水曜日, 4月 15, 2026
ホーム土浦【土浦駅前「本屋」座談会】㊤ 駅ビルと近隣で進む「本のまち」づくり

【土浦駅前「本屋」座談会】㊤ 駅ビルと近隣で進む「本のまち」づくり

土浦駅ビル・プレイアトレ土浦に5月末、体験型書店「天狼院書店」が出店し、県内一の規模の市立図書館、関東一の売り場面積がある古書店と、次世代の書店といわれる新刊書店が土浦駅前に集まった。本離れや書店の撤退がいわれる中、過去から未来までを見通せる「3つの知の発信拠点」が駅前に集まったことは注目される。土浦市は、人口減少や少子高齢化問題を抱える地方都市だ。本を扱う3業態が連携して土浦で何ができるかを、市立図書館の入沢弘子館長、つちうら古書倶楽部の佐々木嘉弘代表、天狼院書店の三浦崇典店主が語り合った。司会はNEWSつくば理事長の坂本栄。

図書館はまちづくりにも貢献

駅前に図書館と古書店と新刊書店ができました。同じ本を扱っていてもそれぞれ業態が違うので、横のつながりをつくり、(みんながうまくいく)ウィンウィンの関係ができないいかと思い、この座談会を企画しました。まず、お三方に自分のところの売り、これが自慢だということを話していただき、そのあと、3者でどういったコラボが考えられるか、アイデアを出してください。私はアマゾンの電子本と宅配を多用しているので、現物の本を扱う書店や図書館が、ネット書籍や本のネット注文をどう見ているのかにも、関心があります。その辺もうかがいたいと思います。最初に、それぞれの業態の特徴を教えてください。

入沢 土浦市立図書館は県内で3番目に古く、今年で創立95周年になります。延床面積は県立図書館を抜いて茨城県内で一番大きく、5120平方メートル。開館して1年7カ月ですが、これまでに91万人の方にお越しいただきました。この数は図書館業界の中ではかなり早いようで、来館者の多さで評価をいただいています。

全国的に見ても、図書館が古くなり建て替えを検討している自治体が多く、加えて地方都市の駅前が衰退しているという、共通の課題があります。それを解決するために、図書館でまちを活性化できないかと、駅前に図書館を移す自治体が多くなっています。土浦の図書館も、本来の公立図書館としての機能のほか、まちづくりに貢献するという使命が与えられています。私たちはいろいろな取り組みを考えながら、この両輪で図書館を運営しています。

古書倶楽部の購入と販売は10対1

続いて、つちうら古書倶楽部の佐々木さん、お店の特徴をお願いします。

佐々木 うちが普通の書店と違うところは、お客さんの蔵書の買い取りが大きい比重を占めていることです。バブル経済期は古本屋があちこちにあり、土浦にも5~6店ありましたが、ほとんどつぶれてしまいました。私のところのお客さんは、茨城県南のほか、東京や神奈川からも来ますが、本を整理したいという方が多いです。つまり、古本の買い取りが中心で、店で買ってくれるお客さんはガタ減りしています。

アマゾンなどの本の通販や、ネットに載らない戦前の本、特に江戸とか明治時代の古い本とかを扱うことで対抗しています。

買い取る古本と販売する古本は、どういった比率ですか。

佐々木 圧倒的に仕入れが多いですね。だいたい10対1です。古本屋の組合があって、買い取った本のうち、土浦で不用なものは東京の交換会に出します。茨城の場合は水戸にありますが、各都道府県にも古本市場があり、毎月交換会が開かれます。

うちの場合、34年前に自宅で古書店を始め、それから駅前のイトーヨーカドー土浦店(2013年閉店)の中を借りて5年やりました。ヨーカドーが撤退するとき、本をどこに移そうか悩んでいたら、顔見知りのビルオーナーから「うちに入ってください」と言われ、東京、神奈川、福島の古本屋仲間約20人に声を掛け、今の店を立ち上げました。駅前のここ「パティオビル」に移って7年目になります。

