月曜日, 1月 19, 2026
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最後の夏を締めくくる つくば工科、取手松陽に敗退【高校野球茨城’24】

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1回裏取手松陽1死一・二塁、ライトからセカンドを経由した返球で、ホームを狙った二走を刺す、つくば工科・つくばサイエンス捕手・秋山昴(撮影/高橋浩一)

第106回全国高校野球茨城大会は2日目の7日、J:COMスタジアム土浦での第2試合で、つくば工科・つくばサイエンスの合同チームが取手松陽と対戦。0-8と7回コールドで負けを喫した。つくば工科としての大会出場はこの試合が最後となった。

先発投手の矢口

昨年の校名変更により3年生5人はつくば工科、1・2年生6人はつくばサイエンスとして出場。ユニフォームも異なるが、上級生と下級生が気持ちを一つにして最後の夏に挑んだ。

初回は内外野の連携で相手走者をホームで刺殺するなど、これまでの練習の成果を発揮することができた。だが2回に三塁打にエラーがからんで1点を失うと、3回には3安打と四球押し出しや捕逸などで一挙5点を奪われ、試合の流れは相手に大きく傾いた。先発投手の矢口遼真は「ミスからリズムを崩してしまった。自分の力がなかった」と悔やむ。

3回途中から5回までを投げた浅田

その後は何とか一矢報いようと、5回には矢口が中前へチーム初ヒットを放つ。矢口は3回途中で浅田新にマウンドを譲っていたが、6回には自ら志願して再びマウンドへ。「浅田も疲れが見えてきたのと、最後はエースを背負っている自分が抑えなくては」との思いだったという。

7回には先頭打者の坂田悠真が右翼へチーム2本目のヒットを放ち、ベンチを鼓舞する。「ここで2点取らないとコールドになるので、絶対に打ってやると思い、アウトコースのまっすぐを叩いた。練習すれば成果が出ることを、プレーで後輩に見せられたと思う」と坂田主将。

7回表つくば工科・サイエンス無死、坂田のチーム2本目のヒット

佐藤将光監督は「エラーでの失点は痛かったが、いままでは5回コールドで負けていたところを、要所を締め7回まで粘り強く戦ってくれた。3年がヒットも打って次につなげ、1・2年に背中を見せてくれた」と選手を称えた。「今の3年は学校が変わることに加え、部員の少なさでも苦労してきた世代。それを乗り越えて頑張ってきたからこそ、こういう試合ができた」

カリキュラムが変わることで、3年生と1・2年生では練習時間にギャップができるなどの苦労もあった。だが3年生が遅くまで後輩の練習に付き合うことでカバーしてきたという。坂田主将は「チームをまとめるのは大変だったが、最終的にいいゲームができ、納得いくプレーも出せた。小学校から野球を始めたが、高校が一番楽しかった。後輩たちにも一生懸命やる楽しさを味わってほしい」と後を託した。(池田充雄)

試合後整列するつくば工科・つくばサイエンスナイン

大会初、女子部員がシートノック 土浦二、1回戦で敗れる【高校野球茨城’24】

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女子部員として茨城大会初のノッカーを務めた小林こと選手

第106回全国高校野球茨城大会初日の6日、開会式直後のノーブルスタジアム水戸で1回戦第1試合が行われた。土浦二高が下妻二高と対戦したが、投打で圧倒され6回コールド0-10で敗れた。試合前には土浦二高女子部員の小林こと(2年)がノッカーとしてベンチ入りし、茨城大会で初となるシートノックを務めた。

 1 2 3 4 5 6 
土浦二 0 0 0 0 0 0  0
下妻二 0 3 0 3 3 1× 10
(6回コールド)

先発した土浦二高のエース鈴木晴人投手

試合は、土浦二高エースの鈴木晴人が先発したが、2回2死から四球を挟み4連打で3失点。4回にも3連打で3点追加され6点をリードされた。5回からは橋本真直、佐藤剛志が登板したが、押し出しを含み4つの四球でさらに3点を追加された。

打線は1年生で4番の竹内新世が2安打を放ち、一人気を吐くが、下妻二高先発の佐藤天馬に抑えられた。

6回無死2塁のピンチにマウンドに集まる土浦二高の内野陣

土浦二高の相良真博監督は「9回までやりたかったが、5回で終わらなかったのは5回途中から再びマウンドに上がった鈴木のお陰」と鈴木の健闘をたたえた。

今大会、3年生部員は鈴木を含め3人のみ。エースで主将の鈴木晴人は「アウトコース中心でたまにインコースを使った。甘い球はいかなかったし自分の出せる力を出し、やれることはやった。相手の実力が上だった。自分はチームで一番頑張ったし自信を持ってやってきた。力を出し切ったので悔いはない」と話した。

試合後、ベンチでうなだれる土浦二高の選手ら

「終わってから実感」

一方、茨城大会で女子部員として初めてシートノックを務めた小林は「緊張はなかったが終わってから実感が湧いた。9回までやりたかったが打たれて負けたのだから仕方ない。けが人も多かったができることはやれた。来年は9回まで戦えるのが目標」と語った。

小林は土浦二中に入り中学から野球を始めた。高校で辞めるつもりだったが相良監督から誘われ、野球を続ける決心をした。硬式球の難しさを感じながら野球を楽しんでいるという。地元の高校が参加しているPCリーグの試合に選手として出場している。(高橋浩一)

土浦二高の応援団

夏の高校野球茨城大会開幕 95校88チームが行進

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元気よく行進する95校88チームの高校球児たち

第106回全国高校野球茨城大会が6日、水戸市のノーブルホームスタジアム水戸で開幕し、95校88チームの選手らが行進した。甲子園への切符を賭けた熱戦が27日まで繰り広げられる。

開会式は午前9時、大洗高校マーチングバンド部ブルーホークスの演奏が響き渡る中、水戸女子高校の生徒がプラカードを掲げ、昨年優勝の土浦日大を先頭に元気良く足並みそろえて入場した。スタンドからは大きな拍手が響き渡った。

開会式に臨む球児たち

県高校野球連盟の深谷靖会長は「チーム全員で困難を乗り越え、仲間と共に過ごす時間や互いに励まし合いながら成長する過程も大切。高校野球を通じて得られる経験は勝敗を通じて大きな財産になる。日々の練習の成果を存分に発揮して高校野球の魅力を発信してほしい。感謝の気持ちを忘れず全力でプレーしてほしい」と述べた。

選手宣誓は古河二高の池田魁主将が「高校野球のFマークに込められたファイト、フレンドシップ、フェアプレーの精神の下、私たちはこの晴れ舞台で最高のパフォーマンスをするために努力してきました。互いに支え合いながら友情を深め、多くの方たちに支えられて野球に打ち込めたことに感謝の気持ちでいっぱいです。私たち高校球児は野球が出来ることに感謝し、支えてくれる方々の思いを胸に精一杯、全力で白球を追い続けることを誓います」と力強く宣言した。

選手宣誓をする古河二高の池田魁主将

昨年の優勝校、土浦日大の中本佳吾主将は「いよいよ夏が来た。昨年の記録を塗り替えて、チームが一つになり茨城を制覇したい」、準優勝の霞ケ浦高校、市川晟太主将は「昨年悔しい負け方をしたので、その悔しさを胸にチーム一丸で、チーム力を発揮して甲子園で校歌を歌いたい」とそれぞれ意気込みを語った。

昨年の優勝旗を返還する土浦日大の中本佳吾主将

開会式の司会は鉾田一高3年の麻生さくらさんと水戸商業3年の長嶋美和さんが務めた。2人とも「最初はどうなるかと緊張したけど、2人力を合わせて頑張り、自分なりに上手く出来たし、いい経験になった」と話した。

