水曜日, 5月 28, 2025
ホーム土浦「駅前に立体公園」 街を活性化する図書館とは アルカス土浦設計の柳田富士男さんに聞く

「駅前に立体公園」 街を活性化する図書館とは アルカス土浦設計の柳田富士男さんに聞く

27日、土浦駅前に市立図書館と市民ギャラリーを併設した再開発ビル「アルカス土浦」がオープンする。日本図書館協会建築賞を受賞した千葉市中央図書館などの設計で知られる柳田富士男さん(62)=INA新建築研究所(東京都文京区)設計監理副本部長(当時)=が設計した。中心市街地の活性化が期待される新図書館について柳田さんは「駅前にまず立体公園をつくろうと考えた」と話す。設計に込めた思いを聞いた。

―どのように考え設計したかを教えてください。

この事業の大きな目的は土浦駅周辺を再生するというまちづくりです。にぎわう、人が集まる、集まってイベントをする場所と考え、まず駅前に立体公園をつくろうと考えました。1階から4階の屋上公園につながるステップガーデン(屋外階段)がそれです。

次に、図書館とギャラリーの機能を、にぎわいづくりに生かす配慮をしました。図書館(2~4階部分)ですが、2階と、3~4階の2層構成となります。駅のデッキから直接つながる2階は「ポピュラーライブラリー」で、にぎやかで楽しい場所。新聞、雑誌、旅行や趣味の本が置かれ、待ち合わせ場所としても気軽に利用できます。ベビーカーを押す子ども連れのお母さんも駅に来たついでに立ち寄ってほしいと思います。

2階には児童部門(児童書コーナー)もあります。楽しく、子どもが来たくなるしつらえで、天井が吹き抜けになっていて、壁には丸や三角、四角といろいろな形や色がある。遊園地みたいな、テーマパークみたいな場所です。

にぎやかな2階に対して、3階は専門書があり調査・研究をする「レファレンスライブラリー」となります。

4階はヤングアダルト(青少年)の場所。いま土浦駅のフードコートや市役所5階の県南生涯学習センターなどで、勉強しているたくさんの高校生の姿を見掛けます。これからは図書館の気持ちのいい学習環境で勉強してください。4階の青少年ラウンジには、壁の一面にホワイトボードを設定しました。交流の場として自由に使ってください。

1階ギャラリーは、オープンギャラリーとギャラリーの二つに分かれています。オープンギャラリーは展覧会が開かれていない時でも開放し、ワークショップや子供向けイベントを開いて、いつでもアートに触れ学べる場所として使ってもらえたらと思います。

―建物にはどのような特徴がありますか。

建物は重箱をずらして重ねたような構造になっています。重箱同士は吹き抜けでつながっていて、壁の代わりにガラスのスクリーンで仕切られているので、光が取り入れられ、どこにいても館内が見渡せる開放的な空間になっています。駅前広場も眺望でき、夜には街の灯りになるでしょう。

建物の中は図書館先進国である北欧の清楚な雰囲気をイメージしました。床と壁は白木のカバー材で仕上げ、従来の図書館の重厚なイメージとは違う、軽やかな、若い人たちが来たいと思う空間になったと思います。

ステップガーデンを昇った屋上公園には庭園があり、階段状の観覧席を設けコンサートもできます。

―外観の色やデザインにはどのような意味がありますか。

駅前ですから、土浦駅前の表情はどうあるべきか、土浦らしさは何かを考え、亀城公園のお城の瓦と白い漆喰(しっくい)をモチーフに、和のイメージとしました。さらに土浦の知の殿堂になるわけですから、未来に向け、シャープなデザインのシルバーメタルを入れ込んだデザインにしました。

―これから市民にどのように使ってもらいたいですか。

土浦は高校生が多い街ですよね。そういう子供たちがこの施設を使って成長し、街をつくり、未来をつくってほしい。大人の人たちも暮らしに役立つのでどんどん来てほしい。従来の図書館を超えた未来の図書館なので楽しんで交流して学んでほしいと思います。(聞き手・鈴木宏子)