土浦の天狼院はオーソドックスな店

続いて、天狼院の三浦さんです。本業界では実物本の販売が落ちているのに、どうして新刊店を出す決断をしたのですか。

三浦 私のところは、池袋で2013年9月にオープンしたのが1店目。その時に掲げたのが「リーディングライフの提供」です。本だけでなく、その先の体験も提供する、次世代型書店をつくろうと立ち上げました。東京、京都、福岡の店はセレクトショップの形をしています。つまり(ジャンルを絞り込んだ)セレクトした本を置く店のことですが、僕はもともとそういう書店はやりたくなかった。時代に逆行していると言われますが、5月末に開いた土浦店のようなオーソドックスな書店をやりたかった。

ということは、土浦店は昔風の本屋ということですか。

三浦 オーソドックスです。60坪の店に、売れ筋の新刊、コミック、参考書、雑誌、文芸書、文庫、新書、実用書、児童書の売り場があります。もちろん、体験を提供するのは得意なので、記事の書き方を教える「ライティングゼミ」とか、写真の撮り方を教える「フォト部」などの企画も持ってきてはいますが…。

でも土浦でやりたかったのは、一般の新刊書店です。お金もかかるし、もうかりませんが、やるからには勝算はあります。目指しているのは、寿命100年時代に、そのまちの知を担う書店であること。もうけるのではなく、存続させること。これが土浦店のコンセプトです。

―参考までに、ほかの天狼院の店の形を具体的に教えてください。

三浦 京都祇園の店は町家を改装した40坪で、坪庭もあります。普段着姿の舞妓さんも来ます。外国人のお客さんも多く、売り上げの半分が外国人客で占めています。併設のカフェも人気です。本はセレクトしており、源氏物語の英訳版などインバウンド向けが売れています。スタッフには本好きを投入していて、京大の文学部出身者や本を書いている人もいます。

福岡の店は自習室カフェ、「いつまでいてもいい書店」です。クリエイターや勉強する人が1日中いて、カレーとか豚汁も売っています。

池袋は4店が散らばっているのですが、(書店ではない)カメラ技術を習得するスタジオや、ビジネス書専門の店もある。池袋は様々な発信基地、放送局みたいなイメージがあります。本店の東京天狼院は、部室のようなたまり場になっています。

その地のニーズに応え、その地その地で店の形が違うということですか。

三浦 すべてカスタムメードです。最初に掲げたコンセプトには「リーディングライフの提供」だけでなく、「iPS細胞のように自在に進化する」というのもあります。お客さんの欲望によって形が変わっていくということです。今の時代、どこに行っても同じというのは無理です。土浦は高校生が多いということなので、これに合わせて変化させていきます。現在は第1形態です。ゴジラみたいに第5形態までいきます(笑)。

高校生を活字中毒にしてしまおう

入沢 土浦は高校が多く、特別支援学校を入れると10校あります。昼間、土浦に来ている高校生は9000人ぐらいいる。駅前に図書館が新築移転して大きく変わったのは、高校生の利用カード(登録者)が旧館時代の82倍になったことです。図書館で勉強するだけでなく、移転前に比べると、6倍近く本を借りるようになりました。

三浦 ということは、僕らのミッションとしては、今の段階で「高校生を活字中毒にしてしまえばいい」ということですよね。(笑)

土浦店は高校生を念頭にカスタマイズした方がよさそうですね。

三浦 そうなると思います。土浦一高をはじめとして勉強熱心な高校生が多いと聞いています。難関大学専門の参考書も入れてほしいとご要望をいただき、なるほどと思いました。土浦店ではここを伸ばせばいい、ここを削ればいいというのが見えてきました。あらゆる方向に伸ばせる可能性がある。今は夢想段階です。

時代逆行と言われるかもしれませんが、土浦では本の配達も始めようかと思っています。今はネットで買うと言われていますが、自分の父親はネットを使わないとか、スマホを使わずガラ携でいいという世代が結構いますから。(つづく)

▶入沢弘子(いりさわ・ひろこ)=土浦市立図書館館長兼土浦市民ギャラリー副館長、土浦市広報マネジャー併任。1962年生まれ。

▶佐々木嘉弘(ささき・よしひろ)=つちうら古書倶楽部代表。茨城県古書籍商組合組合長。1954年生まれ。

▶三浦崇典(みうら・たかのり)=天狼院書店店主。ライター、編集者、劇団主宰、映画監督、大学講師。1977年生まれ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

