金曜日, 4月 23, 2021
ホーム コラム 《ひょうたんの眼》28 新自由主義経済からの脱却が必要

《ひょうたんの眼》28 新自由主義経済からの脱却が必要

【コラム・高橋恵一】新型コロナウイルス感染とその対応で、我が国の様々な実態があらわになったことに驚いた。まず、国民の命や生活を守るという意味で危機管理体制があまりにもお粗末だったこと。理知的な対策の方向も見いだせず、右往左往しているうちに、運よく落ち着いたということだろう。

支援金の支給など、緊急事態なら1週間もあれば、実施できるはず、というより、最優先しなくてはならないことを、業務の質もスピードも優れているはずの業者に手数料を払って外注した挙げ句、施策の成果が国民に届く時期は信じられないくらい遅れた。

「これで全てがつながりました」。テレビ番組「相棒」で、水谷豊扮する杉下右京警部が事件の真相を掴(つか)んだ時の決め台詞(せりふ)である。

日本はバブル崩壊後の社会経済対策として小泉構造改革を選び、政策のベースは、竹中平蔵氏に代表される新自由主義経済理論。聖域なき構造改革として小さな政府を目指し、役所や企業の効率化、スリム化を推進し、社会保障費を抑制し、医療機関を減らし、看護師や介護関係者の賃金を抑制した。その結果が、現在日本の感染症やその影響対策の実力である。

また、新型コロナウイルス後の社会経済構造を強化するとして、IT化、デジタル化を強化しようとしているが、ますます富の集中が進み、格差の拡大が懸念される。業務のアウトソーシングが進み、情報の寡占化が進むことになろう。

その受け皿になる企業体が、広告代理や印刷業などの施策・事業から仲介取りまとめ業に変身した企業や、本来の国や自治体が使命・ミッションとする業務を受注してしまう人材派遣業になっていて、膨大な利益を上げ、その企業体の幹部が政権と深くつながっていたり、経済財政策の指南役だと判明すると、権力の中枢の姿がよく見えてしまった。

次の時代への経済学的提言を

永く政権に影響力を持つ経済学者は、こういう時こそ、次の時代への経済学的提言をすべきだと思うが、日本には経済学者がいないのかもしれない。

世界では、社会経済分野の多くの学者が、中長期的な課題も含めて、様々な提言がされているが、それらを参考にすれば、日本は、PCR検査体制の確保など、第2波への対策とともに、経済活動の立て直しを進めるに当たって、失われた30年になろうとしている経済体質、個人消費の弱さの解消を図る必要がある。

日本の構造改革、スリム化は、人件費の抑制で実現したものである。「99%の貧困」を記したジョセフ・E・スティグリッツに言わせれば、効率化のため、スペアタイヤを積むのを止め、病院の病床稼働率を100%に維持する経営だ。

勤労者の賃金を上げるには、低賃金分野から改善すればよい。政府の意思で賃上げができる医療、介護の従事者の賃上げを思い切って実行すればよい。診療報酬や介護給付金は、政府の意思でできるのだ。もともと足りない所得層に金が回れば、消費にまわる率が高く、経済の好循環が実現するのだ。(元茨城県生活環境部長)

会員募集中

NEWSつくばでは、私たちの理念に賛同し、一緒に活動していただける正会員、活動会員、ボランティア会員、および資金面で活動を支援していただける賛助会員(クレジットカード払い可)を募集しています。私たちと一緒に新しいメディアをつくりませんか。