27日オープンする市立図書館と市民ギャラリーが併設された「アルカス土浦」

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

茨大生の将来は明るい《地方創生を考える》29

【コラム・中尾隆友】茨城大学で『人生を豊かにする働き方・生き方』という寄付講座を2年連続で行った。この講座は2014年に東京大学で行った村上憲郎氏との対談が下敷きになっているのだが、これから社会人になる学生たちに言いたかったのは、主に次の2つのことだ。 仕事の成否は「9割の戦略を持った努力」と「1割の運」で決まる。ただし、一生懸命に努力して、初めて運が呼び込める。努力しない者には、決して運は訪れない。 若いうちに自らの視野を大きく広げてもらい、人生ができるだけ豊かになる働き方を模索していってもらいたい。 しかし、学生たちのレポートをみてわかったのは、もっとも関心が高かったのが冒頭で余談として話した内容であったということだ。 すなわち、私が起業してからずっと実践してきた効率的な働き方についてだ。列挙すると以下の通りだ。 会社の近くに住んで、通勤になるべく時間をかけない。 頭の働きが鈍らないために、朝食は取らない。 頭の働きを良くするために、コーヒーを飲んで仕事を始める。 午前中の早い時間帯に集中して、頭を使う仕事をする。 伊藤忠が常態化した朝型勤務 人間は朝の早い時間帯に頭が一番働くから、午前中に集中して仕事をすることが効率的だ。しかし、首都圏や大都市圏に住む会社員の多くは、この頭が働くゴールデンタイムに満員電車で出勤するという、非常に効率が悪い働き方をしているのだ。 この問題に一石を投じたのが、伊藤忠商事だ。同社は2013年から早朝(午前5~8時)に勤務する社員に対してインセンティブを付与し、朝型勤務を常態化させた。その結果、同社は商社の中でトップの生産性を誇るようになった。 効率よく働くことは、自分のスキルを高めるとともに、生活の質をも高めることができる。茨城大学の学生たちが私の朝のルーティンに強い興味を持ったことは、その効果を詳しく説明しなくても、その重要性を感じ取ったからなのだろう。 そういった意味では、彼らの将来は明るいといえるし、できれば茨城経済の担い手として活躍してもらいたいところだ。(経営アドバイザー)

順延は1日のみ、警備員を確実に確保 土浦の花火 11月1日開催へ

今年開催する第94回土浦全国花火競技大会の実施計画を決める同実行委員会(会長・安藤真理子土浦市長)が26日、土浦市内のホテルで開かれた。昨年、荒天時の順延日に人手不足から警備員が確保できず中止としたことを踏まえ、今年は順延日を例年の2日間から1日のみとし、順延日に確実に警備員を確保できるようにする。 今年の開催日は3連休初日の11月1日とする。花火大会の始まりとされる、神龍寺の秋元梅峯住職が1925(大正14)年に花火を打ち上げてから100年を迎えることから、大会の名称に「土浦の花火100周年記念」を付ける。荒天の場合は1週間後の8日に延期し、両日とも開催できない場合は中止とする。 例年は開催日翌日と1週間後の2日間を順延日としていた。昨年は11月の開催予定日に台風が接近したなど異常気象の中、翌日を順延日とすると河川敷に設ける観覧席の足場が悪いままの恐れがあることなどから翌日は順延日に設定しない。警備費用が1日当たり1800万円程度かかることもあり、順延日を1日のみとして、確実に警備員を確保する。 今年の警備員確保については現在、大会事務局の市商工観光課が複数の警備会社に聞き取りを実施し、開催日と順延日両日の確実な警備員の確保のほか、警備費用などについても聞き取りを実施しており、現時点で両日とも警備員を確保できる見通しだという。夏頃までには警備会社を選定する予定だ。 一方、翌日を順延日としないことで、弁当業者や屋台業者などの食材費の負担が増える恐れもある。市商工観光課は「(翌日を順延日としないことは)今日の実行委員会で決まったばかりなので、関係者にはこれから理解を求めていきたい」とする。 意思決定は役員会で 大会開催の是非を決める意思決定については、中止を決定した昨年、実行委の副会長の一人である市議会議長が協議に加わらなかったことが議会などで問題になった。意思決定について今年の大会からは、会長と副会長3人で構成する役員会で協議した上で、会長が最終判断することを大会実施要綱に明文化する。 ほかに実行委員会の組織として、観客輸送、安全対策、煙火消費の三つの専門部会を設けたり、他部署に異動した事務局経験者の市職員をアドバイザーにするなど組織を強化する。 座席数増やし値上げへ 物価高や資材高騰の中で収入を確保する方策については、有料観覧席に新たにテーブル席を設けるなど座席数を3万9000席から4万4000席に約5000席増やすほか、有料観覧席すべてを1000~2000円値上げして、有料席販売収入を前年予算比約4100万円増の2億5100万円にする。 新たに設けるテーブル席は4人で8万円とする予定。桟敷席(定員5人)は2万6000円(前年までは2万4000円)、椅子席はA席が6000円(同5000円)、B席5000円(同4000円)、C席4000円(同3000円)といずれも値上げする予定で、ほかにツアー向けなど、さらなる高額な座席も検討している。 今年の大会の予算は計約3億5000万円で、前年比約4100万円増(13%増)を見込む。収入は、市が昨年と同額の8500万円を補助し、ほかに有料観覧席の販売収入2億5100万円、広告料収入1000万円、駐車料金や花火グッズ販売収入など350万円を見込む。 支出は、物価や資材が高騰する中、警備費や清掃費、有料席販売委託料など委託料が前年の2300万円増の9300万円(34%増)、桟敷席や椅子席、テント、花火打ち上げ筒、仮設トイレ借り上げなど使用料・賃借料が2000万円増の1億6000万円(15%増)を見込んでいる。 収入と支出の差額については例年100万円程度の黒字が出て、これまで土浦市に戻していたが、今年から基金を設立して積み立て、物価や資材の高騰などに備える。 市に4000万円戻し入れ 一方、中止とした昨年の大会については、市が当初8500万円を補助し、中止後、さらに2億3000万円を追加補助し市の負担は計3億1500万円になる見通しだったが、最終的に4000万円の残高が出たことから市に戻し入れた。中止となったことによる市の最終的な負担額は2億7500万円になった。