プラカードを掲げた水戸女子高3年で生徒会長の菊池葉月さんは「昨年開会式をスタンドから見て興味が湧いた。観客が多く練習の時より緊張したけど練習通り出来て良かった。いい思い出が出来たしやり切った」と話した。 (高橋浩一)

開会式の司会進行をする水戸商業の長嶋美和さん(左)と鉾田一高の麻生さくらさん

胃カメラを飲むコツ《続・平熱日記》161

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】1年に1度、私とっての鬼門。それは胃カメラを飲む日。今年もその日がやってきた。小さいころから大方の立ちはだかる壁は乗り越えてきたつもりだが、胃カメラだけは苦手だ。

しかし、実は今年、ちょっとだけポジティブな気持ちで内視鏡検査室の前に座る私がいる。というのも、昨年の検査の際に「コツ」をつかんだような気がしたのだ。あの忌まわしいチューブを飲み込むコツを。だが、それはただの思い過ごしということも考えられる。だから、今年はそれを確かめるべくやってきたのだ。

私の周りでも胃カメラが苦手な人がいて、マウスピースをくわえた瞬間から無の境地に入っていくようにするとか、頭の中で好きな歌を流して気をそらすとか。それから、胃カメラは平気だけどバリウム飲むのが苦手な人とか。NASAの訓練みたいにぐるぐる回るのがちょっととか。

「さいとうさ~ん」。呼ばれた私は喉に麻酔の薬をためてその時を待つ。しかし、やっぱり不思議と理由のない自信がある。それにしても胃カメラ係?の看護師さんは妙に優しい。口調ももちろんだが、いざ検査の時に背中をさすってくれるあの母親の様な手。ジェンダーとかなんとか置いといて、この係はできれば女性にやってほしいと個人的に思う。

いい絵を描くコツはない

さて、ついにまな板の上に乗った。マウスピースをくわえる。「はい、じゃあこれから始めますよ~」って、今回の先生はなんだかソフトな印象。いよいよチューブが入ってきて、「はいここちょっと苦しいですよ~」。ここだ!と思ったら「オエッ」、涙がツー。この後は鼻の穴全開でゆっくりと呼吸を繰り返す。「は~い、では抜いていきま~す。お疲れさまでしたー」

ということで、予想通り、これまでと比べて飛躍的に苦しさを感じることなく検査を終えることができた。少しまだ涙ぐんだ目で画像を見ながら、先生の説明を聞く私の心はちょっと晴れやか。

絵を描くのにコツがあるのか聞かれることがある。例えば角度を少し意識するだけで、手を置く場所を変えるだけで、順番を変えるだけで、うまくいくことは日常的に誰しも経験があって、これをコツと呼んだりするんだろうが…。鉛筆をうまく削るコツはあるかもしれないが、いい絵を描くコツはない。同じく、胃カメラを飲むコツをつかんだところで健康になるわけではないのだが。何はともあれ、「問題ありませんね」という先生の一言で新たな1年がスタートした気分。

「10年たちましたね」と看護師さん。「来年の胃カメラは麻酔なしでいいですか」と聞かれて、「はい!」と元気よく答えた私。胃カメラを飲むコツ? それは謙虚に胃カメラさんに感謝すること、かもね。(画家)

金魚を見て老境を知る《看取り医者は見た!》22

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写真は筆者

【コラム・平野国美】10年ほど前、治子さんと初めてお会いしたときは、夫の介護の最中でした。足腰の痛みに耐えながら、最期まで夫君に尽くされました。そして今度は、患者さんとして再会しました。見た目はあのころとほとんど変わらないのですが、足を少し引きずって歩かれていました。

「今度は私がお世話になります。申し訳ございません」。性格が真面目なので、人の世話はするが、世話されるのは申し訳ないと思うようです。遠方に住む家族が介護サービスを受けるよう説得しましたが「人様のお世話になるなんて…」と言われ、困っていました。

最近は体の衰えもあり、時々、転倒するようです。転んだ痛み以上に、精神的な苦痛を感じるようです。そして、最近は頭も少しぼんやりとしてきたようです。10年ほど前、御主人の介護をしていたころは、しっかりとされており、診察のいい間に紅茶をいれてもらったものでした。

今日もそのころと同じように「紅茶を入れますね」と、台所に向かったのですが、10分ほどしても戻ってきません。台所をのぞいてみると、ぼんやりと立ち尽くしています。「治子さん」と声をかけると、「せんせい、私、一体何をしに台所にきたのかしら」と言うのです。慰めながら椅子に座らせると「なんでこんなになってしまったのかな?」と、1時間も2時間も泣き続けるのです。

自分の老いを理解する知性

私は帰るわけにもいかず、治子さんと向かい合っていると、その肩越しに金魚の水槽を見つけました。水槽の中の1匹の金魚が腹を水面に向けたまま浮いています。微動だにしないので、死んでいるのかと思ったのですが、突然、動き出して、姿勢を立て直そうとしました。

「生きているのか」と眺めていると、また、船が転覆したように、腹を水面に出して浮いてしまうのです。何だろうと、スマホに「金魚、逆さま」と入力して調べると、「転覆病」「原因は魚の浮袋の機能不全」「便秘による腸の膨満または加齢によるもの」など、いろいろ出てきました。

どうやら、人間でいう「体調不良」「寝たきり」に近いものと思われます。いつの間にか、治子さんも、水槽の中を心配そうに見ています。「転覆病っていうんですって」と、今知ったばかりのことを聞かせると、「そうですか。私だけじゃないんですね、苦しんでいるのは」とうなずかれました。

老境(ろうきょう)と言う言葉があります。人生の晩年に差し掛かった老人の境遇や心境といった意味です。しかしこの言葉には、もっと深い意味があると思うのです。

老境に入るとは、その方のこれまでの生き方や心境を表現していると思います。確かに、治子さんは認知症の影が見え始めています。しかし、転覆する金魚の姿を見て、自分の老いを理解する奥深さ、知性がある気がするのです。その後、2人で小1時間ほど老境の話をしました。(訪問診療医師)

「なぜ?を知ることは科学への扉」 元研究者が特別授業 茗渓学園高校

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芝生広場で行われた色火剤の実験の様子。分光シートを貼ったスマートフォンの画面で花火が発する色が分解されて観察できる=茗溪学園高校

火薬研究の第一人者で産業技術総合研究所の元研究者、松永猛裕さんが開発した教材「花火の原理がわかる手持ち花火Ⅰ色火剤(いろびざい)」(2023年6月22日付)を用いた特別授業が3日、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)である茗溪学園高校で行われた。

茗溪学園高校1年生の化学の特別授業の講師を務めた松永さんは「(熱した金属によって異なる色が出る)炎色反応は(中高生の)皆が知っているのに、なぜ炎色が出るかを説明できる人はいません。研究する人がいないからです。でも『なぜ』を知ることは科学への扉になる。花火でわかる化学の面白さを伝えたい」と語った。

同教材は、手持ち花火と分光シートがセットになっており、分光シートをスマートフォンのカメラに貼り付けて撮影することで、花火がどのような光を発しているかを分解して観察できる。つくばで生まれた優れた商品やサービスを市が認定する23年度のつくばクオリティ認定品にも選ばれている。教材は松永さんが社長を務める産総研発ベンチャー「グリーン・パイロラント」が開発、販売している。

ピロティで特別授業を行う松永さん

茗溪学園高校で実施された1年生の化学の特別授業は、教室でなく、吹き抜けの1階ピロティで行われた。後半は芝生広場に移動してグループごとに実験し、分光シートを貼ったスマートフォンでさまざまな花火のスペクトルを観察した。実験終了後、松永さんに光の性質などについて質問する生徒たちもいた。

特別授業を受ける生徒たち

特別授業を受けた1年のキム・スジンさんは「教材が素晴らしく、楽しく体験することが出来た。自分の目で見る経験が出来てとても良かった。星が好きなので、星のスペクトルなども学んでいきたい」と感想を述べた。

