金曜日, 9月 30, 2022
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宇宙で髪を切る 《食う寝る宇宙》95

【コラム・玉置晋】前回のコラム「宇宙天気キャスター」で僕は痛恨のミスを犯しました。宇宙人クラブ代表の福海由加里さんの名前の漢字を間違えてしまい、NEWSつくば編集室に修正依頼を出すという御迷惑をかけてしまいました。謹んでお詫び申し上げます。現在、責任をとって頭を丸めるという企画が進行しております。坊主頭は幼稚園生のころ以来なので、ドキドキワクワクです。 頭を丸めるに当たり、宇宙飛行士の方は宇宙での散髪をどうしているのだろうと疑問に思いました。だって無重力環境だと、切った髪がそこら中に散らばってしまいます(まさに散髪!)。万が一、宇宙飛行士の皆さんが誤って吸い込んでしまったら、大変なことになります。機械類に紛れ込んで、ショートでも起こしたらと考えると、散髪なんてしている場合ではないのではと思います。 調べてみたら、普通にバリカンで散髪している動画がたくさん出てきて動揺しました。どうやらバリカンが特別な構造で、掃除機のようなものが付いていて、髪の毛は吸引される仕組みのようです。 動画の多くは同僚の宇宙飛行士に刈ってもらっているものでしたが、中には自分で刈っている強者も(日本のベテラン宇宙飛行士の方)。想像するに、無重力環境で自らバリカンを入れて、散った髪を確実に吸引するのは、難易度が高いと思います。散髪の訓練もされているのでしょう。 宇宙で洗髪もしたい 国際宇宙ステーションにはお風呂もシャワーもありません。無重力環境で水を扱うのは非常に危険です。水が機械に付着して故障の原因になるだけでなく、顔面にへばりついて窒息する危険性もあります。でも日本人としては風呂に入りたいし、それが無理ならシャワーを浴びたい。散髪の後ならシャンプーもしたい。

宇宙に行く意味とは? 立花隆さんと野口聡一さん 《遊民通信》21

【コラム・田口哲郎】 前略 去る7月5日、つくば市で宇宙飛行士の野口聡一さんが東京五輪聖火リレー走者を務められました。あの笑顔を見て、私は6月23日に訃報が伝えられた評論家の立花隆さんを思い出していました。 立花さんの追悼番組で野口さんは、『宇宙からの帰還』というNASA(米航空宇宙局)の宇宙飛行士にインタビューした立花さんの本を読んで宇宙を目指したこと、立花さんから宇宙体験を社会の精神性に役立てるよう助言されたことを述べられました。宇宙開発と精神性の組み合わせが意外で、立花さん、野口さんの著作を読んでみました。 『宇宙からの帰還』では、宇宙飛行士たちが宇宙で神秘体験をし、宗教に目覚める話が紹介されています。お遍路で神秘体験をする人がいるように、宇宙でも当然起こりうるわけです。2006年の『中央公論』の立花さんとの対談で、野口さんは「ドラスティックな宗教的な目覚め」はなかったと言っています。でも、宇宙冒険による内面の変容体験はあったとも語っていて、追悼番組で宇宙体験を社会の精神性に役立てたいと述べていました。 どういうことだろうと思い、野口さんの学術論文を読んでみました。2014年の「宇宙空間における重力基準系の変化は人にどのような影響を与えるか:身体定位、認知、対人関係を中心に」は、ISS(国際宇宙ステーション)長期滞在の経験に基づくもので、地上では当然の重力(基準系)がほぼ無い宇宙で人間は安心を得られるのか?が検討されています。

《食う寝る宇宙》81 衛星のクリーンルームに住みたい

【コラム・玉置晋】2月の上旬くらいからでしょうか、目の腫れぼったさを感じて、僕の花粉センサが反応する季節がやってきました。今年はあらかじめ病院で薬をもらって準備していたので、例年に比べて症状は軽めなのですが、つらいものはつらい。つい先日は夜中に鼻がつまって、呼吸困難に陥って死ぬかと思いました。 職場では、鬼の形相で「窓を開けるな!」とオーラを出しますが、コロナ禍ですから換気も大事です。家では花粉症とは縁のない奥様はちゅうちょなく窓を開放します。布団は豪快に外に干します。僕はこれを「花粉症DVだ!」と抗議をしますが、「それが何か?」と却下されます。 「べんぞうさん」大分元気に 本コラム79(2月14日掲載)で、人工衛星の地上試験について書きました。人工衛星は大変繊細な機械の塊ですので、試験はクリーンルームの中で行われます。僕は以前、地上試験中の人工衛星のデータを収集して、評価する仕事を担当したことがあります。 このときは、専用の靴に履き替え、専用の防塵(ぼうじん)服を着て、エアシャワーでホコリを吹き飛ばした上で試験設備に入室しました。今、僕はクリーンルームに住みたいです。 前回のコラムで、ウチの大事な家族である犬の「べんぞうさん」の体調がすぐれないと書いたら、何人かの方から心配のメッセージをいただきました。大分、元気になってまいりました。どうもありがとうございます。(宇宙天気防災研究者)

