月曜日, 10月 20, 2025
ホームつくば金色姫がつなぐ日印の糸 著者迎え、つくばで交流の朗読会

金色姫がつなぐ日印の糸 著者迎え、つくばで交流の朗読会

【相澤冬樹】つくば市神郡の蚕影(こかげ)神社に伝わる伝説に材をとった土浦市在住の作家、佐賀純一さんの著作「金色姫と蚕の物語」の朗読会が6日、つくば市吉瀬のつくば文化郷で開かれた。日印女子フォーラム、茨城県郷土文化振興財団などが実行委員会をつくっての開催。会場には佐賀さん自身が駆けつけ、金色姫伝説の背景にあった日本とインドの近しさを語るなどした。

金色姫伝説は日本に養蚕が伝わった起源をたどる物語。天竺(インド)で受難にあった金色姫は、海に逃れて常陸国筑波の豊浦に漂着、権太夫という漁師に助けられる。やがて亡くなると、自らの骸(むくろ)をもって桑の葉を食うカイコとなり、糸をつむいで絹をつくるまでを権太夫夫妻に伝授する。姫への感謝から建てられたのが蚕影神社だ。

佐賀さんはこれを翻案し小説化、『筑波山愛ものがたり』(2006年、常陽新聞新社刊)に収めた。日印女子フォーラムの大場多美子代表の朗読で、筑波山はじめ、県内に3カ所残る養蚕にまつわる神社やインドで撮られた写真のスライドショーともども上演された。

朗読会の最後にあいさつする佐賀純一さん=同

ガンディー生誕150周年のSDGs事業

朗読後、大場代表はこの企画がインド独立の父、マハトマ・ガンディー(1869 – 1948年)の生誕150周年にちなむことを強調した。インドでは今日、カシミヤやシルク、ガディなどの織物が各地でさかんに作られているが、英国の植民地時代、圧政で取り上げられた糸車を探しだし、技術を伝えたガンディーの偉業抜きに考えられないそうだ。

これを受け継ぐ形で同フォーラムは、生活困窮者や女性の自立のためにハンドメイドの生地づくり事業を支援している。「糸をつむぎ織り上げることを通じて、SDGs(持続可能な開発目標)達成をめざしている」といい、金色姫を縁につくばでの展開も考えている。同事業で日印をつなぐ活動をしているIRAKOI(イラコイ)社代表のシウリ・ロイさんが、現地で織られたさまざまな素材を持ち込んで紹介した。

催事の締めくくりで佐賀さんは「日本とインドの間には今、すごい距離感があるが、空海の時代までさかのぼると、インドはもっと身近で、当時の仏教にも濃密な影響を残していた。か細い糸をたぐって、本当は近くにあるインドを見つけ出したい」と語った。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

