水曜日, 7月 28, 2021
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最も有効な避難計画は再稼働させないこと 《邑から日本を見る》88

【コラム・先﨑千尋】「避難計画は実際には機能しない。絵にかいた餅でしかない。最も有効な避難計画は再稼働させないことだ」。東海第2原発に隣接する那珂市議会の勉強会で、桜井勝延前福島県南相馬市長はこう強調した。 同市議会は常設の原子力安全対策委員会を持ち、これまでに原発関係の有識者を呼び、勉強会を開いてきた。また昨年11月には、東海第2原発の再稼働に関して市民の声を聴こうと、「市民の皆さまの声を聴く会」を開くなどしてきた。今回の勉強会は、議員全員が東京電力福島第1原発に隣接する自治体の首長の体験談を聴こうと開いたもので、16人の議員のほか、一般市民にも公開した。 桜井氏はまず、10年前の事故当時を振り返り、体験した者でないと分からないことがいっぱいあると話し、「大津波で多くの犠牲者が出、救助のさなかに福島第1原発の爆発が起きた。国や県からは何の情報も届かず、テレビの画面で避難指示が出たことを知った。市民は自分の命を守ることが最優先で、行政の指示通りには動かない。それぞれが行きたいところに行く。病院の患者や要介護者の避難が大変だった。東電の作業員は真っ先に遠いところに逃げた。住民のために活動すべき議員も半数以上が逃げ出した。議長は事故の4日後に北海道の千歳空港にいた。新潟県の泉田知事から避難者を受け入れるという電話をもらい、助かった」と、情報が入らなかったこと、バリケードを張られ生活物資までもが入らなくなったこと、避難指示などが困難を極めたこと―などを細かく報告した。 南相馬市の居住人口は震災9年後の時点で約1万7000人減少し、独居や高齢者世帯が増え、若い働き手や子育て世帯が減っている。父親が帰還し就労しても、避難先で生活を続ける母親と子どもが多く、パート、アルバイトが不足しているという。 「まだ以前の生活を取り戻せない」 桜井氏はさらに、「市民の多くはまだ以前の生活を取り戻せないでいる。復興というと響きはいいが、復興とはなんぞやと思っている。復興五輪と言っているが、誰のために開くのか。東電は私たち市民に約束したことを守らない。信用に値しない。東電からの賠償金は原発からの距離で差別される。除染でがんばり、避難区域から解除されると賠償金が減らされる。住民に差別を持ち込むと地域が分断されてしまう。被災地の首長は市民からボコボコにされながらがんばってきた」と、自治体とトップの苦悩を語ってくれた。

東海第2で画期的な判決 《邑から日本を見る》85

【コラム・先﨑千尋】異常気象か世相のせいかどうかわからないが、桜の開花がこれまでになく早かった。いつもだと20日過ぎに咲く近くの公園の八重桜がもう満開。コロナ禍で人が騒いでいても、桜はいつものように見事な花を見せてくれる。 異常というよりは想定外の判決が3月18日に水戸地裁で出た。日本原子力発電(原電)の東海第2原発の安全性に問題があるとして、県内外の住民らが原電に運転差し止めを求めた訴訟の判決で、前田英子裁判長は「実現可能な避難計画や、実行する体制が整えられているには程遠く、防災体制は極めて不十分」として住民の請求を認め、運転を差し止めるよう言い渡した。 これまでの原発運転をめぐる裁判では、地震や津波、火山の噴火などへの対策が主な争点だったが、今回の判決は、事故が起きた時、避難などで住民の安全を守れるかに注目した。 この判決について、翌日の新聞各紙は大きく報道した。地元紙茨城新聞はもとより、朝日、毎日、東京の在京紙だけでなく、隣の下野新聞や沖縄の琉球新報も1面トップで報じていた。社説や解説でも「実効性のある避難計画を作るのは机上の空論。現実を直視すれば、原発再稼働は極めて困難」(東京新聞)、「判決は首都圏に近い密集地域での立地そのものを疑問視したに等しい。自治体は原発の是非を巡る議論とは別に、住民の生命を守る観点での対策が求められる」(岩手日報)など、判決内容を支持する声が多く見られた。 直接評価を避ける国・県・関係首長 では、当事者の受け止め方はどうか。