《食う寝る宇宙》80 火星探査「魔の7分間」

【コラム・玉置晋】ウチの大事な家族である犬の「べんぞうさん」の体調がすぐれません。この数年、検査で腎臓の数値が悪かったので、腎臓ケアの食事に変えていたら、今度は肝臓の調子が悪くなり、手製の食事に替えましたが食欲がなく、昨日も仕事のお休みをいただいて獣医さんに連れていきました。2008年に我が家にやってきたこのワンコ、人間でいえば70歳くらい。70歳だったら、まだまだバリバリ働いている人いっぱいいるぞ。どうか元気になってくれ。 こういう時に限って、仕事の締め切りやら、確定申告の準備やら、異様に忙しい。2月19日早朝に、たまった領収書と悪戦苦闘しながら、NASA(米航空宇宙局)のライブ中継をみていました。NASAジェット推進研究所の火星探査機「パーシビアランス」が火星への着陸を試みている真っ最中です。 これまで各国で試みられてきた火星探査の成功率は半分以下。火星周回への軌道投入、大気圏突入、軟着陸のためのパラシュートの展開―すべて難易度が高い。地球から火星までの距離は光(電波)の速さでも10分かかるので、探査機に事前にプログラムしておき、自己判断させなければならないのです。特に探査機の大気圏突入の時間は、「魔の7分間」として恐れられているそうです。 着陸成功にガッツポーズ 火星の大気圏突入時には、時速2万キロという高速移動しているために、ものすごい勢いで探査機前方の大気を圧しつぶします。圧しつぶされた大気の分子が激しくぶつかり合って、熱が発生します。火星の大気だと2000℃程度に加熱されるので、高温に耐えねばなりません。 そして、着陸点に向かう軌道を修正しつつ、適切なタイミングでパラシュートを開く。しばらく降下した後、「スカイクレーン」と呼ばれるロケット推進で噴射する装置につるされながら、ゆっくりと着陸していきます。この間7分間。NASAの運用室の緊張感がパソコン画面を通じて伝わってきました。着陸成功が報じられたときは、思わず僕もガッツポーズ。

《食う寝る宇宙》79 宇宙飛行士と人工衛星の「試験」

【コラム・玉置晋】日本人宇宙飛行士の募集が今秋に予定されています。僕の周りにも宇宙飛行士を目指している人が何人かいるので、彼らを応援しています。JAXA(宇宙航空研究開発機構)のホームページを見ると、宇宙飛行士の募集・選抜・基礎訓練に関する意見募集や情報提供依頼が出ています。どのような選抜試験になるのか興味津々です。僕は受験するのかって? いやいや、まずは腹のぜい肉をどうにかしろと奥さんに言われておりますよ。 人工衛星も試験を受けなければ宇宙には行けません。宇宙に行くということは過酷です。ロケット打ち上げ時の音響レベルは飛行機エンジンの近くぐらいで、ロケットの噴射による振動は地球重力に匹敵する加速度となります。丈夫じゃないと壊れてしまいます。 そして、無事に宇宙空間に到達したらさらなる困難が。高真空、±100℃の温度差、高い放射線量―。特に放射線は、僕が研究している「宇宙天気」に大きく依存します。地上で素晴らしい働きをしている電子機器でも、耐性がなければ地球一周も持たず機能を失ってしまうでしょう。 小型衛星環境試験設備シェアリングサービス 人工衛星が、ロケットで宇宙に運ばれるのに耐えられて、宇宙空間でも健全に動作することを確認するために、地上で試験を行います。電気性能試験、電磁適合性試験、機械環境試験、熱真空試験、放射線耐性試験など、様々な試験が必要ですが、申請や機材の準備、試験場や試験人員の確保などのノウハウがないと難しくて、これまで宇宙参入の障壁となっていました。 ここに目をつけた人が、僕が所属する宇宙コミュニティ「ABLab」の仲間にいます。「小型衛星環境試験設備のシェアリングサービス」と題して、宇宙ビジネスアイデアコンテストS-booster2019に応募し、見事JAXA賞を受賞しました。そして準備期間を経て、2021年度からサービス提供を開始します。詳細は本サイトの記事「JAXA認定ベンチャー...

