木曜日, 3月 30, 2023
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コメ、今世紀末80%に減収 農研機構が最新モデルで予測

地球規模の気候変動の中で、わが国の基幹作物である水稲(コメ)生産はどうなるかー。農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市観音台)が最新のモデルで予測に取り組んだところ、温暖化でコメの収量は従来予測よりも多くの地域で低下する一方、高い二酸化炭素(CO₂)環境が白未熟米の発生を助長させ、品質面の影響も深刻になるという「未来予想図」を提示した。 農研機構の農業環境研究部門による成果として19日、オンライン発表された。屋外での栽培実験の結果に基づいて、高温と高CO₂の複合的な影響を考慮した水稲の生育収量予測モデルを構築し、気候変動による国内の水稲への影響を予測した。従来は、高温で収量減、高いCO₂環境は増収と見積もられ、そのバランスから将来予測モデルが組み立てられてきた。 CO₂濃度を現在よりも高めに制御した屋外栽培実験「開放系大気CO₂増加実験」を2016年まで、岩手県と茨城県つくばみらい市のほ場で実施した。すると、CO₂濃度の上昇により光合成が活発になる「増収効果」が栽培地の気温が高いほど小さくなること、高CO₂では外観品質が低下するなど新たな知見が得られた。 その上で、従来は別個に考慮していた「高温」と「高CO₂」の影響を複合的に考慮する最新の水稲生育収量予測モデルを構築し、これを使って気候変動による国内の水稲の収量および外観品質への影響を予測した。 温暖化傾向が「中庸」とされる気象予測モデル(RCP8.5)を用いてシミュレーションを行うと、20世紀半ばには西日本を中心に減収地域が出現。従来の予測モデルでは今世紀中頃までは増収傾向とされていたのが、早くに下方修正に転じ、今世紀末には約80%に減収すると予測された。 従来の予測モデル(左)と最新の予測モデルによる水稲の相対収量算定値の分布の比較(農研機構提供)

過去40年で台風は大幅に遅くなっていた 災害増加懸念も 気象研

茨城県を9月に通過する台風の速度を、過去40年間で比較すると、大幅に遅くなっていることが分かった。気象研究所(つくば市長峰)の山口宗彦主任研究官が、18日開催された日本気象学会2021年度春季大会で発表した。 地球温暖化が台風に与える影響に関する研究は、これまで主に強さや発生数、経路に着目していた。今回の研究は台風の移動速度に着目しただけでなく、その速度変化に温暖化がどれくらい影響しているかを解析することで将来予測につなげた。 研究を行った山口主任研究官=気象研究所の大型計算機室 温暖化で時速61キロから39キロに 気象庁の台風の観測データから9月に発生した台風を対象に、過去40年について、前半20年(1980ー99年)と後半20年(2000ー19年)に分けて移動速度を比較した。茨城県では前半が時速61.2キロだったのに対して後半は時速38.9キロと、約36%遅くなっていた。大阪では33%、沖縄では26%遅くなっていた。秋の到来をもたらす偏西風の南下が遅れることで、台風を移動させる風が弱まっていたことが要因の一つと考えられた。

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音楽家たちに発表の場を つくばのカフェで演奏会

カフェやレストランなどを使って音楽家が発表する場をつくりたいと、つくば市内で飲食店を経営する飯泉智弥さん(49)が音頭をとり、同市竹園の商業施設、ヨークベニマルタウン内のエヌズ カフェ(N's Café)で20日、家族連れや関係者を招いたミニコンサートが開かれた。 飯泉さんは2017年に、小学1年生から大学生までの「筑波ジュニアオーケストラ」の立ち上げに尽力した(2017年10月27日)。21年にはつくば駅前の商業施設トナリエつくばスクエア・クレオに地元の音楽愛好家たちのためストリートピアノ「つくぴあ」を設置した。 その後、ストリートピアノの利用者たちの間から、定期的な音楽会をやってみようという声が上がったという。 飯泉さんは、どんな形で開催できるか、まずは試しにやってみようと、自らがオーナーとなっているカフェをプレ・イベントの開催会場とした。 店内のどの場所で演奏するか探りながら、当日はカフェの中央にステージを作った。来店客は、テーブルに座って食事をしながら音楽を聞く形になった。

3回目の桜《短いおはなし》13

【ノベル・伊東葎花】 早春の公園。青空に映える満開の桜。 私は公園のベンチに座って、砂遊びをする息子を見ていた。 「見事に咲きましたなあ」 隣に座る老人が話しかけてきた。 老人は、息子を見ながら言った。

数センチの隆起や沈下を面で可視化 「地殻変動の地図」公開

国土地理院 人工衛星データを解析 国土地理院(つくば市北郷)は28日、日本全国の大地の動きを可視化する「地殻変動の地図」を公開した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の観測データ8年分を用いて作成された変動分布図で、地形のわずかな隆起や沈下を彩色によって分かりやすくとらえられるようにした。 公開された全国地殻変動分布図は「地理院地図/GSI Maps」により一般にも簡単にアクセスし閲覧できる。 地殻変動分布は「だいち2号」の合成開口レーダー、SAR(Synthetic Aperture Radar)技術によって得られた。人工衛星から地表に向けて電波を照射し、戻ってきた電波を受信し、往復にかかる時間により地表までの距離を面的に観測するセンサーの一種。人工衛星では、地球を周回しながら同一地点に異なる方向から電波を2回、照射し観測することで、大きな開口を持ったアンテナと同様な解像度を得る。 微小な地形の変化を正確に読み取るには、統計的処理のために大量のデータが求められた。2014年8月から8年以上の観測データを得て、時系列解析を行った。国土地理院宇宙測地課、佐藤雄大課長によれば、衛星からの撮影は約1500回に及び、画像枚数にして6400枚のデータを得たという。

仕様書不備で落札決定取り消し つくば市

つくば市が3日に開札を実施した同市佐地区と上菅間地区2カ所にある生活排水路浄化施設の維持管理業務の一般競争入札で、同市は28日、業務委託の仕様書の中で、汚泥の処分方法を「産業廃棄物として処分する」など明記すべきところを明記していなかったとして、落札者の決定を取り消し、入札を不調にしたと発表した。 市環境保全課によると業務委託の内容は、2カ所の浄化施設を今年4月から来年3月までの1年間、維持管理点検し、汚泥を清掃し処理するなどの業務で、2月10日に一般競争入札が告示された。予定価格は約276万円で、3者が入札に参加。今月3日に開札が行われ、落札業者が決定していたが、28日までに仕様書の記載内容に不備が確認されたとして、落札者の決定を取り消す。 今後の対応について同課は、入札業者に事情を説明すると共に、4月以降の業務について、数カ月間は随意契約とし、その間に入札の準備を進めて、改めて入札を実施するとしている。 再発防止策として、仕様書を作成する際は複数名により記載内容の確認を徹底し、適正な仕様書を作成することで再発防止に努めますとしている。