松永さんは「生徒たちの反応も素晴らしく、興味をもってもらえてとても良かった」と述べた。(榎田智司)

青梅の季節《ことばのおはなし》71

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写真は筆者

【山口絹記】近所のスーパーに青梅が並んでいるのを見て、今年ももうそんな時期かと気が付いた。10年ほど前、もうすぐ産まれてくる娘が大人になったら一緒に飲める梅酒を作ろう、ということで梅酒を作り始めてから、我が家ではなんだかんだと毎年のように青梅を買っている。

当初は梅酒に梅シロップ、梅酢シロップの3種を作っていたのだが、普段からあまりお酒を飲まないために梅酒は余るようになり、砂糖と梅と少量の酢で作る梅シロップは失敗(除菌が不十分なのかカビが生えてしまう)することもあって、まず失敗することもなく、こどもにも人気の梅酢シロップだけ作り続けている。

なんらかの果実を漬ける、という文化は、私の中では母方の祖母から受け継いだものだ。祖母は生前、割と様々なものをお酒に漬けていた人で、梅酒の作り方は祖母に教えてもらった。私の知らないところでもマタタビの実などでお酒を作っていたようで、実家にはいまだに謎の数十年物のお酒と思われる液体が保管されている。

様々な液体が増える?

最初は私と妻だけでゆったり丁寧に作っていた梅酒やシロップも、次の年からは娘が参加して部屋が水浸しになったり、娘が上手に手伝ってくれるようになったと思ったら、今年は下の息子も参加して青梅がそこかしこに転がるようになった。

昔はこだわっていた容器も、スーパーで売っている一番安い赤いフタのやつになり、当初は試行錯誤していたレシピも、ここ数年は必要なものが入っていればいいか、という感じである。やっていることは毎年同じでも、その状況や情景が少しずつ変わっていく。

梅酢シロップを作り終えたあと、娘が氷砂糖の袋に記載されていたレモンシロップのレシピを見て、次はコレを作ってみたいと言った。我が家でもこうして様々な液体が増えていくのかもしれない。(言語研究者)

豊里ゆかりの森に新美術館オープン つくば万博の記憶をつなぐ

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新たにオープンした美術館内の様子

つくば市遠東にある自然体験施設「豊里ゆかりの森」に3日、新しく美術館がオープンした。展示棟として活用されていた建物を市が改修し、美術館としてリニューアルオープンさせた。「祈りからの出発」と題された開館記念展には、近代日本画を代表する巨匠の一人、川端龍子が雪化粧の山を描いた「白寿」など33点が並ぶ。開館に先立ち開かれた式典には、旧豊里町で町長を務めた故野堀豊定さんの長男・喜作さんら、同施設の地権者数人を始め、約20人の関係者が集まった。

昨年度、市が美術館に改修した展示棟は、1985年に開催された「つくば科学万博」の際に、万博の第2会場に建てられた市民による展示館「LALA館」を、万博終了後に同施設に移築したものだ。

美術館開館前に記念式典が開催された

きっかけとなったのが新型コロナが感染拡大した2020年に、施設内の宿舎「あかまつ」を軽症患者の受け入れ施設としたこと。その後、地域住民から豊里ゆかりの森をより多くの市民が活用できる空間にしたいとの声が寄せられ、23年3月に地権者らが「ゆかりの森地権者有志の会」を結成、市はこれに協力し、展示館の改修に至った。改修費は約1300万円。

式典であいさつに立った野堀喜作さんは、施設設立に尽力した父・豊定さんの思い出を振り返りながら「今日は父の命日。当初『ふれあいの森』としていた名称を『ゆかりの森』としたのには、万博でのカナダとの縁があった」と話した。

式典であいさつに立った野堀喜作さん

カナダと繋がった縁

1985年に発行された雑誌「建築設計資料9」(建築思潮研究所編)によると、豊里ゆかりの森の原型は、地域に広がるアカマツを中心とした平地林を生かすための総合的計画として1984年から85年にかけて進められた。近くの同市東光台にある音楽施設「バッハの森」と共に、隣接する森に宿舎「あかまつ」、町民センター、工芸館などをつくる計画が始まりだった。

計画の中でプロジェクトにカナダ人建築家が参加。85年の科学万博でカナダ館館長を務めることになっていたカナダ人のブロンウィン・ベストさんが、建築家の知人だったことから豊里との縁が繋がり、宿舎「あかまつ」が、万博のために来日したカナダ人スタッフの宿舎として建てられた。カナダとの友好の印として、施設名を、両国を結ぶという意味の「結(ゆ)」カナダの「か」、豊里の里をとって「り」をあわせて、「ゆかり」としたという。

万博の際にカナダ人スタッフの宿泊施設として使われたカナディアンロッジ風の宿泊施設「あかまつ」

式典であいさつに立った五十嵐立青市長は「いよいよのオープン。最初の企画『祈りからの出発』は、能登地震、新型コロナ感染症を踏まえた、出発の企画。ここから新たに、よりよい一歩を踏み出そうという気持ちがこもっている。ここがつくばのアート、文化の拠点にしていきたい」と思いを語った。今後はつくばにまつわる作品を中心に、さまざまな企画展を開いていく予定。

開館記念展は、地権者有志の会の協力による全3回の開催を予定している。第1回の「祈りからの出発」が23日(火)まで、開館時間は午前9時から午後4時まで。以降、第2弾を今年11月、第3弾を来年3月に予定している。

27日(土)から8月11日(日)は、筑波大学をはじめ、東京芸大、多摩美大、武蔵野美大の35歳以下の在学生、卒業生を対象とした「絵画の筑波賞展2024」を開催する。開館時間は午前10時から午後5時、最終日は午後3時まで。(柴田大輔)

◆いずれも入場無料、月曜休館。問い合わせは029-847-5061(豊里ゆかりの森)へ。

個性あふれる99点 武蔵美校友会茨城支部展 つくば美術館

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冨澤支部長と自身の作品。(左から)油彩「嵐の前に」、油彩「いちご食べたのだあ~れ」

武蔵野美術大学(東京都小平市)を卒業した県在住者及び出身者で構成する同大校友会第21回茨城支部展が2日から7日まで、つくば市吾妻、県つくば美術館で開かれ、会員が制作した油彩、日本画、水彩、工芸など99点の個性あふれる作品が展示されている。

支部展は毎年開催されている。同大の県在住者及び出身者は約1000人が該当し、そのうち約30人が同支部会員となっている。通信教育課程の卒業生が多いのも特徴で会員の3分の1を占める。

沼尻正芳さんの油絵「間宮林蔵の肖像」

同大を卒業後、県南の小中学校で美術担当教諭を長く務め、つくばみらい市立伊奈東中学校校長を最後に退職した沼尻正芳さんは、油絵「間宮林蔵の肖像」を出展した。「地域出身の偉人ということで描いた。林蔵の写真は残されていないのだが、自分の想像で描いた。宗谷岬から樺太に渡る前の立ち姿を描いている」と説明した。

NEWSつくばコラムニストでもある川浪せつ子さんは、「水と」「おいしい時間」「ふわり」などの水彩画を出展。「母が亡くなった年齢を超えてからは好きなことをやろうという思いがあり、自分の描きたいものばかりを描いている。今回は小さな作品をたくさん展示した」と述べる。

中村のりこさんの「那珂湊張り子」は2022年度と23年度のいばらきデザインコレクションに選ばれた作品だ。江戸時代からの地域伝統工芸を守り、現代のニーズに合わせて、手のりサイズに小型化した。県産品の西ノ内和紙や、古来の顔料、膠(にかわ)など質の高い材料を吟味することで伝統工芸品の価値を高め、地域のイメージアップになっているという。