《邑から日本を見る》67 東海第2 県民投票 県議会が条例案否決

【コラム・先﨑千尋】茨城県議会は6月23日の本会議で、日本原子力発電東海第2原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例案を反対53、賛成5の反対多数で否決した。約8万7000人の県民が署名して求めた県民投票は、最大会派のいばらき自民や県民フォーラム、公明などの反対で実現しないことになった。 本会議に先立つ同月18日に、県議会防災環境産業委員会は総務企画委員会と連合審査会を開き、同条例制定の直接請求代表者や学識経験者、国、地元自治体首長らの意見を聴取し、討論後に反対多数で否決していた。 条例案は、東海第2原発の再稼働の是非について、県内の有権者が賛否の投票をするというもので、大井川和彦知事も多くの県議も再稼働について明言してこなかった。このため、県民の意思を確認する手段の一つとして、有志が「いばらき原発県民投票の会」をつくり、憲法で保障された条例制定の直接請求を県議会に求めていた。 知事は、請求に基づく条例案を県議会に提案する際には、自らの意見を添えて提案することが求められているが、意見書は「慎重に検討していく必要がある」と賛否を明確に示さなかった。 「基本的知識が抜けた議論」 連合審査会では、参考人の意見表明に対して各委員から質疑や意見が出された。その主なものを列挙する。

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にんにく祭りとニンニク 《県南の食生活》27

【コラム・古家晴美】一の矢神社(つくば市玉取)の祇園祭(ぎおんさい)は、旧暦6月7日(今年は7月16日)に開催され、茨城県内の祇園祭の皮切りとされている。「にんにく祭り」としても有名だ。その後、順次、他の八坂神社が祭礼を執り行う。鉾田町には、全戸が参加する一の矢講を編成し、玉取まで参拝に来ていた地区もあったと言う。 潮来市や行方市でも「一の矢の天神様の祭り」として、うどんや餅を作って食べた地域があり、広い地域で知られた祭りであった。では、どうして「にんにく祭り」なのか。諸説あるが、ご祭神の素戔嗚尊(すさのおのみこと)が朝鮮から持ち帰ったニンニクを用い、江戸時代に流行した疫病退治のために、戸口につるしたことが始まりと言う。 実際には、遣隋使か遣唐使がもたらしたものと推測されている。『万葉集』には、醤酢(ひしおす)とともにニンニクをついてタイを食べたい、という歌がある。『医心方』には、かっけ、風邪、虫刺されに効く、と書かれている。『源氏物語』の「帚木(ははきぎ)」には、風邪のために薬草(ニンニク)を煎じて飲んだ、とある。 禅宗の山門には「不許葷辛酒肉入山門」とあるが、滋養強壮作用があることから、修行の妨げになるということで、葷食(くんしょく=ネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウ、タマネギ)を禁じた。 また、室町から江戸時代にかけては、獣肉の調理や臭い消しに、すりおろしたニンニクが使用された。江戸から昭和にかけて、へき村では、節分の鬼やらいで、とげのある柊(ヒイラギ)、臭気があるイワシの頭とともに、さらに匂いが強いニンニクを門に挿しかける風習もあった。 また、コレラなどの悪疫の流行時に、児童にニンニク入りのお守りを持たせて、悪疫を防いだ。このほか、ニンニクは、腹痛、下痢、風邪の予防と治療に用いられた。

