【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大によるつくば市内の経済への影響について、市が3月下旬から市商工会会員事業者らを対象にアンケート調査を実施したところ、回答があった事業者の57%に売り上げの減少や取り引き困難などの影響が出ていることが分かった。感染がさらに長期化した場合、従業員の解雇や廃業を考えていると回答した事業者もあった。
8日開かれた市議会全員協議会で市がアンケート結果を報告した。調査は、3月19日から4月3日まで同商工会会員事業者3236社などを対象に実施した。21.4%の691社から回答があった。
売り上げの減少については、2割から5割減ったと回答した事業者が最も多く42%、次いで1割程度の減が17%だった。5~8割減も13%あり、8割以上減ったと回答した事業者も6%あった。一方、売り上げの減少はないが海外から納品のめどが立たないなど取引上の困難が生じている事業者が22%あった。
業種別では建設業、食料品製造業、電子機器・器具製造業、情報通信業、バスやタクシーなどの運輸業、卸売業、小売業、不動産業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、教育・学習支援業など、あらゆる業種に影響が及んでいることが分かった。
「減り続ければ廃業」
事業者からは「売り上げが下がり続けると、仕入れメーカーから注意または取り引き停止になってしまう恐れがある」「中小企業はほとんど自転車操業なので毎月売り上げが10%でも減り続ければ廃業」「経営どころか家賃などの維持が出来ず、(この状況が)続けば5月閉店も視野に入れないといけない」などの切実な声が寄せられた。
「卸売業は売店や宿泊施設に土産品を納入するが、賞味期限が近くなった商品は業者に返品される。処分するしかないため負担が大きすぎる」「移動制限に伴いタクシー利用者は激減。歩合給の乗務員に売り上げ以上の最低賃金を保証する状況になっている」など深刻な経営状況を訴える声もあった。
「設立して2、3年のため特定の顧客がついていない。投資先、顧客との打ち合わせもままならず、前に進まない状況。すでに数名の従業員に辞めていただいた」など、従業員解雇を明らかにした深刻な告白もあった。
「接客だがマスクの在庫がなくなりつつある」「テーブルをふく業務用アルコールさえ手に入らない」など、マスクや消毒液の不足が事業の継続に影響を与えているという訴えもあった。
「影響がすぐ出ている業種への支援だけでなく1年後や数年後に影響が出る業種への支援も検討してほしい」「融資など負債となるものではなく手続きを早くした給付も必要」など国や自治体の支援を求める声も寄せられた。
市はアンケート結果をもとに今後、どのような対策が可能かを検討していくという。