まだ続く運動公園問題 つくば市長の宿題【吾妻カガミ】211

【コラム・坂本栄】つくば市の総合運動公園用地は3年前に倉庫業者に売却され、それに反対する有志市民の住民訴訟も敗訴したことで、「もう終わった問題」と思っている方が多いと思います。ところが、酒井泉市議が秋の議会で売却の問題点を追求、今後は「用地買い戻し実現に向けて対市民キャンペーンを展開する」そうです。私もこの欄で売却の問題点をいくつか指摘してきたこともあり、その行方を注目しています。 幻に終わった県南の中核施設 住民投票で実現しなかった市原前市長時代の総合運動公園計画について、私は以下のように考えています。 ▼総事業費が300億円に上る財政負担に市民は不安を覚えたようだが、15年の長期計画でやれば、年20億の負担で済んだ。具体的には、高いレベルの3施設(陸上競技場、総合体育館、サッカー場)を各5年計画で順番に整備すればよかった。県南の中核運動施設と位置付け、県や周辺市町村にも経費を分担してもらい、国の補助も受ける計画にすれば、年20億の市負担を限りなく減らすことができた。 ▼前市長時代にUR都市機構から取得した用地は45ヘクタールと広く、研究機関が連なる幹線道路沿いの少し奥に位置し、利用者には極めて使い勝手がよい。したがって、つくば市民だけでなく他県民も広く利用できる場所として活用すべきであり、各種施設から成る総合運動公園は県南エリアに望まれるプロジェクトであった。 全用地売却は政治的な選択 ところが、この計画は五十嵐現市長が旗を振った反対運動と住民投票によってご破算になりました。その問題点について、私は以下のように理解しています。結論を先に言うと、運動公園問題は現市長の未解決の厄介事ということです。 ▼総事業費300億という数字が反対運動で強調された結果、市民の関心は市の財政負担に向けられ、県南に整備される総合運動公園のメリットに思いが至らなかった。また、住民投票の問いが全計画に賛成か反対かの2択式でなく、「(計画修正も含む)どちらでもない」もある3択式であったならば、この択に〇を付ける市民が一定シェアを占め、当初計画の見直し(整備計画の長期化、3施設の設計変更、1~2施設への縮小など)が可能だった。 ▼現市長は、市民運動家として運動公園反対運動を主導し、計画が頓挫した用地をURに返還することを最初の市長選の目玉公約にしたため(結果は失敗)、当初計画の修正という選択肢の採用は政治的に難しくなり、全用地の売却に走らざるを得なくなった。つまり、返還失敗という失政の痕跡を消し去ることが市長就任後の政策テーマになった。 ▼用地処分を焦るあまり、反対運動と市長選挙の際に指摘した前市長の行政スタイル(市民や議会の声を軽視して執行部が独走したと批判)を自ら踏襲し、用地売却の議案を議会に提出せず、市民の考えを無作為に聞くアンケート調査(住民投票のミニ版)もせず、倉庫業者による住民説明会の非開催(チラシ配布のみ)を容認した。 開示情報の多くは黒塗り 反対運動で市の財政負担(300億!)を強調したこと、市民の声をきちんと聞き取る調査を実施しなかったこと、議会による議決手続きを無視したこと、周辺住民への説明会を業者に回避させたこと―などを見てくると、現市長の市政運営には疑問符が付きます。 酒井市議が指摘している問題点は多岐にわたりますが、市が用地売却で採用したプロポーザル方式(取得価格と利用方法を購入希望業者に提出させ、それらを点数化し、総合点が高い業者に売却)がきちんと行われたかどうか、特に問題にしています。市が用地取得の条件に掲げた「防災倉庫」の提案内容や審査書類を開示するよう市に要求したところ、開示拒否あるいは黒塗りだったそうです。 こういった市の対応を受け、酒井市議は業者選定に当たり何かあったのではないかと疑っています。近畿財務局管内にあった国有地の不正売却でも財務省が文書開示を迫られ、黒塗りの書類を出して逃げ回ったという事件もありました。(経済ジャーナリスト) <参考>運動公園問題を扱った最新記事と過去コラム(青字部を押してください)・「防災拠点27年末完成へ…」(9月30日掲載)・186「…市民軽視の連鎖」(24年7月1日掲載)・152「住民訴訟の判決は…」(23年3月6日掲載)・145「…おかしな行政手順」(22年11月21日掲載)・137「リコール運動の行方…」(22年7月18日掲載)・135「…つくば市政の不思議」(22年6月20日掲載)・129「…なぜか逃げ回る市長」(22年3月21日掲載)・125「…都合がよい理屈付け」(22年1月31日掲載)