《食う寝る宇宙》66 宇宙開発現場の言霊信仰

【コラム・玉置晋】宇宙開発は科学技術の塊(かたまり)であることは言うに及びませんよね。その中で、僕は人工衛星の運用に関わる仕事をしているのですが、面白いことに非科学的な伝承がいくつかあるので紹介しましょう。 言霊(ことだま)とは「言葉には霊的な力があり、声に出した言葉が現実の事象に対して何らかの影響を与える。良い言葉を発すると良いことが起こり、不吉な言葉を発すると凶事が起こる」ということです。 これは、人間の社会では、あながち間違っているとは思いません。1人から発せられた信憑(しんぴょう)性の怪しい情報が人々に伝播して、国家的な意思決定に影響して、紛争や戦争につながることもありますよね。だから、言葉は慎重に発せねばなりません。 人工衛星運用の現場における凶事とは、衛星が通常とは異なる状態になることです。現場では、不明事象とか不具合が発生したと表現します。最悪の場合、人工衛星が失われることもあり、現場の先輩方はこれを経験してきました。だから、現場で不具合に関する話をすると、ベテランの先輩方から怒られます。 不具合を語る「軌道上技術評価」 ところが、僕は「宇宙天気防災」を専攻しています。宇宙天気は人工衛星の不具合を発生させる疫病神のようなものですが、宇宙天気が世の中に普及するには、その被害を明らかにする必要があります。僕は、衛星運用の中でも「軌道上技術評価」という仕事に取り組んでいます。

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日本写真家協会新人賞受賞、田川基成さん つくばで「海の記憶」展

今年、日本写真家協会新人賞を受賞した田川基成さん(37)による写真展「海の記憶」が、10月7日からつくば市天久保のギャラリーYで始まる。田川さんは長崎県出身。受賞作品である故郷、長崎の島々の暮らしを4年にわたり記録した作品群「見果てぬ海」から、同名の写真集収録作品を含む18点が展示される。 同新人賞は将来を期待される有能な新人写真家に贈られる。受賞理由として「『見果てぬ海』は、大航海時代にポルトガル人やスペイン人がキリスト教を伝えた記録から、隠れキリシタンの歴史を掘り起こし、長崎の風景、豊かな海、人々など様々な視点で捉えており、単なる一地方の記録に収まらない。スケールの大きな作品」などと評された。 田川さんは、同テーマの展示を全国5都道府県で開催してきた。県内では初めての開催となる。「海の記憶」に込めた思いについて「長崎自体が持つ歴史、行為、物語、それらを包み込んでいるのが海」「写真は見る人の記憶を呼び起こすメディア。見る人、土地によって感じ方は変わる。会場で、何かを感じてもらえたら」と話す。 初めて訪ねた五島列島から故郷の島を眺める(同) 魔法がかかる

ジョンの代わり《短いおはなし》7

【ノベル・伊東葎花】 大好きだったジョンが死んだのは、寒い冬の夜だった。 僕はまだ9歳で、妹は7歳だった。 その夜は、何となく別れの予感がしたのだろう。 僕たち家族は、深夜を過ぎても誰も眠ろうとしなかった。 いつもだったら「早く寝なさい」という母も、眠い目をこする妹を抱きしめていた。

茨城ロボッツを応援しよう!《令和楽学ラボ》20

【コラム・川上美智子】スポーツには疎い方ですが、小学3年生の孫に誘われて「茨城ロボッツ」を応援するようになりました。保育園のころにサッカーでつまずいた孫が、小学生になってから茨城ロボッツのスクールに通うようになり、すっかりバスケットファンになってしまいました。 昨シーズンも、アダストリア水戸で行われたホーム試合は全て応援に行き、さらにYouTubeでそれぞれの試合を何度も何度も観戦して、試合運びを分析するほどの熱の入れようです。休みの日には、敷地内の小さな中庭のバスケットゴールで腕をみがいています。 そのような折、ロボッツから試合後の選手に提供するリカバリー弁当の話が舞い込みました。私がオープニングでプロデュースのお手伝いをした「レストランAOYAMA」(水戸市赤塚)のオーナーシェフ青山雅樹さんから、メニュー作成と監修の依頼がきたのです。そんな形でお役に立てればうれしい話と、早速、前職場の茨城キリスト教大学の教員に声をかけ、ロボッツの西村大介社長と詰めに入りました。 昨シーズンが始まり、ロボッツがなかなか勝てなかった時期の話で、昨年12月に6者協定の話がまとまり、年明けから「茨城ロボッツ・スポーツニュートリション 6者連携プロジェクト」がスタートしました。この取り組みが功を奏したのか、この後は、ロボッツが勝利する試合が多くなりました。 「食」の応援プロジェクトは3本柱 このプロジェクトの内容は、以下のようなものです。

不登校の子どもや保護者と支援者つなげたい 30団体がつくばで初の合同説明会

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