日曜日, 3月 26, 2023
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地磁気観測所移転問題が再燃 県、対国交渉へ

一時は絶望視されていた気象庁地磁気観測所(石岡市柿岡)の移転問題が、再燃を見せ始めている。県議会第2回定例会(6月1-18日)でも議題に上り、大井川和彦知事は改めて対国交渉に取り組んでいく姿勢を表明した。 観測所は、東京での市内電車(直流電車)の開通に伴う観測業務への影響を考慮し、1913(大正2)年に柿岡に移転した。施設の半径35キロ圏内では直流電化が制限されるため、1985年にいわゆる常磐新線(現在のつくばエクスプレス)の整備が位置付けられた際にも、導入車両の電化方式や関連施設整備の面で大きな障害となっていた。 このため、県は1982年に新線整備計画の検討に合わせ、有識者などで構成する「地磁気観測所問題研究会」を設置し、学術、技術的な検討を加え、不可能とされていた施設移転に関し、一部機能については(施設移転が)可能であることなどを報告書として提示した。 これを受け、1984年には県、市町村、商工団体などによる「地磁気観測所移転促進協議会」を発足させ、官民一体となり気象庁などに働き掛けを行った。しかし移転費用の負担問題などから、1994年頃に働き掛けを事実上断念した。協議会の活動も、自然消滅の状態を余儀なくされた。 しかし大井川知事はあきらめきれない様子で、第2回定例会の答弁で、TX(つくばエクスプレス)が本県発展の重要なファクターであることを強調しながら、東京延伸だけでなく、県内延伸、さらには都心と県西地域を結ぶ地下鉄8号線の県内延伸など、東京方面との相互乗り入れの課題になっていると指摘した。

TX延伸の障害 地磁気観測所の移転はなるか?《茨城鉄道物語》12

【コラム・塚本一也】6月4日の茨城県議会において、大井川和彦知事は私の一般質問に答える形で、石岡市柿岡にある地磁気観測所について、県として国に対し移転と補償を求めていく考えを表明しました。これは数十年ぶりに復活した中央要望であり、県南・県西地区の今後の開発計画を進める上で、画期的で重要な発言といえます。 地磁気観測所とはどのような施設なのか、簡単に説明しておきます。気象庁・地磁気観測所は旧柿岡町に位置しており、地球の磁気を継続的に定点観測し、研究機関や磁気図作成などにデータを提供しています。1912年、東京・赤坂から柿岡へ移転、それから100年以上が経ちました。 観測する地磁気には短周期と長周期がありますが、電車が走る際の直流電流が磁場を荒らしてノイズを発生させるため、観測所から半径35キロ以内は直流電源を使用してはならないと、法律で定められています。そのため、JR常磐線やTX(つくばエクスプレス)は、経済的負担の大きい交流電源を使用しなければならず、長い間、地域の鉄道計画の足かせとなっていました。 観測所が東京から移転したのも、都電荒川線を走らせるに当たって、赤坂では観測に支障があるため、「将来的に都市化とは無縁の場所」として柿岡が選ばれたそうです。気象庁は継続的なデータ観測の有用性を主張して、これまで移転を拒否していましたが、直流の影響を受けやすい短周期観測についてはデータ補正が技術的に可能となったため、移転に柔軟な姿勢を示すようになりました。 しかし、移転費用を茨城県に求めており、一時期盛り上がった移転要求もとん挫しているのが現状です。 大井川知事とスクラム組めた

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C・フェルバーの「公共善エコノミー」 《文京町便り》14

【コラム・原田博夫】オーストリア・ウィーン在住のクリスティアン・フェルバーによる独語の「Gemeinwohl-Ökonomie, Deuticke im Paul Zsolnay Verlarg, 2010」の邦訳「公共善エコノミー」が、ドイツ在住の池田憲昭氏によって、2022年12月に鉱脈社(宮崎県)から出版された。この著作は2010年の初版以来、8カ国語に翻訳され、14カ国で出版されている。英語版も「Change Everything: Creating an Economy for Common Good, Zed Book, November 2019」(「すべてを変えよう~公共善エコノミーを創出することで~」)として出版されている。 私自身、国際「生活の質」研究学会(ISQOLS)第15回大会(2017年9月、オーストリア・インスブルク大学)で著者フェルバーの基調講演を聴き、その主張と講演スタイルに独自なものを感じた。主張は後述するが、講演スタイルは壇上を縦横無尽に動き回るのもので、その後、彼が作家であると同時にダンスパフォーマーとしても活動していることを知り、さもありなんと得心した次第である。