7部署42人に6255時間 市職員の残業代未払い つくば市が全庁調査公表

約2年間で総額1490万円 生活保護業務を担当していたつくば市職員の告発に端を発する同市の残業代(時間外手当て)未払い問題で(24年5月9日付)、五十嵐立青市長は14日、市役所全体で調査した結果、2021年4月から23年4月までの間、7部署の42人に6255時間の残業代未払いがあり、未払い総額は1490万円になったと発表した。 昨年5月までに支払い済みの生活保護など担当の社会福祉課職員24人(未払い時間3851時間、約860万円)以外に(25年6月20日付)、新たに6部署の18人に2404時間分の未払いがあったことが分かり、今月8日に約630万円を支払ったという。 18人に対する延滞金(遅延損害金)は40~50万円程度になる見通しで、市は議会に報告し速やかに対応するとしている。さらに職員の処分についても今後検討していくとしている。 6部署は、社会福祉課以外の福祉部の1部署、建設部の2部署、都市計画部の1部署、消防本部の2部署。具体的な課の名前は現時点で公表しないとしている。 サービス残業が発生した具体的事案として▽課の残業代の予算が不足した際に、所属長が残業を制限する指示を出し、残業の申請が適正になされなかった▽市の規則で月45時間超える残業は原則不可となっていることから、所属長が理由を問わず一律に不可とし、サービス残業の時間数を翌月に付け替えるなど不適切な管理をした▽所属長が残業を把握していながら適切な申請を促さずサービス残業が発生した▽残業の申請は、事前申請を原則としていることから、所属長が事後申請を認めずサービス残業が発生した▽残業時間の削減について所属長が特定職員に実現可能な手段を明示せず、残業時間の削減のみを指示したためサービス残業が発生したーなどがあったとした。 原因や背景については「特定個人によって起こったというより、全庁的に慣習に従って行われた部分も多い」などとした。 その上で、残業代未払いは全庁的な規模の問題だとし、組織全体としてこれまでの慣習を払拭し、再発防止に向け、①誤った認識を払拭するための全庁的な制度の周知②管理職による残業の事前命令と事後確認の徹底③必要に応じた予算措置などのほか、必要に応じた適正な職員数の配置、職員の能力向上のための研修、相談体制づくり、生産性を意識した評価制度の検討などに取り組むとしている。 一方、所属長の処分については、全庁的な慣習のほか、必要性が低いのに職員が残業した事例もあったなどとして、「所属長に一律に責任を課すことには疑義が生じ、処分は慎重さが求められる」などとしている。 全庁調査は、社会福祉課で残業代未払いがあったことを受けて実施された。五十嵐市長の処分については、すでに同課で未払いが発覚した際に処分を実施したなどから、追加の処分は実施しないとしている。 「全て明らかになったと思わない」 一方、最初に告発した当時社会福祉課の男性職員(41)=現在は別部署に異動=は「今回の公表で全てが明らかになったとは到底思っていない。私たち職員が置かれていたのは、必要な残業を適正に申請するのか、それとも職場の空気に従って黙るのかを迫られる、まさに『踏み絵』のような状況だった。しかも、定期監査結果や、職員間で直接聞き取ってきたサービス残業の実態と比べても、今回公表された結果とは大きなズレがある。まだまだ拾われていない被害があると思う」とし「社会福祉課についても、声を上げられた人、申告や請求にたどり着けた人は全体の一部。申請できなかった人、職場の空気にのまれて諦めた人、声を上げれば不利益を受けるのではないかと黙った人がいた」とし「一番懸念しているのは、声を上げた人(公益通報者)が守られず、私の二の舞になってしまうこと。問題の本質は、個人・現場の問題ではなく、市役所全体の組織風土にある。自主的な幕引きではなく、第三者を入れた検証と、声を上げた職員が不利益を受けない仕組み作りが必要」だとしている。(鈴木宏子)

