土曜日, 1月 17, 2026
ホームつくばアオコに監視の目を 国立環境研究所「環境儀」で特集

アオコに監視の目を 国立環境研究所「環境儀」で特集

【相澤冬樹】国立環境研究所(つくば市小野川)は最新の研究情報誌「環境儀」73号で、「アオコの実像―シアノバクテリアの遺伝子解析からわかること」を取り上げ刊行した。地域環境研究センターの冨岡典子さん(58)、生物・生態系環境研究センターの山口晴代さん(38)両主任研究員の研究成果とインタビューをまとめている。

湖面に緑のペンキを流したようなアオコの発生は1970年代以降、霞ケ浦の水質汚濁の深刻度を測る現象だった。その大量発生は2011年以降、北浦を除く水域では認められていない。同号の研究は霞ケ浦のアオコに限定してはいないが、研究者は土浦入りや高浜入りなど西浦に関しては現状、「収束」もしくは「沈静化」との見方をとっている。

しかし、今季すでに発生が見られた北浦はもとより、西浦についても脅威は潜んでいる。アオコには「毒性」が特定されており、上水の取水源となっている以上、湖にもっと関心を振り向けるべきだし、監視の目を緩めるべきではないと今回の特集に至った。従来、水質面からのアプローチが主だったが、アオコの生物学的な研究に踏み込んだのが同号の特徴だ。

いわゆるアオコという生物種はいない。富栄養化が進んだ湖沼等でみられる現象で、主に「ミクロキスティス」とよばれるらん藻類が引き起こす。らん藻類は光合成を行うようになった原核生物(シアノバクテリア)で、他の真核生物である藻類と区別される。アオコ現象を解明するためには、原因となるシアノバクテリアの多様性・存在量を正確に把握することが必要と、同研究所では1976年から霞ケ浦での研究を続けている。

図1 シアノバクテリアのリボソームRNA遺伝子の1999年4月から2018年12月までの湖水中濃度変化(冨岡典子さん作成)

日照次第で今夏の大発生も

冨岡さんは84年からアオコ研究に携わり、霞ケ浦全域調査でシアノバクテリアの数や体積を計測してきた。顕微鏡の観察ではうまくできないため、99年から測定のためにDNAによる定量法を開発した。今回の誌面には、その成果である「シアノバクテリアのリボソームRNA遺伝子の湖水中濃度変化」(図1)を載せている。グラフのタテ軸に出てくる「coples/ml」という単位が計測値。2001年から10年まで夏のピーク時でも赤いラインを超えることはなかったが、11年にこの値を超えてアオコが大量発生した。

グラフから、11年以降も“危険水位”をしばしば超えているのが分かる。冨岡さんは「諸条件が重なってアオコの発生にいたる。今年も気温が上がらないからアオコが発生しないというわけではなく、むしろ日照不足が原因。晴れた日が2、3日続けば、西浦でもアオコが出てくる要素は十分にある」という。

所内の微生物系統保存施設(NIESコレクション)には約4000の藻類や原生動物の培養株が保存されている。山口さんはこれらからアオコ原因シアノバクテリアの遺伝子解析を行っている。特に警戒するのは、ミクロキスティスが持つ肝臓毒ミクロキスチンだ。塩基配列を解析すると、12系統に分類でき、うち3系統がアオコの毒素の一種であるミクロキスチンを産出することを明らかにした(図2)。

図2:ミクロキスティス12の種内系統群のうち肝臓毒であるミクロキスチンを産生するのは、系統AとX、系統Bの一部(山口晴代さん作成)

山口さんは「現状では、水道水として飲んでも泳いでも魚を食べても問題になる毒性ではない。しかし将来に向けモニタリングは欠かせないし、定量化して数値規制していく方策も必要になるかも知れない」と指摘した。

▼「環境儀」73号は同研究所ホームページ(→http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/73/02-03.html)からも閲覧できる。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

