日曜日, 12月 14, 2025
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故郷にお帰り ピエロたち 10日から土浦で「塙賢三展」

【相澤冬樹】遺族から作品の寄贈を受け、10日から「塙賢三展」を開く土浦市民ギャラリー(同市大和町、アルカス土浦1階)で9日、内覧会が開かれた。同ギャラリーに関係者を集め、土浦生まれで「ピエロの画家」と呼ばれた塙賢三さん(1916-1986年)の画業をたどった。3男で、遺作の寄贈を申し出た塙義雄さん(74)=東京都練馬区=が駆けつけ、「ここなら大事にしてもらえると思った。喜んで送り出した」と語った。コミック「ちびまる子ちゃん」の作者で、ちょうど1年前に亡くなったさくらももこさんとの交流に関わる作品も展示されている。

あいさつする塙義雄さん=同

土浦に生まれた塙さんは戦後本格的に絵筆を握り、二科展を中心に活躍した。同市出身の福田義之助、鶴岡義雄らに師事したが、「美術学校を出たわけでもなく独学だったため、それまでの絵画の概念を打ち捨てられた」といい、広い背景の中に人物を小さく配置する構図に新境地を見出した。中でもピエロの描像は印象的で、「ピエロの画家」と呼ばれ、親しまれた。

今回の「塙賢三展」には、寄贈の10点に加え、義雄さん所蔵の18点が展示される。さらに賢三ファンだったさくらももこさんが20歳になった記念に買い求め、大事にしてきた作品「夢のサーカス」が、さくらさんが2007年に描き、義雄さんに贈った「ピエロとちびまる子ちゃん」の絵と合わせて特別出品された。これら画業の変遷をたどる全30作品で構成される。

17年11月にオープンした同ギャラリーの開館記念展「茨城ゆかりの洋画家たち」に賢三さんの作品2点が展示されたのがきっかけ。来場した義雄さんが「自宅での管理が難しくなっている。このまま作品を埋もれさすには忍びない」と申し出た。ふるさとの心地よさが決め手だった。土浦市の美術品収集検討委員会(小泉淳一委員長)が義雄さん宅を訪れるなどし、最終的に10点を選定、4月までに寄贈を受けた。1950年代の作品から1986年作の絶筆(I am Pirrot)までが含まれる。

内覧会で解説を務めた学芸員の萩谷良太さんによれば「ピエロは本来Pierrotでeが抜けたつづりだが、調べると賢三の作品名は二転三転して気まぐれなのもおもしろい。解説を聞く機会があればその辺も楽しんでほしい」という。

◆「塙賢三展~ピエロの画家、ふるさとへ」は8月10日~9月16日(毎週月曜日休館)午前10時~午後6時。入場無料。問い合わせは同ギャラリー(電話029-846-2950)。美術品収集検討委員長の小泉淳一さんによる記念講演会「塙賢三という画家」が25日午後1時30分から、同ギャラリーで行われる。先着50人。

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健康を維持するためのコーラスサークル「マウントつくばエコー」(伊藤雄二代表)が今年5月に結成され、国内外で活躍するソプラノ歌手で二期会会員のひらやすかつこさんを都内から招き、ボイストレーニングとコーラスの講座が開催されている。 音楽を楽しむと同時に、大きな声を出すことによって、加齢で心身が老い衰える「フレイル」(虚弱状態)を予防し、健康を維持することを目的としている。歌唱のうまさを競うものでなく、それぞれが楽しく歌うというのがモットーだ。 講座は月1回、同市並木の並木交流センターで催され、ひらやすさんが毎回、呼吸、発声、歌唱方法などを指導する。呼吸は、持参したストローを用い、ゆっくり深く息を吸った後、ストローを使って、吸った時間の倍の時間を掛けてゆっくり吐き出す。声帯と周辺筋肉の「声筋」を鍛えるほか、肺機能を向上させ、副交感神経を優位にすることでストレスの軽減や不安の緩和などの効果があるという。「声筋を鍛えることは認知症予防につながる。日常生活に音楽を取り入れるために、とても良い練習になる」とひらやすさんは言う。 現在会員は15人で、ほとんど欠席者は出ず、毎回毎回を楽しみに通っているという。練習では「埴生(はにゅう)の宿」「ふるさと」「オー・ソレ・ミオ」などをレパートリーとしている。 代表の伊藤さんが、都内でひらやすさんの講座を受講し、「つくばでもぜひやってみたい」と相談したのがきっかけ。伊藤さんが会員を募集しスタートした。 ひらやすさんは、武蔵野音楽大学を卒業後、ドイツ、イタリア、オーストリアなどに3度国費留学。ニューヨークのカーネギーホールで催された日米親善ソリスト公演にも出演した。現在は声楽家にとどまらず、臨床心理療法士、心理カウンセラーと幅広く活躍している。音楽と健康をテーマに、都内で開かれている「ときめきサロン」などの講師を務めているほか、老人ホームなどでも音楽教室を開いている。 ひらやすさんは「つくばは2018年頃から訪れているが、自然が豊かでとても気に入っている街。毎月来るのが楽しみになっている。楽しく歌えば健康になる。どんな形でもどんなジャンルでも歌うことは良いことで、歌うことが日常になってくれれば」と語る。「年を重ねると声帯が固くなり、高い声などが出にくくなる。しかしトレーニングによって改善することが出来る」と言い、「サークルでも、コーラスだけでなく、一人一人に歌ってもらうことで効果を高める指導をしている」と話す。 代表の伊藤さんは、大手半導体メーカー、インテルを退職後「テニスやゴルフ、カードゲームなど趣味に生きていた」が、ひらやすさんとの出会いによって新しい世界が広がったという。「会員のみんなが熱心で、歌うことによって健康になってもらえれば」「現在も会員募集中で、20人ぐらいに増やしたい。将来は旅行などしながら移動コンサートも出来たら」と語る。(榎田智司) ◆マウントつくばエコーのひらやすかつこさんの講座は、毎月第2木曜日午前9時30分~午後1時、つくば市並木4-2-1、並木交流センター音楽室で開催。会費は月2000円。問い合わせは伊藤さん(電話080-1241-5733、メールyuji3itoh@gmail.com)へ。