たまゆら《続・平熱日記》191

【コラム・斉藤裕之】「将来きっと青い絵を描くよ…」。ある彫刻家が私に言った。唐突に、なんの根拠もなく。あれから随分と時が経った。 まだ寒い3月初旬、パクと山口に向かう。山の中では弟夫妻が変わりない日常を過ごしている。長旅を終えたパクも再会を喜んでいた。 その日は野暮(やぼ)用があって街まで出かけた。かつてにぎわっていた繁華街も人通りはまばら。少し時間があったのでちょっと気になるところを車で通ってみた。「たまゆら」という看板が見えて店内の明かりがわずかに見えた。思い切って引き返して駐車場に車を入れた。 この辺りは小学生だった私の新聞配達の受け持ち地域だった。だから半世紀以上経った今も当時の街並みと店の名前をはっきり覚えている。「たまゆら」にも新聞を入れていたのだけれども、居酒屋や料亭などが多い通りなので昼間は開いていない店が多い。 だから「たまゆら」も子供心には十分に怪しげなその言葉の響きから、てっきりその類の店かと思い込んでいた。その後、たまゆらとは玉響と書き、勾玉(まがたま)同士が触れ合うかすかな音から、ほんのひとときや束(つか)の間という意味を持つ美しい言葉であることを知った。 ところがつい先日のこと、ネットに「たまゆら」の記事がアップされているのを見かけて「たまゆら」が実は純喫茶で、しかも今もなお営業しているということを知った。 「それいゆ」 客は私ひとり。ゴブラン織りの椅子に重厚な調度品。天井近くにある年代物のスピーカーからはクラシック音楽。そして半世紀の時が醸し出すどこか懐かしい匂い。そのうち2組の客が入ってきた。 確か代替わりされたと記事には書いてあったが、カウンターの中から数人の女性のにぎやかな話声が聞こえる。子供の頃に新聞を配っていた「たまゆら」の中はこんな世界が広がっていた。 あの彫刻家が未来を予言していたわけではないだろうが、「斉藤さんの青い絵がいい…」という声をこのごろ耳にするようになった。人は青に何を見るのだろうか。チルチルとミチルの探す「青い鳥」は幸せや希望の象徴として描かれる。 シャルトル大聖堂のステンドグラスは無垢(むく)で神秘的な青だ。もし、たまゆら色という色があるとすれば…、それは奥行きを感じる軽やかな青だろうか。 大きめのカップに入ったコーヒーを飲み干して店を出た。この並びには確か「それいゆ」という店もあった。当時はその意味も分からないでいたが、なかなか趣のある屋号の店が並ぶ街に新聞を配っていたんだな。 数日後、静かな入り江のある街で、これを吉兆とするほど信心深くないが、こういう偶然が物語の始まりになることはあるのかもしれない、青い鳥が飛んできて目の前の塀にとまった。ちょっとドキドキした。たまゆらのひととき。浜ヒヨドリという鳥だと後で知った。(画家)