支部長の冨澤和男さん(67)は「産業技術総合研究所に勤めている時に美術の基礎を学ぶために通信で大学に入った。当時は忙しかったので作品を仕上げるのに時間がかかった。植物などの自然物を描く時は観察から始め、下絵、デッサンなどにも時間がかかり、根気のいる作業だ」と、自作「白日の薔薇」を参考に説明してくれた。

冨澤さんはさらに「開催期間は梅雨時期なので足元に気をつけてきてほしい。たくさんの人に見てもらえばうれしい」と述べた。(榎田智司)

左は中村雄二さん作「生けるものたち‘23ミクストメディア」、右は野本恵美子さんの「噴火の知らせ」

◆武蔵野美術大学校友会第21回茨城支部展は2日(火)~ 7日(日)、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時、最終日は午後3時まで。入場無料。▽6日(土)午後1時~2時と2時30分~3時30分の2回、「お絵描きワークショップ~直径58mmの円に絵を描いて缶バッジを作ろう!」が開かれる。定員は各回10人、小学生以下は保護者同伴。参加費500円、1人3個まで作成できる。申し込みは090-2669-9206(坂本さん)へ。

世界は悲しみに満ちているか?《続・気軽にSOS》151

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【コラム・浅井和幸】この世界は理不尽なことばかり起こると感じている人は多いでしょう。理不尽とは首尾一貫していないということ。ですが、道理にかなってないとまで考えて使うことは少なく、普段は自分や自分が好きな人にとって嫌なことが起こるという意味で使うことが多いでしょう。

私は物思いにふけり、生活にあまり役に立たないような些細(ささい)なことを考える習慣があるのですが、最近考えた課題があります。それは「どうして視野が狭いと、考えや話し言葉の主語が大きくなるのか」。

Aさんは言いました。この世界は悲しみに満ちていると。世界は悲しみしかないということを真剣に伝えてきます。あるとき、Aさんは言います。この世は素晴らしい喜びに包まれていると。

「悲しみに満ちている世界」と「喜びに包まれている世界」の時間的な間隔は数カ月のときもあれば、数時間のときもあります。「悲しみ…」と「喜び…」の間で世界の常識や状態が大きく変わったとは思えません。

変わったのは、Aさんの周りのちょっとした出来事です(Aさんにとっては些細なことではなく大問題なわけですが)。恋人に振られた、仕事で成功して上司にほめられた、大切にしていたものが壊れた、大好きなライブに行ったなど。

人はそれぞれの世界観を持ちます。この世界と感覚器官(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)でつながり、感じて、思考して、世界とはこういうものだと決定しています。

自分の決定した世界が、自分のフィルターを通した世界であって、決して全てではないのだと、ほとんどの人は知っています。自分が感じて考えている世界<本当の世界ですが、余裕がないときは、自分が感じて考えている世界は、それが全てだと考えてしまいやすいのです。自分が感じて考えている世界=本当の世界と。

深呼吸をしてもう一度考える

余裕がないときというのは、不安にあおられ、緊急に決断しなければいけないという状況に陥っていると、私たちの頭は考えている状況です。ですが、主語が大きくなってしまう人、自分にとって大きな危険が迫っているのかどうか、深呼吸をしてもう一度考える癖を付けてみるとよいと思います。

批判は相手をあまり知らないときにしやすく、批判をすることでトラブルに巻き込まれるものです(SNSですぐにケンカをしてしまう人など)。最近起こった2~3回ぐらいの出来事でそれが全てだと信じてしまう人(最近は若者の凶悪犯罪が増えたなどと決めつけがちな人)。

自分のこれらの言動に気づけると、より事実に即した思考と行動に結びつきやすくなります。「この人は全てを変えることができる人だからみんなで応援しましょう」は、視野が狭い人のセリフ、もしくは聞き手の視野を狭くして誘導している言葉かもしれません。信じる者は救われるという言葉がありますが、過信をして運に任せてしまわず、自分で決断をしていくことをお勧めします。(精神保健福祉士)

基準値超のレジオネラ菌検出 つくば市桜老人福祉センター 1日から利用停止

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つくば市役所

つくば市は2日、同市栗原、市立桜老人福祉センター内の浴室で、基準値を上回るレジオネラ菌が検出されたと発表した。2日時点で利用者から健康被害の報告はないという。市は1日から浴室の利用を停止した。

市高齢福祉課によると、6月18日に定期的な水質検査を実施し、7月1日、検査を実施した県薬剤師会から基準値(100ミリリットル当たり10CFU未満=CFUはコロニー形成単位=)を上回る10CFUが検出されたと報告を受けた。原因は不明という。

同浴室は毎日60~70人が利用している。お湯は循環式で、毎日入れ替えている。定期水質検査は年3回実施している。

検査結果を受け、市は利用者に連絡の上、体調などを聞き取った。症状がある人には医療機関を受診するよう促す。

1日は定休日だった。つくば保健所が2日、立ち入り検査を実施した。今後は保健所の立ち入り検査結果を踏まえ、保健所の指導を仰いで対応するとしている。

明治の古レール、橋脚の務め終え鉄道遺物に 土浦市立博物館の夏季展示

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手前の古レールに「UNION D 1886 N.T.K.」の刻印が見える=土浦市立博物館

2日から始まった土浦市立博物館(土浦市中央、糸賀茂男館長)の夏季展示で、明治時代の古レールを転用した橋脚部材が鉄道遺物として紹介された。2025年の土浦駅開業130周年を前に、同館では初めての古レールの保存と展示になったという。

古レール転用の部材は、同市土浦市富士崎2丁目と小松ケ丘町とを結ぶ人道こ線橋、通称「二番橋」の架け替え工事に伴い発生した。NEWSつくばの取材(22年9月24日付)をきっかけに博物館が調査に入った。

架け替え前の二番橋=2021年撮影、土浦市 富士崎町

二番橋は市道で、土浦駅寄りの一番橋の撤去とセットになった工事が行われ、23年12月に開通(23年12月7日付)した。着工時点では古レールについて記録調査を行う考えはなかった。通常レールの腹部には刻印が押されている。レールの種類、製造年月、製造者名などが分かる。

国鉄常磐線の前身である日本鉄道土浦線が開業した明治28(1895)~29(1895)年に建設された可能性があるとNEWSつくばが照会し、博物館は市道路建設課に調査協力を要請、解体資材の置き場で、適宜な長さに切り出された古レールから製造年などの刻印を調べた。

その結果、大小37本の古レールに刻印が見つかり、製造年が分かるのが11点あった。内訳は明治18年(1885)1点、同19年(1986)3点、同26年(1893)1点、同27年(1894)6点。発注者として日本鉄道を示す「N.T.K.」、官営鉄道を示す「I.R.J.」が確認できた。

日本鉄道発注と見られるレールには「UNION D 1886 N.T.K.」と刻印があった。ドイツのウニオン社が製造元で、製造年は1886年とわかる。明治期のものと判明したことから、博物館では鉄道遺物として保存するため2本のレールにさび止めなどの処理を行い、今回の展示に加えた。

古レールは「軍艦型」と呼ばれた旧土浦駅舎にも構造体として多数使われていたが1980年代の建て替えでは保存されず、今回が初めての資料化という。

ただ、これらの古レールがいつから二番橋に用いられたかは明らかでない。博物館の野田礼子学芸員は「常磐線の土浦-荒川沖間が複線化されたのが大正11年(1922)で、小松丘陵の切り通しもこのとき拡張され、二番橋も架け替えられた可能性があり、古レールもこの時持ち込まれたのたのではないか」という見方をしている。(相澤冬樹)