つくば、土浦市などに再び時短営業要請 感染拡大市町村に16市町

県南地域などで新型コロナウイルスの感染が再び拡大傾向にあるとして、茨城県は27日、つくば市や土浦市など16市町を、再び感染拡大市町村に指定すると発表した。期間は30日から8月12日までの2週間。対象市町のすべての飲食店に再び午後8時までの時短営業などが要請される。 県南、県西、鹿行地域を中心に県全体で、陽性者数が前の週と比べ163%増えているほか、経路不明者が178%増加しているなどから、県独自のコロナ対策判断指標を1段階強化し、「感染が拡大している状態」のステージ3に引き上げる。東京など1都3県で感染が急拡大していること、お盆休み前後に遠出や会食の機会が増えることが懸念されることなども考慮した。 この1週間の新規感染者を年齢別にみると、20~30代が44%と最も多く、40~50代が32%、20代未満が15%に対して、ワクチンを接種した割合が比較的高い60代は5%、70歳以上は4%となっている。24日現在の年齢別の入院患者は、40~50代が最も多く47%、次いで60代が15%、20~30代と70歳以上がいずれも14%、20歳未満が9%。 つくば、土浦両市はステージⅣ相当 その上で、この1週間の人口1万人当たりの新規陽性者数が1.5人以上の16市町を感染拡大市町村に指定する。この1週間の新規感染者数はつくば市が県内で最も多い84人、土浦市が42人。人口1万人当たりに換算すると、つくば市が3.38人、土浦市が3.05人で、両市とも国の指標で「爆発的な感染拡大が起き、医療提供体制が機能不全に陥ることを避けるための対策が必要」なステージⅣに相当する感染者数になっている。感染拡大が続く場合、期間が延長されることもあり得る。 感染拡大市町村は、すべての飲食店を対象に午後8時から午前5時までの営業自粛のほか、酒類の提供は午後7時までとすることを要請する。協力金として、中小企業の場合、1店舗当たり売上高に応じて1日2万5000円~7万5000円を支給する。今回は大企業に対しても協力金を支給するするほか、申請受付を早め、8月早期に開始する。

五輪スイス選手団「サポートに感謝」 つくば事前キャンプ

開催中の東京オリンピック出場のため、つくば市で事前キャンプを行っているスイス選手団は27日、市、筑波大学と共同でオンライン記者会見を開いた。選手たちは「市民との実際の接点は少ないが、すべての方に感謝を感じている」と語った。 選手団からは、事前キャンプ責任者ピーター・ハ―スさん、陸上競技チームリーダーのフィリップ・バンディさん、女子棒高跳びのアンジェリカ・モーザー選手、男子5000メートルのヨナス・ラエス選手が出席した。 ハ―スさんは、つくば市での事前キャンプについて「市民の皆さま、筑波大学、つくば市、滞在先のホテル、すべての人たちに多大なる感謝を伝えたい。素晴らしい環境のもとで事前キャンプを行うことが出来ている。感染対策も万全」と述べた。市の環境については「静かでクールな街だという印象を持った。どこかスイスを感じさせる環境で、安全に練習をすることが出来ている」という。 モーザー選手は「市民との接点がないのは悲しいが、世話役の皆さんがとても親切にフレンドリーに接してくれている。筑波大の練習場においても、接遇役の方たちがサポートのために見守ってくれている」と感謝した。 スイスチームの練習風景=筑波大学(つくば市提供)

ひとり親の就労支援を強化 茨城労働局 全市町村に臨時相談窓口

厚労省茨城労働局は8月2日から31日の間、県内全44市町村に、ひとり親の就労支援を強化する、ハローワーク臨時相談窓口を設置する。出張相談による「ひとり親全力サポートキャンペーン」を実施する。 児童扶養手当受給中のひとり親が、市町村に「現況届」を提出する8月の時期に合わせて、2015年度から開設している。当初は県内19市のみだったが、2018年度からは全市町村で行うようになった。昨年度は新型コロナ感染拡大防止のため中止した。 臨時相談窓口ではハローワーク職員が、「現況届」提出に訪れたひとり親から職業相談を受けたり、職業紹介や求人情報の提供などをして、ひとり親の生活支援をバックアップする。 具体例としては、本人と中学生の子供、母親の3人暮らしで、コンビニ店員のパートとして週30時間働いていた。月収は10万円程度だったことから、子供の進学を見据え、キャンペーンを知り相談した。ハローワークの相談員と、フルタイム勤務を軸に就職先を一緒に探した結果、フルタイム契約社員の工場内梱包作業に応募し、採用され、給与も18万円になり、母親も安心した―などの成果があるという。 茨城労働局は「臨時相談窓口での相談をきっかけに、相談に応じる個別担当者を決め、プライバシーに配慮しながら、個々のニーズに応じたきめ細かな就労支援を受けることができる」とメリットを強調し、積極的な利活用を呼び掛けている。(山崎実) ▼臨時相談窓口設置日は次の通り・土浦市=8月13日(金)、土浦市役所1階相談室・つくば市=8月24日(火)、つくば市役所2階会議室開設時間はいずれも午前9時30分~午後3時(正午から午後1時は除く)