前期 首位で折り返す つくばFCレディース 

関東女子サッカーリーグ1部のつくばFCレディースは25日、つくば市山木のセキショウチャレンジスタジアムで前期最終戦を迎え、東京国際大学(本拠地・埼玉県坂戸市)に1-0で勝利した。これでつくばは通算成績5勝1分1敗、2位の東国大に勝ち点1差をつけ、首位でシーズンを折り返した。後期第1節は6月7日、アウェーで山梨学院大学と対戦する。 第31回関東女子サッカーリーグ1部 前期第7節(5月25日、セキショウチャレンジスタジアム)つくばFCレディース 1-0 東京国際大学女子サッカー部前半0-0後半1-0 今季初、コーナーキックから得点 つくばはこの試合、立ち上がりから相手にほとんど攻撃の形を作らせず、安定した試合運びを見せた。「今日の相手は長いボールを蹴ってくるので、それに対するチャレンジ&カバーと、周りの選手のプレスバックを徹底した。また前節の反省から、チームでどのようにボールを奪いに行くかを整理し、連動した守備ができるようになった」と志賀みう監督。 「全員が集中して守備でき、チャンスもつくれていて後は決めきるだけだった。攻撃では前への意識を持ちながら落ち着いたボール回しをし、そして状況を見ながら自分たちの時間を作っていこうと話し合っていた」とMF高橋萌々香主将。 前線には冨田歩花、諸富愛莉、石黒璃乙と長身FW3人を並べたフォーメーション。石黒によると「3人で前からハイプレスを仕掛け、サイドでハメる形」だそうだ。石黒は前半は右サイドで、ボールの扱いが上手い林里咲と組んで攻撃の起点となり、後半は左サイドへ回って、ドリブル突破が得意な所千紗登と連携。石黒がDFを引き連れて所をフリーにしたり、所にDFが行ったら石黒が背後を狙うといったプレーを見せた。 得点は後半24分、コーナーキックから生まれた。高橋主将が冨田を狙って蹴ったボールは相手守備にはね返されたが、こぼれ球をDF浦海綾が蹴り込んだ。「点が欲しい時間帯だったので積極的に狙おうと意識していた。自分の前に流れてきたので決めるだけ。チームみんなで決めた得点だと思う」と浦海の振り返り。 志賀監督インタビュー -前半戦を振り返っていかがですか。「ここまでは何となくうまくいっていた試合が多かった。だが前節で負けてしまったことで、自分たちの立ち位置をもう一度再確認でき、今日しっかり自分たちのやりたいゲームをやって勝てた。そういう意味では前回負けた意義があった」 -後半戦に向けては。「ここまで連戦が続いてきたが、来週1週間空くので、1回しっかりリセットし、チームとして前向きに取り組むことができる。前期はホームが多かったぶん、後期はアウェーの試合がすごく増える。2巡目で相手にも分析され、勝つのが難しくなってくる。それでもコンディションを管理したうえで、しっかり戦えるよう頑張りたい」 -今季の目標は。 「関東リーグ優勝はもちろんだが、一番の目的は1シーズンでのなでしこリーグ2部への復帰。この戦いを通じて、勝ったとしても負けたとしてもしっかり、全員で成長するということを一番大事にして、これからもやっていきたい」(池田充雄)

