2020年夏季県高校野球大会は最終日の5日、2球場で準々決勝4試合が行われた。ノーブルホームスタジアム水戸では土浦湖北が土浦日大と戦い、2-0で同郷対決を制した。ひたちなか市民球場では霞ケ浦が水城に3-0で勝利した。他2試合は水戸啓明が水海道二に4-2、明秀日立が多賀に7-0。この結果により土浦湖北、霞ケ浦、水戸啓明、明秀日立がベスト4に決まり、大会の全日程を終了した。
投手戦は湖北が日大に競り勝つ
【崎山勝功】土浦勢同士の対戦は、両エースによる投手戦となった。土浦湖北は大坪誠之助、土浦日大は中川竜哉が共に力投を繰り広げ、4回終了時点では双方無得点。
5回、湖北は先頭の大坪が左翼線三塁打で出塁すると中川のボークで生還、思いがけない形で先制点をあげた。9回にも田中海斗主将が中前安打で出塁すると、中川の四球と再度のボーク、暴投で生還し、1点を追加した。
対する大坪は、3回無死二・三塁のピンチを迎えながら後続を3三振に切ってとる圧巻のピッチング。最終的には日大打線を散発5安打無失点に抑え、湖北を4強に導いた。
土浦湖北の小川幸男監督は「大坪の気持ちと力のバランスがうまくいった試合。お互いの手の内を知っているからこそ打撃は難しかった」と振り返り、大坪の投球については「3年間でもベスト」と絶賛した。
「人生初めての完封勝利」という大坪は「今日はスライダーが少し調子が良くなかった。真っすぐ主体で自分らしいピッチングができた」と胸を張った。田中海斗主将は「5回終了後に、中川に球数を投げさせようと話し合った」との作戦変更が奏功したと明かした。
土浦日大の小菅勲監督は「準決勝にふさわしい、いいゲームだった」と試合を総括、「相手ピッチャーが良かった。大事なところで長打を出せず、終盤は選手に焦りが出た。失点のボークそのものは仕方ないとしか言えない」と厳しい表情で語った。
三振13を奪ったものの、惜しくも敗戦投手となった中川は「先取点を渡さないところを意識した。ランナーを背負っても相手投手に負けずに粘りたかった」と自身のボークでの失点を悔やんだ。五十嵐明斗主将は「チャンスが回ってきたときに生かせなかった」とチームの反省点を述べた。
霞ケ浦、投打の主軸が躍動
【高橋浩一】霞ケ浦-水城戦は両エースの投げ合いに加え、互いに内外野の守備が光り、両チーム合わせて4つのダブルプレーが飛び出すなど、締まった試合になった。その中で霞ケ浦は3回表、1死二塁から小田倉啓介主将の中前適時打で先制。6回には2死一・二塁から新山秀男と小田倉の連打で2点を追加した。
霞ケ浦の先発・山本雄大は「最後の試合だったので緊張もあり、初回から抜けたボールが多かったが、なんとか粘って最後まで投げきれてよかった」とコメント。調子はあまり良くないと思ったそうだが、それでも水城打線から9三振を奪い散発3安打に抑え、走者をスコアリングポジションに進ませない活躍ぶり。水城としては、昨年の準決勝で敗れたリベンジを果たそうと臨んだ試合だったが、成すすべなく完敗となった。
高橋祐二監督は「小田倉がよくチームを引っ張り、激励しながらやってくれた。声だけでなく技術的な面でもよく面倒をみてくれて、そのお陰でここまで来た。山本は今までプロに入った4人の中でも総合的に見てナンバーワンの投手」とこの試合のヒーロー2人の活躍を讃えた。
小田倉主将は「甲子園がなくなってからも、いままでと変わらずに明日に繋がるような2カ月にしようと3年生で話し合った。そこでだれ一人くさらず、自分が言ったことに対して周りが全員ついて来てくれたので、自分の辛さを周りが助けてくれた」と大会を振り返った。
小田倉は高校卒業後、大学で野球を続けるという。「霞ケ浦への思いはどこへ行こうと変わらないし、自分が活躍すれば母校の名前も出るので、いままで指導してくれた先生方にも恩返しになる。いままで通り霞ケ浦のプライドを背負って一生懸命やりたい」と将来を見据える。