土浦市立博物館で始まった夏季展示

■土浦市立博物館(土浦市中央1丁目、電話:029-824-2928)夏季展示は9月29日まで。「霞ケ浦に育まれた人々のくらし」を総合テーマに、通年展開する企画の第2シーズンで、古代から近代にいたる各種資料が展示される。八幡脇遺跡(同市おおつ野)で出土した灰釉(かいゆう)陶器の短頸壺(10世紀)や土浦藩士で地理学者の山村才助の著した「西洋雑記」(19世紀)などの展示物をみることができる。入館料:一般200円(税込み)、高校生以下無料

「ロシア凍結資産」の行方《雑記録》61

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デージーの花(筆者撮影)

【コラム・瀧田薫】戦争と経済とは切っても切れない関係にある。戦争当事国の経済力は、ほぼその国の戦争遂行能力と一致する。ウクライナとロシアの経済力を比較すれば、両国の軍事力の差が把握できる。実際に、GDP、軍事費、そして軍事費の対GDP比―この3項目を取り上げて比較してみる。

具体的な方法としては、ロシアによるクリミア半島侵攻の年(2014年)以前の2013年度と、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2022年度におけるそれぞれの数字を比較する。つまり、両国の平時と戦時で数字がどう変化するかを見る。(単位は100万US$。出典はGDPはIMF、軍事費は世界銀行。なお「グローバルノート」を参照)

数字は残酷なほどロシアとウクライナの経済力の差を示している。参考までに、ウクライナの軍事費と対GDP比について、侵攻前(2021年)と侵攻後(2022年)の数字を欄外に並べてみた。すると、侵攻が始まった年のウクライナの戦費は平時の約10倍に暴騰していた。米欧の軍事専門家の当時の心境は「てのうちはみつ 叶うべしとも思えず」ということではなかったろうか。

欧米の各国政府、特に米国はウクライナの窮状を救うために一つの原則を定めた。ロシアを追い詰めれば、プーチンは核の使用をためらわず、それが第3次世界大戦につながりかねない。したがって、NATO軍がロシア軍と直接干戈(かんか)を交えることは絶対に避けねばならない。その代わりに、ウクライナに対し武器、弾薬その他の物資を大量に供与し、さらに、ロシアを経済面から攻撃することにした。

制裁は「情報とネットワーク」重視

2022年2月以降、欧米各国は、ロシアに対する経済制裁を矢継ぎ早に打ち出した。「国際的な決済ネットワーク・SWIFTからロシアを排除」「ハイテク製品のロシアへの輸出禁止」「原油や鉄鋼製品などの輸入禁止」「ロシアの資産+オリガルヒの資産凍結」などである。

制裁の中味について注目すべきは、特に米政府において「モノや製品」よりも「情報、データそしてデジタルネットワーク」が重視されたことだ。最近、「武器化した経済」といった言葉をよく耳にするが、そこにも「情報とネットワーク」重視の感覚がある。

有り体に言えば、米政府はクライナ戦争を「武器化した経済」の実験場としている。開発の最終目標は、米中間の覇権争いの舞台にハイスペックな衣装をまとった「武器化した経済」を登場させることである。6月11日、ブリュッセルの主要7カ国(G7)が取り決めた「ロシア凍結資産の活用策」は「武器化した経済」のニューモードを予感させる。(茨城キリスト教大学名誉教授)

パレスチナと青森 刺しゅう通じつくばから連帯

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(左から)こぎん刺しを担当する林さんと、パレスチナ刺しゅうをする松﨑さん

刺しゅうを通じてパレスチナに連帯しようと、市内在住でパレスチナ刺しゅうに取り組む松﨑直美さん(54)と、青森の伝統技法「こぎん刺し」を学んだ林ひとみさん(38)、青森県出身で市内の障害当事者団体「つくば自立生活センターほにゃら」の事務局長、斉藤新吾さん(49)が3月から、一つのバッグに2種類の刺しゅうで絵柄を縫い込むオリジナルのバッグを制作している。

斉藤さんが2人に声を掛けて始まった。「パレスチナにも変わらない営みがあることを、刺しゅうを通じて作品にできればと思った」と斉藤さん。出来上がった作品は、駐日パレスチナ常駐総代表部に寄付したいと話す。刺しゅうは毎回、つくば市天久保のブックカフェ「サッフォー」で行っている。

(左から)松﨑さん、企画のきっかけを作った斉藤さん、林さん

刺しゅうしながらできるコミュニティ

パレスチナ刺しゅうをする松﨑さんは、3月に市内で開催されたパレスチナ連帯企画「パレスチナデー」(2月27日付)をパレスチナにルーツを持つ知人と主催した。イベント内で開いたパレスチナ刺しゅうのワークショップで、来場した斉藤さんと知り合った。林さんは、斉藤さんが活動する団体でボランティアをしながら、市内の福祉事業所でこぎん刺しを学んでいた。斉藤さんが林さんと松﨑さんに声を掛けたのが今回の企画の始まりだった。

技術的には異なるパレスチナと青森の刺しゅうだが、背景につながる文化があると斉藤さんは話す。「女性を中心に刺しゅうをする人が集まり作業する。そこで家庭の愚痴などをこぼす中で、地域に暮らす人同士がもつ共通の課題が見えてくる。問題を共有することでコミュニティができる。刺しゅうにはそんな役目もある」。

さらに両者に通じるのが、刺しゅうに盛り込まれた人を思いやる気持ちだという。「パレスチナの刺しゅうは農作業着が傷まないよう補強する目的がある。こぎん刺しもそう。青森で農民は麻の着物しか着れなかった。青森はすごく寒いしすぐにボロボロになる。補強や防寒の意味で綿を麻に織り込んだ」。さらに豊作を願う草花や月など、作り手の思いが形になった絵柄が地域ごとの特色になっていると松﨑さんは言う。「絵柄に教科書はなく、祖父母から伝わったもの。だから地域による違いが現れた。パレスチナでは、柄によってその人の出身地がわかった」。

斉藤さんは、青森とパレスチナを刺しゅうで繋ごうとした意味を「共通点を感じると、遠い世界に思える土地にも互いに変わらない人の営みを実感できる。そんな思いを作品できればと思った」と話す。

こぎん刺しを担当する林さんは「パレスチナについて特別な知識のない自分が関わっていいか戸惑いもあった」と当初の思いを振り返る。しかし、刺しゅうしながら思いを伝えると互いの思いを理解し合えたという。「全く関係のない市民が巻き込まれてしまう戦争には私も反対。ただ自分はデモに参加できないし、声を上げることはできないと思っていた。刺しゅうという形なら、自分の気持ちを表せると思った」と話す。

連帯の意思をスイカに込める

今回の企画では、既製の麻製バックに二つの刺しゅう技法で大きく「PEACE(平和)」の文字とスイカの断面を描く。赤、黒、白、緑の4色からなるスイカは、同じ4色で成り立つパレスチナの旗を表するものとして、パレスチナへの連帯の象徴として掲げられてきた歴史がある。

「作業中はパレスチナのことだけを話しているわけじゃない。ただべちゃくちゃ近況をしゃべるだけの日もある。作業を通じてわかったのが、異なる背景を持つ人同士が刺しゅうを通じて出会い、つながりが生まれること。パレスチナでも、青森の農家でも、こうした営みがあったはず。戦争のない世界の本来の姿だと思った。作品が完成するまでに停戦が実現してほしいと思っている」と話すと斉藤さんは、「作業はまだ続きます。ここでも新しいコミュニティが生まれたら」と語った。

◆次回の刺しゅうは7月14日(日)午後3時半から、つくば市天久保のブックカフェ「サッフォー」で。参加費無料。問い合わせは斉藤さんのフェイスブックページへ。

つくば市総合運動公園問題 市民軽視の連鎖《吾妻カガミ》186

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】つくば市の総合運動公園用地問題に新たな展開がありました。市がUR都市機構から購入した広大な用地(46ヘクタール)を民間倉庫会社に売却したことに反対する市民グループの住民訴訟について、一連の裁判が終了したからです。

軽く扱われた市議会の議員

この訴訟は、市が実質所有する土地を議会の議決を経ずに処分するのは地方自治法と市の条例に反するから返却してもらえ、というものでした。これに対し市は、土地は市のものではなく土地開発公社(市の土地取得ペーパーカンパニー)のものだから議決は必要ないと、売却手法を正当化する理屈を展開しました。

この土地は前市長時代に66億円で購入したものです。議会はその資金手当てのために、公社が銀行から借りた購入費の返済を市に保証させる議決をし、市の一般会計から公社に返済資金を回してやる議案を何度も議決しました。このプロセスを見れば、売るときには議会の議決が要らないというのは変な理屈です。市民から選ばれた市議さんは軽く扱われたものです。

市民グループは、市の財産である土地を議会の了解を得ず勝手に処分するのは違法だと、住民訴訟を起こしました(2022年5月20日)。しかし、水戸地裁はこの訴えを却下(23年6月)⇒東京高裁は控訴を棄却(24年1月)⇒最高裁も上告を棄却(24年6月)、有志市民の説得力ある申し立ては退けられました。

最高裁が上告を受理しなかったことについて、市民側は「公社が抱える民主的コントロールの不全という問題に対して、目をつぶる決定を行った」(坂本博之弁護士)、「上告は決着したが、用地問題は決着していない。今後は政治の場で決着を目指す」(原告の酒井泉代表)とコメントしています。

司法は市側の理屈を容認したわけですが、法律的に問題ない=行政として正しい、とは言えません。たとえ議決が必要なくても、議会の議決を得るのが行政の正しい作法でしょう。市民グループの行動は市の無作法を可視化してくれました。

無視された市民のパブコメ

市はどうして議決回避(抜け道)に走ったのでしょうか? 市民の売却反対の声を汲(く)んだ議員の多くが土地売却に反対すると読んだのでしょう。ちなみに、当時の運動公園用地処分をめぐる市民の声は以下のようなものでした。

市はこの用地を民間に売り払う前、市民の意見を聞き取るパブリックコメントを実施しています。その意見分布は、意見を寄せた77人のうち売却賛成は2人だけで、残り75人は反対/対案提示/分類不可でした。賛成か否かに括(くく)れば、賛成した市民はたった3%だったということです。

パブコメで市民から示された対案は、陸上競技場、公園・緑地、キャンプ場、道の駅、カフェ・レストラン、テーマパーク、商業施設、学校、再エネルギー施設、研究所、防災施設などでした。用地の広さを考えると、これらを組み合わせて整備することも十分可能でした。ところが市は、倉庫業者に全用地を売り払い、市民の建設的な提案を無視しました。

コントロールされた有権者

運動公園用地問題の起こりは五十嵐市長の選挙公約です。最初の選挙で市長は運動公園用地返還を目玉公約に掲げましたが、用地売買契約書の中にURは土地の買い戻しを拒否できるとの条項があることが分かり、市長就任早々の返還交渉は失敗に終わりました。

現市長は前市長時代に結ばれた契約内容をよく調べず、1期目の目玉公約をセットしたわけです。この公約の実現可能性はほぼゼロですから、いわばフェイク(虚偽)公約でした。それを信じた有権者は自分の投票行動をコントロールされたことになります。地域の民主政治にとっては深刻な話です。

有権者操作⇒市民意見無視⇒市議会軽視。裁判が終わった時点で運動公園用地問題を整理してみて、つくば市政における市民軽視の連鎖が確認できました。五十嵐市長は失政の痕跡(運動公園用地の存在)をあの手この手で消し去りたかったようです。(経済ジャーナリスト)

<参考>運動公園問題の過去コラム:青字部をクリックしてください。

・152「まだまだ終わらない…」(23年3月6日掲載

・145「…おかしな行政手順」(22年11月21日掲載

・137「つくば市長の宿痾…」(22年7月18日掲載

・135「…つくば市政の不思議」(22年6月20日掲載

・129「…『逃げ』のつくば市長」(22年3月21日掲載

・125「…つくば市の牽強付会」(22年1月31日掲載

・122「…つくば市政の重荷」(21年12月20日掲載

下肢まひ障害者の自立歩行探る つくばで生活支援ロボットコンテスト

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歩行器仕様のロボットを操作して課題「トイレ」に取り組むチームWPAL=つくば市中菅間

障害があり車いすで生活している人たちの「自立歩行」を実現する機器の開発・普及を目的に、生活支援ロボットコンテストが29、30日の両日、つくば市の廃校跡の特設会場で開かれた。グローバル・イノベーション・チャレンジ(GIC)実行委員会(東京都港区、上村龍文実行委員長)による、同市では2回目の開催で、国内外から2チームが参加して、「食事」や「トイレ」「洗濯」など5課題に挑んだ。

会場となるGICつくばイノベーションセンターは、旧菅間小(同市中菅間)体育館に設置された平屋建ての仮設住宅。キッチンとリビングルーム、たたみ敷のベッドルームに水回りなどの間取りで構成され、壁がガラス張りで透視できる形になっている。

今回は藤田医科大学(愛知県豊明市)を中心にしたチームWPAL(ウーパル)、台湾に拠点を置く企業の子会社の日・台の2拠点からの参加となるチーム FREE Bionics(フリーバイオニクス)が参加。それぞれ股継手やロボット支柱、モーターを両下肢内側に配置し、高い立位安定性を実現(WPAL)、股関節と膝関節にモーターがあり、立つ、座る、歩くことを可能にした(FREE Walk)ロボットを持ち込んだ。

チーム FREEのロボットを前に江郁軒さん(左)とパイロットの松原浩平さん

課題「トイレ」は、ベッドから起き上がり、ロボットを装着。トイレに移動し、ズボンを足首まで下ろして便座に座り、用をたした後、便座から立ち上がり、ズボンを上げ、水を流す。洗面所に移動して手を洗い、タオルで手を拭きベッドに戻るまでを制限時間8分でこなす内容だ。

下肢まひの障害を持つ当事者がパイロット役を務め、車いすからロボット装着に乗り換える形で住居内を移動する。住宅の天井から装身具が吊るされ、パイロットの転倒事故を防ぐ配慮が講じられるが、各チームの人力による補助は得られない。両チームとも事前に、同センターで練習を重ねながら、日常の生活動作をこなす一連の課題に取り組み、コンテストに臨んだ。

同コンテストは2021年からリモート競技により始まり、昨年から同会場での「リアル開催」になった。課題ごとに達成賞金が贈られ、7つの課題をすべてクリアした場合の賞金総額は100万ドル(約1億6000万円)、「トイレ」課題1つの達成でも5万ドル(約800万円)が授与される。今回は難易度の高い「掃除」(掃除機で住宅内を掃除しごみ袋を外に出す)、「入浴」(入浴して着替える)の2課題への挑戦は見送られたが、5課題に2チーム合わせ9回のチャレンジが行われた。

昨年は1課題のクリアにとどまったが、今回は各課題で制限時間内に作業を完了させるチームが続いた。ロボットとリハビリテーションの専門家による現地審査が行われ、オンライン審査と合わせた結果から課題クリアの認定が行われる。上村実行委員長によれば「審査には1週間程度かかるが昨年を上回る成績が出そうだ」との見通し。

特設会場の仮設住宅間に集合したコンテスト参加=つくば市菅間

FREE Bionicsチームリーダーの江郁軒(コウユウケン)さんは「時間制限がきつくパイロットに頑張ってもらうことになった。機能を付け足しながら安全性にも取り組んできたがまだ改良すべき点がある。機会を与えてもらえれば来年もチャレンジしたい」という。

上村実行委員長は「7課題については10年ぐらいかけてクリアできればと考えている。次のステップでは街に出たいと考えており、最後には自立歩行で筑波山に登りたい」構想でいる。(相澤冬樹)

夏に向けチーム状態上向き アストロプラネッツ、福島に勝利

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1回裏1死三塁、原が先制の適時二塁打を放つ(撮影/高橋浩一)

プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツは29日、つくば市流星台のさくら運動公園野球場で福島レッドホープスと対戦、4-1で勝利した。茨城の通算成績は10勝19敗で7チーム中5位。6月はここまで3勝3敗で中止が3試合だった。30日は古河市駒ケ崎のヨシダスタジアムで福島と再戦する。

【ルートインBCリーグ2024公式戦】
茨城アストロプラネッツ-福島レッドホープス
福島 010000000 1
茨城 20010010X 4
(6月29日、さくら運動公園野球場)

茨城は先発の福田拓也が6イニングを好投。2回に単打と二塁打で1点を失い、3回に1四球を与えた以外は、すべて三者凡退で退けた。「真っ直ぐのキレが良く、変化球ではフォークをコーナーに投げ分けられた」と本人の評。ポップ成分が多く伸びがあるストレートが武器で、ボールの下を叩かせて多くの打者をフライアウトに打ち取った。「相手打線は中軸に良い打者を揃えているので、甘い球を投げないことを意識し、腕を振って強い球を投げた」とも話した。

先発し6イニングを2安打1失点、4奪三振で勝利投手となった福田(同)

打線は初回に2点を先制。まず1死一塁から牽制悪送球で走者の北原翔が三塁へ進み、3番の原海聖が左翼線へ二塁打を放ち1点目。「相手投手はカーブにキレがあったが、直球に自信を持っている様子だったのでそれを待ち、高めの球を外野へ運ぶことを意識した。ちょっと詰まったかと思ったが、振り抜いて強いライナーを打つことができた」と原の振り返り。

これで相手投手はリズムを崩したか、3者連続四死球となり押し出しの1点を加えた。

4回には先頭の8番マーティンが四球を選び、9番ジョ・ミンヨンが中越えの二塁打。これを中堅手がファンブルする間にマーティンが本塁へ還り、ジョは三塁へ到達した。「2ストライクまではバントを狙っていたが、最後にストレートが来て良い打球が打てた。自分は打球の飛距離と打球速度が売り。最近はタイミングが合ってきているので、このままあせらずやっていけば、ずっと良い打球が打てると思う」と活躍をもくろむ。

7回裏1死三塁、大友の犠牲フライで1点を追加(同)

7回には代打の眞城敬朋が右翼線へ二塁打、原の内野ゴロで1死三塁となり、4番・大友宗が右翼への犠牲フライで1点を追加した。「打ったのはカーブ。芯に当たらず詰まったが外野まで飛んでくれた」と大友。帝京大学から日本通運を経て今季茨城へ。ホームランは現在8本でリーグ首位へあと1本と迫る。「開幕直後に肉離れで3週間休んだが、徐々に調子を戻してきた。打席で自分のスイングができれば、パワーはあるので飛ばすことができる。引っ張りすぎないようセンターを意識し、右方向へのホームランも増やしていきたい」との考えだ。

リリーフ陣は富樫晃毅、浅野森羅、根岸涼が1イニングずつ務め、根岸にセーブポイントが付いた。「試合間隔が空いて3人とも万全の状態で、危なげなく力を発揮してくれた。いい雰囲気が続いているのでそれを崩さないよう、勝つための投手リレーをした」と巽真吾監督。

8回のマウンドに立ち、3者凡退に抑えた浅野(同)

上向きのチーム状態に加え、開幕前からのトレーニングが実を結び、暑さに強いチームづくりができている。このまま夏バテせずに伸びていけば、7・8月でさらに勝ち星を重ねられると巽監督は見ている。「そのためには若い選手たちの突き上げも必要。長いシーズンに慣れていないと、その日の結果で一喜一憂してしまいがちだが、明日にはまた次のチャンスが来る。試合に出てたくさんバットを振り、時には辛抱して塁に出るのも仕事の一つ。そして甘い球が来たときには1球で仕留めてほしい」と期待をかける。(池田充雄)

あの痛みは突然やってくる…尿路結石症《メディカル知恵袋》5

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イタタタタ…(イラストは筑波メディカルセンター提供)

【コラム・小峯学】尿路結石症、中でも尿管結石症は七転八倒して嘔吐(おうと)・発汗などの自律神経症状も伴い、救急車で来院される方も珍しくありません。「あんな思いはもうしたくない」「死ぬかと思った」と多くの方がおっしゃいます。今回は上部尿路結石症(腎および尿管)の診断と治療、原因と予防法について説明します。

尿路結石症の症状と診断

腎結石・尿管結石の症状としては、突然に片側のわき腹や背中が痛くなることが多く、時に血尿を伴います。このときの激痛は『疝痛発作(せんつうほっさ)』と呼ばれ、嘔吐・発汗などを伴い、胃腸の病気と間違われることもあります。結石が膀胱(ぼうこう)近くまで、あるいは膀胱内に移動すると、トイレが近いあるいは残尿感といった膀胱炎症状が出現することもあります。

一方、無症状で、他の疾患の検査や人間ドックなどで偶然発見されることもあります。症状がない場合でも、結石が尿の流れを止めてしまって、腎臓が腫れる『水腎症』とよばれる状態になると、腎臓機能低下を引き起こすため治療が必要となります。

医療機関での検査は、主に尿検査や超音波検査・レントゲン検査が行われます。CTスキャンが必要になることもあります。

上部尿路結石症の治療

結石が薬物治療によって溶解することは特殊な場合に限られ、非現実的です。おおむね8ミリ程度までは尿と一緒に自然に体外に排出されることが期待できるため、水分摂取を心掛け、痛みを伴う場合には鎮痛剤を服用することになります。自然排石しない場合や10ミリ超の結石の場合には手術的治療が推奨されます。

38度以上の発熱を伴う場合には、重篤な細菌感染症(閉塞性腎盂じんう腎炎→敗血症)を併発している危険性があり、この場合には緊急処置や集中治療が必要になります。手術的治療としては、開腹手術・腹腔(ふくくう)鏡下手術はほとんど適応とならず、以下にご紹介するESWL・TUL・PNL(併用含む)が診療ガイドライン上、推奨されています。

ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

体外から衝撃波を結石に当て結石を破砕する治療です。鎮痛剤投与による治療が可能で1~2日の短期入院治療で行えるメリットがあります。1センチ程度の腎および上部尿管の結石が適応となりますが、2~3回の治療を要することもあります。当院にはESWL機器はなく、ご希望される方には対応可能な施設へご紹介しております。

TUL(経尿道的腎尿管砕石術)

細径の内視鏡を尿管内に入れ、結石に直接ホルミウムレーザーなどを当て細かく砕石、可能な限り砕石片も回収する治療です。麻酔および数日の入院が必要となりますが、確実性の高い治療となります。治療後には尿管ステントという細いカテーテルを留置して、1~2週後に外来で抜去となります。治療機器および高度の技術が必要で、数年前までは他の施設へ紹介しておりましたが、現在では当院でもTULが可能となり、多くの施設よりご紹介いただいております。

画像提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン

PNL(経皮的腎砕石術)

背中から腎臓に内視鏡のルートを作成して、直接腎臓の結石を砕石して回収する方法です。他の治療法では時間および期間を要する大きな結石も短時間で治療可能ですが、出血などのリスクがあります。腎臓へ直達できる特殊な内視鏡機器が必要であり、整備され次第、速やかに導入したいと考えております(時期は未定)。