7月着工、来年3月ごろ開業へ つくば市旧茎崎庁舎跡地ドラッグストア

ドラッグストアの開業を提案した大和ハウス工業茨城支社(つくば市)を優先交渉権者に決定した、つくば市の旧茎崎庁舎跡地(同市小茎)の利活用について(22年9月26日付)、同市は24日、同茨城支社と23日、30年間の定期借地契約を締結したと発表した。 市公有地利活用推進課によると、今年7月に本格着工し、来年3月ごろまでにオープン予定という。当初、年内オープンを見込んでいたが、コロナ禍で契約締結協議などに時間を要し、開業が約3カ月遅れる見通しだという。 定期借地契約は今年7月1月から2053年6月末までの30年間で、土地賃借料は年約90万円。固定資産税評価額の改定があった時は見直す。 店舗予定地の敷地面積は約2700平方メートル、店舗面積は約1100平方メートル。 周辺住民から要望があった、青果や精肉などの生鮮食品を取り扱うほか、店内に約30平方メートル程度のフリースペースを設け、テーブルといすを置き、来店客が自由に利用できるようにする。さらに敷地内の店外に緑のあるオープンスペースを設け、テーブルといすを置き、来店客がバスを待ったりできるようにする。 茎崎庁舎は2010年4月に閉庁、16年1月に解体され、跡地は更地のままになっていた。(鈴木宏子)

お米を買ってもらい、谷津田を保全 《宍塚の里山》99

【コラム・福井正人】宍塚の里山を構成する重要な環境の一つに谷津田があります。冬にも水が張られた谷津田では、早春、ニホンアカガエルが多数産卵します。カエルが増えると、それを食べるヘビが増え、ヘビが増えるとそれを食べる猛禽(もうきん)類が増えるといった「生き物のつながり」が生まれます。このように、谷津田は生き物の生息域として重要な場所になっています。この環境を守ろうと始めたのが「宍塚米オーナー制」で、今年で25年目を迎えます。 人類が稲作を始めたころ水田が作られたのは、水が手に入りやすい谷津田のような環境だっただろうと言われています。しかし、現代のようなかんがい設備の整った水田耕作では、水が引きにくく、田んぼの形も不揃いで小さく、また周りの木々にさえぎられて日当たりも悪いといった問題があります。さらに、湧き水が入るために水温も低い谷津田の環境は、稲の生育にも作業する人間にとっても不利な状況になっています。 このように、生き物の生育環境としては重要でも、耕作条件としては不利な谷津田での耕作を続けていくためには、いろいろな工夫が必要です。例えば、里山のもつ公益的機能の恩恵を受けている非農家である都市部の市民にもお金や労力を提供していただくことです。私たちの会では、支援としての「宍塚米オーナー制」と労力としての「田んぼ塾」(現在の「自然農田んぼ塾」と「田んぼの学校」)を立ち上げ、谷津田での耕作を維持してきました。 「田んぼの学校」では、たくさんの子どもたちが自然と触れ合い、我々の主食である「お米」がどのように作られるのかを学ぶ場所になっています。 宍塚米のオーナーを募っています 宍塚米オーナー制では、毎年4~9月、谷津田の支援に賛同してくれるオーナーを募り、10月末に谷津田を耕作してくれている宍塚の農家からお米を買い取り、オーナーに発送しています。品種はコシヒカリで、宍塚の里山の猛禽類の象徴サシバにちなんで「宍塚サシバ米」と呼んでいます。

マスクを脱いで巣立ちも 筑波大で4260人の卒業式

筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)の卒業式・学位授与式が24日、大学会館で行われ、スーツや袴に身を包んだ生徒らが新たな門出の日を迎えた。22年度の卒業・修了者は4260人。マスクの着用については自由で、一部の生徒らはマスクを外して式に臨んだ。 式典は学群が2回と大学院が1回の3回に分けて実施され、永田学長から各学群の代表者に学位記や卒業証書が手渡された。卒業生と修了生のみが参加し、家族や在校生らは会場の様子をライブ配信で視聴する形となった。式典後の祝賀会は開催せず、謝恩会については大学側が自粛を求めた。 永田学長は式辞で、筑波大が東京高等師範学校の創設から数えて150年を迎えたことや、昨年から文部科学省より指定国立大学法人に指定されていることを述べ、「みなさんがそれぞれに新しい挑戦をすることこそが、本学の価値を世界に発信することであり、みなさんに続く後輩たちの活動の幅を広げていく」と激励した。 卒業式で式辞を述べる永田学長 人文・文化学群日本語日本文化学類の鎌田真凜さん(22)は「コロナ禍での生活は、これまでの当たり前を覆すことばかりだった。オンラインが中心となり、友人や先生方と顔を合わせることすら難しくなった時期もあるが、同じ思いや悩みを抱えた仲間がいることが何よりも救いになり、変わり続ける状況の中でも学びを止めることなく進み続けてこられた」と述べ、教職員や地域の人々に支えてくれたことへの感謝の意を伝えた。 式典の前後には、卒業生が在校生や家族らと大学会館脇に咲く桜を背景にして写真を撮影し、喜びを分かち合った。人文・文化学群で西洋史を専攻し、卒業後は就職するという河野太一さんは「時の流れが速く感じ、うまく言葉にできない。対面授業からオンライン授業、オンライン授業から対面授業への切り替えに慣れるのが大変だったので感慨深い。卒業後は仕事と趣味を充実させたい」と話した。人間学群心理学類に所属する女性は「大学院に進学するので実感があまりない。臨床心理士の資格を取り、将来は心理の関係で働くことができれば」と将来の希望を話した。(田中めぐみ)