0 Comments
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー

注目の記事

最新記事

日本の子どもは可哀そう 《ひょうたんの眼》36

【コラム・高橋恵一】青年海外協力隊員として東南アジアに派遣された青年の経験談である。優れた日本農業技術で作物を育てたところ、高温多湿の気候の効果もあって、半年でそれまでの1年分の収穫ができた。現地農民は、大喜びをした。次に、協力隊員は、後半の作付けに取り掛かろうとしたところ、農民は動かない。1年分の収穫ができたのだから、もう働く必要がないというのだった。30年前のことだ。 青年海外協力隊員は、苦笑しながら、現地農民の経済感覚を伝えてくれたが、今なら、ゆとりのできた時間や資金をどう使うかを考えたかも知れない。 日本では、高度成長期から、成果をひたすら企業資金力の強化に回し、労働時間の短縮やセーフティーネットの構築、地球環境の改善・保護に回すことはほとんどなかった。 それから30年。日本の幸福度ランキングは、世界で56位。韓国とピッタリ寄り添って、ロシア、中国の少し上位に位置しているが、OECD(経済協力開発機構)37カ国のうち最下位レベルだ。 我々の生活レベルを考える時、「昔」と比べると、格段に忙しさが変わって来ている。拘束された忙しさ、義務的な忙しさである。 日本の幸福度を改善するためには、就業時間を短縮し、最低賃金を思い切り上げればよい。毎日の労働時間を7時間、週35時間以内にすれば、全く違う世界が見えてくる。当然、フレックスタイムが導入され、満員電車も解消する。生産力を維持するためには、雇用を拡大しなくてはならない。女性の役割が大きくなり、より多様性が拡大する。変化への原動力は、格差社会の解消である。

高齢者施設にワクチン配送 65歳以上4万7000人に接種券郵送も つくば市

高齢者を対象にした新型コロナウイルスワクチンの配送が22日、つくば市で始まった。同日午前、第1便となるファイザー社製のワクチンが、市内の介護老人保健施設に1カ所に届けられた。併せて同日、市内の65歳以上の高齢者約4万7000人にワクチン接種券が郵送された。23日以降、各家庭に届く。 マイナス70度の超低温冷凍庫から取り出したワクチンを必要な数だけ素早く配送用の保冷箱に移す作業員=22日、つくば市役所 配送されたワクチンは、17日に国から届いた2箱(1950回接種分)のうちの一部で、市役所内に設置された超低温冷凍庫でマイナス75度で保管されていた。 4月26日から5月3日の週には5箱(4875回接種分)が国から届く予定で、医療機関のほか、特別養護老人ホーム10カ所とグループホーム18カ所にも届けられる予定だ。 接種開始は5月24日

開園25周年 つくばわんわんランド 「人とペットが共存する拠点に」

日本最大級の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田、東郷治久社長)が27日、開園25周年を迎える。1996年4月27日、現在の3分の1ほどの面積でスタートした。ペットは家族の一員であるという価値観が浸透すると共に、犬を見せる施設から犬と触れ合う施設へとコンセプトを変化させてきた。現在、約90種約500匹の犬がいる。 寺崎修司園長は「日本のペットに対する意識は、ペット先進国と比べまだまだ遅れているところがあるので、正しい知識をもって人と動物が共存する社会を目指す拠点になれれば」と話す。 珍しい大型犬、ナポリタンマスティフをなでる寺崎園長 25周年を記念して26~28日の3日間、25歳の人と小学生以下の入園料が100円になる特別イベントが開催されるほか、ゴールデンウイーク(GW)中の29日から5月5日まで、グループ法人のつくば国際ペット専門学校講師による犬のお手入れ教室やしつけ教室などが開催される。 園のシンボル 黄色い木造犬は4代目

別の学校も臨時休校 つくば市教員が新型コロナ

つくば市は21日、市立学校教員が新型コロナウイルスに感染していることが分かり、この教員が勤務する学校を22~23日の2日間、臨時休校にすると発表した。 市教育局学び推進課によると、20日に感染が確認された教員が勤務する学校とは別の学校という。 21日感染が分かった教員の濃厚接触者は現在、保健所が調査している。この教員の症状や、いつまで勤務していたかなどは公表しないとしている。 一方、20日に教員の感染が確認され、21~22日の2日間、臨時休校としていた学校は、23日から通常通り授業を開始する。
0
コメントお待ちしてますx
()
x