【池田充雄】土浦市真鍋に完成した社員寮の設置趣旨として、関彰商事の山口政美広報部長は「当社で働くことのインセンティブとなる施設を目指した。特に外国人、シングルマザー、障害のある方など、これまでの独身寮では対応できなかった方々にも、この寮があるならと思ってもらえるようにした」と話す。
男子寮と女子寮には各1室、車いす利用者のための個室が設けてある。付帯のユニットバスには手すりなどを備え、浴槽への移動を容易にした。個室の場所はエレベーターの側で動線が短く、もちろん館内はバリアフリーだ。女性家族寮は、シングルマザーが小学生以下の子どもと住む想定で、広いLDKと寝室を備えている。
多様な社員が互いを尊重し成長する職場へ
また寮だけに限らず、社員同士が性別、年齢、国籍、障害の有無などを超えてお互いを尊重し、それぞれの強みを生かしながら成長できる、働きやすく働きがいのある職場づくりにも励んでいる。
一例として女性支援の取り組みでは、採用や就業継続、管理職比率などの各項目で高い基準を満たし、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」で3つ星ランクを獲得した。子育て支援では、育児休暇の取得促進や、短時間勤務制度の導入などにより、次世代育成支援マーク「くるみん」の認定を取得している。
障害者支援では、全雇用者の2.2%を超える雇用率を達成。知的・肢体不自由・視覚聴覚など多様な障害を持つ人が、それぞれの希望や能力、適性を生かして活躍できる企業を目指している。東京パラリンピック出場が期待されているゴールボール日本代表の山口凌河さんも、そのような社員の一人だ。
外国人社員はこの数年で急増、現在20人を数える。国籍は欧米やアジアなどさまざまだ。特にベトナムとは現地法人を設立するなど関係を深めている。ハノイ工科大では関彰グループ主催のジョブフェアを2016年から開き、過去6回で計3600人の学生が参加。この結果100人以上が日本全国の30数社に就職を決めている。
同社は今年3月、社員が安心して仕事と生活を両立できる企業として、県の働き方改革優良企業に認定された。特別有給休暇の取得促進や、社員の人材育成にも積極的に取り組み、自らのキャリアを高められる職場環境の整備に向けて、今後も多様な施策を進めていくという。