反戦と反差別訴える大学院生 ハナさん つくば【ひと】

米国とイスラエルによるイラン爆撃に反対する「反戦デモinつくば イラン爆撃もうたくさん!」を呼び掛け、11日つくば駅前のつくばセンター広場で街頭集会を開催した。主催したのは、つくば市在住の大学院生、ハナさん(25)ら「戦争に反対するつくば市民の会」。2月21日にも同駅前で反戦と反差別を訴える「戦争と差別もうたくさん!デモinつくば」(2月22日付)を開催して以来2回目。呼び掛けはSNSで広まり、11日はつくば市内外の市民ら約80人が参加した。 ハナさんはナイジェリア人の父親と日本人の母親との間に生まれた。つくば市内の小中学校、高校を出て、都内の大学に進学。現在は都内の大学院に通う。外国人ルーツかつアフリカ系という2つの属性ゆえに、日常的に日本社会からの疎外感を感じていた。 小学生の頃に自分の似顔絵を描く授業があり、周りの同級生と同じ「肌色」(薄だいだい色)を使って描いたが「これは誰だろう」と納得がいかなかった。後に自分が感じた差別的な体験や生きづらさの原因が社会構造にあると考え「社会的な構造を変えるために、市民の声を聴かせる市民運動がすごく強い力になる」と思い至ったという。 大学生の頃から、アフリカ系の人々やアフリカにルーツを持つ若者たちの支援活動に参加。2年前からはつくば駅前で毎月1回ペースで、パレスチナ連帯を訴えるスタンディング活動を行っている。 11日の集会終了後、ハナさんに思いの丈を聞いた。話は戦争反対から差別反対まで及んだ。 何をしてもいいという状態 —前回の2月のデモから1週間足らずで(2月28日に)米国とイスラエルによるイラン攻撃が起きました。「デモをやったのに」という思いはありますか。 ハナ 前回のデモでは「戦争反対」を訴えると同時に、米国やイスラエルの帝国主義・植民地主義にも反対しました。イスラエルがイランを攻撃したのは初めてではなかったので、世界がなんとなくイスラエルや米国を許すような状態でイランへの攻撃が始まったことは、正直あまり驚きではありません。「イスラエルは何をしてもいい」という状態になってしまっていると感じています。2年前からパレスチナ連帯のデモを続けてきて感じていることで、その歯止めが利かなくなっていることを本当に実感しています。 —ハナさんは大学院生とのことですが、大学の中や周囲の友人、知人との間で、イラン攻撃は話題になりますか。 ハナ 私は外国ルーツの友達が多いので、イランの情勢はいろいろなところに影響します。例えば、飛行機が急に欠航になってしまったりなどの影響が出ていて、友達と「不安だね」という話をします。イランの友達もいますし、周辺国のレバノンやシリア出身の友達もいます。周辺国でもイスラエルによる爆撃が続いていて、皆、家族を心配しています。 —今回のデモは、人が多かったと感じましたか。関心を持つ市民がかなり多く来た印象です。 ハナ いつもはそれほど人が集まらないのですが、前回(2月)のデモは50〜60人集まり、今回はもっと多く70〜80人と、かなりの人が来てくれました。つくばでは珍しい数だと思います。 —市民もそれだけイラン情勢に関心を持っているのだと思いますし、外国人や外国ルーツの人にとっては、他人事ではないのだと思います。 ハナ つくば市はとても国際的な都市で、外国ルーツの友達がいる人も多いし、外国ルーツの人自体も多い。イラン情勢もそうですが、米国やイスラエルに対する日本政府の外交的な姿勢について「どうなのかな」と疑問に思う人が多いのではないでしょうか。 2月の「戦争と差別もうたくさん!デモinつくば」では、戦争反対と同時に差別反対も掲げ、外国にルーツのある若者らを中心に集まった。今回の集会でも参加者から「差別反対」の声が上がった。 中でも、茨城県が今年度から実施予定の「通報報奨金制度」に対しハナさんは、同制度の撤回を求め、県に申し入れをした。非正規滞在の外国人を雇った事業主に関する情報提供者に報奨金1万円を支払う制度で、「自分のように外国人に見える日本人が普通に生きているだけでも、犯罪者のように扱われることがある」とハナさんは批判する。 身がすくむような感じ —茨城県の通報報奨金制度ですが、ハナさんは3月25日につくば市の市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」に同行して県庁を訪れ、同制度の撤回を求める申入書を提出し、県の担当者と面談しました。 ハナ 申し入れのとき県の担当者は、同制度が差別ではない理由を繰り返し説明しました。例えば「茨城県自体に外国人を通報する権限はない」「事業者に向けたものだから外国人差別ではない」などと繰り返し言いました。しかし通報(報奨金)制度を運用すれば、結局行き着くところは、働いている外国人に対し「在留カードを見せろ」と確認するしかない。いつでもそういう状況に追い込める権力を県が持っているということです。対象が事業者であっても、(外国人)差別であることは変わりません。 ただでさえ排外主義が高まっている社会で、普通に生きているだけでも外国人が犯罪者のように扱われることがあります。外国人だけでなく、外国人に見える私のような日本人も日々経験しています。それにお金をつけて推進していく制度は、差別でしかないと思います。 —県弁護士会が出した「通報報奨金制度は撤回すべき」という意見書に対し、大井川知事は4月2日の記者会見で強く反論していました。ハナさんから見ると「お金をつけて差別を推進する」ように映るわけですね。通報報奨金制度はまだ施行されず、通報するためのパソコンの通報システムを作っている最中といわれていますが、いつ出来上がるのかは不明です。県議会でも「虚偽通報があったらどうするのか」などの議論もありました。 ハナ 虚偽通報は怖いです。外国人が正しく働いているかどうかなんて、一般の人には基本的にわかりません。見た目でわかるわけではない。通報報奨金制度全体の予算は20万円と言っていましたが、そんな少額の予算でわざわざ報奨金を出すことに実効的な効果があるとは思えません。 —通報報奨金制度をあえてやるのは、大井川知事が「外国人に厳しく対応しています」とアピールしたいがためとしか思えませんが。 ハナ 外国人を捨て石にして、極右的な支持層の獲得を狙っているようにしか見えません。つくば市でも、外国人に対して差別的な主張を流す人たちが駅前などで行動しています。外国ルーツの身として、そういうのを見るたびに身がすくむような感じがします。そうしたすごく差別的な、外国人を「もの」としか見ていないような人たちに多くの票が入ってしまうのは、こんな国際的な都市でも起きるので、かなりショックです。 ハナさんたちは5月頃にも再びデモを行う予定という。詳しくはインスタグラム「palestine_day_tsukuba」または「moutakusandemotsukuba」で告知される。 (聞き手・崎山勝功)

