木曜日, 2月 9, 2023
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《ひょうたんの眼》31 成長戦略はデジタル化でよいのか?

【コラム・高橋恵一】アベノミクスによる景気の好循環や女性活躍社会など掛け声倒れの長期政権が終了し、新政権がスタートした。政権への諸疑問に対する納得いく説明もないまま。 新首相は、国民に「自助、共助、公助、絆」を呼びかけ、コロナ対策と景気回復を重要目標に、戦略目標としてデジタル化と規制改革を掲げ、具体的施策として、少子化対策のための不妊治療補助と業務の効率化のための「はんこ」廃止を打ち出した。 前首相は、少子高齢化を「国難」と言い放ったが、少子化も高齢化も人類が生活水準の高度化とともに迎える現象であって、長寿をいかに前向きに受け止めて社会経済の仕組みを構築していくか、少子社会で安心して産み育てる環境を整えるかであろう。医療福祉、教育、経済など、こちらも多面的な対策が求められている。不妊治療への保険適用に続いて、その数百倍以上の予算規模の少子高齢化対策は打ち出されるのだろうか。 「はんこ」の役割は、本人の意思確認、案件への同意・承認、権威の証明などであろう。特に、同意承認は、組織の意思決定の過程で膨大な作業になっている。しかし、本来、多数の承認が必要なのだろうか? 私の経験でも、稟議(りんぎ)書に10人以上の印が押されて決済を求められた経験があるが、押印者の1人に、案件の説明と意見を聴くと、内容を理解していない場合が多かった。 意思決定に責任を持って対応する人間だけに絞ればよいだけだ。「はんこ」を止める以前に、はんこを押す人数を減らすことが先だ。最前線、現場の実務者に、権限と責任を持たせることが真の改革であろう。 IT化で利益を得るのは誰か?

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やさしい国家が人をしあわせにする 《遊民通信》58

【コラム・田口哲郎】前略 1789年のフランス革命のあとに、「人間と市民の権利の宣言」、いわゆるフランス人権宣言が採択されました。この宣言は世界各国に影響を与え、それは当然、日本の民主主義の根幹にかかわるものでもあります。 フランス共和国の人権宣言をごく簡単にまとめるとこうなります。人間は生まれながらにして自由と平等を保証されている。共和国が基本的権利を保証するのであって、ほかの団体などがその権利を侵害してはならない。つまり国家だけが、福沢諭吉が言ったところの「天は人の上に人をつくらず、人の下にも人をつくらずと言へり」を約束できるということです。国民と国家の信頼関係によってすべては成り立っているわけです。 規則と改革 そんなのあたりまえじゃないかと思ってきました。でも、よく考えると、わたしたちは基本的人権によって自由と平等をあるていど享受しているけれども、その自由と平等は完全ではありません。完全な自由と平等の実現はかなり困難でしょう。でも、それでも人権宣言の理念を目指していかなければならない。そのためには、規則よりも人間の真情に寄り添う姿勢が大切です。 そうなると対立するのは、規則と改革です。ある人が困っている。でも規則はその人の望みを解決することはできない。だからその規則を変えるしかない。いや、規則を変えることは国家の根幹を揺るがすので簡単にはできない。しかし、このままでは国家が保証すると約束したその人の自由がないがしろにされてしまう。

知的障害者に一人暮らしの選択肢を 18日、つくばで映画上映会

市民団体「茨城に障害のある人の権利条例をつくる会」(=いばけんつ、事務局・水戸市)が18日、筑波大学春日エリア(つくば市春日)で映画『道草』(宍戸大裕監督作品、2018年)の上映会を開催する。重度知的障害者が介助者の支援を受けて、地域のアパートで一人暮らしをする様子を映したドキュメンタリー映画だ。同会共同代表の一人、生井祐介さん(45)は「知的障害者が生活する場は、入所施設やグループホームだけでなく、支援を受けながらの一人暮らしという選択肢もあることを、多くの人に知ってほしい」と話す。 知的障害者の一人暮らし 「重度訪問介護」は、重度障害者が長時間、人によっては24時間の介助を自宅で受けられる福祉サービス。従来、対象は重度の肢体不自由者に限定されていたが、2013年の障害者総合支援法施行で、重度の知的障害者や精神障害者にも広がった。映画には、重度訪問介護を利用し、一人暮らしをする重度知的障害者が登場する。 内閣府の2022年度版障害者白書によると、身体障害者における施設入所者は1.7%なのに対し、知的障害者においては12.1%と、施設入所の割合が高くなっている。昨年9月、日本政府は国連から「障害者の施設収容が継続され、地域で生活する権利が奪われている」と懸念され、「施設収容をなくすために、障害者の入所施設から、地域社会で自立して生活するための支援に予算を振り分けること」が勧告された。 全国各地の障害者団体などが国連の勧告を周知するために講演会を開催し、生井さんも何度か参加した。しかし、「一般参加者には内容が難しいのでは」と感じ、「幅広い人に、もっとわかりやすく伝える方法はないか」と考え、今回の上映会を企画した。「知的障害者も公的な介助サービスを利用し、一人暮らしができることはほとんど知られていない。その様子を映像として実際に見てもらうのが一番わかりやすいだろう」