「パレスチナの子供たちに思いはせてほしい」 靴150足並べ追悼と抗議

つくば駅前 子供の靴150足を並べ、パレスチナのガザ地区で死亡した子供たちを追悼し、イスラエルに抗議する行動が19日、つくば駅前のつくばセンター広場で実施された。抗議行動中の約2時間の間、ガザで死亡した子供たち一人ひとりの名前が読み上げられた。市内外の約40人が参加し、「ガザ虐殺を止めろ」「だれも殺すな」などと書かれた自作のプラカードを掲げたり、通行人にチラシを手渡し「パレスチナに関心をもってほしい」と呼び掛けるなどした。 パレスチナ人の父をもつ、つくば市在住の会社員、ラクマン来良さん(37)らが呼び掛けた。ラクマンさんはガザ侵攻が始まって以降、パレスチナに関心をもってもらおうと、自宅や市民活動拠点などで映画上映会やバザーを開いたり、つくば駅前で抗議行動などを実施してきた(24年2月27日付、同9月27日)。 150足の子供の靴は神戸市の疋田香澄さんから送られてきたものだ。疋田さんは、イスラエルによるガザ侵攻で犠牲となったパレスチナ人約6万7000人のうち40%近くが10歳未満の子供であることを表現しようと、SNSで呼び掛け、使わなくなった子供の靴を150足集め、ガザ侵攻から間もなく2年となる10月5日、150足の靴を並べて犠牲者を追悼するイベントを開催した。 SNSで神戸の追悼イベントを知ったラクマンさんが、疋田さんに連絡し、神戸に続きつくばでも、子供たちの靴を並べる追悼イベントが開かれることになった。 ラクマンさんは「子供たちが一番の犠牲者。靴は、大きくなれなかった子供たちを象徴するもの。亡くなった子供たちを追悼し(何人死亡したなどの)数字だけではなく、本当だったら走り回ったり、元気に遊び回っていたはずの子どもたちが殺されたことを知ってほしい」と話し、「イスラエルとハマスが10日停戦に合意し、このまま停戦が続いてほしいが、イスラエルは当初1日600台ガザに搬入すると言っていた支援物資を半分しか入れてない」とし「パレスチナの状況がこうなっているのは国際社会が許していることもある。もっとパレスチナに興味をもって自分のことと思ってくれたら」と話す。 ラクマンさんと共に追悼と抗議行動を呼び掛けた市内に住む大学生、斉藤花さん(25)は参加者を前にマイクをとり「ガザで第一段階の停戦に入ったが、これで完全に殺害や侵略が終わったわけではない。イスラエル軍におびえ、家族と切り離されながら、パレスチナ人の暮らしはとても厳しいものになっている。パレスチナの一人一人の子どもたちに思いをはせてほしい」などと話し、参加者に黙とうを呼び掛けた。 追悼と抗議行動には、つくばインターナショナルスクールに通う高校生5人が参加した。それぞれイギリス、インド、アイルランド、ロシア、バングラデシュにルーツをもつ2年生と3年生で、高2の女子生徒は「子供たちが殺されているのが悲しくて、SNSで追悼と抗議行動があるのを知り、友達や先生に声を掛けて、何かできることはないかと参加した」と話した。(鈴木宏子)

モグラのトンネルとジョウビタキ《鳥撮り三昧》6

【コラム・海老原信一】暖かい日差しに包まれた筑波山の梅林。林の縁に続く、草がきれいに刈り込まれた斜面。その下をゴツゴツした岩に縁どられた沢が一筋流れています。水が勢いよく流れる岩の苔にサワガニがしがみつき、流されまいと頑張っています。 沢筋の低木の枝先には、ジョウビタキのオスが一方向を見つめながら止まっています。何を見ているの?気になって視線の先を追うと、沢筋の斜面の土がモコモコ盛り上がって伸びています。「おっ、モグラだ」。ジョウビタキはこの斜面の一筋になぜ興味があるのか、程なく分かりました。 モコモコ伸びる一筋が小さな崩落を起こし、黒い土がバラバラと落ちています。それにジョウビタキが反応。崩れたところへ飛び、土の中へ嘴(くちばし)を差しこむと、何かをくわえ岩に飛び戻ります。嘴には小さな虫がくわえられていて、数回嘴を動かすとおなかへ。その間もモコモコは伸びていきます。 モグラのモコモコが崩れたら、そこから虫を得られる。何でもないようだけれど、考えると不思議に思います。モグラのトンネルが崩れると虫が出て来るのを、ジョウビタキはどうして知っているのか、推測することにします。 仲間で情報を共有し採餌 偶然モコモコが崩れたところに出くわし、そこから虫が出てきたのを見つけた仲間がいて、仲間たちがその情報を共有し、採餌(さいじ)行動ができたのだと思われます。こういったことは身近にあり、カラス、ムクドリ、セキレイなどが田畑のトラックターの後をついていき、土中から顔を出す虫を食べるのを見た方もいるでしょう。 公園などの草刈りの後、ムクドリやセキレイなどがやってきて、短くなった草の中から虫を捕らえているのも見かけると思います。 ある発見を採餌行動として成立させることを「学習する」と表現したりします。学問的にはもっと複雑な解説があるのでしょうが、一鳥見人が学んだことです。鳥を観察するって面白いものです。(写真家)