上部尿路結石症の疫学と予防

誰しも結石の痛みは経験したくないものですが、上部尿路結石症の患者さんは急増しています。いわゆる生活習慣病の増加と比例しています。肥満の方に多い傾向であることもわかっています。40年前の3倍となっており、男性は7人に1人、女性は15人に1人の割合で、生涯に一度は尿路結石症に罹患するといわれています。

また、再発率の高い疾患でもあります。尿のミネラル濃度が濃くなると結石ができやすくなるので、水分摂取を心掛けて十分な尿量を確保するとよいでしょう。しかし、ビールなどのアルコール類、糖分入りのソフトドリンクは結石のもとになる成分が多めに含まれており、逆効果になってしまいます。

最も多い尿路結石はシュウ酸カルシウム結石であり、尿中のシュウ酸排せつを少なくすることが結石予防において重要です。シュウ酸はカルシウムと結合しやすいため、不足しがちなカルシウムを意識して摂取し、腸管からのシュウ酸吸収を抑制すること、また脂肪摂取を少なくすることもシュウ酸吸収の抑制につながり、結石の予防となります。

次に多い結石が尿酸結石であり、尿酸値が高い「痛風(高尿酸血症)」の方にできやすい結石です。プリン体を多く含む食品を過剰に摂取すると尿酸値が高くなり、尿中の尿酸濃度も濃くなるため結石ができやすくなります。これらの食品摂取を控えることが高尿酸血症の予防、ひいては尿酸結石の予防につながりますので心がけてみてください。(筑波メディカルセンター病院 泌尿器科 診療科長)

茨城県南に競馬場があれば…《遊民通信》91

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【コラム・田口哲郎】

前略

美浦トレーニングセンターは日本中央競馬会(JRA)の施設です。日本に2つしかないトレセンが茨城県の美浦村にあります。もうひとつは滋賀県の栗東です。

ウィキペディアには、トレセンとは「競馬において、競走馬の管理・調教を行うために各競馬施行体が建設した施設群のこと」とあります。要するに、競馬を開催するために必要な競走馬の育成、騎手の養成という大事なことを行っている、競馬に欠かせない施設ということになります。

美浦の馬は主に東側で開催される競馬―東京、中山、新潟、福島、函館、札幌―に競走馬と騎手を送り出しています。もちろん中京、京都や阪神、小倉でも関東馬が活躍することはあります。

そんな主要な施設が茨城県南にあるのは素晴らしいことですね。広大な平坦な土地があることがメリットでしょうか(平坦ばかりでは馬の調教には良くなかったようで、調教師さんたちは苦労されたようですが)。昔は成田にも皇室の御料牧場があって、軍馬を育成していたようですが、それは関東が古来馬の産地だったからだそうです。

新たな競馬場に最適な県南

さて、私はたまに東京競馬場や中山競馬場に行って、レースを鑑賞するのが好きです。少額掛けて、勝負を楽しむドキドキ感が非日常を与えてくれます。いまは競馬場にも、女性、子どもも増えて、男性だけの娯楽ではなくなりつつあります。競馬場に来ている人びとを見ていると、みんな楽しそうです。

賭け事ですから真剣ですが、みんな楽しんでいるのがよくわかります。馬群の重低音の足音、ゴール前、歓声の中を駆け抜けるジョッキーのかっこよさ。なんといっても頑張って走るサラブレッドたちの勇姿と愛らしさ。競馬場はとてもきれいで明るい娯楽施設になっていると思います。

東京や中山から帰ってくるたびに思うのは、茨城県南にも競馬場があればよいのに、ということです。美浦のトレセンも近くにあることだし、競馬場へ輸送される際の負担も減らせるでしょう。どこかの競馬場の代わりに、というのではありません。もうひとつ新しく競馬場を建てるのです。サラブレットが余っているとも聞きます。レースの機会が増えれば、今後の競馬の発展にもつながると思います。

たとえば、阿見の二所ノ関部屋の後ろには広大な田畑が広がっています。ひたち野うしく駅にも近いです。

田園のなかの競馬場。昔は府中の東京競馬場も中山競馬場もこうした風景のなかにあったのだと思います。治安の問題など解決しなければならないこともありますし、環境破壊の問題もあるでしょう。しかし、自然との共生を目指す娯楽は新たな可能性を街に与えてくれる気がします。緑豊かな街のなかの競馬場…都会の競馬場に行くたびに夢見てしまいます。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

パリ五輪へ 筑波大、選手や競技役員ら多数輩出

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表敬訪問した大岩監督=つくば市役所

大岩剛監督「決勝進出めざす」

7月26日から8月11日まで開催されるパリオリンピック2024に向け、選手ばかりでなく競技役員を含め多数を輩出する筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)の陣容が整ってきた。27日には、筑波大出身で男子サッカー23歳以下日本代表を指揮する大岩剛監督(51)がつくば市を表敬訪問し、五十嵐立青市長らの激励を受けた。

表敬訪問は、大岩監督がスポーツアドバイザーを務める関彰商事の仲立ちで実現した。在学中の恩師である同市の萩原武久スポーツ担当理事らが同席した。

大岩監督は「パリが会場となる決勝に進むこと。金か銀かいずれかのメダルが確定し、メキシコ五輪の銅以上の成績となる」ことを目標に掲げた。萩原理事は「五輪出場を決めたアジアカップの戦いは感動的だった。ある意味、五輪はワールドカップよりも注目度が高いイベントで、子供たちに夢を与える舞台にしてほしい」と激励した。

右から2人目が表敬訪問した大岩監督=同

大岩監督は筑波大に1991年から94年に在籍し、卒業後Jリーグの名古屋や鹿島で活躍、日本代表にも選出された。2017年から鹿島の監督を務め18年にはアジアチャンピオンズリーグを制覇。22年に21歳以下の日本代表監督となり、今年のU23アジアカップで優勝してパリの切符をつかんだ。「いい準備ができている」という。

23歳以下日本代表は7月11日にフランスに旅立ち、マルセイユで事前キャンプの後、24日の初戦でパラグアイ、27日の第2戦でマリ、30日の第3戦でイスラエルと対戦する。24歳以上の特別枠オーバーエージ(OA)の有無などで注目される18人のメンバーは3日に発表の予定だ。

7月4日に壮行会

森秋彩選手の紹介をする高木英樹体育スポーツ局長=筑波大学

筑波大学は7月4日午後、大学会館に出場内定選手らを集め壮行会を開催する。今回の五輪選手団では団長、副団長を同大学出身者が務めるという陣容で、過去133個ものメダルを獲得した同大学の五輪への新たな挑戦が始まる。

これまでに内定した選手(敬称略)は、永瀬貴規(柔道、体育専門学群卒業)、柄本遼香(飛込、人間総合科学学術院人間総合科学研究群在籍)、森秋彩(クライミング、体育専門学群在籍)らで、有力なメダル候補を含む。内定者数は「7月上旬にかけさらに続々増えるだろう」と高木英樹体育スポーツ局長。

日本選手団は海外で行われる五輪では史上最多となる400人余りとなる見通し。選手団長を務める尾縣貢さんは陸上競技者で筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。同大体育専門学群卒、同大学院修了、東京五輪2020では日本選手団の総監督を務めた。今回の選手団副団長は2004年アテネ五輪、08年北京五輪で金メダルの谷本歩実氏(柔道、体育専門学群卒業)が務める。

日本選手団団長を務める尾縣貢氏=筑波大学東京キャンパス

4日の壮行会には、これら内定選手に加え、パラリンピック競技の藤原大輔(パラバドミントン、体育専門学群卒業)、高橋利恵子(ゴールボール、人間総合科学学術院障害者科学学位プログラム修了)が出席する。同日午後3時からはフランス外務省と連携して、社会におけるスポーツの意味と可能性をテーマにした日仏討論会も予定されている。(相澤冬樹)

➡子供たちに向けた大岩監督のメッセージ