水曜日, 12月 4, 2024
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金色姫がつなぐ日印の糸 著者迎え、つくばで交流の朗読会

【相澤冬樹】つくば市神郡の蚕影(こかげ)神社に伝わる伝説に材をとった土浦市在住の作家、佐賀純一さんの著作「金色姫と蚕の物語」の朗読会が6日、つくば市吉瀬のつくば文化郷で開かれた。日印女子フォーラム、茨城県郷土文化振興財団などが実行委員会をつくっての開催。会場には佐賀さん自身が駆けつけ、金色姫伝説の背景にあった日本とインドの近しさを語るなどした。

金色姫伝説は日本に養蚕が伝わった起源をたどる物語。天竺(インド)で受難にあった金色姫は、海に逃れて常陸国筑波の豊浦に漂着、権太夫という漁師に助けられる。やがて亡くなると、自らの骸(むくろ)をもって桑の葉を食うカイコとなり、糸をつむいで絹をつくるまでを権太夫夫妻に伝授する。姫への感謝から建てられたのが蚕影神社だ。

佐賀さんはこれを翻案し小説化、『筑波山愛ものがたり』(2006年、常陽新聞新社刊)に収めた。日印女子フォーラムの大場多美子代表の朗読で、筑波山はじめ、県内に3カ所残る養蚕にまつわる神社やインドで撮られた写真のスライドショーともども上演された。

朗読会の最後にあいさつする佐賀純一さん=同

ガンディー生誕150周年のSDGs事業

朗読後、大場代表はこの企画がインド独立の父、マハトマ・ガンディー(1869 – 1948年)の生誕150周年にちなむことを強調した。インドでは今日、カシミヤやシルク、ガディなどの織物が各地でさかんに作られているが、英国の植民地時代、圧政で取り上げられた糸車を探しだし、技術を伝えたガンディーの偉業抜きに考えられないそうだ。

これを受け継ぐ形で同フォーラムは、生活困窮者や女性の自立のためにハンドメイドの生地づくり事業を支援している。「糸をつむぎ織り上げることを通じて、SDGs(持続可能な開発目標)達成をめざしている」といい、金色姫を縁につくばでの展開も考えている。同事業で日印をつなぐ活動をしているIRAKOI(イラコイ)社代表のシウリ・ロイさんが、現地で織られたさまざまな素材を持ち込んで紹介した。

催事の締めくくりで佐賀さんは「日本とインドの間には今、すごい距離感があるが、空海の時代までさかのぼると、インドはもっと身近で、当時の仏教にも濃密な影響を残していた。か細い糸をたぐって、本当は近くにあるインドを見つけ出したい」と語った。

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国立環境研究所(つくば市小野川、木本昌秀理事長)に、初の研究所発ベンチャーが誕生した。株式会社組織の「野生動物医科学ラボラトリー」(大沼学社長)で、鳥インフルエンザウイルスの病原性検出をはじめ、野生動物の各種疾病に関する検査や研究、技術開発を専門とする。先月末、法人登記を完了し、新年1月6日から事業を開始する。同社は、国環研の生物多様性資源保全研究推進室長が社長となり、資本金100万円で立ち上がった。国環研で開発された鳥インフルエンザウイルスの迅速な検出と病原性判定技術を活用し、感染拡大の早期警戒や防疫対策に貢献するとしている。野鳥などからの高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染は近年、世界規模で拡大しており、哺乳動物への感染事例も見られるようになった。感染症は養鶏産業への経済的な被害をもたらすばかりではなく、生物多様性へも影響を与えかねない脅威となっていることから、環境省では発生を把握するために、野鳥における高病原性鳥インフルエンザの監視活動を恒常的に行ってきた。鳥インフルエンザを疑われる野鳥の死骸から採取された検体はこれまで、自治体などを通じ国環研に持ち込まれ、病原性の判定を行っていた。検体を卵に接種してウイルスを増やした上で判定するため、従来は最終的に10~14日間かかっていたという。この作業が迅速化できれば、地域の感染拡大の早期警戒や効果的な防疫対策の立案につながることから、大沼室長らが技術開発に取り組んだ。その結果、卵で増やす過程をなくす2つの判定法を確立した。1つは遺伝子配列の情報から病原性を判定する方法で、3日間で鳥インフルエンザに特徴的な遺伝子配列まで確認できる。もう1つは蛍光色素によって病原性を判定する技術で、1日で陽性か陰性かを判定できる。蛍光色素による判定だと遺伝子データまでは取れないが、これまでの試験で100%の判定精度を得ている。「普通の実験室レベルで判定できることから海外の技術支援などにも使える」と大沼室長はいう。迅速なウイルスの検出と病原性判定についての技術開発は、ほぼ研究の余地がなくなったことから、社会実装を目指しての企業化を図った。これまでも今後も農水省の所管となる養鶏場での防除には関与しないが、動物病院経由でペットなどの病原性の判定には応えていきたいとしている。国環研では先にベンチャー支援規程を制定しており、第1号として同社を認定した。研究所内に事務室・研究室を確保し、判定機材の貸与などで企業活動を支援する。支援期間は5年とし、半年ごとに事業が適正に進められているかモニタリングを行っていくとしている。同社によれば、来年1月から3月にかけては助走期間で、検査スタッフとして当初1人を雇用する。4月以降の初年度については200件ほどの利用を見込んでいる。利用料金は、遺伝子データ提供を含む判定で1検体当たり3万3000円(税込み)になる想定だ。(相澤冬樹)