土浦三高の生徒が考案 「まごころ弁当」21日からイオンで販売

県立土浦三高(同市大岩田、渡邊聡校長)の生徒とイオンリテール北関東・新潟カンパニー(永山久美子支社長)が共同で、弁当「愛の彩り まごころ弁当」を開発した。21日から27日まで、茨城、埼玉、群馬、栃木県内のイオンなど31店舗で販売される。 販売に先立ち、開発した生徒らが16日、土浦市役所を訪問し安藤真理子市長に報告した。弁当の開発は、イオンが2011年に茨城県と締結した地域活性化包括連携協定に基づいて実施され、同校商業科の3年生10人が授業の一環で1年掛けて取り組んだ。 販売される弁当は、単身の男性をターゲットに「子どものころ、家族が心を込めて作ってくれた愛情いっぱいのお弁当を再現」した。ご飯は、茶飯にサツマイモとゴマをトッピングしている。おかずはカレーソースで仕上げた唐揚げをメーンに、ハート型オムレツ、菜の花とコーンのマヨマスタード和え、ポテトサラダ、昔ながらの赤いウインナーなど彩り豊かで多彩な副菜を取り入れた。メンバーで唯一の男子生徒、成嶋孝弘さんは「男性が好きなものばかり入っている。嫌いな人はいないと思う」と話す。 温かみ感じる商品を 開発メンバー代表の永島葵さんは「企画で大変だったのは、お弁当を買う人のターゲットを決めたり、コンセプトを考えたりすることだった」と振り返り、「単身の男性や忙しい方がお弁当を買うのではと考え、その中でコンセプトを練った。喜ぶメニューは何かを考え、人の温かみをお弁当や食材から感じる商品を作ろうと決めた」と話す。メニューはメンバーで案を出し合い、学校で試作品を作りながら決めていった。 同行した渡邊校長は「土浦三高商業科は1年生で商品開発、マーケティングの基礎を学び、3年生になると課題研究科目で学びの総まとめとして、調査や研究、実践、商品制作などを行う。今回は学校だけで終わる学びではなくイオンリテールさんの力を借りて実際に商品化し販売できる。真の生きる力を育めたのではと感じている」と語った。 試食した安藤市長は「おいしい。皆さんが一生懸命考え、高校生活の集大成だと思うと胸がいっぱいになる。ハート形のオムライスなど見た目も楽しめる。食べる人がホッとするというか、愛を感じると思う」と話した。 イオンリテールの中鶴英治エリア制作推進グループマネージャー代行は「茨城県との包括連携を通じて青少年の育成に寄与するものということで、実際に売り場で販売するなども生徒にとって役に立つと思っている。コンセプトを決めたり、ターゲットを決めたりといったところから始まっているのでおいしいお弁当ができたと思う。来週の発売が非常に楽しみ」と話した。 「愛の彩り まごころ弁当」は645円(税込み)。全部で1550個を販売する予定だ。24日午前10時30分からは同市上高津のイオンモール土浦1階お惣菜売り場の弁当コーナーで同校生徒による推奨販売が実施され、45個を販売する予定。予定数量に達し次第、終了する。(伊藤悦子)

初冬の池とカモと色付く水面《鳥撮り三昧》9

【コラム・海老原信一】木々の葉の色付きが割と遅れて始まる洞峰公園(つくば市二の宮)。12月でも紅葉が楽しめるなんて結構ぜいたくです。また、そのころには北からカモたちがやってきます。木々の林や、植え込み、ヨシの中などには小鳥たちが入ります。 シジュウカラ、ウグイス、メジロ、ホオジロ、コゲラ、ムクドリ、ヒヨドリ、スズメなどの常駐組に交じって、ジョウビタキ、ツグミ、シロハラ、アカハラ、アオジ、シメ、カシラダカなどが越冬のためにやって来るのです。 見かける機会が少なくなったルリビタキにも運がよければ出会えますし、公園に隣接する林や草地にはコジュケイ、カケス、トラツグミ、オオタカなどの姿を見ることもできます。近年、野鳥とは言えないものの、ガビチョウが目立つようになっていて、何ともにぎやかな鳴き声を一度は聞かれているでしょう。 また水辺に目をやれば、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カワウ、カイツブリ、ヒクイナ、クイナ、バン、オオバンなど、多くの野鳥を見ることができます。「探鳥ガイド」のようになってしまいましたが、肝心なのはカモたちです。 洞峰公園の沼には、11月末ごろからカモたちが姿を見せるようになります。コガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、マガモ、ホシハジロ、トモエガモ、オカヨシガモ、キンクロハジロ、アメリカヒドリなどの珍客。季節を問わず見られるカルガモと、いろいろなカモたちを楽しめます。 「お、泥パックかい」 時期を同じくして、沼の周囲を囲む木々が赤や黄に色付き、常緑樹は緑を、建物は壁の色を沼の水面(みなも)へと送り込んできます。朝の柔らかい日差し、夕暮れ時の赤みある光がそれらの色と混ざり合い、とても美しい情景をつくり出します。そこに色とりどりのカモたちの姿が重なり、表現のしようがない程の眺めが出現します。 カモたちが泳げば波紋が起き、その波紋が色付く水面を不思議な世界に変えます。カモの中には、水底にくちばしを差し込んだりして食べ物を探すものもいます。洞峰公園の沼は浅いので、多くのカモが逆立ちしますが、潜水ガモと言われるホシハジロは別格です。水底の泥の中に顔まで入れて探すようで、上がってきた時の顔は泥まみれ。 それだけでも面白いのですが、美しい色合いの所へ顔を出した時は、周りとのギャップについ笑顔に。思わず、「お、泥パックかい」と、突っ込みを入れる自分がいます。人も「泥パック」をすると聞いていますから、そんなことを思い出しながら…。ホシハジロの泥パックは生きるためで、美容とは関係なさそうですけどね。 決して広くはない沼ですが、水が生き物にとって大切なものだと教えてくれる、多くの生き物たち。彼らの見せてくれる情景が寒さとともに美しさを増す、11~12月の洞峰公園が一番好きな私です。そのような場が身近にあり、その場に身を委ねることができる幸運を大事にしたいと思います。心と体を解放できる場として、いつまでもあって欲しいと願いながら。(写真家)

道路工事中に給水管を破損 1軒が断水 つくば市

つくば市は16日、市が発注した同市小野崎の道路改良舗装工事で、同日午前10時50分ごろ、市内の工事受注業者が既存の側溝(U字溝)を撤去する作業をしていたところ、埋設されていた上水道の給水管を誤って破損させ、1軒に断水被害が発生したと発表した。断水は同日夕方5時ごろに復旧した。 市道路管理課によると、工事業者が老朽化した古いタイプのU字溝を新しいタイプのU字溝に入れ替える作業をするため道路を掘削していたところ、道路下に埋設されていた近くの店舗1軒の給水管の一部を破損させた。工事業者はあらかじめ図面で、道路下に給水管が埋まっていることを把握していたという。 工事業者は断水被害を受けた店舗に謝罪し状況を説明。被害店舗はこの日、店を休みにした。 再発防止策として市は、受注業者に是正措置を求めたほか、現在、市の工事を受注している全工事業者に注意喚起を徹底し、再発防止に努めるとしている。

ロウバイが満開 筑波山梅林 早春の訪れ告げる

つくば市沼田、筑波山中腹の梅林でロウバイが満開となり見頃を迎えている。1月中旬は暦の上では小寒から大寒に向かう冬のさなかだが、標高約250メートルにある筑波山梅林では、ろう細工のような、ロウバイの光沢のある黄色い花が甘い香りとともに早春の訪れを告げている。 ロウバイは梅林の筑波山おもてなし館付近の斜面に数十本が植えられている。つくば市観光コンベンション協会によると、正月過ぎから見頃となっている。開花状況は平年並み、見頃は2月初旬ごろまでという。 3連休初日の10日は筑波山神社の参拝客や登山客などで梅林の駐車場は満杯。ロウバイが咲く梅林では、家族連れや写真愛好家などが、青空と黄色のコントラストをカメラやスマートフォンなどで写真に納める姿が見られた。 石岡市から来た藤井浩一さん(63)は「毎年ロウバイを見るために梅林に来ている。これだけたくさんのロウバイが咲くところは貴重だ。今日は珍しいヤマホウジロの写真も撮れたのでうれしい。ロウバイの写真ももっと撮っていきたい」と話していた。 ロウバイは中国原産で、梅に似ているが、梅がバラ科なのに対し、ロウバイはロウバイ科に属する。 筑波山梅林は約4.5ヘクタールの広さがあり、中腹の斜面に約1000本の白梅や紅梅が植えられている。10日時点で、早咲きの紅梅はまだ開花していない。第53回目になる今年の筑波山梅まつりは2月7日から3月15日まで開催される。(榎田智司)