【川端舞】2018年の改正に続き、今年5月に再改正されたバリアフリー法のオンライン学習会がこのほど、県議会と県内市町村議会の議員を対象に開催された。バリアフリーに関する促進方針(マスタープラン)や基本構想を市町村が策定することが2018年に努力義務になったが、参加した議員からはマスタープランなどを作成するよう自治体に働きかけたいなどの意見があがった。
発言できる当事者リーダーの育成
主催したのは、茨城に障害のある人の権利条例をつくる会(事務局・水戸市)。学習会には県議会と市町村議会の議員10人が参加した。
改正バリアフリー法の要点やマスタープラン、基本構想について、障害者の全国組織であるDPI日本会議の佐藤聡さんと尾上浩二さんが説明した。2人はバリアフリー法改正にも関わった。
マスタープランは、その市町村の中で優先的にバリアフリー化の促進が必要な地区を設定するなど、市町村全域のバリアフリー化の基本方針を定めるものである。一方、マスタープランで設定した特定の地区において、バリアフリー化するための具体的な事業について書かれたものが基本構想だ。
マスタープランや基本構想を策定するときは、障害者や高齢者をはじめとした市民の意見を反映することが求められる。学習会では、市民の意見を反映して作られた兵庫県明石市のマスタープランが紹介された。マスタープランをもとに、実際にバリアフリーなまちづくりを進める際も市民の意見を反映する仕組みがある。
明石市のマスタープラン策定にも関わった尾上さんは、「障害者らから意見を聞くことで、最初は自分が何に困っているか話せなかった障害者が、だんだん自分の意見を言えるようになった。バリアフリーなまちづくりに市民の意見を反映させるためには、発言できる当事者リーダーを育てることも大切だ」と語った。
県内市町村にマスタープランを
今年3月時点で、県内でマスタープランを策定している市町村はまだない。基本構想は土浦市を含め県内7市で策定されているが、「バリアフリーの取り組み事例を市民に情報発信する」のように、具体的な事業計画まで落とし込めないものは、マスタープランには反映できるが、基本構想には書けない。
尾上さんは参加した議員に対し、「バリアフリー法が改正されたのを機に、県内市町村にマスタープランや基本構想の策定に取り組んでほしい」と訴えた。
また、市民から市町村にマスタープランや基本構想の作成を提案することもできる。「多くの人たちと、誰もが住みやすい茨城をつくりたい」という思いを掲げる「-つくる会」では27日午後2時から、市民向けの改正バリアフリー法学習会をオンラインで開催する。
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