趣味が高じて陶芸窯を作る《令和楽学ラボ》35

【コラム・川上美智子】2023年の日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.14歳と、この数年は鈍化傾向にあるが、生命表によれば女性の半数(50.1%)は90歳まで、4人に1人(25.5%)は95歳まで生きる時代である。男性は、それぞれ26%と9.2%と、女性に比べれば短命であるが、戦後間もない頃の90歳まで生きる女性が2%(男性0.9%)、95歳まで生きる女性が0.2%(男性0.1%)の数値と比較すると、日本はしっかりと長寿社会を築いてきた。 誰も自分の余命がどれくらいになるかは実際のところは分からないが、寿命が長くなった分、退職後の時間が長くなり、その後の人生、セカンドライフをどう生きるかが大きな課題となっている。 厚生労働省は、労働力不足の対策として、高齢者雇用安定法を制定し、70歳までの定年の引き上げ、継続雇用、定年制の廃止などを努力義務とし、暮らしの安定、健康や生きがいのために長く働くことを奨励している。実際、2023年時点の70~74歳の労働力人口比率をみると34.5%、75歳以上では11.5%まで伸びていて、生涯現役で働く人が増えている。私も、70歳で大学退職後の9年間のうち8年間は保育園の仕事に関わり、その後も会社のアドバイザーとして週3日勤務し、それが生きがいとなっている。 また、この17年間、週半日は陶芸の作品作りに充てている。老後の趣味づくりの一つとして始めたものであったが、陶芸に特化していったのは、多くの不思議なご縁があったからである。 まず、結婚相手が大学時代、京都の陶芸家・叶光夫宅に下宿していて、陶芸の手ほどきを少し受けていたことである。私と同郷の淡路島出身の叶光夫先生は、日展審査委員として皇居などにも作品が所蔵されている著名な作家で、お見合い時に個展に行きお目にかかった。また、夫は日立製作所の大甕(おおみか)陶苑の竹内彰さんとも懇意にしていて何回か窯をお尋ねし、私も抹茶椀(わん)作りなどした。 また、結婚した年(1970年)の笠間陶器市に出かけ、一番気に入り購入したコーヒーカップ5客セットが、後に私の師になる荒田耕治先生作であった。就職した茨城キリスト教短期大学では、所属していた家政科の1975年頃の改革で造形分野を拡張し、陶芸窯を設置して渡辺信雄氏を非常勤講師に招聘(しょうへい)した。そこで学生と一緒に作品作りを行い、日立市美術展覧会にも出展した。 今年初めて新槐樹社展に応募 その後、1993年策定の「茨城県笠間芸術の森公園展示施設構想」の策定委員として笠間陶芸美術館の構想にも関わらせていただいた。これもご縁であるが、当時、県職員として笠間芸術の森の誘致に骨を折られ、現在城里町副町長の藤田悟史さんが今年の陶炎祭で鶯釉(うぐいすゆう)の壺(つぼ)をお持ち帰り下さった。 2008年に茨城で開催された第23回国民文化祭では、初めて荒田耕治先生とご一緒に3年間企画委員を務め、それがきっかけで先生からご指導いただくことになり今に至っている。 茨城県芸術祭美術展覧会、水戸市芸術祭美術展覧会での陶歴17年目にして友人に勧められ、今年初めて全国展の新槐樹社(しんかいじゅしゃ)展に応募し新人賞や会友推挙をいただき、国立新美術館や京セラ美術館などに作品が展示された。この秋の展覧会は、何と、私の父が昭和期に勤務していた日窒鉱業株式会社のビルの跡地に建てられた銀座洋協ホールで開催されることになり、またまたご縁を感じている。亡くなった父にどの作品を見てもらおうかと楽しみである。 残された人生、子どもたちに反対されるも、陶芸を続けてみようと、つい先月、庭に電気窯を設置し、陶芸の道を進む覚悟を決めたところである。(茨城キリスト教大学名誉教授、関彰商事株式会社アドバイザー)