの外務副大臣がとりもったという。

サックス奏者らが開催 「土浦の音」を聞く体感イベント 23日 東光寺

市民がさまざまな音集める 土浦市民が製作した竹のランプを灯し、土浦産のそば殻などで染めたストールを装飾した東光寺(同市大手町)の本堂で、市民が集めた土浦のさまざまな音をスピーカーから聞く体験イベント「音と光の建築at東光寺」が23日夜、開催される。当日は住職の読経も加わり、本堂がライトアップされる。音、光、建物そのものが作品となり、全身で体感するアートイベントだ。 同市在住のサックス奏者、宇津木紘一さん(44)が代表を務める「つちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクト実行委員会」が主催し、つくば市在住の染色家で「futashiba(フタシバ)248」を営む関将史さん(36)、裕子さん(36)夫妻、東光寺住職の松井泰信さん(44)らがゲストとして関わる。同市の土浦協働のまちづくりファンドの助成金を得て開催する。 土浦の魅力再発見を イベントで流す音は、同プロジェクトが昨年10月に開催したワークショップ「土浦 サウンドピクニック」の参加者らが録音した。 宇津木さんは土浦で生まれ、土浦で育った音楽家。これまで、土浦全国花火競技大会に合わせて観光客を歓迎するウエルカムフェスティバルを開催するなど(24年10月29日付)、地元の魅力を発信する活動にも取り組んできた。 今回は、土浦の音を記録して、独自のアートを表現し体感してもらうことで「地元の魅力を再発見しよう」とプロジェクトを始めた。「土浦に住んでいても知らないことは意外とあると思うし、何気ない日常の音でも土浦にしかない音がある」と宇津木さんは語る。 関さん夫妻は、県内の農家から譲り受けた草木、規格外の農作物など本来は廃棄される素材から色を抽出して、染色作品を製作している。 今回のプロジェクトには、所属しているまちづくり団体「土浦界隈まちづくり研究会」(同市中央)の紹介で参加した。「土浦はかつて私たちが工房兼店舗を構えていた場所でもあり、現在も継続的に関わり続けている思い入れのある土地」だとし、「地元のものを生かし、新たな魅力の再発見につながる取り組みになるのであればと思い参加した」と話す。 湖岸を自転車で走り録音 音を集めるワークショップは昨年10月に開き、小学生親子10人が参加した。霞ケ浦湖岸を自転車で走り、自分たちの足音、湖の波音、葉のこすれ合う音、水車の音、野球を練習する音などを、数秒から数十秒、参加者がスマートフォンなどで録音した。さらに同日は、遊覧船にも乗船して霞ケ浦を航行する船の音なども録音した。何を何秒録音するかなどの指定せず、参加者に任せた。集まった音源は50本以上になり、宇津木さんが編集して1本に繋げた。 イベントでは、東光寺本堂にスピーカーを設置して流す。スピーカーは立体的に音が聞こえるよう左右に向かい合せて置く。宇津木さんは「本堂の場所によって音の聞こえ方が異なる。当日は、席を決めずいろいろな場所に自由に移動して土浦の音を楽しんでほしい」という。途中、松井住職の読経が加わる時間帯もあり「読経と合わせて土浦の音を聞くことも、新しい体験だ」と話す。 地元の材料で染めたい 会場に飾る竹のライトと染め物のストールは昨年12月開催したワークショップで、参加者約30人が作った。竹のライトは「にれ工房」(つくば市下平塚)の関係者が指導し、廃材となった竹を切ったりドリルなどで穴を開けて作った。中にLEDライトを入れることで穴から光がこぼれる仕組みだ。 ストールの染色は関さん夫妻が指導した。「地元土浦の材料を使って染めたい」と、小町の館(同市小野)が販売する常陸秋そばのそば殻を譲ってもらったという。さらに土浦地方卸市場(同市卸町)で出た廃棄物となるタマネギの皮も譲り受け、綿のストールを染色した。 関さん夫妻は「当日はワークショップの参加者にも来てもらう予定で、自分で染めたストールを持参してもらう。来ないとそれだけ装飾は寂しくなる。どれだけ参加者が一緒に盛り上げてくれるかという試みもユニーク」と話す。 東光寺の本堂を会場に選んだのは「非日常を味わえるから」と宇津木さん。住職の松井さんと宇津木さんは中学の同級生で、野球部のピッチャーとキャッチャーだった。松井さんは「東光寺は市民に開かれたお寺として落語や演劇などにも使用してもらっているし、こういったイベントは大変うれしい」とし「この機会にお寺を身近に感じてもらえたら」と話す。「夜のイベントもライトアップも初めてなので、いつもと違う表情のお寺が見えるのではないかと思う」と語る。 観客が当事者に 宇津木さんは「コンサートや展示というと、通常多くは演者と観客が分かれている。しかし今回は観客がイベントの当事者になるというのがテーマ」とし「録音に参加した人は自分が録音した音かな?と聞き入る。録音してない人も、この水音は土浦のどこで録音した音だろう?と能動的に聞く。これらも体験のひとつだ」と話す。「今回のイベントが、積極的に物事にフォーカスを当てることにつながればいい。結果的に市民が自分から率先して動くことで土浦での文化活動が広がるのではないか、それが根付いていくきっかけになれば」と話す。(伊藤悦子) ◆「音と光の建築」は23日(月・祝)午後7時から7時30分まで、土浦市大手町3-14、東光寺で開催。参加費無料。定員50人程度。事前予約が必要。問い合わせ・予約はメール(contact@bbmusic.tokyo)で。詳しくはつちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクトのウェブサイトへ。