金曜日, 6月 26, 2026
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【夏休み特報】㊤ お勉強モード全開のつくば 初日から研究機関へGo!

さあ、夏休み。宿題の心配をするには早すぎるが、さすがつくばは頭脳都市。頭っから、お勉強モード全開だ。20日いきなり2つの研究機関が夏の一般公開を行えば、県科学技術振興財団のつくばサイエンスツアーでは「夏バス」運行が始まり、つくば市が事務局となる「つくばちびっ子博士」企画も39施設を結んでスタートする。【構成・相澤冬樹】

開発から25年、アザラシ型ロボット「パロ」特集

【産総研つくばセンター一般公開】20日午前9時30分から午後4時まで。今年の特集は、開発から25年を経て世界中で愛されるアザラシ型ロボット「パロ」が主役。病気やケガに苦しむ子供たちや一人暮らしのお年寄を癒して、今や世界中で5000体をこえるパロが活躍中とか。開発者の柴田崇徳さんによる特別講演(午後1時から、定員400人)と特別展示が開催される。

アザラシ型ロボット「パロ」に会える産総研サイエンススクエアつくば

科学技術を身近にするチャレンジコーナーでは、結晶のお勉強と実験、地質図ライブラリー特別公開など。科学工作コーナー、スタンプラリーもある。

▼産業技術総合研究所はTXつくば駅から無料シャトルバスを運行。電話:029-862-6214(広報サービス室)  https://www.aist.go.jp/tsukuba/ja/pr/2019/

全員に「適応」エコバッグプレゼント

【国立環境研究所「夏の大公開」】20日午前9時30分から午後4時まで。子供から大人まで、楽しみながら環境問題や環境研究について学べる機会。今回は特に気候変動への「適応」をテーマにしており、来場者全員に「適応」ロゴ入りのエコバッグプレゼント。

子供たちに人気のタッチプールが今年もお目見え=昨年の「夏の大公開」から(国立環境研提供)

サメやタコのタッチプール、安全機能が付いた未来の乗り物(G5)、簡単ヒアリDNA検出キットなど体験型イベントはじめ、研究者と話す環境サイエンスカフェ「プラスチック 何が問題?」、最先端実験施設潜入ツアーなど、合わせて60を超える展示、講演会、体験イベントが予定されている。(一部雨天の場合中止)

▼TXつくば駅と常磐線ひたち野うしく駅から無料シャトルバスを運行。電話:029-850-2453(広報室) http://www.nies.go.jp/event/kokai/2019/index.html

路線バスを乗り継いで6つの研究施設を回る

【つくばサイエンスツアーバス「夏バス」運行】路線バスを乗り継いで国土地理院、つくば実験植物園、つくばエキスポセンター、産業技術総合研究所(地質標本館、サイエンス・スクエア)、筑波宇宙センター、6つの研究施設を回る。大人500円、小学生250円、幼児無料(税込み運賃、保護者同伴)で、終日乗り降り自由の循環バスが運行される。

予約で同行スタッフのガイド付き見学もできるサイエンスツアー=特別展「美しい砂の世界」開催中の産総研地質標本館

ツアーバスじたいは土・日・祝日に通年実施されているが、20日から9月1日までは毎週月曜日を除く毎日開催となり11便を運行。7月26日(砂を学び、砂絵と恐竜ジオラマづくり)、8月6日(極低温・液体窒素実験)、8日(太陽・風・鉄~私たちのまわりの地球環境)、21日(草木染めで色の変化を楽しもう)の4日間は特別イベント(各回定員40人、要予約)がある。第1・3土曜日と平日の5日間限定で、スタッフガイドが同乗して解説を聞かせてくれる同行コースも設定されている。こちらもWEBからの予約が必要になる。

▼乗車場所はつくばバスターミナル8番乗り場、ターミナル隣接の関東鉄道つくば学園サービスセンターに券売所がある。電話:029-863-6868(県科学技術振興財団つくばサイエンスツアーオフィス) https://www.i-step.org/tour/tsukuba-science-tour-bus.html

パスポートに5カ所以上のスタンプを集めて

【つくばちびっ子博士2019】20日から8月31日まで、「ちびっ子博士パスポート」を持って、指定された39の見学施設の展示やイベントを見学・体験しながら、ちびっ子博士スタンプを集める企画。5カ所以上のスタンプを集めてパスポートを提出すれば、「つくばちびっ子博士」に認定され、記念品がもらえる。18カ所以上の見学スタンプと400字程度の感想を書いて提出すれば「最優秀つくばちびっ子博士」の認定証、夏休みの勲章だ。

見学施設は研究機関のほか、筑波学院大学や東京ガスつくば支社を会場にした学習イベント、小田城跡歴史広場などの文化施設も含まれる。国立公文書館つくば分館では22日から8月31日まで、企画展「平家物語 変わりゆく時代を学ぼう」を開催。パスポート・チラシの配布場所はつくば市役所1階総合案内所ほか各窓口センター、つくば総合インフォメーションセンターなど。

▼電話:029-883-1111(つくば市教育局教育指導課) https://www.city.tsukuba.lg.jp/kankobunka/event/1004810.html

各施設で多彩なイベント・プログラム

【科学捜査展 科学の力で真実を解き明かせ!】20日から9月1日まで、つくばエキスポセンター。科学技術を使って事件や事故の現場に残された見えない証拠を分析する科学捜査。実際の捜査で使われる鑑定技術を体験装置や映像、パネル展示で紹介。車とバイクの接触事故、放火の可能性ある火災事件など4つの捜査体験シミュレーションで犯人を推理する。
▼当日配布の整理券方式で1回12組。参加は無料だが、入館料が必要。電話:029-858-1100(つくばエキスポセンター)http://www.expocenter.or.jp/?post_type=event&p=41107

【森林総合研究所「夏の一般公開」】27日午前9時30分から午後4時まで。最新の研究成果を解説するパネル展示や、体験型イベント(サイエンス体験、見学ツアー、ウッドクラフト、クイズラリー、昆虫のコーナーなど)を実施する。森林浴のリラックス効果体験、大人限定の木を発酵したアルコールの香りを試すコーナーなど体験会。講演は「茨城にシカがやってきた」岡輝樹(野生動物研究領域長)ほか。
▼電話:029-829-8372(広報係)https://www.ffpri.affrc.go.jp/news/2019/20190727natsukoukai/index.html

 

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内山社長が退任、後任は常銀投資会社前社長の池田氏 つくば市のまちづくり会社

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公立学校も「経営」の視点を持つ時代へ《よぎさんの眼》2

【コラム・よぎ(P.ヨゲンドラ)】日本の公立学校は今、大きな転換点を迎えている。少子化による生徒数減少、教員不足、教育ニーズの多様化、さらには地域間格差の拡大により、従来型の学校運営では立ち行かなくなりつつある。これからの学校には、単なる「運営」ではなく、学校運営や教育活動に関する情報を数値化したデータとしてフォローする「経営」の視点が必要である。 これまで公立学校では、「前年通り」が重視される傾向が強かった。予算、教育活動、組織体制など、多くが慣例ベースで維持されてきた。しかし、人口減少時代に入り、学校は自然に生徒が集まる存在ではなくなった。特に地方では、学校の魅力そのものが地域の存続に直結する時代になっている。 社会ニーズに応える学びの企業 私は、公立学校も「学びの企業」として再定義する必要があると考えている。もちろん、利益追求を意味するものではない。ここでいう経営とは、「生徒ファースト」を掲げ、「限られた人材・予算・時間を最大限活用し、生徒の成長という成果を高めること」である。あらゆる教育活動を連携し、その効果を最大化するデザイン・シンキングが必要である。 例えば、民間企業では、顧客ニーズを分析し、組織改善を繰り返しながら価値向上を図る。一方、多くの学校では、生徒や保護者が何を求めているのかを十分分析できていない場合も少なくない。大学進学だけでなく、国際教育、探究活動、デジタル教育、キャリア教育など、社会が求める力は大きく変化している。それにもかかわらず、教育内容や学校組織が変化できなければ、生徒の学びと社会との間にズレが生じてしまう。 人材育成こそが教育現場改革の鍵 また、学校経営において重要なのは「教員育成」である。優れた校舎や設備があっても、教員組織が疲弊していては教育の質は向上しない。現在の学校現場では、長時間労働や過剰な事務作業により、教員が本来注力すべき「生徒と向き合う時間」が奪われている。 多くの教育委員会は立派な研修センターを持っていても、教員や管理職育成のための実践的な講座をデザインしていない。教員が必要とする授業のアイディアや道具を研修センターでトコトン研究すべきである。教員の内外研修、業務改善やDX化を進め、教員が創造的な教育活動に力を注げる環境づくりが必要である。 さらに、校長の役割も変わるべきである。従来の管理型ではなく、学校の方向性を示し、人材を育て、外部と連携しながら組織を動かす「経営者型リーダー」が求められる。企業、大学、自治体、海外機関などとの連携を進め、学校を地域と世界につなぐ存在にしていく必要がある。学校の予算は事務長任せではなく、新規調達、維持管理費の妥当性を自ら確認し、業者を増やすことで癒着を解消していくべきである。 「選ばれる学校」への変革 これからの学校は、「ただ存在する学校」ではなく、「選ばれる学校」へと変わっていく。そのために入学希望者のニーズを理解する必要がある。教育改革とは、単なる制度変更ではない。学校という組織そのものの在り方を問い直すことなのである。人口減少社会の日本において、学校経営の改革は避けて通れない課題であり、日本再生の重要な鍵の一つになるだろう。(元県立土浦一高・付属中学校長)

武蔵美卒業生28人 個性あふれる作品117点展示 つくば美術館

武蔵野美術大学(東京都小平市)を卒業した県内在住者及び県出身者で構成する同大校友会第23回茨城支部展が23日から、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれ、油彩、日本画、水彩、工芸、和製本など28人による117点の個性あふれる作品が展示されている。28日まで。 県在住者及び出身者は約1000人が該当するが、同県支部は約30人が会員となっている。支部展は毎年開催され今年で23回目。 支部長の冨澤和男さんは(67)は10点を展示。会期中、日本の伝統的な製本様式である和装本のワークショップが開かれることから、今回初めて和装本を出展した。ほかに、明治時代から続く土浦の老舗「保立(ほたて)食堂」を、色鉛筆デザインと油絵とで書き分けた作品を展示した。「現在の保立食堂は看板が壊れており、15年前に撮った写真のものと現在のものを再構成した。今回は色鉛筆と油絵という二つの手法で描いてみた。見る人によって好みが分かれており興味深い」と語る。 数年ぶりに出展した清野光男さんは、福島の原発事故などメッセージ色の強い作品を描いてきた。今回はウクライナ戦争をテーマにした「分断と破壊」と題した作品を基本に、さらに複数の素材や技法を組み合わせて制作するミクストメディアの手法を使って描き、「境界と分断」「地景と分断」「地景 地と空」など計4点を展示した。 NEWSつくばコラムニストでイラストレーターの川浪せつ子さんも出展。NEWSつくばで連載してきた「ご飯は世界を救う(おいしい時間)」で描いた水彩画のほか、「つくば良いトコ」「古民家の夜景」(いずれも水彩画)などを展示している。川浪さんは「スケッチはその場でほぼ完成するものもあれば、後からきちんと描くものもある。つくばのまだ知られていない楽しいところや癒されるところをさらに絵にして紹介していきたい」と語る。 ほかに中村茂子さんの皮革工芸作品「時空花」などの展示もある。 冨澤支部長は「昨年よりも作品数は多くなったが。会員は増えていない。若い人が入ってくればもっとバリエーションに富んだ面白いものになる。まだまだ卒業生はたくさんいるので、仲間になってもらいたい」と話す。(榎田智司) ◆武蔵野美術大学校友会第23回茨城支部展は、6月23日(火)~28日(日)、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。会期中▽ワークショップ「折本を作ろう!」を27日(土)午後1時30分~3時30分に開催。定員15人、参加費500円▽作家が自身の作品を解説する「ギャラリートーク」を28日(日)午後1時~2時30分に開催。定員無し・参加費無料。問い合わせは電話090-2669-9206(坂本さん)へ。

風鈴の音《短いおはなし》52

【ノベル・伊東葎花】 田舎のおじいちゃんが突然訪ねてきた。東京見物のついでに寄ったそうだ。「健太にお土産だよ」と渡された包みを開けて、お菓子じゃなかったことにガッカリした。 「これ、何?」 「南部鉄の風鈴だよ」 南部鉄は、おじいちゃんが暮らす盛岡の名産らしい。 「懐かしいな」と父が言った。「まあ、結構な物を」と母が言った。 おじいちゃんは、スカイツリーに行くからと早々に家を後にした。母は社交辞令的に引きとめたけど、帰った後はほっとしたように見えた。僕たちが住む部屋は、高層マンションの最上階。洋風な部屋に南部鉄の風鈴はまるで似合わず、それは箱に入ったまま棚の中に納まった。 おじいちゃんは、その1カ月後に亡くなった。心臓が悪かったそうだ。 「まさかあの日が最後になるなんて」 父が、悲しそうにつぶやいた。 家族3人で盛岡へ行った。山しかない田舎で、年の近い従兄弟(いとこ)もいない。父と母は忙しそうだし、僕はつまらなくて帰ることばかり考えていた。 葬式の後、縁側でゲームをしていたら伯母さんがスイカを持って来てくれた。 「健ちゃん、何にもなくて退屈でしょう」 スイカを目の前に出されて、「あのう、スプーンは?」と言ったら笑われた。 「スプーンなんか使わないよ。種はこうやって庭に飛ばすの」 伯母さんは豪快に種を飛ばした。放物線を描いた種は、面白いほど遠くに飛んだ。僕もまねをした。「そうそう」と伯母さんが手を叩いて笑った。 「健ちゃんのお父さんは、おじいちゃんの自慢だったよ。大きな会社に勤めて、すごいマンションに住んでるって、みんなに自慢してた」 「ふうん」 「うちには女の子しかいないから、健ちゃんは特にかわいい孫だったのよ」 「そうなんだ」 「小学生になってから、ちっとも来なくなっちゃったでしょう。だから最期に、何だかんだ理由をつけて会いに行ったのよ。お気に入りの風鈴を持ってね」 「え…?」 心地よい風が吹いて、軒下の風鈴が鳴った。ちりんとか、そんな音じゃなかった。心に響くような澄んだ音色は、耳の奥にいつまでも余韻を残した。 「南部鉄よ」 「ああ」 僕はうなだれた。澄んだ音で風鈴が鳴るたびに切なくなった。どうしておじいちゃんの死を、ちゃんと悲しめなかったのか。 東京に帰ってすぐに、おじいちゃんがくれた風鈴を出した。ずしりと重く、冷たい感触が手のひらに心地よい。窓辺に下げて、少しだけ風を入れると、盛岡の家と同じ音で風鈴が鳴った。 「きれいな音ね」。母が目を細めた。「そりゃそうだろう。南部鉄だもん」。父が自慢げに言った。 「あの日、泊めて差し上げたらよかった」 「そうだな」 父と母が、あの日よりずっと優しい顔をしている。僕たちは、優しく澄んだ音色をいつまでも聞いていた。 (作家)