女性が働きやすい建設会社へ「取り組み認められた」 つくばの浅野物産

人気ユーチューバーが花の直売イベント つくば市羽成の建設会社、浅野物産(浅野一重社長)の庭・外構展示場「ここちテリア」で、園芸系の人気ユーチューバー古屋悟司さんが主催し、全国から花木生産者が多数集まる花の直売イベント「はなむすび」が11月2日、3日の2日間開催される。 古谷さんは都内で花屋を経営し、ユーチューブのチャンネル登録者数は20万人に達する。「はなむすび」は花がもつ感動や癒しの力を知ってもらうためのイベントで、花の楽しみ方や育て方を知ってもらい、園芸の新しい需要を掘り起こし、コロナ禍以降、園芸から離れてしまった人々を呼び戻すことが狙いという。 イベントではワークショップ、クイズ形式のトークイベント、オークション、質問ブースをなど設け、キッチンカーや地元飲食店も出店する。前回は5月に東京・よみうりランドで催され大盛況だった。今回は家族連れなど1500人の来場者を見込んでいる。 古谷さんは、会場にここちテリアを選定するにあたり、花がたくさんあるのを見て、イベントのイメージとぴったり合うことから会場を決定した。浅野物産の浅野弘美専務は「女性を多く雇用するようになってから会社にガーデナー部門が出来た。そのため選ばれたのではないか」と話し、建設会社として女性が働きやすい職場とする取り組みを重ねてきたことをPRしたい意向だ。 「茨城女性リーダー登用先進企業」に 浅野物産は今年2月、県が推進する2024年度の「茨城女性リーダー登用先進企業 奨励賞」を受賞した。国内の建設業全体では男性就業者が85%を占めるが、浅野物産は社員30人のうち半数の15人が女性だ。女性が働きやすい職場環境づくりに取り組み、女性の管理職登用を積極的に推進していることから表彰された。 建設業ではまれなこの取り組みの場となったのが、9年前に始めた「ここちテリア」だ。当初から女性を多く採用し、子育て中の女性にも対応した柔軟な働き方を目指した。 同奨励賞の受賞は、9年間の取り組みが社会的に認められた証しで、浅野専務は「以前は男性中心の会社だったが、女性目線で経営を考えるといろいろなことが出来るようになった。今後も社会に貢献できることは何かということを念頭に置き事業を展開していきたい」と話す。 浅野物産は1962年に運送会社として創業、68年に建設業を始め、2016年には造園部門のここちテリアを始めるなど、事業の幅を広げてきた。ここちテリアでは理想の庭を展示するほか、敷地内には、ギャラリーや貸スペースもあり、親子リトミックや園芸教室など市民活動も応援している。独自の企画として年に1回「ここちガーデンフェスタ」を開き、コンサートやフラワーマーケットなどのイベントも開催している。来年春には「Seasons(シーズンズ)つくばカフェ」が敷地内にオープンする予定だ。(榎田智司) ◆お花の直売イベント「はなむすび」は11月2日(日)~3日(月)、いずれも午前10時~午後4時、つくば市羽成23-1 ここちテリアtsukubaで開催。入場無料。主催は、はなむすび実行委員会あとりえ亜樹。問い合わせはメールgekihana.official@gmail.comへ。