開幕2連勝 つくばFCレディース

関東女子サッカーリーグ1部が開幕、つくばFCレディースは2連勝し、好スタートを切った。5日に今季開幕戦を神奈川大学(本拠地 横浜市)とアウェーで戦い4-2で勝利。12日の第2節はホームのセキショウチャレンジスタジアム(つくば市山木)に山梨学院大学(本拠地・甲府市)を迎え2-0で勝利した。 第32回関東女子サッカーリーグ1部 前期第2節(4月12日、セキショウチャレンジスタジアム)つくばFCレディース 2-0 山梨学院大学前半2-0後半0-0 つくばは前半23分、MF穂谷颯季がボールを前へ送ろうとした相手DFに詰めてボールを奪い、間髪を入れずミドルシュートを放つ。ボールは前へ出ていた相手GKの手を弾き、ゴールポストを叩いてネットを揺らした。「次に相手がどういうプレーをするのか予測を持って守備に行くのが得意。一瞬のときをつかんでボールを奪い、何も迷わずゴールに行けたことは良かった」と穂谷の振り返り。 その後は早めのメンバー交代で守備陣形を整え、10分後の前半34分には追加点。ロングボールに穂谷が抜け出してコーナーキックを獲得し、MF打桐菜海が蹴ったボールのこぼれ球にMF高橋萌々香がいち早く駆け込み、左足のミドルシュートをゴール左隅に突き刺した。「こぼれ球がいいところに来たので迷わず振り抜いた。いいコースに飛んでよかった。今は点をしっかり決められていることが勝ちにつながっている。試合の流れとして課題はまだたくさんあるので、自分たちの目標に向かってしっかりやっていきたい」と高橋主将。 課題の一つが後半の戦い方。今節では後半に放ったシュートはわずか1本で、浴びたシュートは8本に及んだ。前節も前半は4点を奪いながら、後半は相手のキーマンをつぶし切れず、不要な2失点を喫してしまった。「2節目ということもあるしチームの練習は夜が中心なので、まだ昼間の戦いに体が慣れていない。このリーグの対戦相手はほとんどが高校や大学のチームで、ハードワークでは彼らの方に分があり、今後暑くなると体力的にもっと厳しくなる。チームとして意識的に取り組む必要がある」と志賀みう監督。 ロングボールの応酬から相手にセカンドボールを拾われ、押し込まれる時間が長くなったものの、守備を固めてゴールを一度も割らせなかったことは一つの成果といえる。負傷中のGK伊東美和に代わってゴールを守る鈴木那智の活躍も見逃せない。「前の選手が決めてくれたので、その分も後ろがしっかり守らなくてはという強い気持ちがあった。相手のロングシュートにも警戒を怠らず、上を狙ったボールも体格を生かしてしっかり止めることができた」と鈴木。 目標はなでしこ2部入替戦 昨季から継続の13人に新規加入の14人が加わり、選手層が厚くなるとともにレギュラー争いも厳しくなり、締まった雰囲気でトレーニングが行われているという。 「目標は9月末のなでしこリーグ2部入替戦。予選だけで4試合あり、レギュラーメンバー以外の誰が出ても遜色なく、むしろ強くなるくらいでないと勝ち進めない。選手の成長が非常に重要なポイントになるので、育成の部分には強くこだわって取り組みたい」と志賀監督は力を込める。 次節は19日、西東京市の早稲田大学東伏見グラウンドで早稲田大学と対戦する。(池田充雄)