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物事の要因は一つじゃないよ《続・気軽にSOS》156

【コラム・浅井和幸】私が代表をしているNPO法人があります。不登校・ひきこもり・ニート問題の解決を目的に活動をしている法人です。そこには、様々な立場の様々な悩みが持ち込まれます。 そこに、ある不登校の中学生の子どもの親からの相談がありました。小学校の時からの不登校で、暴力も少し出始めて、壁にも穴が開いているとのことでした。全てはこの子のせいで家族関係も悪くなり、仕事もうまくいかないとのことでした。全ての原因はこの子にあると。 因果応報という言葉があります。原因があるから結果があるということです。一つの結果はたった一つの原因からなっていると捉えすぎているなと、私は常日ごろ感じています。自分以外の何か一つの悪いところを責めてしまう気持ちも分からなくはないのですが、実際問題として、生活の中で起こる現象はたくさんの要因が絡まって起こってきます。 会社を辞めれば楽になれる。日本だから駄目なんだ。茨城だから駄目なんだ。フィンランドは幸せな国だから、そこに生まれたら自分は幸せだったのに。親が自分を生まなければよかったんだ。結婚さえできれば幸せになれる。金さえあれば何でもできる。 これらは、余裕がないとき、多くの方が感じたり口にしたりすることでしょう。きっかけさえあればという考えも、一つのよい原因があれば全てはよくなるという思い込みからくるものだと思います。ビックバンさえなければ、地球さえなければ、悩みなんてないのにと考えてもしょうがないですよね。 必要条件と十分条件 物事には必要十分条件というものがあります。例えば、ポークカレーは、豚肉・カレールー・水・調理器具・調理でできると仮に定義します。この5つの材料がそろったときにポークカレーが存在するので、どれか一つが抜けてもポークカレーは出来ません(玉ねぎやニンジンなどがあった方がおいしいというのは別の話です)。 豚肉があればポークカレーだとか、水があればポークカレーだとかと話すと、違和感がありますよね。それぞれの物や動きは必要条件ですが、十分条件にはならないのです。十分条件は、ポークカレーならば調理されているとか、ポークカレーならば豚肉が入っている(溶けているもあり?)です。 今現在起こっていることは、どのような材料で出来上がっているのか、大きな影響力がある要因は何かということを捉えることは大切なことです。ですが、もう一つの考え方として、今ある結果が次の材料の一つになるんだという考え方も持てるとよいですね。 あまりおいしく出来なかった肉じゃがの残り物にカレールーを足すと、おいしいポークカレーができるかもしれませんよ。砂糖を入れ過ぎたとか、じゃがいもに味がしみ込んでいないとか、過去の悪い要因を探し出すだけでなく、今あるものに新しい要素を加えることでおいしくなるかもしれません。 また、待つだけでも、じゃがいもに味がしみ込むという改善策があるかもしれませんね。ときには、あえて何もせずに待つことが良策であることもあります。(精神保健福祉士)

関彰商事とハノイ工科大 スポンサー契約更新し寄付金贈呈

高度外国人材 日本企業での活躍を期待 関彰商事(本社 筑西市・つくば市、関正樹社長)つくば本社で2日、同社が包括連携協定を結ぶベトナム・ハノイ工科大学とのスポンサー契約更新の調印式と、同大が学内に新設する、日本とベトナムの文化交流施設「越日スペース」建設に向けた寄付金の贈呈式が催された。同大からはフィン・クェット・タン学長ら関係者3人が出席し、タン学長は「多くの学生が日本企業で活躍できることを期待している」と述べた。 関彰商事は2016年にハノイ市に事務所を開設し、日系企業への就職を目指すベトナム人と企業を結ぶ「セキショウ ジョブ フェア」をグループの人材派遣会社セキショウキャリアプラスが毎年開催するなど、日本国内企業やベトナムに展開する日系企業に向けたベトナム人の高度外国人材紹介をしてきた。その他にシステム開発、ベトナム進出を検討する日本企業に向けたコンサルティングサービスなどを事業展開している。ハノイ工科大とは、同大への支援を目的としてスポンサー契約を2018年に締結し、同大内でジョブフェアを開催するなど関係を深めてきた。 ハノイ工科大学は、1956年に設立されたベトナム初の技術系総合国立大学で、同国の工学部系大学で最難関とされている。学生数は4万人以上を数える。1学年600人余りが日本語を学び、11月2日と3日に同大で開催されたジョブフェアには2000人以上が参加するなど、日本への関心が高いとタン学長は話す。 「越日スペース」は、より多くの学生が日本に関心を持てるようにと、同大が設立70周年を迎える2026年の開設へ向けて建設が進められる。2階建ての建物で、日本語学習や関連セミナー、文化交流などのイベントが開催される予定だ。 タン学長は「関彰商事とはジョブフェアを始め学生の募集、採用だけでなく、同社が得意とするスポーツアナリスティックやAI分析などの分野で共同研究、開発に取り組むことができれば」と展望を話すと、同社の関社長は「これまでは外国人を採用することで社内に盛り上がりを生む時代だったが、これからは一緒に研究していく時代」だとし、「(日本では)就職希望が東京に集中している。地方に外国の優秀な方に就職してもらいたいという動きは相当活発になる。ハノイ工科大と関彰の関係がさらに深まることを心から期待している」と思いを述べた。(柴田大輔)