木曜日, 2月 12, 2026
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《食とエトセトラ》1 温故知新 ご飯の炊き方

吉田礼子さん

【コラム・吉田礼子】「食は母系で伝わる」と言ったら、今どき、古臭いと一蹴されてしまうでしょうか? あなたにとってお袋の味は何? と聞かれたら、何を思いうかべるでしょうか? 卵焼き、味噌汁、ご飯おにぎり、コロッケ、カレー、ポテトサラダ? 昭和30年代までに生まれた人だったら、思い当たるのではないでしょうか。

美味しい思い出とともに、若いころの母や兄弟姉妹の姿が蘇(よみがえ)る。今振りかえると、自分の味覚はこのころ形成されたと感じている。母が料理する姿を見ていると、こちらも楽しかった。そのうち自分でもしたくなり、母に頼んで手伝う。先ずはお米のとぎ方から。

見ているときと違って、1升の米をとぐのは大変なこと。水は冷たく、羽釜(はがま)は重たく、米粒をこぼさないよう神経を集中する。竹ザルに上げ、シャッシャッと水を切る。斜めにするとさらに水が出る。15~30分、布巾(ふきん)をかけて上げておく。この状態でも浸水時間は進んでいる。

初めチョロチョロ、中パッパッ

いよいよ炊飯。初めチョロチョロ、中パッパ、ブツブツ言うころ火を引いて、赤子(あかご)泣くとも蓋(ふた)とるな―。この歌、聞いたことがあると思いますが、蓋を開けないで、釜の中の状態を判断する先人の知恵に脱帽です。

初めチョロチョロは火加減のこと。強めの中火で釜の中の水が沸騰して、中の圧力が最高点まで高まり、隙間から蒸気が徐々に出てきます。蒸気が上に向かい勢いも強くなり、泡が出て噴きこぼれそうなら、圧力は最高点でブツブツ。

そこで一番弱い火加減にし、五合ぐらいで15分、赤子がせがんでも我慢。15分経ったら、一度強火にして、20ぐらい心の中で数える。耳を澄ますとチリチリ音が聞こえ、美味しいおこげができている。火を止め15分蒸らし、蓋を開ける。蓋は釜の上で立てず、水平に動かして外で立てる。

ご飯粒が立って、瑞々(みずみず)しくピカピカ光っている。周りをシャモジで回し、上下にかきまぜ、お櫃(ひつ)か飯台(はんだい)に空けて蓋をする。余分な水分を木が吸ってくれ、パリッと旨味と甘みが増す。

和食はユネスコの無形文化遺産

2013年、和食がユネスコの無形文化遺産に認定さました。和食が評価されたのは以下の点です。

▽多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重:国土が南北に長く、海、山、里に多種多様な食材を有する
▽栄養バランスに優れた健康的な食生活:一汁三菜を基本とした理想的な栄養バランス、旨味を上手に使いヘルシーな食生活が長寿の秘訣
▽自然の美しさや季節の移ろいの表現:四季折々の花や葉を飾って料理して、季節感を楽しんでいる
▽年中行事との密接な関わり:正月などの年中行事と食文化が密接に関わり、また食の時間が家族や地域の絆を深めた

お料理も欧米型、調理法も簡便な方が求められている昨今、先人の知恵を学び、和食を次世代につなげていきたい。和食を通じて、年中行事、家庭や地域の絆も大切にしていきたい。(料理教室主宰)

【よしだ・れいこ】東北学院大文学部史学科卒。子どものころから母が料理する姿に触れ、料理の先生に憧れる。「台所は実験室」をモットーに独学。50歳を前に、全国料理学校協会所属の児玉久美子先生に師事。2008年、土浦市に吉田料理教室を開校。1953年、宮城県生まれ。土浦市在住。

 

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