装着型サイボーグのサイバーダイン 《日本一の湖のほとりにある街の話》8

【コラム・若田部哲】多くの研究所が立地する科学のまち、つくば。今回はその中でも最先端企業のひとつ、CYBERDYNE社(サイバーダイン)についてのご紹介です。同社が開発した世界初の革新的技術・製品について、広報の片見さんにお話を伺いました。 サイバーダインは筑波大学の山海嘉之教授により2004年に設立され、世界初の装着型サイボーグ「HAL」をはじめとする機器により、医療をはじめとして様々な社会課題の解決に取り組んでいます。 HALは、装着するだけで「サイボーグ化」する身体装着型の機器。その仕組みは、体を動かそうとするときに脳から発生するごく微弱な信号をセンサーで検出し、認識した動作に合わせてパワーユニットが作動、装着した人の意思に沿った動きをサポートするというものです。 ここまでは、すごいなあと思いつつ、なんとなくイメージしやすいところですが、さらにここからが驚きです! HALが脳からの信号を読み取りアシストした後、その「動いた」感覚は脳にフィードバックされ、それを繰り返すことにより、身体機能の改善・機能再生が図られるそうです。 つまり、弱って動かなくなってしまった身体機能が、HALのサポートで繰り返し動かすことにより回復し、再度動けるようになるとのこと。日本では、神経筋難病という従来は治療が困難とされていた疾患に対し、機能を維持・改善する効果が認められ、病院で治療できるようになっているそうです。 また海外では、脊髄損傷や脳卒中などの治療にも使われているとのこと。介護などの作業支援用や医療用など、様々なタイプのHALが製品化され、世界20カ国で約2500台が稼働中だそうです。

筑波懐古から始まるおカイコライブ 18日に農研機構冬の一般公開

農研機構(本部・つくば市観音台)の「冬の一般公開2023」は18日、昨秋に続きオンライン開催で行われる。「​光るシルクを生み出す家畜!? おカイコ」がテーマだが、最先端の研究現場をのぞく前に、ちょっと道草して古い縁起からひもとく趣向がある。ウィズコロナ時代のオンラインコミュニケーションに、少しだけ懐古趣味、地元回帰の要素を盛り込んだ。 今回の一般公開を担当するのは、生物機能利用研究部門の絹糸昆虫高度利用研究領域カイコ基盤技術開発グループ。笠嶋めぐみ上級研究員ら4人が進行役を務め、プログラムの冒頭は茨城県に伝わる養蚕伝承「金色姫」の話から始めるという。 同研究部門は、つくばに移転してきた1980年時点では蚕糸(さんし)試験場といい、88年の改組で蚕糸・昆虫機能研究所となり、2001年の独立行政法人化で農業生物資源研究所に改編されるまで「蚕糸研」と呼ばれた。絹を生み出すカイコの交配や生態解明を遺伝子レベルから研究してきた。 この経緯から、筑波山麓の同市神郡にある、養蚕をまつる蚕影(こかげ)神社を訪れる研究者が少なくなかった。所長を務めた木村滋さん(2022年死去)らだ。神社に伝わるのが「金色姫」の縁起で、天竺(インド)での受難劇、UFOを思わせるうつろ舟での漂着などの物語が作家や民俗学者らを引き寄せてきた。同様の伝承は県内の神栖市、日立市の神社にもある。 蚕影神社じたいは無住で荒廃久しいが、筑波山神社が春・秋に例祭を催しており、地域の女性たちが繭や真綿の手工芸品を作って奉納に訪れるなど、根強い信奉が見られる。 農研機構によれば、「養蚕の歴史が奈良時代からある茨城県で、新しいカイコ研究を行っている研究所というイントロダクションを用意した」そうで、御物法隆寺錦(正倉院御物)で聖徳太子の妃である膳妃(かしわでのきさき)の帯と伝わる蜀江錦の織物なども紹介するという。