【池田充雄】総合商社の関彰商事(本社筑西市・つくば市、関正樹社長)が、新しい社員寮「至誠館」を土浦市真鍋4丁目に完成させ、1日から本格稼働が始まった。
社員寮の場所は旧国道6号沿い、県立土浦一高の北側。かつては国道125号入口と呼ばれた丁字路の前だ。同社系列のガソリンスタンドの奥に以前の寮があったが、それらをまとめて取り壊し、敷地を広げて建て直した。旧寮から移った入居者からは「新しくきれいになって気持ちいい。駐車場も広くなって通勤に便利になった」と喜ばれている。
建物の概容は、延床面積約1500平方メートル、鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造の2階建て。男子寮21室、女子寮7室、女性家族寮2室という内訳だ。内外装ともコンクリート打ち放しのモダンなデザイン。1階南側は全面ガラス張りで開放感があり、2階部分は外装のルーバーがシャープな印象を高め、個室のプライバシーを守りつつ採光も確保している。
家族寮以外はいずれも1人用のワンルーム。男子寮はベッドとトイレ付き、浴室は共用だがライフスタイルの変化に対応し、大浴場ではなくシャワー4基とユニットバス3基になった。ランドリーには大型の洗濯機と乾燥機が3台ずつ置かれ、利用時間の短縮も図れそうだ。女子寮では全室にキッチンとユニットバスを完備した。
希望者には朝食と夕食の賄い付き。残業や遅番勤務でも食堂に自分のご飯があるのは独身者にはありがたい。寮母の平岡牧子さんは「前の寮より人数は増えるけれど、10人前でも20人前でも手間は一緒」と頼もしい。物価上昇でやりくりには苦労するが、若い人にも野菜をしっかり摂ってもらえる献立を心掛けているという。
新型コロナでeラーニング
男子寮のうち一般用20室はすでに満室。ただし新入社員は荷物を運び込んだのみで、本人は自宅待機中。新型コロナの影響で初出社が13日に延期されたからだ。例年この時期は、2週間の合宿によりビジネスのマナーや基礎知識を身に付け、社会人としての目標設定や意識啓発などしていたが、今年はeラーニングによる自宅研修に切り替えた。「当社としても過去に類を見ない事態であり、手探りで対応を進めている」と、山口政美広報部長は話す。
同社は地域密着企業で、基本的に単身赴任はなく、自宅から通える範囲で勤務するのが原則。このためUターンを希望する学生にも人気が高いという。ただし本社機能のあるつくば地区はさまざまな業務が集積し、人の交流も盛んなので、遠くから来ている社員が比較的多い。そういった人たちも、ゆくゆくは地元に戻す方針だという。(続く)